寿命かと思ったら別世界に飛ばされた件   作:スティレット

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 結構忘れている部分が多いのでネギま!の原作を引っ張り出そうか検討中です。


第10話

 あれから数日。「正義の魔法使い」達は無言の抗議活動を始めた。

 

 まず、俺製ポーションや呪符の不買運動。正直これはどうでもいい。辛うじてインターネットと携帯があるから麻帆良の外にも客がいる。

 

 次、監視。どこもかしこもなんか自主的に俺に張り付いていやがる。エヴァも同様だ。

 

 エヴァは有象無象なんぞ捨て置けって状態だし、俺もこの程度の視線、王になった当初に散々浴びたせいで慣れたわ。毎日盗聴器などを探す毎日だけど、進歩が無いな。

 

 なのでちょっとおちょくってみることにした。

 

「あー、あー、ゴミ虫共、聞こえるー? 君らがこうやってこつこつ無駄遣いした分の盗聴器は連日レポートを書いて学園長宛に届けていまーす。そろそろ危ないんじゃないかな? 以上、平賀からのご忠告でした」

 

 向こうで何かが動く反応があるな。阿呆共が。

 

 そう思い俺はコンセント型盗聴器の電源を抜いた。

 

 

 

「ひ、平賀君、ちょっといいかな?」

 

 なんか話しかけてきた。モブ魔法使い。名前も覚えていないのでその程度の扱いである。

 

「なんですかー?」

 

「ここではちょっと・・・・・・」

 

「いえ、盗聴器仕掛けてきた本人達がスタンバイしてるのに行くわけ無いじゃないですか。人払いでもなんでもかけてここでどうぞ」

 

 俺が呪いを張ればいい? 敵意を持った相手にそこまで親切にする必要を感じないな。

 

 俺がだらっとしていると物陰から数人の魔法使いが出てきた。ボイスレコーダーON。

 

「平賀君、今からでも遅くは無い。闇の福音(ダークエヴァンジェル)の再封印をするんだ!」

 

「何言っているんですか? 封印の解除は契約の履行に含まれているでしょう? 「正義の魔法使い」は平気で約束破るんですか?」

 

「だが、いつ気まぐれを起こして闇の福音(ダークエヴァンジェル)が暴走するか分からないじゃないか!」

 

「それは力のベクトルがどこを向いているかによるだけの話です。エヴァには誇りがあります。少なくとも小悪党ような騙し討ちはしません」

 

「何を根拠に!」

 

「あくまでたとえ話ですがね。あの封印、普通なら魔法の素養の高い子供を数人攫って来て生贄に使いますよ? それくらい性質の悪い封印を掛けられているんですから」

 

「! ・・・・・・平賀君、やはり君は危険だ」

 

「藪を突いて蛇を出すあなた方も十分危険だと思いますけどね」

 

「このことは報告させてもらう!」

 

「ああ、このことはしっかりと記録してありますから。どんなに脚色しようともう遅いです」

 

「ぐっ、それをよこせ!」

 

「おっと」

 

 俺は常に行っている身体強化により、余裕を持って掴みかかってくる阿呆を回避する。

 

「無駄です。それと、今の行動を敵対行動として認識します」

 

『ッ!?』

 

 3人居るが、どれも平均的な魔法使いだ。いくつかの無詠唱を使えればいいと言う程度。おまけに後衛しか居ない。

 

「エヴァ、これを学園長に」

 

 自分の影にボイスレコーダーを落とす。影から手が出てそれをキャッチした。

 

「正面から叩き潰せばいいものを」

 

「王たるもの愚民にもある程度は慈悲をくれてやるものだ。まあ、ここで引かぬなら何月かは固形物が食えない身体にでもしてやろう」

 

「ふん、手伝わんからな」

 

「このような瑣事、臣下にやらせるまでもない」

 

 あの国々を引っ張っていくにはある程度自分で出来ることは自分でやらないと手が回らなかったからね。

 

 久しぶりの王様モードで気分がノって来た。

 

「さあ、敵は一人ぞ。貴様等が俺を悪と断じるならば、この首を獲るがいい」

 

 普段と口調が違う? 王様だったからこんなノリも必要だったんだ。

 

「相手は一人だ! 闇の福音(ダークエヴァンジェル)もあの竜も居ない! 叩くなら今だ!」

 

「平賀君、君がいけないのだよ!」

 

「あの吸血鬼は封印しなければいけない!」

 

 俺のことを過小評価しているな。まあしょうがないか。普段手を抜いているし。

 

「メガトンパンチ!」

 

「風花 風障壁!」

 

 10トン程度なら防げるらしい障壁で防がれる。だが、こちらの手も2本あるのだ。

 

「キャッチ!」

 

 左手で魔法使いAの胸倉を掴み、そいつを盾にして魔法使いBに突進する。

 

「卑怯な!」

 

「この程度で卑怯とは笑止!」

 

「放ぜぇ!」

 

 胸倉を掴まれて息が苦しそうな魔法使いAを望みどおり魔法使いCにリリースしてやる。ただし頭から全力で投げた。

 

「おおらぁ!」

 

「うわぁ!?」

 

「ひぃ!?」

 

 あちらでは亜人ともタメを張れる腕力を持ってぶん投げたため、障壁などで防げば魔法使いAの命は危ないだろう。少なくとも首からぽっきりだ。

 

「この距離ではバリアは張れまい」

 

「ゲボァ!」

 

 石畳が砕ける勢いで魔法使いBにリバーブローを放つ。距離がゼロなため、対応することも出来ないようだ。

 

 敵意が減っているため確認すると、戦闘そっちのけで魔法使いCは魔法使いAに回復魔法をかけていた。

 

「ん? 加減を間違えたか? それともうっかり障壁でも唱えてしまったか?」

 

 ニヤリと嗤い戦意の確認をする。

 

「さあ、まだ貴様は五体満足ではないか。味方など後回しにしろ! 敵に集中しろ! かかってこい! ハリー! ハリー! ハリー!」

 

「うう・・・・・・」

 

 明らかに逃げ腰だ。

 

「貴様は正義の魔法使いなのだろう? 悪を許さないのだろう? だがその体たらくはなんだ? 正義が聞いて呆れる」

 

 なんかもうあれだ。直接相手にするのも面倒になってきた。

 

「クリエイトゴーレム」

 

 地面から犬型ゴーレムの群れを作り出す。

 

「貴様は糞だ。犬に食われて糞になってしまえ」

 

「うわああああ!?」

 

 とうとう仲間を置いて逃げ出した。

 

「行け」

 

 犬型ゴーレム達は声帯が無いのでうなり声を上げないものの、本物さながらの動きで魔法使いCに追いすがり、噛み付き、振り回す。

 

 流石に本当に殺すことは無いよう加減しているが、大型犬サイズの群れに噛み付かれたら無事では済まない。

 

「集めろ」

 

 犬型ゴーレムに命じて乱雑に阿呆共を集めさせた。

 

「イル・ウォータル・デル」

 

 てきとーにポーションをふりかけ、ヒーリングと言うハルケギニア魔法をかける。これは本来水の秘薬と呼ばれるポーションと併用することによって大きな効果を現す魔法だが、それは水の精霊の一部が無いと作れないため、ポーションで代用する。

 

『敵に情けとは甘いな。才人』

 

『エヴァか。今回は敵にトラウマを与えることが重要なんだよ。それに治療してやれば学園長も文句は言えないんじゃないか?』

 

 王様モードは終了だ。いつもの調子に戻す。

 

『まあ、お前がそう言うのならばそれでいい』

 

 エヴァのちょっと呆れた様子が伝わってくる。

 

 「次は殺す」と書いた紙を魔法使いのポケットに突っ込み、ゴーレムを砂にしてその場を後にした。




 警告はしたので本気にしなければ人死にが出ます。

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