銀牙伝説NIGER『リメイク版』   作:ニゲル

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「………あの腰抜け野郎共、私が連れ戻してやる」

 

「落ち着け夏魅(ナツミ)、これでいいんだ!」

 

 

 私は苛々していた。

 あの当馬の野郎共、五衛郎様への恩を忘れて逃げやがった。

 その上、あの此方を馬鹿にするような視線。

 今すぐに連れ戻して、私が仕置きしてやる。

 飛び出そうとした私を、頭上から止める声が聴こえた。

 上を見れば、木の枝に伏せる小柄な黒い男がいた。

 

 

「これでいいとは、どういうことだ疾風(ハヤテ)?!五衛郎様を裏切り馬鹿にしていったんだぞ!」

 

「………此方がそう誘導したんだ。それに、奴等は直ぐ酬いをうける事になる!」

 

 

 そう言って、疾風はにやりと笑う。

 疾風も私と同じ、五衛郎様専属の部下である。

 脳筋と言われる私と違い、疾風は頭がいい。

 今回も五衛郎様の作戦であり、それを理解しているらしい。

 

 

「むぅ………私は知らなかったぞ?!」

 

「これは俺の領域だしな。夏魅の領域は違うだろ?」

 

「そうだが……う~ん」

 

 

 何だか私だけのけ者にされた様な気がする。

 

 

「………夏魅、疾風、今は無駄に、話す暇は、ない!

疾風には、俺が頼ん、だんだ、意見がある、なら俺に言ってくれ」

 

「あ、いや、申し訳ありません!」

 

「失礼しました」

 

 

 何をやってるのだ私はっ!

 疾風には疾風の、私には私のやるべき事があるのだ。

 二人が私に話さなかったなら、その必要があったのだろう。

 私のせいで、貴重な五衛郎様の時間を奪ってしまった。

 私の、馬鹿!

 このままでは五衛郎様に見放されてしまう。

 どうすれば、ああ、どうしよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………うぅっ~グスッ」

 

 

 夏魅がグズってきやがった。

 どうせ五衛郎様に嫌われてしまう、とでも考えてんだろう。

 枝から降り、五衛郎様の側による。

 

 

「はぁ……五衛郎様、当馬等は予定通りに動いてくれてるんだが、少し懸念事項が」

 

「何だ?」

 

「はい、李喋さんの逃走経路に不気味な人間が現れました」

 

「不気味な、人間?」

 

「どうやら、奴等とは別口の様で、人間や犬族等関係無く襲っています」

 

「見境なく?銃でか?」

 

「いや、銃や武器の類いは持っていないと思います」

 

「それなら大丈…………何かある、のか」

 

「はい、人間とは思えない程身体能力が高く、旅犬でしょうか、五匹中二匹が簡単に捕まり殺されました。その場にいた人間も、一瞬でした」

 

「そうか………」

 

「はい、李喋さんだけなら何とか逃げれそうですが、他の者になると」

 

 

 あれは、ただの人間ではない。

 あの赤い瞳、怪しい雰囲気。

 脅威的な身体能力、殺意のままに動く存在。

 化物だ。

 

 

「………俺が動こう」

 

「なっ?!危険です!」

 

 

 確かに五衛郎様は強いが、こんな三つ巴な状況でしかも護りながら、危険すぎる。

 

 

「………大丈夫だ、考えは、ある」

 

「し、しかし!」

 

「それと、夏魅も、連れて、いく」

 

 

 くっ!こうなった五衛郎様は、意思を変えないだろう。

 仕方ない、夏魅がいればなんとかなるかもしれない。

 夏魅は馬鹿だが、腕だけは確かだ。

 

 

「わかりました」

 

「疾風、お前は、計画通りに、いいな?!」

 

「はっ!」

 

「夏魅!」

 

「はいっ!」

 

 

 いつのまに立ち直ったのか、嬉しそうに返事をしている。

 

 

「俺について、こい!俺の背後は、任せたぞ!」

 

「はぃぃっ!!お任せをっ!」

 

 

 夏魅、五衛郎様はお前に任せたぞ。

 俺も諜報活動を再開するか………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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