エイムofイリューズ強化にせっせと精を出してます。
(きつい、苦しい!…壊せば楽に…嫌だ!)
その場にうずくまり、涼人は理性を保とうと必死に心の中で格闘していた。
その内にも、じわりじわりとウイルスは侵食して行く。
「どうしたぁ~?両者動かないぞ~?」
機会を狙うように、ゴアマガラは涼人を睨んでいた。
(嫌だ嫌だ嫌嫌嫌嫌嫌嫌…壊せ!壊せぇぇぇえぇ)
抑えていた理性のダムが壊れた。
「ガァァアァァアッッッッ!」
強化ガラスすらビリビリと振動するその鳴き声にあわせ、狂竜化してしまう。
ゴアマガラの情報など、ギルドか流す訳もなく、周りは訳も分からず歓喜の声を出した。
黒いブラキの目は赤く光り、口から漏れ出す吐息は障気が混じって黒い。
余りにもおぞましく、狂おしいその姿に、周りは恐怖におののいた。しかし、好奇心のほうが上回ってしまう訳で。
逃げ出す者は誰一人といなかった。
涼人が繰り出す初撃はゴアマガラから的外れな場所を叩く。
それはガラスで、粘菌が着き、即座に爆破。ガラスは平然としていたが、ピシッとほんの少しヒビが入った。
次の尻尾ぶん振り回しはゴアマガラをかっ飛ばし、ガラスに打ち付けた。
的外れな攻撃と、明確にゴアマガラを狙った攻撃が混同し、ゴアマガラはウイルスを感じ取りながら、行動を最小限に抑えるように動いていた。
むちゃくちゃな攻撃が数分間続き、暫くすると、ふいにぴたりと涼人が動きを止めた。ゴアマガラには爆破の後らしき煙が立ち上り、相応のダメージを受けているようだった。
そしてガラスは全て粉々になり、観客席には観客の代わりにバリスタとハンターが涼人に矛先を向けていた。
目の赤い光が抜け、障気が消える。狂竜ウイルスが涼人の中へ入った。
ゴアマガラは突然、涼人を認識出来なくなってキョロキョロする。
今まで、涼人の粘菌は通常種が持たない能力や弱点を、涼人から直接取り込む事で進化してきた。今回紛れた狂竜ウイルスはウイルスであり、細胞を乗っ取り自身をコピーさせる。
粘菌はそれを勝手に弱点に決めて、取り込んでしまった。
そして元の粘菌から発達したその粘菌は涼人の体内の別の場所に新たに組織を作り上げ、そこに溜まって行った。
涼人を侵食した全ての粘菌を取り込み、増殖、自己強化を行う粘菌。当然涼人にも反映される。涼人は元々マガラ系統しか持たない狂竜ウイルスを、物にしてしまった。
だから理性を取り戻し、攻撃に急停止をかけたのである。
「いまだっ、撃てぇぇぇ!」
リーダーの言葉を合図にガンナーはヘヴィボウガンを、剣士はバリスタを撃つ。
それに気がついた涼人は、足に思いっきり力を込め、高く、高く飛び上がった。
ボウガンの弾も、バリスタの弾も届かない高さまで。
「ぎゃぁるるるるっ!(今だっ)」
右手に鉱石粘菌を集中させ、雷光虫を前方に展開。即席のレールガンを作る。
出来た鉱石を切り離し、力を込めて思いっきり殴る。
その鉱石はレールガンに突っ込み、電撃を受け、打ち込んだ時の倍以上のスピードで闘技場の中央を打ち抜く。
ドガァァァアァン
とてつもない衝撃音と共に、大爆発。
闘技場も、ゴアマガラも、ハンターも、全て吹き飛ばされた。
ビームじゃなくて良かったね。というしかない規模になってしまった…。