旅に出てあれから、一年がたった・・・
大人の身体ならばともかく子どもの身体で一人旅は無理だと普通は思うだろう。
だが、僕は普通ではなかった。
世界中を旅した魔術師殺しの前世を持つ転生者だ。
魔術回路やそれから派生した異能、全ての魔力を無効化・強制解除・吸収する魔眼というアドバンテージが存在する。
最初に困るものは衣食住だ。
旅をしていて魔眼保持者の子どもという時点で「住」は難しいバレて軍に追われると厄介だ。見られたら、暗示を掛けて記憶を消すか改竄して確保するか、あるいは盗賊に襲われたと見せかけて殺して、秘匿するかだろう。
『衣』は、投影魔術があるから、造れる。金銭面は将来、投影品を売って得るというのもひとつの手だ。
『食』はサバイバルで狩をして得るか、魔力(魔法・精霊(大源(マナ)・小源(生命(オド)))で腹を満たす。まるで仙人だな・・・。自身の魔力(小源(オド))は身体の状態を強化か最良か普通に保つようにする。
自食作用(オートファージ)みたいなものかな。魔法を食べただけで子どもに魔法騎士を瞬殺しかねない身体能力を発揮するのだから、魔術回路で魔力の消化速度を制御すれば、食い溜めとか本来人間にはできないことも出来るみたいだし、その気になれば、結界(魔術工房)を作って、そこで冬眠するというのもできるそうだな。熊かよ・・・・。
と、自分は体構造は人間なのに、どんどん人間離れしているなと複雑な気持ちになる。
たまに魔導兵に遭ったりし、
魔法を喰らい、倒したり、逃げたり、自身の痕跡の隠蔽をしたりと生きてきた。
そんな感じで生きていってさらに二年が経ち、僕はエミヤ・セルフは9歳になった。
そんなある日、魔法騎士と魔導兵たちを引き連れたある貴族と遭遇し、関わると面倒だから無視して行こうとしただけで、無礼討ちを部下に命じて、僕を殺そうとしてきた。
なるべく人に特に貴族には遭遇しないように心掛けて来たが、実際見て、改めて酷いと思った。その怒りからか僕は、貴族を含む全兵士を半殺した。
「うそだ!ありえない!魔法騎士を、これだけの魔導兵をこんな餓鬼にこうも簡単に壊滅されるなんて!」
「見ろ、あの眼を!」
「紅い輝きの紋様、複写眼(アルファ・スティグマ)保持者だ!」
「ば、化け物だ!あいつは化け物だ!」
「に、逃げろ!こ、殺される!」
「死にたくない!」
「助けてくれ!助けてくれ~~~~!」
「ま、待て!お前達は私の護衛だろう。に、逃げるな~!私を置いていくな~!」
といって貴族を置いて逃げた。
すぐに追いかけてぶっ倒した。
貴族を含めた全員に暗示をかけるには手間があり、魔法を使うので破られる可能性が高いので、気が滅入るが生きるために口封じに全員殺す方が手間が省ける。
しかし、来世では人殺しはなるべく避けていたので、暗示や解析、変化を応用した精神干渉いや操作系の魔術で今日のことを何が何でも思い出しにくく記憶を改竄、思い出してもその記憶自体を歪めわけのわからないものになるようにした。
かなり粗がありもしかしたら後遺症で精神崩壊し易い脆い精神構造になるかもしれえないが、魔眼保持者の特徴と遭遇したことを思い出さなければいいので、とりあえず今はそれで良しとした。こいつらは散々非道なことをしてきたので、躊躇いとかはまるで出なかった・・・。
とにかく、隠蔽に成功したのかな?
しばらくしてから、僕はというと・・・
「はあ、化け物か、覚悟はしていたけど。やはり実際に言われると傷つくなあ」
つぶやき鬱になる・・・・
あのあと、魔法騎士数人と魔導兵数十人を護衛に率いた貴族が護衛ごと半殺しにされたことは、相当うわさになった。
これは、しくじったかな?
「やはり、火葬などして隠蔽するべきだったかな?それとも、この眼を使うべきだったかな?生物を喰らい魔力を得ることができるみたいだしね」
この間、試しに狩で捕まえた野うさぎに向けて、深紅の十字紋様の魔眼を使用した状態で、生で食べてみたら、ウサギの内にある魔力((生命)オド)を吸収できた。死んだウサギの身体に魔眼を魔法を喰らう感じで向けたら、まるで術式を解くように食べることが出来た。
どうやら、生きているものからは噛み付くなりして、魔力((生命)オド)を吸収できるみたいだ。まるで、死徒(吸血鬼)みたいだな・・・
もう生命自体宿していないもの(死体)でも、生物の身体ならば術式を強制的に解除するかのように効率的に吸収できるみたいだし。
この身体には消化不良とか、存在しなさそうだな・・・。
前の世界なら、封印指定どころか死徒27祖の番外位に認定されてもおかしくない。
知れば知るほど、今の自分が死徒化したわけでもないのに人間の枠組みを維持しながらどんどん人間から離れていく存在になっている。一部では魔眼保持者のことを超越者と呼んでいるようだし、まあ、化け物よりはマシかな・・・
前世の僕から見ても同じこと思うだろうしな・・・。
それから、被害者の本人達はそのときのことを思い出したくとも思い出せない。よほど怖いものを見たのだろうと噂になった。いい君だと平民たちは楽しそうに話していた。もし、殺していたら、罰が当たったのだろうよとか恐ろしい化け物が出た。今度うちに来て自分達を殺しにくるかもしれないと脅えていたかもしれない。
楽しそうな顔はしなかっただろうな・・・。
まあ、別に人の不幸を甘い蜜にする趣味はないが、よほど憎まれていたのだろうな。
ローランド軍は・・・
それから、一年が経ち、
僕は、10歳になった。
魔眼や今の僕が持つ魔法能力(魔術回路から派生する異能(魔術・超能力))だけに頼らず、身体を鍛えたり、前世の鍛錬を思い出し、今の僕にあった形に再構築した。
どういう鍛錬かというと、魔力(精霊(マナ))を吸収することで発揮する驚異的な回復力を利用した肉体改造と自前の魔力を増大させるために、魔術回路を使って、この魔眼とは違い身体の方は常に魔力(精霊(マナ))を吸収するほど強いわけではないが対魔力や対呪力が規格外(EXランク)なので、直接精霊を塊として放つ類の全魔法(回復系は体質上必要がない(むしろ常人より効果を増幅させている。効果が弱い痛み止めや疲労を取る程度のものでも魔法でも臓器再生や身体の欠損を治せるほど)が強化系は魔術回路を利用したもの以外は吸収した時点で自動的に強化魔法扱いか栄養にされるのでほとんど必要がない)が実質的に効かない。まるで話に聞く神やそれに近い存在の高位次元生命体や超高位次元生命体だな・・・。
まあ、その魔法に関しては殆ど無敵の身体を魔術回路で増幅、常時吸収を付与して、瞑想など自然エネルギーの魔力の精霊(マナ)を体内に溜めるといったことをしている。魔眼を制御しないで見開いていれば、増幅しないでも徒歩でも空間から常時吸収できる。僕にとって、どこでもパワースポットのようなもので、あまり必要がないと思えるが、常に大規模魔法や魔法の雨を吸収しているときの状況を除き、これは、それに次ぎ瞬発力だけ劣るが、あくまで劣るのであって瞬発力がないわけではない、持久力は圧倒的に上だ。戦いの中でなくても短時間で魔法を吸収したときと同じくらいの力が得られる。魔眼の吸収力を魔術回路で増幅するという方法もある。
それを併用したほうがより効果的で、瞑想は得た魔力を強化の魔術・変化の魔術・中国拳法(形意拳・太極拳等)の呼吸法を使い身体の内や外を鍛えている。
身体を苛めて、傷(筋肉痛)を負い治すのと身体を効率よく動かすための体術といった通常の鍛錬もしている。この身体の成長を阻害しないレベルはしているが、この身体の回復力は驚異的なのでそのメニュー傍から見れば異常だろうな・・・。
まあ、どんどん人から離れていくからなんだかもの悲しいけど
おかげで、魔眼や魔術回路の強化に頼らなくても、ノーマルの状態で現在は魔法騎士数人くらいは倒せるレベルになった。殺す気でやれば、それ以上だろうけど・・・。今のところ、人は殺していない。
これも、前世の記憶や異能(魔術)に魔眼保持者というアドバンテージがあるからなせることだな。
一体、いつまで続けられるかは判らないけど・・・
本当に拙いときや将来家庭を持ったときなど、それを邪魔するものはみんな殺してやる覚悟はある。
前世で聖杯戦争時にアイリに言った・・・
『もし僕が……もし僕が今ここで、なにもかもほうり投げて逃げ出すと決めたら―――アイリ、君は一緒にきてくれるかい?』
『もし、夢を諦めることができたら、残りの人生全てを君たちのために使ってみせる!』
『君やイリヤを連れて逃げてみせる!』
『幸せな家庭を築いてみせる!幸せにしてみせる!』
『追っ手や僕たちの幸せを邪魔する者は皆殺す!』
『まだ、間に合う!引き返すことが出来る!』
『まだ、間に合う!まだ!』
あんなに大声でアイリに本気で言ったのに、結局選べなかったな・・・、僕の得た形ある叶えられる可能性が僕の夢だったものよりも誰でも叶えられるかもしれないもので、充実したものが得たられるのに、トラウマや強迫観念が勝って選びたくても選ばなかった・・・。
聖杯を手にしたときは、僕の夢は世界の救済、恒久的な世界平和だ。誰もが笑っていられる、誰も泣かない、死なない世界は万能の願望機ですら叶えられないものだった。ただの夢だと確定された。
そこでようやく諦めることが出来た。10のうちの1を切り捨て9を取るより、見ず知らずの9よりも大事な1(アイリやイリヤが自分よりも誰よりも第一で、次に舞弥、その次に親友や親しい知己を仲間だけ)を取れる人間になれた。士郎のおかげだ・・・。
あの子が、助かったとき、あの子しか助けられなかったのに、はじめて自分が生きているものを助けられた命が幸福を感じた・・・。いままで、犠牲を払ってそれよりもずっと多い命を助けて生きてきたのに、どうしても得られなかったものがやっと得られたのだ。
自分が自分にとって大切な人間を優先できた。目の前の命(1)を助けることが出来た。
ようやく、大事な命を選べる人間に自身の幸せを求められる人間になれた。
あのあと、時間を見つけては旅に出るといってはイリヤを迎えに試みたが呪いで廃人寸前の状態で魔術回路も殆ど停止して一般人かよくて並みの傭兵だ。そんな人間に大魔術師の結界(工房)を破るどころか潜り込む事も不可能だった。
凍死寸前までしか彷徨えなかった。
「怨んでいるだろうなあ、イリヤ・・・」
「逆恨みで、士郎を殺さなければいいけど・・・」
第五次聖杯戦争で事実殺されかけていましたよ。アヴァロンなければ、死んでいました。という話(平行世界的未来)がありまた。そうでなくとも殺されかけています。
「あれ、今、不吉な幻聴が聞こえたような気がするな」
「でも、ありえないよな。」
「第五次は60年後だから、士郎は67歳のお爺さんでイリヤおそらく身体に無理な調整を加えられて寿命が短いホムンクルスと人間のハーフでなにもしなければ人間のように歳を取って、もしかしたら若い時代が長い人間の人生を生きられたかもしれないけど」
まあ生きられたとしても、地脈弄って大聖杯は沈むようにしたから、その頃には使い物にならないだろうけど・・・
実際は20年後に、第四次と第五次のマスターだった者二人が解体しました。ロード・エルメロイⅡ世のウェイバーベルベット(39)や遠坂凛(27)が・・・
10年後黒い聖杯に残存した魔力で10年後に第五次が発動しましたが・・・
そのことを切嗣だったエミヤ・セルフは知らない・・・
「聖杯を破壊したぼくへの怨みで、あの爺、僕への嫌がらせで、さらに無理な調整を加えられて寿命を縮めさせられているのかもしれないな。」
「いや、間違いなくされているだろうな・・・。」
「あの爺は、ホムンクルスの性能を証明するためだけにアイリを猛獣達や悪霊がうろついている吹雪の森の中に放り出しやがったし、魔術は秘匿されるもので聖杯の器でもあるから、城の外へは絶対に出されないだろうから、イリヤは士郎に復讐する前に死ぬ可能性のほうが遥かに高いだろう」
むしろそちらのほうがいいと言っているような自分(切嗣)を僕(エミヤ)は心の中で殴った。
旅に出てから4年が経ちいろいろな地域(ローランド帝国・エスタブール王国・ルーナ帝国・ネルファ皇国、カッスラー自治聖国など村々)を流離ったなあ、今保持している異能に気づいたのは5歳になったときだから、
もう、5年は魔眼や魔術を使い研究(修行)やこの世界にも聖遺物がないか探しながら旅している。
容姿も10歳とは思えないが、能力や鍛錬で成長効率が良いせいだろう。
断じて、老けているわけではない!
たまに自分とはちがう五方星の魔眼保持者(複写眼(アルファ・スティグマ))たちに出会ったが、
その子達は、ぼくのようにバレる前に逃げたものやバレて親や知り合いの大人に殺されかけて生存本能で返り討ちにしたり、何とか逃げ延びたりした者達だった。
絶望し死にたがっていたので、生きる希望になるかどうかはわからなかったが、
投影魔術で『魔眼殺し』という魔術礼装(眼鏡)を造り遭う度にそれを贈った。
相手はその術式を解析して、その効果に驚いていた。
喜んだ者もいれば、「もっと早く君に会いたかった」と言う者と「なぜもっと早く会いに来なかったのだ」という者もいたが、全員受け取った。
そんなわけで、ぼくは、その子達にしばらくの間、ぼく元々もつ強化された神秘(魔術)やこの世界で習得できた神秘(魔法)を指導した。
見つからないように、陣地作成スキルや魔術礼装を使い住居を僕たちの存在隠蔽した。
指導してみて、今の僕から見ても修得や成長速度は恐ろしく早いが、複写した魔術のコントロールが肝の魔術(強化・変化)は手こずっていたがすぐに克服した。
魔眼以外の魔法や万物に対しての理解力も調べてみると規格外だった。
遊びに見せかけて、その子たちに知能指数(IQ)検査をしたら、測定不能と出たし、まあ僕もだけど、解析能力を比較すると負けていることがわかるんだよね・・・。
殆ど説明や見せるだけだったので、教えるのは楽だった。
皆で遊んだり、家事や食事したりと楽しかったなあ。
魔術回路の開発から解析・変化・強化・投影・治癒・錬金・卜占・暗示や魅惑の人口の魔眼・時空間・降霊・ガントを教えたいや実質見せただけだ。それだけで魔術と魔法を覚えた。
転生してから、魔術回路から魔法能力が万能といっていいくらいにとんでもなくグレードアップしたといっても、
規格外で勝っているのは魔法の無効化・強制解除・吸収能力と強化系の異能と自己治癒能力くらいだよな・・・。勝ってるの戦闘能力と回復能力だけというわけだし
今のところはイメージ(思念)力や技術(展開速度(テクニック))は勝っているが、将来抜かれるだろうから・・・
まあ、それ以外は・・・、
魔術回路(エミヤより多く不死身の回路ではないが質と量はエミヤとは比較にならないくらい上)や魔術センス(全属性・万能(起源込み))、魔法能力(視認しただけで全魔法・魔術を解析・解除・複写)は複写眼(アルファ・スティグマ)保持者に比べたら、負けるよな・・・
こいつらと比べたら、魔法使い・魔術師的な比較で、今の僕を含めた、前の世界の魔法使いから下(死徒27祖含む)全員は凡人だろうな・・・。
解析魔術を教えたら(見せたら)、僕よりもずっと深いところまであたりまえに解析できるし、それの応用の物体・物質や術式の解錠・解体はとてもすばやく精密で物体・物質は分子から原子レベル以上に分解が出来るって、術式はともかく物体の解体の度合いは、今の僕でもそのレベルは今の魔眼でも生物の死体でなければ吸収という形でしか解体(解除)出来ないものだった。
まるで、話に聞く『直死の魔眼』で見えた、存在の綻び(死線・死点)に触れて対象を解体してしまう現象のようだった。
この子達は一代で『根源の渦』に到達しそうだな。今の僕は可能性が高いのであって、確実や確信的というほど高くはない。この子達に比べると見劣りしてしまうという意味でだが。
もしも、これをアカイアクマや時計塔の四階の名物講師が知ったら100%理不尽な癇癪起こすだろう。
はて?
アカイアクマや時計塔の四階の名物講師とは一体・・・?
まあ、僕は魔術使いであって、魔術師ではないから別に凹む事はないのだがね・・・