深い深い、光も届かない地下奥深く。
コンクリートの壁に囲まれた一つの部屋。
その中央には微かな光で照らされている生体ポッドが一つ。
その中には膝を抱えて眠る銀色の髪をした肌白い少年がいた。
――曰く、彼は試験管の中で生まれた試験管ベビーらしい。
――曰く、彼は手違いで生まれた失敗作らしい。
――曰く、彼は同じ姿形の姉がいるらしい。
しかし、それらの真実を知るのは彼を作った研究者たちだけたちだけ。
だが、最近その研究所が何者かによって破壊尽くされ崩れてしまいなくなった。ひとつの部屋を残して。
しかも彼を知っている研究者も含めそこで働いていたけ研究者たちは何者かによってこの世から排除された。
それから数日後。
研究所が何者かによって破壊尽くされ崩れてしまった後も残ってしまった部屋。
その中央に膝を抱えて眠る少年の目がゆっくりと開く。
それは、少し暗い青色の右目と金色の左目のオッドアイ。
その目はとても深く海の底を思わせる暗い目をしていた。
その目で少年は周りをキョロキョロと見回した。
そしてと”時は満ちた”と言わんばかりの獰猛に口を歪ませ笑った。
瞬間、無音だった部屋にビキッ、とガラスに亀裂が入ったような音が響く。
――ピキ......ビキキ......パリン
生体ポッドが破れ、少年を保護していた水がいっきに外に流れ出す。
ベチャッ、と外に流れ出す溶液と一緒に生体ポッドから飛び出し床に地面に這い蹲る少年。
白く細い足でヨロヨロと立ち上がる。そして――笑った。
「......アハッ♪......アハハハ......アハハハハはははははははハハハハハッッッッッ!!!!! 」
薄暗い部屋に狂ったような笑い声が響きわたる。
「ハハハハ......は...は......だな......」
やがて笑い声が消えると少年は俯きブツブツと呟き始めた。
「アレだな。何かが俺の中から溢れてくる。囁いてくる。『すべてを壊せ』と。そうするのもいいな。だが俺にはまだまだ知識が足りない。さあ! 教えてくれよ世界! 何者でもない俺が俺であるためにッッッ!! 」
少年がそう叫んだ瞬間、少年の体が光り出し薄暗かった部屋を眩しく包み込む。
光が収まりそこに佇んでいるのは、何かを纏った少年。その何かは黒く暗く深い色をしており、顔も含めて何かに包み込まれ、手には2mはある長方形の大剣。
「......あ?」
少年も状況を判断してないようで自身の体に目をやり首を傾げた。
ズキンッ
「ガッ!?」
突如として頭の中で波のように襲ってきた『情報』。
『インフィニット・ストラトス――通称【IS】。
『IS機体名――【 】
IS機体ナンバー―467号機
開可能武装一覧――大剣【ベルセルク】
単一仕様能力――【狂鬼神ノ一撃】』
そんな情報が流れ出し頭に痛みが走る。しかし数分後には口元を吊り上げ、笑っていた。
「......へぇ? 女性にしか使えないじゃなかったのか?お前ら」
『はい。私達はそう設定されています。』
ISから女性の声が発せられ、少年は目を見開いた。
「お?喋れるのか?」
『はい。最後に作られた私だけが感情を持つことができました。そのため私は、私が思うままに此処に来ました。』
△▽△▽△▽△▽△▽
「......お前は」
『何でしょう?』
「お前は、なぜ俺のところまで来た? こんな試験管の中で作られた怪物の何に惹かれたんだ? 」
『......そうですね。あえて言うならば、貴方の【意志の強さ】でしょうか。』
「意志の強さ? 」
『はい。えっと......その......正直言いますと【一目惚れ】のようなもの、です。』
「......プッ...クフッ......あはははははは!!! なんだそりゃ! 」
『わ、笑わないで下さい! いいじゃないですか!機械ですが私は【女の子】なんですよ? 【恋】の一つや二つ、してもいいじゃないですか! って、いつまで笑っているんですかぁ!? 』
「ククッ......悪い悪い。まあ、今はお前が必要だ」
『あ!告白ですね!』
「なんでそうなる......それよりもだ、こんな場所から出たいんだが......いけるか?」
『いやん♪そんなに求められたら興奮しちゃいますよぉ〜♪』
なんだコイツ。体をクネクネしてる姿が思い浮かぶくらい気持ち悪いな。
「よし、今すぐスクラップにしよう。この変態」
『わあああ! ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃ! 調子のってすみませぇぇぇん!! だからスクラップにだけはぁぁぁ!!! 』
「ふん。で、どうなんだ? 」
『え、え〜と......脱出ですか? 私の【単一仕様能力】でしたらここら辺一帯をぶっ飛ばせると思いますよ?』
「あ?単一仕様能力?なんだそれ」
『えっとですね......』
単一仕様能力はISが操縦者との相性が最高の時に自然発生する固有の特殊能力で通常ならISが第二形態から発現するらしい。
んで、コイツの単一仕様能力は『狂鬼神ノ一撃』っていうもので、一時的に攻撃力、機動力を共に底上げするだけだ。だがコイツが言うにはいろいろとヤバイらしく、シミュレーションで見せてもらったが驚いたぜ。発動したら赤黒い蒸気らしきものを全身から吹き出し始めて、手に持つ大剣を全力で地面に振り下ろすと約半径1kmに渡り巨大なクレーターが深々とできてたんだから。
ただ、発動後は高確率でオーバーヒートしてしまうようで、あまり使わないようにと念を押された。それに操縦者の負担もヤバイらしい。
まあ、当たり前か。
「大体わかった。だが第二形態からしか発現するものが既に出てきてんだ?」
『え? 何言ってるんですか? 私はもう貴方にメロメロなんですよ? 最初から相性なんて最高に決まってるじゃないですか』
......だそうだ。調べてみるとIS適性【S】......S!?
『えっへん! 私が選んだんですよ? 』
当たり前だと言い放つコイツ。あ、
「そういえば、お前名前が無かったな」
『人の事言えませんよね? 』
「いや、お前人じゃねえだろ。それに俺は一応『遺伝子強化試験体C-0040』ってのがある。そういや、俺の後には造られてないみたいだな」
『はい。一応造られていたみたいですが全て殺処分か、この前私たちの
「......」
『情報では貴方のその目......ヴォーダン・オージェが後の2人にも埋め込まれているようです。』
「ヴォーダン・オージェ?」
『はい。越界の瞳とも呼ばれています。これはISの適性向上と超高速戦闘状況における動体反射を目的とした、肉眼へのナノマシン移植処置を施したモノですね。使用すると視覚能力が数倍に跳ね上げることもできます。ISと一緒に使用しますと大体2kmさきの目標も狙えますね。』
「へぇ?デメリットはあるのか?」
『えっと、左目が変色して制御不能になりますね。常時発動ですので、他の2人はバイザーや眼帯で抑えているようです。後は脳の視覚信号の伝達速度を高速化してますので負担がかなりありますね。』
「あ? 今は普通に見えてるぞコレ』
『は? いやいやそそんなハズは......えぇぇぇぇ......なんでオンオフ可能になってるんですかぁ......』
「しらねぇよ。気にすんなよ。俺も気にしねぇから」
『いやいやいや、気にますからね!? 大問題ですよ!? 』
「はいはい。とりあえずお前は【ケーニギン・オルクス】だ。それで登録しとけ」
『あ、はい......え? 』
「ふむ。【冥府の女王】ってところだな」
『え、私の名前ですか!? 』
「ああそうだが? 何か不満があるのか? 」
『い、いえ、違うんです! 』
「そうか。......なぁケーニギン・オルクス...呼びにくいな。ケーニ...よし、それで行こう。で、ケーニ」
『あ、はい。私がケーニギン・オルクスのケーニです! お名前ありがとうございます! 』
「喜んでくれて何よりだ。で、ケーニ。これからずっと一緒なんだ。"俺だけの女王"としてしっかり頼むぜ」
『お、"俺だけの女王"......ハッ!! 告白ですね! 』
「ああ、そう認識しとけ」
『早い! 決断が早いです! でも、そこに痺れるぅ! 憧れるぅ! それに嬉しいです! 』
俺のパートナーで相棒。長い月の付き合いになるんだから、よろしく頼むぜ? ケーニ。
『キャアアア! やりましたよ! やりましたよぉぉぉ! これで私達は恋人......ふへ、ふへへへ......』
うん。流石にそこは直してもらわないとな......直るか?
後は俺の名前だが......
『あ、それは私が! 』
ん?
『そうですねぇ.....【クリーク・バルツァー】とかどうです? 』
「よし、それで行こう」
『やっぱり決断が早いです! そんな貴方も大好きです! 』
考えんの面倒なだけだよ。
――さてと。
「ケーニ。そろそろ出るぞ」
『オーケーです! 準備は整っていますよクリーク』
「上出来だ! 単一仕様能力【狂鬼神ノ一撃】発動! 」
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20○○年○月○日。ドイツ国の森林の半分が何かの大爆発により消し飛ばされ大きなクレーターを作った。原因は不明。被害者0人。損害は数億円にもなったという。