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とりあえず、分散は成功した。
猟師達は、反対側の当馬達に気を取られている。
まぁ、射線上に出てこない李喋の隊と。
遮蔽物もなく、格好の的である当馬達。
他にも理由はあるが、此だけでどちらを獲るかは明白だ。
でもそれだけでは、成功とはほど遠い。
李喋達は助からないだろう。
件の怪物が残っている。
だから、ここでもうひとつの布石が役に立つ。
俺達が此処から、抜け出すためのね。
「五衛朗様このままでは」
「………行くぞ!」
「はいっ!」
俺達は、李喋達のもとに駆け出す。
距離にして、十メートル位か。
視線の先には地獄が……血が肉が飛び散っている。
そして、
「ギリギリ、だな……だが、間に合わ、せる!」
脚に力を入れ、スピードを上げた。
比例して周りの速度が遅くなったように感じる。
目の前には李喋へと振るわれる、怪物の腕がみえる。
それは、まるで死神の鎌。
場に、死の気配が蔓延していく。
ふふふ……この滾る感覚。
このスリル!! 純粋に愉しみたかった!!
純粋に殺し合いを愉しめない事に、思わず苦い息が漏れる。
だから―――
「―――そんな、もの、魅せないでくれ、よっ!」
横合いから頭突きで、怪物の腕を弾き飛ばした。
続いて夏魅が、たたらを踏む怪物の服を噛み、岩壁に投げ飛ばす。
………さすが、ハスキーの血が流れてるだけはあるな。
何度見ても、彼女の闘う姿には惚れ惚れする。
「GAッ!!」
怪物は器用にも、空中で体制を整え岩壁手前で着地した。
その間に俺は李喋の前に、夏魅は怪物の目の前に対峙する。
「大丈夫、か?!」
「………あっ、ああ大丈夫だ。すまない助かった」
李喋は、動揺で瞳を揺らしつつ、感謝を述べる。
何故か、声が若干いつもより高い気もするが、どうしたんだろうか。
………まあ、そんなこと考えてる暇はない。
夏魅が怪物を引き受けてくれている間に、奴等と話をつける必要がある。
「夏魅、頼んだ、ぞ!」
「お任せをっ!」
夏魅が笑みを浮かべ、怪物に意識を集中させる。
さて、俺も気を引き閉めるか。
奴等もそろそろ、来るだろうからな。
「一体何を?」
「ん?見てれば、分か、るさ!」
「それ―――――っ?!」
李喋の口が、途中で止まった。
理由は簡単だ、奴等が私達の前に現れた!それだけのこと。
「やはり貴様か……五衛朗っ!」
岩壁の上から、獰猛な怒鳴り声が響く。
やはり怒っているようだ。
凄まじい怒気を感じる。
だが、これでいい、役者は揃った。
「久し、ぶりです、ね奏牙さん!」
さあ始めよう。
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