銀牙伝説NIGER『リメイク版』   作:ニゲル

11 / 11


 

 

 

 

 

 

 とりあえず、分散は成功した。

 

 猟師達は、反対側の当馬達に気を取られている。

 まぁ、射線上に出てこない李喋の隊と。

 遮蔽物もなく、格好の的である当馬達。

 他にも理由はあるが、此だけでどちらを獲るかは明白だ。

 でもそれだけでは、成功とはほど遠い。

 李喋達は助からないだろう。

 件の怪物が残っている。

 だから、ここでもうひとつの布石が役に立つ。

 

 俺達が此処から、抜け出すためのね。

 

 

「五衛朗様このままでは」

 

「………行くぞ!」

 

「はいっ!」

 

 

 俺達は、李喋達のもとに駆け出す。

 距離にして、十メートル位か。

 視線の先には地獄が……血が肉が飛び散っている。

 そして、

 

 

「ギリギリ、だな……だが、間に合わ、せる!」

 

 

 脚に力を入れ、スピードを上げた。

 比例して周りの速度が遅くなったように感じる。 

 目の前には李喋へと振るわれる、怪物の腕がみえる。

 それは、まるで死神の鎌。

 場に、死の気配が蔓延していく。

 

 ふふふ……この滾る感覚。

 このスリル!! 純粋に愉しみたかった!!

 

 純粋に殺し合いを愉しめない事に、思わず苦い息が漏れる。

 だから―――

 

 

「―――そんな、もの、魅せないでくれ、よっ!」

 

 

 横合いから頭突きで、怪物の腕を弾き飛ばした。

 続いて夏魅が、たたらを踏む怪物の服を噛み、岩壁に投げ飛ばす。

 

 ………さすが、ハスキーの血が流れてるだけはあるな。

 

 何度見ても、彼女の闘う姿には惚れ惚れする。

 

 

 

 

「GAッ!!」

 

 

 怪物は器用にも、空中で体制を整え岩壁手前で着地した。

 その間に俺は李喋の前に、夏魅は怪物の目の前に対峙する。

 

 

「大丈夫、か?!」

 

「………あっ、ああ大丈夫だ。すまない助かった」

 

 

 李喋は、動揺で瞳を揺らしつつ、感謝を述べる。

 何故か、声が若干いつもより高い気もするが、どうしたんだろうか。

 

 ………まあ、そんなこと考えてる暇はない。

 

 夏魅が怪物を引き受けてくれている間に、奴等と話をつける必要がある。

 

 

「夏魅、頼んだ、ぞ!」

 

「お任せをっ!」

 

 

 夏魅が笑みを浮かべ、怪物に意識を集中させる。

 さて、俺も気を引き閉めるか。

 奴等もそろそろ、来るだろうからな。

 

 

「一体何を?」

 

「ん?見てれば、分か、るさ!」

 

「それ―――――っ?!」

 

 

 李喋の口が、途中で止まった。

 理由は簡単だ、奴等が私達の前に現れた!それだけのこと。

 

 

「やはり貴様か……五衛朗っ!」

 

 

 岩壁の上から、獰猛な怒鳴り声が響く。

 やはり怒っているようだ。

 凄まじい怒気を感じる。

 だが、これでいい、役者は揃った。

 

 

「久し、ぶりです、ね奏牙さん!」

 

 

 さあ始めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。