元・魔術師殺しの魔眼保持者転生記   作:コレキス

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第十四話

 

 

 

いくらなんでも長くないかと思えるが、

 

 

 

 

 

 

国内最上級の監獄に見張りを何人か殺されたのだ・・・。

 

 

 

落ち着くまでしばらく監獄内の態勢は前よりも厳しくなっていた・・・

 

 

完全に落ち着いて僕はライナ・リュートに異世界の神秘を教えた。

 

 

初めて魔術回路を開発したときは本人も痛がっていたが、もともと魔法に関しての才能は超天才ということもあり、複写眼もあるので、すぐに慣れた。一度創れば、次からはスイッチのON・OFFがつくから痛くないよ。と伝えた。

 

しかし、スイッチの意味が分かるとは、どうやら、電流の概念は知っているみたいだ。一応この世界にも電動の工具は存在する。大量生産はされていないので、特注か市販でも、かなり高価なのはシャバで知っていた。

 

というか、魔眼を発動させるときの要領で、起こす順序を最初は眼ではなく、身体から脳の順序にしただけだといっていた。

 

それからは、僕が使える魔法や魔術をほとんど見せるだけで楽だった。

 

 

 

教えた(見せた)魔術は、

 

 

『解析・強化・変化・投影(道具(魔術礼装)作成込み)・治癒(心霊術・錬金術)・錬金術(医学・科学(理系全般)・合成・道具作成・材料生成)・卜占・「暗示・魅惑」の人口の魔眼・「時間操作・空間操作(修復)」・降霊・召喚・陣地作成(魔術工房)・属性(自然から架空など、魔術特性)・概念武装(起源)・呪術系は指差しの呪いのガント系etc』

 

道具が必要な魔術は投影魔術で造り、看守がいない間に教えた。複写眼保持者だからこそこんな悪環境で魔導の学習が出来る。魔術礼装は聖杯の呪いでついてきた道具作成スキルが投影の補助になりまともなものを作ることが出来ている。そんなキャスターのサーヴァントのスキルがあるから、僕でも複写眼(アルファ・スティグマ)がなくとも容易に魔術礼装を投影魔術で生み出せるくらいになっている。まあ。無くとも訓練すればいずれできていただろうけど・・・。

 

 

解析魔術(アナライズ)は、特に秀でていた。他の同保持者同様に規格外でしかも一番優秀だった。解析を応用した読めない文字の意味を理解できる『解読魔術(リード・ランゲージ)』・鍵を開けたり地雷や爆弾や魔導罠や工房を部分的解体する『解錠魔術(アン・ロック)』・特に対象を分解する『解体魔術(ディスト・ラクション)』をどの同保持者よりうまく使っていた。

 

解析の対象は牢獄の物や自分たちと看守たちの身体や所持品と投影品。物と生物のサイコメトリーもできる。ここまでくれば完全に魔眼で『解析眼』といってもいい。複写眼と併用すると解けないものはないと言っても過言ではない。

 

複写眼と併用すれば解けないものはないと言っても過言ではない。時空間すら解析した。脳と身体の負荷で起きる頭痛や目眩は全く無い。知恵熱自体おそらく存在しないだろう。専門家(根源を目指す魔術師)が複写眼保持者をみたら「人間ではない。人間として生まれた根源の原典(オリジン)。そいつ自体が生きた魔本(全魔法事典)だ」とでもいうだろう。

 

解読対象は古代文字で書かれている書物。おかげでレポートをまとめる速度が飛躍的に上がったと喜ぶ。僕も手伝っている。

 

解錠の対象は自分達の牢屋と牢獄内に仕掛けられている魔導罠(マジック・トラップ)と展開した魔法陣。後で元に戻したためばれていない。元々侵食系の魔法を使えるみたいなので、他の保持者よりうまく使えていた。

 

因みに、エミヤの魔眼は仕掛けられた魔導罠(マジック・トラップ)も吸収できる。結果として、魔法的なものなら短時間物によっては一瞬で強制的に工房などを解除・解呪できる。

 

投影も工程(魔術的省略=魔力加工・物質化)を邪魔はできるが、出来上がれば、完全な物質のため吸収できない。

 

地面に魔法を仕掛けるのと身体強化魔法と魔力を帯びた(魔法能力定着)道具は少し違うみたいだ。例えるならば、まだ生命が宿っている生物。死体は魔法を吸収するみたいに喰えるが、生命や魔力は喰らい付く付けば吸収できる。魔導コーティングされた矢はくらっても平気みたいだ。むしろ元気になる。矢の形をした魔法と魔法のような力を持つ矢は違うみたいな感じだろう。おそらく魔眼と宝具(魔法のような力を持つ道具)は敵対すれば相性が最悪だろうな・・・。Aランクの神秘が篭った魔力弾(矢)は吸収できても、緋の猟犬(フルンディング)や他の「E~EXランク」の宝具は通用する。

 

解体の対象は投影品。暴走時の時のことを覚えているので、分子レベルから原子レベルどころか素粒子レベルの域は行っていた。まあ、見る限りそれを本人はあまり使いたくなさそうだった。あんなことが起きたのだ無理はない。

 

 

強化・変化・投影の魔術は同系統。

 

強化とは、魔力を通す事で一時的に対象の能力を補強する魔術。対象の存在を高める全ての魔術の基本。

自分以外のモノに魔力を通すという行為は下手をするとされるモノにとっては毒を注ぎ込まれるのと同義となるので、魔力を毒ではなく薬として使うには、モノの構造を把握し、空いている透き間に巧く通してやる必要がある。

 

最も単純とされる硬度強化だが、存在意義を特化させるというモノであるため、実際にはその効果はもっと多岐にわたる魔術だ。刃物なら切れ味と物体硬度、食材ならば栄養度、視力、暗示や魅惑などの魔眼の効果、曖昧なモノを曖昧に強化する事はできない。前の世界で、初歩にして極めるのは至難とされるが、珍しいとまではいかないがメインに据えている魔術師はそう多くない。

 

自由度の高さゆえ明確な実行形式が定まっておらず、オールマイティーな使い手は少ない。

 

だが、エミヤと複写眼保持者は能力上規格外と最高にして最上位だろう。エミヤは体質上身体強化に秀でている。人・物・魔法問わず解析(サイコメトリーも可能)できるのほどの解析と強化の魔術によって発現する「解析眼」のおかげで他の道具の強化は最高クラス以上規格外未満(A++)の使い手程に扱うことができる。生物だと道具に比べると難しいので「最高の並の上(A-)」の使い手にランクダウンする。十分オールマイティーな使い手と言えるだろう。

 

変化は、他の保持者同様にあらゆる存在を弄れる。あらゆるもの(物体・物質・生物・時空間)の体調・効果・強度・性質(体質)・形態の変化がや能力(属性)付与で魔術礼装にしたりできる。

 

複写眼(アルファ・スティグマ)保持者は魔術回路を起こし魔術で解析しなくとも、自前の魔眼を起こすだけで魔法ならば全て解き明かすことが出来、複写できる性質上、魔法使いとしては全能と言える。これに解析や強化、変化の魔術が加味されれば、身体強化以外はエミヤよりもオールマイティーに使えるだろう。限界まで強化し変化で魔力耐性の強い物質に変えたり、対魔力や対呪力を付与したりして強化の余地を伸ばしたりし限界突破も出来るだろう。身体強化()は体質上、例え変化を加えて強化の余地を伸ばしてもエミヤには劣る。

 

投影(グラデーション・エア)は、術者の創造理念(イメージ)が真作を再現する特殊な魔術。魔力によってオリジナルの鏡像を物質化する。強化・変化の上位に位置付けられ、この系統の魔術の中では最高難度。

 

一から十まで全て魔力で再現する上に、普通人間のイメージは穴だらけである事からオリジナル通りの性能など望めない。非常に効率の悪い魔術。しかも投影した物は幻想であるが故に世界に修正され、魔力の気化に応じて段々と薄れていき、存在できても僅か数分程度。故に投影した物よりも実在する材料からレプリカを作った方が実用に耐えられ、既存の物に強化の魔術を施した方が性能もその持続時間もはるかに上だったりする。

 

例えば既に失われたオリジナルを数分間だけ自分の時間軸に外見だけ映し出して代用する魔術であり、今では儀式の際に用意できなかった道具の、その場限りの代用品を作り出す為に用いられるのが通常。

 

しかし、魔眼保持者(殲滅眼と複写眼など)は完全記憶能力や解析能力に優れているので、特に複写眼は魔法という複雑なものを魔術なしに完全に解析するほどなので、これに解析や強化の魔術で対象となるイメージに綻びは無く、投影自体も異常で術者が存在を解除するか素粒子レベルで破壊されないと消えない

ので、魔力が完全な物質になっている。情報の完全物質化能力といえる。宝具級の魔術礼装(魔法具)でも解析できれば再現できる。性能は明らかにエミヤより複写眼保持者の方が上だろう。

 

因みにこれを使い解析を使ってもらい錬金術をこっそり教えることができた。

 

エミヤは前世の魔術礼装として使っていたトンプソン・コンテンダーはよく使い込んでいたので、一つ一つパーツを投影しなくとも、一度に投影できる。起源弾も投影可能。強化(銃身強化と火薬の爆発力概念と硬度を強化し速度を強化)と回転術式を組み込んでいるので、前世より強力になっているが、牢獄では使わない。作り方をみせるだけ。リボルバーやトカレフも一度にできなくは無いが、リボルバー以外はトカレフやデザートイーグルは構造が複雑でジャムを起こす可能性があるので、念のため一つ一つ組んでいった方が安全。火薬も投影(変化応用)できる。

 

銃や起源弾を見たときのライナは

 

 

 

「当たったら痛い所じゃすまない上に、弾の効果は魔術師にとってはえげつなさ過ぎるだろう。これ。」

 

 

と恐れた。

 

 

 

ライナは視力強化と解析の応用で『千里眼』と『解析眼』を得た。異常な視力の良さで遠くが見える(どこまでも)透視も構造と構成、機能を把握も出来る。卜占の千里眼を応用すれば本当にどこでも見ることが出来る。防壁をかけても解析で強化すればあっさり見破れる。魔法の防壁ならば複写眼でもっとあっさり見破れるだろう。

 

治癒魔術(錬金術・心霊医術)をみせたら、あっさり複写した。解析で体調検査をしてから使う。身体の怪我や病気を治癒したり、溜まった毒素を抜き、傷ついた霊体や魂や精神の治療や改造などできるようになるが、ライナは優しいので、改造は極力しないだろう。相手が殺人鬼や腐り切ってどうしようもないやつは分からないが・・・

 

他に、時空間・降霊・召喚・陣地作成・「暗示・魅惑」の人口の魔眼・属性・呪いなどを魔術を殆ど見せるだけで修得していった・・・。

 

修得してからは、既存の魔法とアレンジを試みたりした。場所が場所だけに理論や構想にだけにだけ今のところ留まっているのが大半だが、

 

出来たのは、強化と最適化。大気のマナと自身のオドをアレンジした先天性魔導異常者の増幅魔法のコントラブル化(強化と変化)したようなもの。先天性魔導異常者は力のコントロールが出来ない無意識な増幅で、ライナものは、意識してやり、生物の魔力路である魔術回路は複写眼保持者は能力的に測定不能のため、もはや比べ物にならない。増幅度は大規模魔法以上にできるが、やらない。魔力AランクではEXランクには勝てない。しかも、魔術回路も開発しないし増幅方法も感情(思念)を強くしているだけなので、例えるならば、め●か●ックスの乱神モードと改神モード(その先・廃神・混神含む)の違いみたいなものだ。た展開速度にタイムロスが無いどころかとんでもなく早くなっている。魔術による『固有時制御』と身体能力強化(エスタブール式併用)を併用すると眼に映らない。1/4瞬どころではすまない。1/100瞬以上は当たり前に行く。回復速度も半端内ものになった。

 

あと、魔術回路を起こして瞑想などしながら、体内に魔力を巡らせて、強化と変化を応用し肉体強化と精神強化を日々していた。殆ど寝ているようにしか見えなかったが・・・、

 

この世界の魔法はマナ(精霊)をそのまま運用する外気功系(自然エネルギー体内に取り込んで魔法という現象を起こす。威力の決め手はイメージの強さ。イメージの強さが自然エネルギーの吸収力の決め手)なので、これをなんとか体外に出さないで体内にとどめられないかと研究し、威力が弱い『雲霧(くもきり)』、『闇砕き(カザラキ)』などで模索していた。

 

結果、魔力(マナ)を無駄に喰う割に威力が弱いものなら、出力として使われない分が残留するので、あと牢獄は瞑想も一応自然エネルギーを吸収できるがパワースポットでないと効率良く働かない、そのため魔力(オド)の回復や増加は「山・森・城・学院(パワ-スポット)など」には劣る。

 

マナを溜め、オドと一緒に身体に巡らせ、精神と肉体を強化し身体の疲れと毒素を疲射や治癒魔術で取り除き、魔術鍛錬と勇者の遺物を研究し看守のおっちゃんと談笑、ライナを通じてエミヤも看守のおっちゃんと仲良くなっていた。娘の話で盛り上がった。

 

娘の話を聞いて、イリヤスフィールを思い出したが、空気を読んでそういうのは態度に出さなかった。

 

それからは、看守のオッちゃんにいつものお礼で疲射の強化版を紙(札)に定着させてそれをプレゼントしたり、治癒魔術で身体の毒素(老廃物)を取り除いたり、魔術鍛錬や勇者の遺物の話を研究したり、修得した魔術で千里眼を使いローランドの情勢を見ていた。

 

キファの様子も気になるので、それで探したが場所が特定できないとうまく探せないので、最初は困ったが、たまに見つけてはシオン言ったとおり世界を見て回っていた。

 

スキルだけで探すのは結構手間なので国の情勢をほとんど見る程度だが、これでシオンたちの様子も見手取れたが、今の立場(囚人)で下手に協力すれば、褒美が無かったことにされかねないし、英雄を地に落とす材料にされかねない。

 

それに、自分より頼りになる仲間たち(?)があのラッヘル・ミラー率いる強そうなものもいるみたいだし、シオンはシオンでやるべきことやっている。自分は自分でローランドだけではなくこの腐った世界を変えるようなヒントを創らねばならない。

 

それから。自分のやるべきことをするためにしばらく国の情勢は見ないようにした。せめて、このレポートが完成するまでは・・・、

 

 

 

 

 

 

 

牢獄に入ってから、2年の月日が流れた

 

 

 

 

 

 

ここに入ってしばらくしてから勇者の遺物に関する研究を古文書を紐解き解読し要約してレポートをまとめて行き、半年後にエミヤと知り合い仲良くなり、魔眼のことと自分が知らない大系の魔法(魔術)知り。頼み込んで魔術を教わり。それで封印方法(魔眼殺し)を手にした。

 

魔術回路開発と魔術修得、魔法と魔術を開発もし、魔術のおかげで遺物研究が飛躍的に進んだ。そして、鍛錬(適度な運動(体操)と瞑想による肉体と精神を刺激し魔力を吸収し強化)を積み重ねた。

 

それでよく空腹にはなるが魔力(マナ)を吸収して補った。エミヤほどの効果は得られないが、身体強化や身体の調子は良くなったので、僅かな食事(固いパンと干し肉、薄く不味いポタージュ)でも元気になるほどにはなったので成果は一応現れていた。

 

 

 

 

ライナ・リュ-トの魔術師としての能力と戦闘力はもうシャバにいたときとは比べ物にならなくなっていた。

 

 

 

今ならば、暴走しなくとも、魔法騎士が100人以上いてもやる気なしの戦闘状態で普通に倒せるだろう。魔術で全力で自身を強化を施し魔法を無限を思わせるような規格外の魔力(オド)で魔法を増幅(大規模魔法以上)し殺す気で戦えばおそらく魔法騎士が数千人以上が相手でも勝てるだろう。絶対に殺すこと本気でを決めてそれらの力を行使すれば、魔法騎士が万単位以上と戦ってもおそらく勝てるだろう。

 

 

まあ、いくら魔力が無限にあっても使う前に身体を動かすためのスタミナが切れれば、もしくは回復させなければ倒れるため意味は無い。

 

 

エミヤのような魔術と魔法が使える殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)保持者ならば、魔眼と魔術、リミッター解除で身体強化をし、常にマナを吸収し魔法を喰らい続ければ、致命的な怪我を負っても、魔力がある限り回復し続けるので、死なない限りは止まらないだろう。地道に時間をかけて戦っても上記くらいは当たり前にいきそうだ。

 

 

 

ライナはレポートも当初予想していた出来栄え(紙の分厚と内容の精度)を遥かに凌駕していた。数冊分どころか数十冊は当たり前に至っていた。内容の要約を除くと数百冊から数千冊になり、うまくまとめられている。ローランドで調べられる分量でだが、まさかここまでいくとは、「頑張ったな俺!」と言いたくなる。

 

 

 

これも優秀な助手とそいつに教わった魔術のおかげだと改めて思った。

 

 

 

 

しかし、問題があった。レポート作成に夢中になり、外の情勢をここ一年以上見ていない。内容が本当かどうかは直接確かめないといけない。今のライナならローランドを抜けることは容易いだろう。

 

問題なのは、脱走したあと、自分はともかくシオンやキファ、看守のおっちゃんに迷惑が掛かる。エミヤは問題ないので除外する。腐った貴族や壊れた国王がそれを切っ掛けになにを仕出かすか想像がつく。

 

「まあ、元々老後の楽しみに取っといたものだけどね。魔術なんて力を修得して、レポートもこんだけまとめるとやる気なしの怠け者の俺でもやる気やら努力やら欲やら出ちまうのかね~」

 

とため息を吐き、何かを悟る。

 

「まあ、いいや徹夜で疲れているし寝よ」

 

と不貞腐れて横になり眠りについた。

 

 

 

 

「ZZZZZ」

 

 

 

 

 

熟睡していた。

 

 

 

それを見ていたエミヤも

 

 

 

「僕も寝るかな」

 

 

 

といい同じく眠りにつく。

 

 

 

エミヤはエミヤでライナとは別に遺物と魔法・魔術を研究していた。助手と師匠を兼ねていた。魔術は看守にバレないようにこっそりとやっている。

 

 

 

「Zzzzzzz」

 

 

 

2人とも熟睡した。

 

 

 

それからしばらくして、

 

 

 

ガチャ、と扉が開く音がする。深夜に何者かがこの牢獄に入ってきたのだ。足音から、何者かは一人ということがわかる。看守は昼間しか此処にはこない。ならば、こんなところに来るモノ好きは一体、何者なんだろうか?その何者かは足音を響かせながら、ある部屋の前で立ち止まる。そこは汚い部屋だった。狭い空間に所せましと本が並べられており、人らしき影は見当たらない。だがそこに、彼は立ち止まる。

 

 

 蝋燭のわずかな光に照らされ、彼の銀髪が暗闇の中に浮かび上がった。

 

 

 彼はしゃがみ、檻の中に手をのばす。

 

鉄さびで汚れた柵に服が触れ、見る人が見ればとんでもなく高級なその服が汚れるのも気にせず、中に散乱している書類の一束をつかみ取った。

 

 

銀髪に高級な服。それを着ている高貴な身分の男性……

 

その条件に当てはまる者は彼は檻のむこう側に向かって、感慨深げに呟く。誰もいないようなとこに向かって。

 

 

「……なるほどね」

 

 

彼は汚い文字で書き連ねてある書類を持ち替える。

 

 

「これがお前の選んだ道か」

 

 

お前……と、彼は言った。人がいるような感じがしない、その、空間に向かって。だが彼は話しかける。まるで誰かがそこにいるかのように。

 

 

「……こんなところでいつまでも昼寝できると思ったら大間違いだぞ……こっちは苦労してきたっていうのに……お前だけこんなところで楽してるなんて俺は許さない。俺だけが悩むなんてのは許さない。お前は俺のもんだ。俺はお前を使うぞ」

 

 

 彼は再び、にやりと笑って、

 

 

「たとえ、お前が望まなくてもな」

 

 

 言った。

 

 

「……」

 

 

 返事は帰ってこないがそれでも彼は満足そうに頷き、

 

そしてその隣の部屋を見つめる。

 

 

 先程の檻ほどではないが、同じく本まみれの汚い部屋。そこにはベットに潜りこんでいる青年の姿があって。彼はまた、にやりと笑う。

 

 

 

 

 

「……そうだな、君にも手伝ってもらおうか……」

 

 

 

 

 

そう言って、書類を手に持ったまま去って行った。檻の中の大量の本と紙、それと彼らを残して―――

 

 

 

完全に熟睡している青年はブルッとなぜか身体を震わせた。

 

 

なぜなら、不吉な感じがしたからだ。

 

 

近い将来すごい面倒ごとに巻き込まれる予感がした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       

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