まあ、牢獄でほとぼりが冷めるのを待ち看守に本を頼んだり、話したり、千里眼で国情勢を新聞を開いている乗りで覗いている。
この間の雨のせいで、不作となり、食糧難になり領地を占領して
それで賄おうとしている・・・
エスタブールとの戦争が7年ぶりに再開するみたいだな・・・
眼にした情報で目に付いたのは、ローランド帝国王立軍事特殊学院という
社会に居場所がない、孤児やA犯罪者の子どもたちが集い戦闘兵器として育てられる学校。身分の高い
貴族やその子どもが危険な前線に出さないために建てられた施設。
だったが、戦争が終わり、ここ数年は緊張感がなくなり唯の軍事学校になっていたのだが・・・
この戦争のせいで、緊張感を取り戻すことになったのだが・・・
問題は大物貴族連中が、そこで訓練を積んだ子どもたちを送り込む先の辺境のまだ安全な僻地に敵国の魔法騎士団と遭遇するように仕掛けたことだ。
理由は、その学校に王族の庶子がいることだ。この国の王子はそいつの存在が王侯貴族風に言うならば、いわゆる下賎な犬の子だから気に入らないらしい、聞いた話では、相当嫌がらせをしてきたらしい。暇なことだ。
魔法騎士団と戦えるのは、同じく魔法騎士団だけなのに、碌でもないことは知っていたがここまでとは改めてこの国の酷さを理解した・・・。
庶子の方の王子は、仲間を死なせないように、今まで築いてきた人脈だ最大限活用して安全な辺境の僻地にしてもらったのに、こいつらのくだらないわがままで台無しにされたな・・・
エスタブールのスパイの赤毛の少女が、自国のエスタブールに敵国のローランド帝国魔法騎士団の位置する場所の偽情報を流し、辺境に僻地に誘導させるみたいだ。
そして、エスタブールの魔法騎士団を壊滅させることが貴族達の狙い。
王の庶子と魔法騎士団壊滅の両方が赤毛の少女の任務みたいだ・・・
どうも、妹が人質になっているみたいだが、
貴族がこう漏らした
妹は姉が二重スパイになった時点で、もう用済みだから殺されていると
この作戦をこの国の第三皇子に進言したのは、あのラッヘル・ミラーだった。
これを見ていると、思い出してしまう・・・
こいつらが使っている手は、前世の僕、『魔術師殺し』の手段だ・・・
その情報を知ってから、しばらくして・・・
それが本当になった。
その光景を千里眼でみたが、
悲惨なものだった・・・。
未来ある若者達が、魔法騎士という戦場の化け物と呼ばれるやつらに皆殺しにされたのだ
これを視て、前世の記憶がフラッシュバックした。
僕がまだ衛宮切嗣でケリィーと呼ばれていた子どもの頃、
初恋の人、シャーレイが父が造った死徒化の魔術薬で死徒となり、アリマゴ島の住民を殆ど死徒に変えてしまい。
その騒動を島の教会の神父経由で聞きつけ、
それらを狩りに来た異端狩りの殺戮部隊の聖堂教会の代行者や魔術協会の執行者といった連中のことを思い出した。
あれは、事態の収拾と末期だったので、神秘の隠蔽と穢れの殲滅はしなければならないものだったから、対処・解決法としては、まだ納得できるが、あの事態の原因は父の衛宮矩貴の死徒化の試薬と死徒化したシャーレイ、息の根を止めなかったぼくに原因があるのだから・・・。
もしも、ぼくがあの時シャーレイを殺せていたら、事態をその程度に収められていたら、僕はあの父を殺せていたのだろうか。
父は父で息子のぼくを大事にしていた。シャーレイは天才で通信教育で13歳で修士課程を終えているくらい頭が良いし、僕が魔術を引き継いでもなるべく苦労しないようにがんばっていただけなのかもしれないというのはたぶん本当なのだろう。
ただ不器用だった・・・
魔術師にとって、根源の到達は世界平和を成し遂げた救世主と同じくらいの計り知れない価値みたいなものだし、
あの時、僕がどうにかしていれば、彼女のあのときの願いを聞いていれば、父もまだ人間らしい反省や慰めの言葉を掛けるくらいの心はみせることができたかもしれない。
まだ、殺さなくて済んだかもしれない。
先延ばしかも知れないけど・・・
ナタリア・カミンスキーを母同然の人を殺さずに済んだかもしれない・・・
正義の味方にならずに済んだかもしれない・・・
その後、魔法騎士団50人は壊滅した。ローランド帝国軍の魔法騎士団にではなく、学生に混ざっていた暴走した複写眼(アルファ・スティグマ)保持者に皆殺しにされたのだ。
通常は暴走しても魔法騎士数人か魔導兵一部隊もあれば殺せるらしいが
戦場の化け物50人でもキズひとつ負わすことが出来なかった。
以前、僕が弟子に取った魔眼保持者の今のあの子達ならば、暴走せずに、教えた魔法・魔術と魔術の身体強化と戦術、魔術回路による規格外の絶大な魔力を持ってすれば、50人以上は油断しなければ問題なく倒せるだろう。
だけど、こいつは、弟子に取った覚えがなかったので、どうも腑に落ちなかった。
《神・悪魔・邪神・勇者・化け物》
《貴様らはなんて呼ぶ?》
《ふふふ、あああははははははは》
あの声は、僕が胎児にとき聞いた声に酷似していた。
声色は違っていたが・・・
同じ感じだった・・・
しばらくして、王子が、暴走した保持者を元に戻した。
いや、赤毛のスパイらしき少女と王子の姿を見て怯み
《お前達は・・・危険・・・・だ・・・消し・・・・て・・・くそ・・・五方星の力が・・・消え・・・》
「ライナー!」
と間者(スパイ)の子が叫ぶ
その隙を突いて皇子が瞼を閉じさせ暴走は止まり元に戻った。