新訳 東方紅魔記   作:ぐれにゃん

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決断

(これはっ!?お父様は全て知っていたの?・・・だとすれば、なぜ私達を放っておいたの・・?)

 

『レミィ?今はもう夜中。いつ主様が仕掛けて来てもおかしくはないわ?しかも、今日の月は満月。吸血鬼にとって最高の条件・・・。』

 

(……確かに。この書状を私達に見せてくる以上。これは宣戦布告。アクションは今日と見て間違いないわね。)

 

『パチェ?お父様が私達を泳がせた理由はなんだと思う?』

 

『・・・娯楽。』

 

『・・慌て、恐れる私達を見て楽しんでいるといった所かしら?私達の命を賭けた覚悟は、主様にとっては余興の一つということ・・・・のようね?』

 

するとパチュリーは指から炎を出し、天井を目がけて打った。

・・・ッ!?

 

パチュリーが魔法を放った先から焼きついたコウモリが一匹、レミリア達の目の前に墜ちてきた。

 

(これは・・お父様の・・・。いつの間に?)

(・・いや、もう詮索する時間はないわ・・。月が見え初めてもうかなり時間が経っている)

 

『今まで好きにさせていたその慢心・・後悔させてあげましょう?レミィ?咲夜?美鈴?フラン様?・・・後、こあ?』

 

『そうですよ!お嬢様には運命を操る力があるんです!それがあれば!ねえ?美鈴?』

 

咲夜は、自信に満ち溢れた表情で美鈴に同意を求め、美鈴もそれに頷いた。

 

・・・・。

 

『あなた達。こんな嘘みたいな力を本気で信じて、命を賭けてまで私の言うとうりにするの?』

 

(この力の確信はある。・・だけど正直、この力に全て頼るのは怖い、というのが本音だ。)

(もしかしたら、この力が狂い誰かを殺すことになるかもしれない。それは私が殺すも同意。・・・読み違いは出来ない。私は確実に一番いい未来を選択出来るのか・・。)

 

『レミィ?今更何言ってるの?貴女は私達の頭。そして・・・この紅魔館の次期当主になるのよ?黙って、私に従えといえば、皆従うわ?・・皆、貴女を信じてるし、貴女に仕えると決めたのだから。』

 

咲夜は、当然!と言わぬばかりに頷く。

 

美鈴はフランをチラ見し、頷く。

 

・・・小悪魔も周りを見て慌てながら頷く。

 

・・・・。

 

(そうね・・弱気になってどうする?・・私は皆を守りたい。皆と一緒に居たい。皆と新しい紅魔館を築く!・・・自信を持ち、この力に賭けるしかないわね。私がしっかりと皆を導かないと!)

 

『・・わかったわ!パチェ!戦闘の配置を決めて!?そこからその決断した場合の未来を私が見ていくわ?最良の手でいくわよ!』

 

『そして、最高の結末を!』

 

パチュリーは頷く。

 

レミリアの覚悟で皆の士気は最高潮に達した。

 

『美鈴の治癒は全快には間に合わなかったけど、少数の兵を相手にするくらいなら美鈴の力なら問題ないわ。・・フラン様を守る手もいる。美鈴、こあ、2人はここで押し寄せるであろう兵を迎え討ち、時間を稼ぐ。・・・残りのレミィ、咲夜、私で主様を討つ!というのが戦力の分配としては最良と思うけどどうかしら?』

 

それを実行すると言う事を強く想い。

レミリアは運命を見てみた。

 

(・・・私達が傷だらけになりながらも父を倒す光景が見える。この様子なら三人でギリギリのようね・・でも・・・勝てる!)

 

(いける!これなら!)

 

・・・!?

 

同時に妃に美鈴と小悪魔が殺されて、フランが号泣している姿が見えた。

 

(・・・そうだったわ。妃・・彼女もいた。彼女までもが参戦するとは、・・・父もどうやら本気のようね。)

 

『・・・パチェ。それは駄目よ?相手には妃もいるわ!フラン達が危ない!』

 

『そう。この戦い、彼女も動くのね。・・・まさに全面戦争ね。・・じゃあ、咲夜か私、どちらか1人、守りに当たりましょう』

 

・・・・。

 

・・・・。

 

『それでも駄目!その戦力ではどちらがいっても・・・まだ妃を倒せない!』

 

 

『・・残りの配置は。・・・全員で待ち受ける。・・・これは再生能力を持つ二人同時相手にはとても無理。交互に攻撃され、全滅は免れない。レミィの予知がなくても解るわ。・・・・となるとレミィが1人、主様に・・残りは皆で妃様・・・。』

 

・・流石に無理がありそうだが、レミリアは皆の為にとその決断を想い運命を見てみた・・。

 

案の定、主に串刺しにされてたレミリアが見える。

妃のほうはなんとかなったみたいだ。その証拠に、いないはずの咲夜とパチュリーが、傷だらけながらも駆けつけている。そして、号泣しながら咲夜が主に時間を止めて攻撃を仕掛けていた。

 

・・・ここまでだった。

 

『・・どう?レミィ?やっぱり貴女一人じゃ・・』

 

・・・。

 

 

パチュリーはレミリアが、どんな結末を見たか安易に予想が出来、ウロウロしながら考え込む。

他の皆も同じく予想は出来ていた。

 

・・・。

 

(・・ごめんなさい・・・皆・・・)

 

『パチェ!?なにいってんの?』

『え?』

『それよ!それだと妃も倒せて、咲夜とパチェがこちらに間に合ってお父様を倒せるわ!……誰も死なずに!』

 

・・・私は。

 

・・嘘をついた。

 

(信じる皆を裏切り・・ でも・・・他にも色んな方法で運命を見た。だけど・・・どうしても・・・何度見ても。)

 

(・・・私以外の皆が生き残る道はこれしかなかった。これならその先、咲夜とパチェが倒してくれるかもしれないという望みもある・・最悪でも、妃もいなくなりフランは大丈夫であろう結末だ)

 

『レミィ・・』

 

そんなわけがない。

パチュリーの計算では、どうやっても、それまでレミリアが保つとは思えない。

あり得ない。

 

主の力を知る美鈴も半信半疑だ。

信じたいが信じれない。

自分が二人いるかのように。

 

咲夜は少し泣いている。

彼女はレミリアの事をよく解っている。

力に慣れない自分の非力さを恨んでいた。

 

『貴女達?なんて顔してんの?私は貴女達の主で、貴女達は私を信じるっていったでしょ?私はそんなに頼りない?』

 

『貴女達が心配するような事はないわよ?私が時間稼ぎだけに徹してひたすら守りを固めたら、咲夜とパチェが間に合うんだから!・・逆に貴女達の頑張り次第なのよ?私にしんどい思いさせたくなかったら、さっさと妃倒して来るのよ?』

 

『貴女達は黙って私を信じなさい!いい?』

 

レミリアは笑顔で言った。

 

 

・・・だが、心では何度も謝った。

・・・何度も。

 

(ごめんなさい)

(ごめんなさい)

(ごめんなさい)

(ごめんなさい)

 

(こんな私を信じてくれる仲間を私は騙して・・。嘘を・・・。)

 

『そうですよね?お嬢様が私達に嘘は言いません!』

(咲夜・・・ごめんなさい)

 

『そうね。運命を見れるレミィが言うんだから、それが正解よ。』

(パチェ・・・ごめんなさい)

 

『そうですよ!レミリア様が言うんだから、それがなんであれ私達は信じて従うものですよ!』

(美鈴・・・ごめんなさい)

 

『お姉様、早く終わらして皆で一緒に遊ぼう?』

(フラン・・・・・ごめんなさい)

 

(皆、ごめんなさい・・)

 

レミリアは自分を大切にしてくれる仲間達を騙し、自分の死ぬ未来を選んだ。

だが、皆への罪悪感はあっても、自身の未来について後悔はしてなかった。

・・皆を守りたいから。

・・その可能性が少しでもあるなら。

・・・ただ、それだけだった。

 

『・・さあ、いくわよ!?』

 

『はい!』『はい!』『ええ!』『うん!』

 

レミリアは腹を括り、図書館を飛び出した。

図書館の周りには既に大量の兵が取り囲んでいた。

まずは全員でその兵を一掃し、レミリアの道を開けた。

 

 

月は完全に登りきっていた。

 

 

 

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