ナルガクルガ変異種~空迅竜~   作:Acu

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ちょっと長くなりました。
そして今回、私の考えをつらつらと書き連ねましたが……あくまでも私個人の意見であり、不快感を感じられた方はこういう意見もあるのだとご容認くださいませ。


Act.3 「ご飯って美味しくて、感謝するものなのニャ!」

「……ニャ、ニャ……ニャ? ここは……?」

 

「あ、起きた? ここは私の寝床で、泡吹いて気絶しちゃったから連れてきた「ニャニャニャニャルガクルガニャー!! たたたた食べても美味しくないニャ! 助けてくださいなのニャアアアアア!!」ん……だけど……」

 

 ……うん。分かってた、分かってたけどこの反応は……。

 

「折れた折れたよポッキリ折れた心が折れた何これ泣いていい?」

 

「食べないでー!! …………って、何で泣いてるニャ? ……ハッ、竜のナミダは高く売れるのニャ!」

 

「…………意外と図太いよね、きみ……」

 

 

*****

 

 

「――――……だから、子供だけど1匹で暮らしてるんだ」

 

「えっ、それじゃあお母さんに捨てられちゃったのニャア……? 今までよく生きていられたニャア……すっごくがんばったのニャ、えらいえらいなのニャ!」

 

「あ、ありがとう……でも、何か子供扱いしてない?」

 

「そりゃそうなのニャ。 だってあんたの話からすると、あんたってまだ1歳にもなってないニャ? だったらボク2歳だし、ボクのほうが年上なのニャ! つまりお兄ちゃんなのニャ!」

 

 ボクの言葉にショックを受けるナルガクルガ。

 自分よりちっちゃいからって甘く見るなってことニャ!……ボクとしてはこんなに大きいのが年下だなんて信じたくないのニャ……でも、ボクだってもっとおっきくなれるハズ……。

 

「……にしても、何であんまり血の匂いがしないのニャ? ナルガクルガって肉食なんじゃないのニャ?」

 

「………………私もガーグァとか食べるけど……」

 

 うん?どういうことニャ?

 ボクより何倍も大きいナルガクルガは、何だか言いづらそうにモゴモゴと口篭り、それに加えて耳がしょんぼり垂れてしまっている。

 

「普段はキノコとか虫とか食べてて……ガーグァとかは1日1匹だけって決めてて……」

 

「ニャニャ? 何でそんなこと決めてるのニャ? きちんと食べないとおっきくなれないのニャ」

 

「だ、だって……私が食べるのってことはつまり……殺すってことなんだよ?」

 

「…………ニャ? 意味分かんないニャ」

 

「え……? ええと、こ、殺すっていうのはさ……」

 

 いやいや、言葉の意味くらい分かるのニャ。ボクが言いたいのは、

 

「いやいやいや、何アタリマエ(・・・・・)のことを言ってるのニャ」

 

 ぽかーんと間抜けに口を開けたまま、ナルガクルガは固まってしまった。

 でもボクは空気の読めるKYメラルーなので、ここはグッっとガマンする。

 

「……ニャブフォッ!」

 

「………………」

 

「ニャッフフフ……あっ…………」

 

 …………そ、そんな冷たい目をしないでほしいのニャ……。

 

「……ゴ、ゴホンッ! マジメな話、ボクたちはベジタリアンなわけじゃないんだから、殺さずに食べるなんて無理に決まってるのニャ」

 

「で、でも……」

 

「それとも何かニャ? 命には価値があって、虫とガーグァじゃ命の価値が違うっていうのかニャ?」

 

 少しギモンに思ったことを尋ねると「え」と、か細い声を漏らした。

 ボクにはよく分からないニャ。どうして虫を殺して食べるのはいいのに、ガーグァを殺して食べるのはダメなのか。ボクたちメラルーだって魚や肉を食べるし、大きい獲物を狙えないワケアリの竜に襲われたりすることもある。

 

「そっ、そんなことは……っ命の価値なんか皆同じだってことは分かってる! でも、でもっ! 言葉が通じるんだよっ!? それでも殺せるの!!?」

 

「……………………はぁ…………だったら野垂れ死ね(・・・・・)ばいいニャ」

 

「…………は?」

 

 ほんとに変なナルガクルガだニャー……。

 

「確かに食べるわけでもなく、何かを守るためでもなく殺すのは最悪だニャ。 そもそも、殺された側からしてみれば罪悪感なんか持たれたって迷惑ニャ。 だって謝ってもらったって死んだヤツは生き返らないし、謝るくらいなら最初っから殺すなって話なのニャ。 それに、生きるためにお互い必死で逃げたり襲ったりするのはアタリマエで、みぃんな納得してることだニャ」

 

 

*****

 

 

「……それとも、キミは生きたくないのニャ? ここまで言っても分からないなら、この先生きていけないニャ。 というか……他の竜とかに食べられちゃうより、今のうちに死んどいたほうが楽だと思うニャ」

 

 野垂れ死に。

 それはこの、私よりはるかに小さいメラルーから飛び出た言葉。

 そして、私の根底を揺るがす言葉でもあった。

 

 私は、死にたくない。人間ではなくなってしまったけど、生きていたい。

 だからこそ嫌だった食事(生き物を殺すこと)をしてまで生き永らえてきたのだ。それに、どうして忘れていたのだろう。確かに私は日本人で女の子ではあった。でも、それはもう過去の話で……今は迅竜ナルガクルガで。

 

「……うん、私、自分の好みで命の価値を決めてたのかもしれない。 虫もガーグァも生き物だしね。 この世界が、生きるために必死で足搔かなくちゃいけない世界だってこと……生きたいなら余計なことを考えちゃいけないってこと、何で忘れてたのかな……」

 

「……別に、その思いが悪いとは言わないニャ。 というかどうせなら、感謝してほしいのニャ! ちゃあんと感謝して美味しく食べるのニャー!」

 

 感謝……感謝かぁ……「ありがとう」なんてもう、ずっとずっと言ってないなぁ。

 思わず苦笑が零れる。

 

「メラルーくん」

 

「ニャ?」

 

「ありがとう」

 

「……ちゃあんと美味しく食べて、これからも生きてくニャ?」

 

「うん……ガーグァってジューシーで美味しいよね」

 

「どういたしましてなのニャ! ガーグァはジューシーだし、ケルビはさっぱりしててヨダレが出ちゃうニャア……ほーんと、渓流最高ニャ!」




話がなかなか進んでませんが、主人公の中身は一般的な現代日本人女性だということでの葛藤をどうにかするために必要なお話でした。
これ、どうにかしないと近いうちに主人公が飢え死にしちゃうので……(´ω`;)

……虫を殺すのは簡単にできますけど、鶏や豚を殺すのってすごく抵抗感や罪悪感があると思うんです。
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