荷物置き場に使っているマンションの存在がSさんにばれてしまい、行ってみたいとか言い出した。
あきれるほどの危機管理能力の低さである。
まぁ、イケナイイケナイをした場合、私は逃げられない訳だから危機管理能力が低いわけではない、とか思ってそうだ。
本当にそうだろうか。
確かに今回は急遽借りたし逃げる予定はないので本名で借りている。何かあっても逃げることはできない。
だが、悪いことをする予定があれば世の中ごまかす方法はいくらでもあるのだ。
ずっと昔、通信料で元を取る考え方から今より携帯電話が安く買えた頃、郊外型電気店の入り口などで「携帯電話1円キャンペーン」を良くやっていた。
ちょっと実験用の携帯電話が欲しかったので、そんな携帯電話を購入し、翌日解約。
数ヶ月後、仕事で必要が生じプリペイド携帯を買おうとしたら審査で撥ねられた。プリペイド携帯なのだから販売上問題ないはずなのだが、そのキャリアのブラックリストに載っていたらしい(店では「理由はわかりませんが、審査に通りませんでした」と言われた。バイトすればわかるが、一応審査が通らない理由はわかる)。
買えなくては話にならないので、別の店で買った。
ブラックリストに載っていたのになぜ買えたのか。
ブラックリストに載っている住所氏名と違えば買えるのだ。
ああいう店では本人確認を免許証で行うが、運転免許証でなくても保健証でも可能なのだ。保健証の氏名欄にはふりがななど書いてない。私の本名の最後の文字は、普通に2通りの読み方ができ、どちらも違和感なく読むことができる。そして、当時引っ越したばかりで保健証の住所は訂正前であった。
2軒目は楽勝で買えましたよ。
でもこれは、結局本人が購入していることに変わりない。
ずっともっと昔、タイのチェンマイと言うところに玉岡敏雄(たまおかとしお、仮名)というおっさんがいた。
チェンマイでバンコクに売られそうな極めて若い娘を集めて、世話をしていた。
昔の日本で言うところの大富豪のお妾さんのようなものだろうか。玉岡氏は社長として結構な額を持っていたようだし、当時はバンコクでも150円も出せば豪華な食事ができたから、田舎のチェンマイなら感覚的に大金持ちである。当時タイの男の月収が5000円くらいのところ、5~50万円で買った彼女たちには8000円近い月給も払っていたのだから、女の子たちやその親はそれなりに満足して生活していたという(後に玉岡氏はタイ警察に逮捕されるのだが、親たちはその時の保釈金を払っている)。
しかし、その金は「白い粉」の商いで得たものだったらしく、公序良俗を乱したとして強制送還。そして、玉岡氏はタイに入国できなくなった。入国しようとしても、入国審査で見つかって入れて貰えない。ビザが降りないのだ。
だが、チェンマイではやり残したことがあるし、第一女の子たちが待っている。
白い粉の売買による服役後、玉岡氏はパスポートを取り直すことにした。
パスポートの申請書類に氏名の読み方が書いてあるものはない。発行の申請書に自分でふりがなを振るだけだ。
玉岡氏は「ぎょくおかはるお」と言う名で申請、受理された。
タイの入国審査官がエリートでも、漢字は読めなかったのだろう。おそらくブラックリストに載っているTAMAOKATOSHIOとGYOKUOKAHARUOが一致しなかったので、タイの入国審査を通ってしまった。
漢字が読めないのをバカにしてはいけない、日本だってタイ語を読める入国審査官は多くない。
実際にこんなことをしてバレれば旅券詐称で捕まるが、日本のパスポートは人気があるので売っぱらってしまい、入国中にパスポートを紛失したことにして別の名前で再発行して貰えば(手口は省略)、別人のできあがりだ。
だから、別人として賃貸契約をした部屋で何かあっても、本人に追求は及ばない。部屋にコロコロが置いてあるのは綺麗好きなわけではなく、髪の毛が落ちたままにしておくのを防ぐためかも知れない。
なお、為替レートは1バーツ=15円で計算、当時は1$=約300円