明久side
「うっわあ……無駄に本格的だね」
「そうだな。さすがにここまでやるとはな……」
「なんだかんだいっても楽しんでるんじゃないの?」
「きっとあの人たちもいろいろとストレスがたまってたのでしょうね」
肝試し当日、僕たちが学校に来るとその様相は本物のお化け屋敷と大差ない出来栄えになっており、僕たち全員が驚いてる。
ただ……
「明久……わ、悪いけど今回はパスさせてもらうわね」
「まあアリスがそれでいいならいいけどさ……」
アリスはこういうホラー物とかは極端に苦手で、参加にあまり乗り気ではない。本人も本当は驚かす方で参加するつもりだったし。
「うう……ホラー嫌いが恨めしい」
本人も参加できなくてちょっと残念そうである。
「で、確か旧校舎の空き教室に待機だったっけ?」
「そのはずです。開始時間になったら順にDクラスから突入していく手はずですから」
そう言いながら歩いて行くと新校舎と旧校舎を繋ぐ渡り廊下には大きな暗幕がかけられており、中が見えないようにしてある。
そう考えながら集合場所の空き教室に入る。
「お、明久か。やっときたのか」
「遅れた?」
「いや、構わん。カメラの準備は出来てるし、後は組み合わせ作りだけだからな」
組み合わせか……そういや決めてなかったな
「ちなみにペアってどうするの?」
「折角だからな。男女でペアになってもらおうと思っている」
「て、本音は?」
「翔子とペアになって恥ず……腹いせに全員を巻き込もうと思った」
「今恥ずかしいって言おうとしなかった?」
「気のせいだ」
そう言ってプイとどこかを見る。こいつめ……相変わらず素直じゃないな。
さっさと付き合ってしまえばいいのに
「明久、ペア組んでくれないか?」
「明久、その……ペア、組んでくれませんか?」
「明久、ペア組んでくれる?」
「あ、明久……その……も、もし私が行くことになったら、ぺ、ペアを……」
「へ?みんなどうして?」
昨晩から今朝にかけてはお互いを見つめあってアイコンタクトでもしてたからみんなで組むと思ってたんだけど……
「え、そりゃあ……その、明久だと気心も知れてるし……」
「成績も良いですし、度胸もありますからね」
「特に理由はないわよ。強いて言えば組むなら明久と、って何となくだけど思っただけね」
「え、えっと……やっぱり明久の隣は……落ち着く、し……」
みんながそれぞれに意見を言ってくれる。
んー……なんでこういうイベントではこうなるんだろうか?遠足のバスの席決めとか席替えの時の席の交渉とか結構やってるし……
「皆さん、釘バットは行き渡りましたか?」
『『『『イエス、マム!!』』』』
「さあ、あんたらの目的は?」
『『『『異端者、吉井明久の処刑なり!!』』』』
「皆さん、特攻の覚悟はありますか?」
『『『『当然であります!異端者には死を!!血の制裁を!!』』』』
「よし、じゃあ……行くわよ!!」
『『『『うおおおおおおおっっっ!!』』』』
そう言って二人の女子生徒を先頭に突っ込んでくる黒ずくめの集団。
…………なんであんなことあったのにこいつらは変わらないのだろうか?他のクラスからはわさわざ呼び出して謝ってきた人までいたのに……
だけどとりあえずは……
「ま、肝試し前のウォーミングアップと行きますか」
そう言って、素手で釘バットを持った死神集団へと突っ込んでいった。
「ふう……しぶとかったけど何とか終わったな」
戦闘すること10分ほど、何とか全員ぶちのめしておねんねしてもらっている。
「お疲れ、明久」
「相変わらず見事な腕前ですね」
「ん、そりゃどうも」
んー……結構体もあったまったな。
とは言っても今回は喧嘩とかじゃないしね……
「で、うやむやになってるけど結局は誰と組むんだ?」
「え、うーん………状況を見て、かな?」
「つまりケースバイケースでいくと?」
「うん、それが無難だろうし……」
「…………何となく予想してたけどまさか当たるとは」
「ま、明久が誰か一人に絞るなんてしそうにないものね」
なんかいろいろと酷い言われようだな……
「相変わらず大変そうだな、明久は」
「それ言うなら、雄二こそそろそろ霧島さんと付き合っちゃいなよ」
「断る」
即決ですか……。
ま、なんだかんだ言っても最終的に決めるのはこいつだからいいか、別に。
「それよりも明久、あいつらが昨日言ってた罰ゲームなんだが内容が決まった」
ああ、そういやそんな話があったっけ……
すっかり忘れてた
「内容は負けたら相手の分まで体育祭の準備をすることだと」
「え、随分と軽くない?」
こいつのことだからもっとえげつないのをすると思ったんだけど……
「負けたリスクを考えるとこんくらいがちょうどいいのさ。ま、負ける気はないがな」
そりゃそうだ。勝負は何ごとも勝つ気がないと勝てないし。
とは言っても折角の肝試し……楽しませてもらいましょうか