元・魔術師殺しの魔眼保持者転生記   作:コレキス

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もしも、衛宮切嗣が伝説の勇者の伝説に殲滅眼保持者として転生したらどうなるかを試しに書いて見ました。

不定期更新、続かない場合があります。

この作品同士のクロスを書きたくなったら、気にしません。どうぞ投稿してください。
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プロローグ

 

 

 

ある男の話をしよう、

 

 

 衛宮切嗣。

 

 いかなる組織にも所属しないフリーランスの魔術師。

 

ある時を境に公の舞台から姿を消すまで、その名を知らない魔術師はほとんどいなかった。

 

 

 切嗣は冷酷無情の暗殺者として名を馳せた魔術師であり、戦場を荒らす冷徹非情な傭兵であった。

 

成し遂げた仕事は数知れない。道を外した同胞を狙うこともあった。彼の手にかかった者は、両手の指で数えることができないほどだ。

 

 一度誰かを標的と定めれば、容赦などすることがない。

 

 彼の行動に慈悲は存在しなかった。周りの犠牲など顧みず、敵の家族を人質にし、無関係な命を囮に使用する。目的のためなら手段を選ばない彼の行為は、常人の感覚からすればまさに“悪”と呼ばれるものである。

 

 加えて、男は自分の命にまるで無頓着だった。彼が暗殺を実行する際、自分自身を利用したことは一度や二度ではない。自ら囮となることもあったし、自爆テロじみた殺しも何度かあった。

 

 己の命を一切厭わない。せいぜい目的を果たす手段の一つとしか見ていない。そんな同胞狩りを、彼は幾度となく続けたのだ。

 

 単純に結果だけを見るなら──彼は最も効率のよい方法を選んだだけ。犠牲も過程も、全てがたった一人の「標的」を討ち果たすためだけのものだった。

 

 魔術師としてそれは正しい。自身の命すら使い捨ての道具と割り切り、目指すモノのために効率的な手段を取るその在り方は、まさに魔術師そのものだ。

 

 だがこの男が目指す“何か”はいったいなんだったのか。自分を犠牲にしてでもやり遂げる、命がけの行為のその報酬(いみ)はなんなのか、誰にもわからなかった。

 

 金銭目的にしては酷薄すぎる。魔術を昇華させる意図も見えない。

 

 研鑚目的にしては軽率すぎる。真理を探究する姿勢にも思えない。

 

 命をないがしろにするだけの理由が、彼には見当たらなかったのだ。

 

 

 彼は殺しに貴賤を求めず、報酬や難易度に差別もしなかった。安価であろうが危険な仕事だろうが、おかまいなしだった。

 

 この異常な魔人を恐れた者は決して少なくない。

 

 彼は魔術師であるがゆえに魔術師の弱点をよく知り、それを利用することで幾人もの同業者を屠った。

 

 冷酷にして命知らずな、正体不明の魔術師(どうほう)殺し。意味するところは感情を持たない殺人機械。それが衛宮切嗣に与えられた評価であり蔑称であり、同時に最大の畏怖であった。

 

 

 切嗣の心は理解されなかった。

 

 切嗣自身、他人の理解を求めなかった。

 

 それゆえに彼は誰にも愛されることがなかった。

 

 

 男がそのような行動をとる真相は、誰しもが一度は夢みる正義のためだった。

 

 誰も知らなかったことだが──彼は少年のような心の持ち主だった。正義を信じ、理想に燃える男だった。

 

誰よりも現実主義者(リアリスト)でありながら、

 

どんな人間よりも理想論者(ロマンチスト)。

 

それが非情の暗殺者の正体だった。

 

 少しでも彼を知る者がそれを聞いたなら笑い飛ばしたことだろう

“そんなはずはない。あの男は救いを求める手さえ撥ね退けた。地を這う虫けらをなんの関心もなく踏みつぶせるのと同じように、命乞いの声にも興味なく、殺すべき存在に刃を突き立てた。そのような男が理想を夢みるロマンチストであるはずがない──”と。

 

 そう、彼は多くの人間を切り捨てた。多くの願いを踏みにじった。たった一人の人間を殺すために、何十人もの犠牲を容認した。

 

 衛宮切嗣という男は、殺し屋モドキの大量殺人者である。

 

 しかし、それこそが彼が護るべき“正義”だったのだ。

 

 どんな幸福にも代価となる犠牲があることを、どんな少年も大人になるまでに弁える。だから、より多く確実に世界から嘆きの声を減らそうと思うなら、取るべき道は一つだけ──。切嗣は、その道を歩むことを心に誓ったのだ。

 

 それはつまり、多数を生かすため少数を殺し、死にゆく者を少しでも減らそうとする考え方。

 犠牲を最小限に抑えるため最低限の生贄を用意する。誰かが涙を流すなら、その悲哀が広がる前に手段を選ばず速やかに原因を排除する。

 

 それが彼の選んだ正義であり、彼の理想を実現させうる唯一の方法だった。

 

 切嗣は正義の体現者たるべく、悪を成す者となったのだ。

 

命に差異を見出すことなく、性別も人種も、年齢さえ問うことはなく、命の量を量ることでしか、彼の正義を問うことはできなかった。

 

 愛する者を守りたい。それは人類誰もが共通して持っている願望だ。

 

 家族、妻子、親友、恋人、自分自身。愛の深い人物ならば、親族関係にすらない、単なる隣人さえも。

 

 切嗣は愛する誰かを守るかのように、全ての人々を守ろうとした。

 

 

 切嗣はきっと、

 

 自らを懸けて誰か一人を愛するように、

 

 自らを懸けて全ての人間を愛したのだ。

 

 

 その葛藤がいかに愚かな傲慢であるかは語るまでもない。どれだけ巧く犠牲を抑えようと、救われるのは非業など与り知らぬ第三者。本当に報われるべき者たちは、天に呪いの言葉を吐き捨て散りゆくのみ。

 

 人を救うことを願う者は救いを望む声を無視できない。なぜなら、被害者はいつだって無関係なその他大勢だ。

 

 本当に人々を想う心があるのなら、そのような手段を取ることはできはしない。正義を志す者が、救われるべき存在を救わないなど、そんな在り方は破綻しているのだ。

 

 その方法で多くの命を救ってきた。現実は無情で、目の前の誰かを救うことなどできないから、そんな役目を選びとった。心近しい誰かを救うためでもなく、守るべき責務を守るでもなく、顔を見たこともない、ただ大勢の人々の幸福を、知らない誰かを犠牲にすることで護り抜いた。

 

 友情をその手で穢したことがあった。

 

 恋を語る誰かの生を、その手で散らせたこともあった。

 

 愛おしい命ひとつと、見も知らぬ他人の無数の命を前にしても、彼が過つことはない。誰かを愛し、それでも“命”が等価であるなら、平等に命を尊び、平等に諦める。

 

 その果てに切嗣の心の渇きが満たされたことは、ただの一度でもあったのだろうか。

 

 誰もが幸福であってほしいという願いに自分自身は含まれない。初めから度外視された存在は、救われるべき対象に入っていなかった。

 

 大切な人、護るべき者、──愛したはずの女性をも、彼は捨てなければならなかった。

 

 愛する人々の笑顔が見たいと願った男は、愛する人々の笑顔を奪い取ることでしか、それを叶えることができなかった。

 

 切嗣の行いは自ら願いの否定だ。彼が守り続けたのは、己が掲げる正義のみ。

 

 自身の理想を守るために、自身の情念を殺し続けるなど、そんな生き方に一体どれほどの価値がある。

 

 それでは誰も救えない。否、もとより誰を救うべきかも定まらない。

 

 その手で世界中遍く人々を救うことができたとしても、切嗣ひとりだけは救われることはない。そう初めから定められているのと同じこと。

 

 全てを救うなど誰にもできない。救われぬ命は必ず存在し、必ずどこかで矛盾と破綻が発生する。ならば自分が傷ついても構わないと願った。自分を犠牲とすることで皆が笑えれるなら、それでもいいのだと、彼は意地を張り続けた。

 

 その矛盾───その間違いこそが、男の歪みであった。

 

 男は幾度となく理想に裏切られてきた。

 

 だが絶望などしなかった。いや、絶望に屈することはしなかった。

 

 ……人の心を麻痺させることで、なにもかもを投げ出したくなるほどの苦悩を耐えたのだ。

 

 彼は矛盾を飲み込みながら歩き続けた。苦しみを抱えながら、前に進んだ。

 

 不幸なのは彼が人間であったこと。

 

 笑顔を尊び涙を嫌う彼は、人間らしい人間だったのに、そんな当たり前を捨て去り、人として最も大切なものを犠牲とすることで、鋼の心を手に入れた。人の心を不要と見なすことが、千心万苦に耐える唯一の方法であった。

 

 それもとうに摩耗した。人の器に鉄の心が収まらない。生身の両足では鉄の重みに耐えきれない。彼は誰かを守るとき、その代償に誰かを見捨て、自分を殺し続ける宿業を背負い続けた。そのつど彼は自身の愚かさを再確認しなければならなかった。

 

 もはや強迫観念にも似た義務感も手伝っていたのかもしれない。

 

 かつての誓いに、心が囚われていただけかもしれない。

 

 けれど、その行為が無価値であっても、そこにはなにか意味があってほしいと憂い、前のめりに倒れるために足を動かした。

 

 涙を流してしまえば楽になる。だが一度でも感情が堰を切ってしまえば、溢れ出る哀傷を抑える術を永遠に失うから、泣くことだけはしなかった。

 

 鉄の心の底に蟠るサビ

 

 矛盾と相対するたびにすり減っていく魂。

 

 命を顧みぬ行為は、疲労という泥を肉体に集積させる。

 

 それでも、容赦なく足を止めようとする全てを封殺した。

 

 胸を穿つ全てを振り切って、切嗣は夢見たモノを追い求めた

 絶望に嘆く心も捨て、希望を感じる心も捨て、ただひたすらに走り続けた。

 

 例え叶わずとも辿りつけずとも、立ち止まらなければいつかソコに近づくことができると信じて。

 

 

 

 切嗣が願うものは、願ったものはただ一つ。

 

 皆が笑って過ごせる世界。

 

 彼はただ、それだけを────。

 

 

 

 

 

 

 もうじき男は一つの答えに到達する。

 

 運命の時は近づいていた。彼は再び銃を手に、己の正義と対面することになる。

 

 聖杯戦争。

 

 あらゆる願いを叶えるとされる万能の釜、聖杯の所有者を決める大儀式。

 

 およそ200年の月日を経て、なお現代に伝わる魔術師たちの執念。

 

 それは選ばれた魔術師による争奪戦。七人の魔術師が七つの剣をそれぞれ手に取り競い合う。

 

 衛宮切嗣もまた、選ばれし者の一人として参加した。

 

 何時ものように愛を捨て、家族を捨て、大切なハズのナニカをすべて振りきって、儀式の地へと赴いた。人であることをやめた男が、人並みの幸福を大切にするはずはなかった。

 

 永劫の罪人たる彼にソレは許されない。

 

 それでも、切嗣は決して怯まない。

 

 

 引き返す道などありはしない。

 

 死にゆくその時まで、男は己の信念を貫き通す。

 

そして、衛宮切嗣(えみや きりつぐ)は第四次聖杯戦争(1996年)に参加する。

 

セイバーのクラスに招かれた1500年前に騎士王と呼ばれ王に選ばれてしまった少女、アーサー・ペンドラゴン。伝説の騎士王と称されたアーサー王。真名アルトリア・ペンドラゴン。

 

雪の妖精の貴婦人を思わせる自身の最愛の妻のホムンクルスのアイリスフィール・フォン・アインツベルン。

 

戦場で拾った少女。兵士になぶられて感情を捨てた、いや、押し殺した、自身の愛人にして、自身を殺人機械(キリング・マシン)として正常に稼動させるための補助機械。妻の次に大事な愛する女性であり相棒の久宇舞弥(ひさう まいや)。

 

自身を合わせた四人で、聖杯を世界すら変革する万能の願望機を獲得するために魔術師7人と英霊7人の戦争に参戦した。

 

 

しかし、

 

 結果として、最後まで衛宮切嗣は勝ち残り、聖杯を勝ち取ったが、悪辣な魔術師殺しの頃の方法で

 

 だが、その中身は自分が求めたものではなかった。自分が担おうとまで覚悟していた『この世全ての悪』と表現してもいいものが入っていたのだ。

 

この穢れに満ちた願望機で本当に世界は救われるのかと思い、その中に引き込まれ妻のアイリとあった、死んだはずのアイリに、願いを叶えると言った。どうかなえるのか具体的に映像で教えてもらった。

 

それは、自分が今までしてきたことだった。

 

 

 善悪問わずの片方の秤が傾けば、そちらを助けもう片方は切り捨てる。それをずっと繰り返すものだった。

 

 ならば、悪そのものを根絶すると願った場合は、どうなるのかと聞けば、

 

この世のありとあらゆる悪意を持つ生物、

 

これから進化して行き悪意を持つあらゆる生物

 

を皆殺しにする。

 

と答えた・・・。

 

ならば、世界を平和に、争いがない世界の場合はと聞けば

 

この世の生物を残らず皆殺しにと返答された・・・。

 

みんなが笑っていける平和な世界はと聞けば

 

そんな世界はない。その世界こそ狂い壊れありえないものだといわれる。

 

この答えを聞き、ああ、自分が求める世界は本当にないのだ。根源にすら辿りつける万能の願望機ですら叶えられない。本当の意味で文字通りに夢なのだとようやく悟ったのだ。ようやく、踏ん切りがついた。あきらめることが出来た。

 

しかし、

 

あくまであきらめることを決めたのであって、今やめるのではない・・・

 

この危険な存在を野放しにしてはいけない・・・・。

 

だって自分は、衛宮切嗣(エミヤキリツグ)は”正義の味方”なのだから

 

悪を見逃してはならないのだ

 

消さなければならないのだ

 

例え、自分の妻の姿をしていて妻そのものだった者でも、娘のイリヤの幻影でも自分は

 

この世全ての悪を滅ぼさなければならない。

 

そして自分はアイリとイリヤを幻とはいえ、殺した。

 

この世全ての悪に(アイリスフィール)に怨嗟の眼を向けられ

 

罵倒された

 

そして、呪いをかけられた

 

自分が世界が救われるならばと覚悟していた

 

『この世全ての悪』を担わされたのだ

 

聖杯の外に吐き出され、

 

すぐに、サーヴァントにセイバーに全令呪をもって・・・

 

黒く穢れた聖杯(アンリ・マユ)の破壊を命令した。

 

 

 

 

 

 

 

聖杯は破壊されたが、中身が零れ、穢れた黒い濁流が街を冬木を焼いたのだ。

 

後悔した。自分はこんなことしたかったのではない

 

正義を為したかったのだ。

 

いや、”正義の味方”自体、本気でなろうとは最初思っていなかった・・・。

 

好きな人に、初恋の人『シャーレイ』に・・・

 

「ねえ、ケリィーはどんな大人になりたい」

 

自身の夢を聞かれて、どう答えるべきかと迷い・・・

 

世の中のために役に立つという彼女の思いに打たれて

 

「僕はねシャーレイ、正義の味方になりたいんだよ」 

 

などと子供の憧れの対象、仮面ライダーなどが咄嗟に浮かびなんとなくよく考えずに答えただけだったんだ。

 

 好きな人が好奇心で父親の『衛宮矩賢(エミヤ ノリタカ)』の死徒化の実験に手を出し、その犠牲となり死徒に吸血鬼になってしまった。彼女に自分を殺してくれと頼まれたが、殺すことなど出来なかった。なんとか、元に戻してあげたかった。

 

 それのせいで、島の人々は死徒となり聖堂教会の代行者と魔術協会の執行者連中にその存在を抹消された。

 

皆死んだ。

 

彼女を救えなかった。

 

あの約束を思い出し、それをただひたすら守ろうと思い。父親や友人、義理の母であり師匠の『ナタリア・カミンスキー』、必死に生きようとしている者たちを多数を生かすために殺してきたのだ。

 

 ただ、正義を為すために、強迫観念に突き動かされてきたのだ・・・。

 

 

 

 

 

その後、せめて生き残りはいないかと焼けた街中を必死に探した。

 

生き残りはいた。

 

赤毛のイリヤと同じくらいの子供が、安堵した。

 

今まで感じられなかった、満足しなかったのに

 

なぜか安堵できたのだ。涙を流せることが出来た

 

しかし、衰弱がはげしくこのままでは死んでしまうので、全て遠き理想郷(アヴァロン)を概念武装にして埋め込んだ。

 

結果、少年は助かり病院へ輸送された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こんにちわ、君が士郎君だね?』

 

ぼくはそう言いながら、少年に問いかけた。

 

 

『率直に聞くけど、孤児院に預けられるのと、初めて会ったおじさんに引き取られるの、君はどっちがいいかな?』

 

 

 

それは・・・贖罪なのだろう。

本当なら、ここにいる全員を引き取りたいと思っているのかもしれない。

だが、それは色々な意味で無理な話だ。

 

 ぼくは、偽善と判っていながら・・・せめて、あの火事の中で救ったこの子だけでも・・・そう考えたのだ。

 

答えはYESだった

 

僕に、衛宮切嗣に引き取られた少年・・・士郎君は・・・衛宮士郎(えみや しろう)となった。

 

『そうか、よかった。なら早く身支度を済ませよう。新しい家に、一日も早く慣れなくちゃいけないからね』

 

そのとき、士郎君がぼくの申し出を了承した瞬間の僕の顔は、多分・・・・心の底からの安堵と歓喜だっただろう。

 

『おっと、大切なコトを一つ言い忘れていた。うちに来る前に、一つだけ教えなくちゃいけないことがある』

 

 

『うん、はじめに言っておくとね、僕は魔法使いなんだ』

 

と士郎にいった

 

その後の5年間は幸せだった・・・。

 

養子とはいえ自分の子供と一緒に過ごせた。本当はイリヤがいて士郎と一緒にすごせればもっとよかったのだが・・・・

 

できなかった。

 

時間を作っては、使用で海外に出掛けると士郎や藤村さんやそのお孫さんの大河ちゃんに言って、

 

イリヤをアインツベルンの城から連れ出すことを試みたが、聖杯の呪いで自身の魔術回路が停止してしまった。ただの一般人に成り下がった身でアインツベルンの結界を突破はできなかった。凍死寸前まで森を彷徨っているくらいしかなかった・・・。

 

戦争が終わったら、迎えにいくという約束は守れそうになかった・・・。ごめんイリヤ・・・

 

それが祟ってか呪いで蝕まれて寿命が唯でさえ短いこの身体がさらに縮めてしまった。

 

あの夜の月は本当に美しかった・・・。

 

自分のできることは地脈を弄って聖杯を沈めて、使用不能に細工することくらいだった。60年後に起こるはずの聖杯戦争はもう起きないだろう・・・。

 

あとの面倒なぼくがいなくなったときの手続きは藤村さんがしてくれるようにもしたし、身辺整理も終わった。もうないな、いや、できないな・・・。

 

『子供の頃、僕は正義の味方に憧れていた』

 

と、切嗣が士郎にいった。遺言だ

 

 

 

『なんだよそれ。憧れてたって、諦めたのかよ』

 

何も知らない士郎が、不満そうに問う。

 

自分を救ったじいさん(切嗣)への憧れがあるからそう言ってしまった。

 

だから・・・そんなじいさんが自分を否定する言葉を吐くのが不満の思えた。

 

切嗣はそんな幼い自分に苦笑した。

 

『うん、残念ながらね、ヒーローは期間限定で大人になると名乗るのが難しくなるんだ。そんなこと、もっと早くに気が付けばよかった』

 

切嗣のそれは自嘲と後悔。

 

己の愚かさへの・・・償いがたい罪への・・・。

 

そしてその罪の証が、隣にいる養子の士郎だ。

 

 

 

この子の本当の両親も、友人も・・・自分の名前以外の記憶も・・・あの火事の中で呪いの炎で焼かれ死んだのだ。

 

『そっか、それじゃしょうがないな』

 

『そうだね、本当に、しょうがない』

 

切嗣が空を見る。士郎も釣られて見た。

 

・・・綺麗な月が出ていた。

 

そのときの切嗣の命はあとわずか・・・・・・・・・だからこそ、この光景はこんなにも優しい月の光の下で美しい。

 

 

『うん、しょうがないから俺が代わりになってるよ』

 

 

 

 

そんな絵空事を自信満々に言う士郎を・・・、切嗣は呆気にとられて見ている。

 

『爺さんは大人だからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ、任せろって、爺さんの夢は俺が現実にしてやる』

 

それは何も知らないからこその言葉だった。

 

そのときの士郎は切嗣がどんな人生の果てに、その結論に達し、どんな思いを込めて言葉を放ったのか知らない。

 

しかし、その言葉は切嗣を安堵させた。

どこか影を帯びていた切嗣が、本当に安らいだ顔を見せる。

 

『そうか。ああ・・・安心した』

 

 

 

 

自分は、間違っていなかった・・・・・。

 

その言葉を聞いてぼくは安心して永い眠りについた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

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