やはり俺の高校生活は気付かれないまま終わりを告げる。 作:to110
テストは散々でしたが、まぁこれからしばらくはしっかりあげていこうと思います。
長篇シリーズ第9話、では、どうぞ。
「なんで私の,ううん,私たちからの告白から逃げたの?」
このタイミングで聞かれるのか。さぁどうする。ここで聞き流すのは難しいことではない。俺は眼を瞑って考えてごとをしてる時だったから寝ているということで無視もできる。が,まぁ愚策だろう。というか,そんな逃げ方はしたくない。だから解を伝えなければならない。だがーーーーーそれはーーーーー
「あいつが来たら話す。で,いいか?」
「…………………わかった」
できる限り簡潔に伝えたい。だからあの日のことを思い出してみよう。まずはそこからだ。
………………………………………………
ガラガラ
雪ノ下だ。眼の赤みはとれていないが,顔の赤みはとれている。眼の赤みを除けばいつもの雪ノ下,というわけではなかった。手も足もほんの僅かだが震えが残っている。まぁ,あんな大泣きした後だ。寧ろ大して時間がたっていないから,ここまで戻せるだけでもすごいことだろう。
「待たせたわね」
「ゆきのん大丈夫なの?」
「ええ,大丈夫。ありがとう」
少し笑みを浮かべた表情で雪ノ下が言った。だが…………
「落ち着いたようだからとっとと話せ」
ふぅと雪ノ下は息を吹く。そして,口を開こうとする。開こうとするだけだ。開けていない。
「ゆきのん。とりあえず座って。先にヒッキーから話したらいいしさ。その間に落ち着ーーーーーー」
「それは無理だ。今この状況での最優先事項は雪ノ下の話だ。俺の話じゃない」
「ええ,そのとおりよ。でも…………でも……………」
もう少し待ってと言いたいのか,聞かせたくないのか。まぁそんなところだろう。
「待つと言ったのはこっちだ。いくらでも待っててやる」
「そうだよゆきのん」
「そう………では,甘えさせていただくわ」
そう言い終わると雪ノ下は眼を瞑った。そして,それから10分ほどたっただろうか。雪ノ下が口を開く。
「まず,比企谷君の退学理由は,私と接触したから。私の母が校長先生を脅すか何かして。というところかしらね。あくまで予想なのだけれどね」フゥー
言い切ったのだろう、一息ついた。だいぶ調子が戻ってきたな。雪ノ下らしい態度だ。だが、それだけの説明で納得するやつなんていないだろう。
「ゆきのんと接触しただけでそんなことになっちゃうんだ。でも、それはゆきのんのお母さんがいけないよ‼︎」
……………こいつを忘れてた。アホの子代表・由比ヶ浜結衣。あの説明が全てじゃないだろ、どう考えても。
「単刀直入に聞くが、お前、家で何かしたか?」
「⁉︎」ピクッ
当たりか………
「姉さんから聞いたの?」
「いいや。ただ単に予想しただけだ」
「……………ええ、そうよ。母に…………逆らったわ……………」
これは思ってた以上にややこしくなりそうだ。まさか雪ノ下さんの言ってたことが起こるとは……………
ーーーーー一週間前ーーーーー
「ひゃっはろー比企谷くん♪」
「…………どうも」
「比企谷君、なんで今ここにいるの」ギロッ
「な、なんでって。どういう意味でしょうか」
意味なんてわかっていた。だが、それを事実だと認めてはいけない。だから、俺は眼の前の相手に話の主導権を握らせてはいけない。
「まぁ、そうやってしてるならそれでいいけどね」
「なんのことですか…………」アキレ
「バイバイ、比企谷君」
「さようなら雪ノ下さん」
そう言って俺は踵を返す。だが、それは少しの時間、止められることになる。
「あ!そうだった、比企谷君!雪乃ちゃんと深く関わったんだから、無傷の撤退なんてできないよ」
聞こえなかった。そう自分に言い聞かせる。だが、無傷ってなんのことだ?俺は十分に『自分で言うのもなんだが)傷を負ってる。雪ノ下さんがそれに気づかないわけないだろうし。まぁいいや。今日はたくさん泣こう。今までの時間を水に流すためにも…………………
ーーーーーーーーーーーーー
無傷では撤退できない、か…………
まさか物理的意味だとは思わなかった。これが代償というところか。彼女たちを自分勝手な考えで傷つけたのだ。このくらいあっても仕方ない。今、そう思う。が、これを受け入れるわけにはいかない。だから、これを聞く。
「逆らった理由は?」
「最近の、私の生き方に文句を言われたの。人と共に、なんて母は私に望んでいないもの。それに反論したわ」
「なるほどな〜」
雪ノ下。お前はまだ気づいていない。お前は母に逆らってもいないし反論もしていない。おそらく、した気になっているだけだ。…………………まてよ。もしかしたら、いけるかもしれない。俺が退学しなくて済む道に……………
「雪ノ下。携帯を貸してくれ」
「あら。私の携帯でなにをする気かしら。汚らわしい」
「ヒッキー、それは流石にきもいよ…………」
なんであの重たかった空気の中でこんな俺を口撃することができるんだのよ。
「雪ノ下さんに連絡したい」
「姉さんに?」
俺が退学しないために、だ」
「え⁉︎」
「ほえ⁉︎」
やばいな〜。伏線を中途半端に張ったから、とんでもないことになっとる。
まぁ、仕方ないですよね。うん、仕方ない。ですよね?
とまぁ、計画性のなさと毎回毎回アドリブでくんでいたツケが回ってきました。
でも、しっかり最期までやりますよ。
これからも長篇シリーズ(と時たまあげる短編)をよろしくお願いします。