ユクモがとんでもないことに・・・
目の前は惨状となっていた。
ユクモ村の至る所が破壊され、木々は枝葉を散らして倒れ、屋根は飛び、家屋が倒壊している所さえあった。
「な…何だ…これ…」
涼人は僅か数日間で起こった事とは信じ切れず、呆然としていた。
「涼人!お前…」
やっぱりそんな顔をするよな。という表情で、レラカムが涼人に近づく。
「突然の事だ、何の前触れも無く、夜に大嵐が吹き荒れ、こうなっちまった。今はハンターや村人総出で復興中ってところか。」
レラカムの顔には疲れが滲んでおり、彼の苦労が垣間見えた。
レラカムの次の台詞は、周りに聞こえぬよう、小さな呟きになっていた。
「嵐の時、チラッとだが、竜の姿が見えた…すまねぇ、俺は村の復興第一だから涼人に頼む。霊峰に行ってくれねぇか?」
涼人は頷いた。それは少しでも復興を手伝えればという慈しみの感情と、強い相手と闘えるという喜びの感情だった。
「彼をたぶらかしたのはあなたですね?」
青年は、長く真っ白な髪を揺らしながら、後ろを振り向いた。
(いいのよ、あれで。己が利益の為に竜を追い払う人間など、要らないし。そうよ、人が滅べば…!)
その声は、青年にしか届かない。何せ話相手は、龍なのだから。
青年は、静かに彼女をいさめる。
「飛躍し過ぎです。元々、彼があそこに住む者達を山へ追い払ったのが原因でしょう。あなたの今の行動は、完全に火に油を注いでいます」
そう言って、青年は、休息地として選んだシュレイド城後の塔から、そこにあることを確信した上で、ユクモ村のある方角を見渡した。
古龍観測隊•孤島地方総括支部
「大変です!ユクモ村で大嵐が…!」
「それを報告するのは王国の方にだろう!」
支部長が声を荒げる。
「既に行かせてます!問題はそうでなく、派遣されていた監視員が空を見上げた所、ちらりと何か生き物の影が…!」
その報告に、支部長は目を見開く。
「な…!まさか嵐龍が戻って来ただと…」
「どうしますか…」
それを聞いて部下の声のトーンが幾らか下がっているが、支部長は暫く悩み、
「あいつを派遣させる。もしかしたら嵐龍が戻って来た事で生態系にも変調をきたすやもしれん…」
数日後
やはり準備は必要不可欠と考えた涼人は、時々ユクモの復興を手伝いながら必要とあれば近くによったモンスターを狩り、自らの身体能力や経験を積みかさねて行った。
そんな折、
「涼人!」
「レラカム、どうしたんだ?」
狩りを終えたばかりの涼人に、レラカムの声がかかる。
「ギルドからハンターが派遣された」
「それがどうしたって言うんだ?」
「タダものじゃない。喪脚のハンザ。」
「驚異的な素早さを誇る、ハンターのなかでもトップと呼べるハンターだ。」