僕と同居人と召喚獣   作:迷単底

8 / 67
第7話:交渉

 

「失礼する!Fクラス代表、坂本雄二だ」

 

あれから数日後、予想通りに雄二たちはやってきた。

対応するのは僕と木下さんである。

 

「Fクラスの代表が何の用なのかしら?」

 

「おいおい、今まで俺たちがやってきた事を思い出せば自ずと分かるはずだが?」

 

「まあ、わかっているけどね。つまり?Fクラスからの宣戦布告だと?」

 

「ああ、今回は宣戦布告だが様式が違う。俺たちが望むのは一騎打ちだ」

 

「一騎打ち?」

 

やっぱりその方法を取ってきたか……

雄二達Fクラスの皆がいくら二度の試召戦争を経験したといっても点数ではこっちが圧倒的に有利。よっぽどのことがあったとしてもAクラスが勝つ方法の方が高い。だったら少しでも勝率が高い方法……すなわち一騎打ちさせるのがベストというわけだ

 

「何が狙いなの?」

 

「もちろんFクラスの勝利だ」

 

「ふぅん……じゃあそれを断ったらどうするつもり?こっちとしては受けなくてもいいんだけど?」

 

「まあそうくるだろうな……。ところでCクラスとの試召戦争はどうだった?」

 

「たいして問題なかったわよ。1時間ちょっとしかかからなかったし」

 

そうか、と雄二はつぶやくとさらに続ける。

 

「じゃあBクラスと試召戦争をする気はあるか?」

 

「無いわね」

「無いね」

 

僕と木下さんはほぼ同時にそう答える。

 

「正直あそこの代表はちょっと……」

 

「下手したらトラウマレベルだからね」

 

そう言うと自然にBクラス代表の根本君の女装姿が脳裏に浮かぶ。

……気分が悪くなってきた……

 

「はぁ……分かったわよ。でも1対1ってのは無しよ?流石にそれはリスクがありすぎるし」

 

「よし、それじゃ……お互い代表を5人ずつ出して先に3勝した方の勝ち、という事でいいか?」

 

「ええ、じゃあそれで「ちょっと待って木下さん」吉井君?」

 

しかし僕はそこで口を挟む。雄二だけでなく木下さんも怪訝な顔をする。

 

「こっからは僕が話しを進めていいかな?」

 

「ええ、まあ構わないけど……」

 

木下さんが戸惑いながらも了承してくれる。さあ、ここからが大事なとこだ

 

「で、どうしたんだ明久?」

 

「代表の人数だけどさ、5人じゃなくて7人にしない?」

 

「7人だと?何が狙いだ?」

 

「もちろんAクラスの勝利だよ」

 

僕はさっき雄二が言った言葉をそのまま返す。

 

「その代わり、この提案を了承してくれるなら科目選択権は全部そっちに譲るよ」

 

「ちょっと吉井君!?」

 

木下さんが少し慌てているけどそれをわざと無視して進める。

 

「ほう……科目選択権を全部こっちに譲ると?それは願ったり叶ったりだがそっちは別にいいのか?」

 

「問題ないよ。で、返事はどうするの?」

 

「ふむ……ならこっちからも2つほど提案をしていいか?それを受け入れてもらえるなら賛成しよう」

 

「……聞くだけ聞いてみるよ」

 

僕は少し警戒心を強めながらそう答える。

 

「まず一つ目はクラス代表がどこに出ようともその相手はそのクラスの代表と戦うということだ」

 

「つまり霧島さんと雄二の対戦だけは確定させろと?」

 

「そういうことだ。次に二つ目だが……明久、お前も必ず代表戦に出ることだ」

 

ふむ…二つ目はどうやら僕がAクラスでも下位の成績と踏んでそう提案したんだろうけどそれは残念ながら違う。

 

「うーん……流石にその二つは霧島さんに聞かないとね……」

 

「……構わない。その条件でいい」

 

「うおっ、ビックリした!?」

 

しかしそこで突然霧島さんが出てきて返事をする。

 

「……だけどもう一つ提案がある」

 

提案?なんだろう……?

 

「……負けた方は何でもいう事を一つ聞く」

 

それを聞いたムッツリーニがカメラを高速で準備し始めた。

 

「ムッツリーニ?」

 

「……な、何だ?」

 

「何を思ってるのか知らないけど、そのカメラ、仕舞おうか?……お気に入り、なんでしょ?」

 

「……わかった(サッ)」

 

僕が睨みを効かせるとムッツリーニは素直にカメラを懐に仕舞う。

 

「こっちは構わんぞ」

 

どうやら雄二は了承したけど僕はちょっとこの案変えたいんだけどね……

 

「ねえ雄二に霧島さん、これちょっとだけ変えて、7戦全部やって勝ち数と負け数の差だけ命令を聞くってことにできない?」

 

「……どうして?」

 

「まあ……僕にも目的があるってこと」

 

主に姫路さんと島田さんのことなんだけどね……

 

「まあ大して構わんだろ。いいんじゃないのか?」

 

「……じゃあこっちもオッケー」

 

そうして雄二たちFクラスとの対話は終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、今回はどういうつもりなの吉井君」

 

雄二たちが帰った後、この前と同じメンバーで集まってミーティングを開始した直後に木下さんがいきなりふっかけてきた。

 

「科目選択権をあっちに融通するのは別に構わないんだけど全部は流石に厳しいんじゃない?いくつかこっちがもらったほうが勝率は高かいと思うんだけど?」

 

木下さんが少し怒りながらそう聞いてくる。霧島さんたちも同様のようだ。

 

「そのことを含めていろいろと説明するさ」

 

僕は一度みんなを見渡してからそう答える。

 

「まず科目選択権を全て譲ったのは7戦にしたかったからだね」

 

「7戦に?どうして?」

 

「簡単だよ。一騎打ちという条件でFクラスでAクラスに勝てる人って何人いると思う?」

 

「ふむ……まずは姫路さんがあげられるね」

 

久保君がそう口を開いて答える。

 

「うん、それに保健体育ならムッツリーニこと土屋康太、あと霧島さんとの一対一を指定してきた雄二も入る」

 

「それがどうしたの?」

 

「つまり今あげた3人しか勝てないってこと。5戦だったらこの3人のうち誰かを絶対に倒す必要がある」

 

「だけど7戦ならその必要は無いってこと?」

 

「うん、他に勝てる見込みのある生徒はいないと思うよ」

 

「……分かった。吉井の考えは理解できた。でも今度からは誰かに相談してからにして」

 

「……善処します」

 

そして話は終わり、話題は代表決めに入る。

 

「じゃあ一騎打ちの代表誰が出る?霧島さんと僕は確定してるけどあと5人、誰にする?」

 

「……科目が決められない以上苦手科目の少ない人がいい」

 

まあ相手が何を指定してくるか分からない以上それがいいだろう

 

「そういうことなら僕が出てもいいかい?」

 

「じゃあ私も出てもいいかしら?秀吉にちょっと話したいことがあるのよね〜♪」

 

そう久保君と木下さんが立候補する。ただ木下さんからドス黒いオーラみたいなものが見えるんだけど……

 

「じゃあボクも出ていいかな?保健体育には自信があるんだよね〜。そのムッツリーニ君とやってみたいな」

 

「……分かった。久保と優子、愛子もメンバーに入れておく」

 

これで7人中5人が決まった。

 

「……後2人は妹紅たちの中から決めてもらっていい?」

 

「私たちか?何で私たちから……」

 

「……Cクラスとの試召戦争では吉井と一緒に囮部隊で召喚獣をたくさん動かしたから」

 

「慣れていれば予想外の事態にも対応できるかもしれない、ってこと?」

 

僕の問いかけに霧島さんはコクンと頷く。

 

「じゃあアリスが抜けたほうがいいんじゃない?現文とか古典とかきたらまずいし」

 

「そうね。そうさせてもらおうかしら」

 

「……じゃあ妹紅と咲夜、いい?」

 

「私はいいぞ」

 

「私もです」

 

そして案外早くメンバーの選出が終わったのであった。

 

「……じゃあ解散して各自明日に備えて「ね、ちょっと気になることあるんだけどいいかな?」どうしたの愛子?」

 

霧島さんが解散宣言をしようとしたところで工藤さんが何か質問しようとしてくる。

 

「前々から気になってたんだけどさ、吉井君とアリスちゃんたちってどういう関係なの?」

 

……いつかはその質問は来ると思ったけどさ、いくら何でも早すぎない?

もうちょっとバレないと思ってたんだけど……

 

「か、関係ってなんのことかな?」

 

「ん〜、別に〜。ただ、よく仲よさげにしゃべってるし、学校から帰るのも来るのもほぼ同タイミングだし、極め付けは毎日お弁当のメニューが一緒なんだよ?これは何かあると思ってねぇ」

 

そう工藤さんがニマニマと笑いながら聞いてくる。

クッ、こうなれば霧島さんたちに救援を求めるしか……

 

「……私も気になる」

 

「確かに気になるわね」

 

って霧島さんに木下さんまで聞き出そうとしてるし!

こうなったら頼れるのは君だけだよ、久保く「じゃあ僕は明日のために自習してくるよ」んって見捨てられた!?

確かにこの3人を止めるのは無理そうだけどさぁ!

 

(明久、こうなったら諦めて話そう)

 

妹紅がアイコンタクトで意思疎通をはかってくる。

 

(いや、でも……)

 

(若干ごまかせば問題ないわよ)

 

(それともこのまま延々と聞きだされるのを待つつもりですか?女子はこの手の噂にはしつこいですよ)

 

アリス、咲夜もどうやら話すことには前向きなようだ。いや、この場合は黙ってることに反対ってところかな?

 

(はぁ、わかったよ。話せばいいんでしょ)

 

(じゃあ明久、話すのは任せたぞ)

 

(え?ここで僕に押し付けるの?)

 

(ほら、Cクラスの時みたいに騙すの得意そうじゃない)

 

(頑張ってくださいね)

 

Cクラス戦の時といい今回といい、どうやら僕は面倒ごとを押し付けられる立場にいるらしい。

 

「ほら〜、いい加減黙ってないで話しちゃいなよ」

 

工藤さんは相変わらずノリノリで聞き出そうとしている。霧島さんと木下さんは興味津々という感じだし。

 

「はぁ……分かったよ、話せばいいんでしょ」

 

「おっ、やっと話す気になった?」

 

「まあね。まあ、妹紅たちとの関係だけど普通に仲のいい友達だよ」

 

「「「(……)嘘(ね)(だね)」」」

 

しかし即座に否定される。うん、酷くない?

 

「友達なのは本当だとしても毎日お弁当のメニューが一緒なのは説明できないよね?そんな奇跡みたいなこと起こるわけないし」

 

ぐ……確かにそうだ。

普通に考えて何日もお弁当のメニューが同じなんて奇跡に近い。

 

「えっと……実は僕たちは同じマンションに住んでてね、それで登下校は同じなんだ」

 

「ふんふん、それで?」

 

「お弁当もさ、一人分作るのも四人分作るのも大して作業量は変わんないからさ、ローテーションで作ってるんだよ」

 

「へー……、じゃあそういったことになった経緯は?」

 

この質問攻め、いつになったら終わるんだろうか……?

そう思いながらも僕は必死に言い訳を考えていた……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。