◆
「私が惹き付ける!!」
「なっ?!李喋さん、危険です!」
私は木陰から、飛び出す。
部下が止めようとしていたが、構わず人間達の前を横切る。
銃を構えた人間が四人、その内二人が私に銃口をむけた。
………大丈夫、弾は真っ直ぐにしか飛ばない。
感じろ、目を逸らすな。
私なら出来る………来るっ!
滑るように跳ぶ―――
銃声。
「っぐ!」
「李喋さんっ!」
部下の声がこだまする。
その声を聞きながら、数メートル転がっていく。
………っち!
私の直ぐ後ろの地面が爆ぜる。
後ろ右脚に灼熱が走った。
そのまま転がり、射線上から逃れる。
「大丈夫ですか、李喋さん?!」
「………平気だ、掠っただけだ。私のことはいい、お前たちは計画通りB地点にいけ!」
部下達に檄を飛ばしつつ、自身の状況をみる。
確認すれば、右脚に赤い線が引かれている。
命拾いをしたな。
だが、間違ってはいなかった。
・・・だがこのままではいずれ
部下の士気は落ち始めている、恐怖や焦燥が容赦なく体力精神力を削り取っていく。
まだ持ってはいるが、何の切っ掛けで崩れるか。
………どうする?!何か手は……
「小隊長っ新手が!?」
「なにっ!?」
動こうとしていた部下の報せに、振り向く。
私達の背後十数メートル先、木陰の隙間にその人間の姿を確認した。
赤い瞳が、妖しく輝っている。
此方を値踏みするような視線に、身の毛がよだつ。
男が立つ場所、そこは私達が逃げる方向にある。
「くそっ……詰みか?!」
◆
俺の名前は、
最近、6匹の仲間と共に奥羽に加わった。
そして俺達はこの度の乱の先鋒隊に選ばれたのだ。
たくっ・・・何で俺が危険な目にあわねぇといけねぇんだ。
此処が楽園だって聞いたから、きたってぇのによ。
飯も女も満足に獲られやしない。
…………抜けるか?
今なら、簡単に抜けられるだろう。
小隊長は、五衛郎って気味悪い奴だが、この状況だバレやしないだろ。
他の小隊長もすでに各方面にバラけている。
幹部も少ない今がチャンスだろうな。
「……………怖じ気憑いたか?」
ふと、小隊長が俺に話し掛けてきた。
俺が抜けようと考えていたのを、恐怖に怯えてると勘違いしたようだ。
………丁度いい。
「すんません、我慢しようと思ったんですが、脚の震えがとまんねぇんです!」
「そうか……貴様らはもう帰れ、このままいても無駄、に命を散ら、すだけだ」
やっぱり、奥羽の連中は甘ちゃんばっかりだ。
では、お言葉に甘えさせてもらいますぜ。
「申し訳ありません」
「気にするな……まて、そちらは危険だ。逃げるなら、此方を真っ直ぐ、行ってから大回りした、方がいい」
安全な道まで教えてくれるとは、本当に間抜けどもだ。
「ありがとうございます」
そう言い、俺達は先鋒隊からまんまと脱け出したのだった。