新訳 東方紅魔記   作:ぐれにゃん

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十六夜様は、全く来なくなった。メイドも来ない日が続いた。

私はそれでもいつか十六夜様と会った時の為、ひたすら知識を得ていた。

 

そんな時、一人の女と出会った。

スカーレット伯爵の側室。スカーレット妃。

顔合わせということで、十六夜様が連れてきた。

・・だが、その女からは、常に十六夜様に対しての殺気に満ちていた。激しい嫉妬の念を感じた。

私は、この女が嫌いだった。

 

変わらずに研究は続けた。

 

メイドも、全く来ないようになっていた。身の回りの世話は、使い魔が全てやってくれていた。

いつからか私は感謝の意味を込めて、この使い魔の小悪魔のことを[こあ]と呼んでいた。

 

そんなある日、久しぶりにメイドが来た。私は嬉しくて、すぐに研究を中断して休憩をとるようにした・・・。

 

でも、メイドから聞いた話は、いつものくだらない話じゃなかった。

 

 

・・十六夜様の死。

 

・・お嬢様二人の幽閉。

 

私は信じれなかった。だけど、メイドは嘘を言っている感じではなかった。

そして理由を聞く間もなく、自分はもうここには来れない。

それだけを伝えメイドはいなくなった。

・・彼女の目はなにかを決心していた。私は動揺して混乱していた。ろくに頭が回っていなかった。

落ち着く為、こあに紅茶を入れてもらい、ひとまずそれを飲んだ。

 

・・・紅茶が塩っ辛かった。

 

わたしは、涙を思い出した。

 

喜怒哀楽の全てを教えてくれた十六夜様の死。

 

・・私を廃人にさせるのには、それだけで充分だった。

 

今はなにも考えたくなかった。

 

・・しかし、無意識のうちに書物を読んでいた。十六夜様の為に知識を得る。それが生きる原動力だった私は、体が勝手にそうしていた。

 

そんななか、あの女が来た。

 

・・・スカーレット妃だ。彼女は、書類の山を私に突き付けた。

 

『これを黙ってやれ』

 

軽く目を通す・・・表向き、吸血鬼を生かす手順、だが裏は吸血鬼を殺す手順だ。一通り目を通したら、妃が話し掛けてきた。

 

『これを見て、なんだと思う?』

 

『吸血鬼、いや、お嬢様二人を殺す算段・・』

 

正直に私は答えた。

妃から鋭い視線を感じた。

 

『賢すぎると、早死にするわよ?・・これは不老不死の手法・・・分かるわよね?・・メイドからも聞いたわよね?十六夜はなぜ死んだのか解るかしら?』

 

(十六夜様・・・ッ!?十六夜様もまさかこいつに!?)

 

怒りで狂いそうだった。

 

・・・しかし、私はそれよりスカーレット妃に対しての恐怖の方が強かった。

・・・死ぬのが怖くなっていた。

楽しい日々、幸せな日々を覚えてしまったことで、それを失うのが怖く・・・。

 

十六夜の子供、レミリア様だけでも守る為。真相を明かす為。十六夜様の言い付け通り、全ての知識を得る為。

 

そう自分に言い聞かせ。

 

・・・・私は・・・了承した。

 

 

ひたすら自分に生きる理由を言い聞かせ。実験、研究を始めた。

 

・・・・。

 

(・・・嘘!!本当は、ただ!死にたくなかった!!妃が怖かった!!もっと生きたかった!!それだけの理由。保身だけを考えての了承・・・・)

 

私は後悔し続けた。実験の穴を探し、嘘の理由を本当の理由にしようとした。

・・レミリア様だけは殺させない。

・・この知識を全て得るまでは、自分も死ねない。

・・そして、十六夜様の仇。私から全てを奪った妃を殺す。

この3つの誓いを生きる糧とし、私は研究を続けた。

・・・そして、ついに研究は終わり、レミリア様の人体実験の日が来る。

・・確実に失敗する実験。

・・確実に死んでしまう実験。

・・行わなければ自分が死ぬ実験。

 

(この土壇場が来るまで、なにも出来なかった自分をお許し下さい。・・レミリア様。・・そして十六夜様。・・・しかし!必ず貴女の忘れ形見レミリア様は殺させません!貴女に頂いたこの知識。必ず役にたてます!レミリア様を生かし、この知識を貴女の代わりにレミリア様に伝え、貴女の仇を討つ!)

 

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