自己満足の駄作ですが、生暖かく見守っていただけると幸いです。
誤字脱字、ここが変だなどと思われましたらご連絡くださいませ。
できる限り修正もしくは説明をさせていただきたいと思います。
それでは本文へどうぞ。
「うえええ……やっぱ不味いなぁ……」
ぷち、ぷちゅ、と口の中の虫を噛み潰す。静電気のようにぱちぱちとしていて舌が痺れるし味も酷いものだが、ないよりはマシだ。
次の虫を捕まえながら、私はこんな劣悪な生活に至った経緯を思い出していた。
私は、数週間前までどこにでもいるような女子大生として生きていた。生物学者になるという夢だって持っていた。
でも、それは数週間前までの話。
いつものように大学に行こうとしてダンプカーに轢かれたと思ったら、何か硬いもの(後にあれは卵の殻だと判明した)を突き破り化け物の目の前に転がり出たのだ。何か黒くて猫に嘴がついたみたいな顔のドアップが目と鼻の先にある。
当然、私はびびった。びびりすぎて声も出せず固まっていたのだが……。
「な、何この子!? あたしと色が違うじゃない!」
突然ギャウウウウ!!と目の前の化け物が吠えた。
食われる!そう思った私に、意味のある言葉としての副音声が頭に響く。は?日本語?
「こんなのあたしの子供じゃない!」
意味分かんない……とか何とか色々ぶつぶつ呟いたかと思ったら、混乱しきって硬直したままの私の首根っこを乱暴にくわえられて、これまた乱暴に放り投げられた。
あ。
この化け物、モンハンのナルガクルガだ。
そこで私の記憶は途絶えている。
「……はぁ、つまるところ私もナルガクルガなんだよねぇ……」
そう。人間であった私は、現在ナルガクルガとして生きている。
母親(とは思いたくないが)のナルガクルガは原種の黒色で、色が違うという言葉からは私って亜種なのかなぁなんてことも考えたけど、それも違う。
緑色の亜種でもなく、白いんだか藍色なんだか微妙な希少種でもない。
「空色ナルガって誰得……少なくとも私得じゃない」
捨てられたあの日から文字通り泥水を啜り、そこらへんの草やキノコを頬張り、虫さえも食べて生きてきた。意外とお腹を壊すこともなく、何とか生き永らえている。
今の私の住処はケルビやガーグァが長閑に餌を食み、ジャギィやアオアシラがそれらを食らい、浅い川や人間の村の名残も残っている場所の木の上。この世界が本当にあのモンハンの世界なら、たぶんここは3rdの渓流じゃないかと思われる。まあ、3rdしかやったことがないから予想でしかないんだけど。
でも、だとしたら他の肉食モンスターに見つからなかったのは本当に幸運だった。
私は子供だとはいえ、一応ナルガクルガでケルビ並みの大きさはすでにある。ずっと前に野草と虫だけのご飯に嫌気がさして、ガーグァを襲うために木の上からゲームで見ていた飛び掛り攻撃の構えをとった瞬間、ドスジャギィが群れを率いて現れたときは心臓が止まるかと思ったものだ。
「お腹空いたなぁ……あ、ガーグァ……」
私のいる木より少し遠くでガーグァが餌である虫をついばんでいる。虫だけで足りるなんてうらやましい。
私の体色は空色のため、本当のナルガクルガのように周囲の環境に溶け込むことはかなり難しい……つまり狩りをするのも難しい。今は私も小さいから何とか食いつないでいるが、それもいつまでもつか……。野草と虫だけではすでに足りなくなってきている。そろそろケルビやガーグァを狩ることが必要になるのに、私にはその力がないのだ。
別の捕食者に見つかる危険性と生命維持に必要な食事の確保……どうしよう。まだ死にたくない。死にたくないのに、死の危険性が消えない。死と隣り合わせ。これが、この世界の理なのだと分かってはいる。分かってはいるが、死にたくない。
まだ飛べないから、移動手段は地上と木の上のみ。もし獲物を狩れたとしても、この体格では持ち運べない。
「……その場で食べる、のは血の匂いで他のが来るな」
考えなきゃ。
ここはゲームじゃない。現実だ。食べなきゃ死ぬ。体はナルガクルガでも中身は人間だったんだから、頭を使うんだ。
「ジャギィに交渉を持ちかける? リスクが高すぎる、そもそも言葉が通じるかも分からない。 魚を取る? この体じゃ泳げないし、魚がいるのはジャギィの縄張りだ・・・どうしよう、一度には運べな……
じっ、とガーグァを見る。
丸々と太っていて食べるところはたくさんありそうだ。でも一度に運べて、即効でエネルギーになるのは?なるべく骨が少なそうで、今の私が簡単に噛み千切れる部分は…お腹だろうか。
「……た、食べたくない……」
生々しい想像をして、やっと気づいた。私は、あのガーグァを殺して食べるのか。あの柔らかそうな細い首に噛みついて、呼吸が途絶えたのを確認して、そうして。
腹を裂いて、食べるのか。
「…………………………たべなきゃ、しぬんだ…………」
その日、私は泣きながら血の滴る生肉や生暖かい内臓を食べた。
美味しくなんて、なかった。
美味しいだなんて感じてない、絶対に。
動物って色が違うだけでも育児放棄することがあるんですよね、悲しいことに。
一応浅い知識ではありますが実在する動物の生態を元に文章を書いていますので、モンスターの生態においてかなりの捏造が入っていく予定です。