咲夜の力
【図書館隠し部屋】
パチュリーは美鈴の傷を癒す為、治癒魔法をかけていた。
!!?
『なに?この傷?見た目は大した事なさそうだけど、内部はぐちゃぐちゃよ?とても歩けるどころか生きていれる状態じゃないわ・・・貴女、一体・・?』
『ははは・・それはですねぇ・・・』
美鈴がチラッと咲夜のほうに目をやり、パチュリーも咲夜を見た
『咲夜・・・それは・・。』
咲夜はニコりとしながら空のビンをプラプラさせながらパチュリーに、見せていた。
それを見たパチュリーは難しい顔をして溜め息をついた。
『・・はぁ。・・貴女、そんな危ないものを・・・。なんでもっと早くいわないの?危うくこの子、永遠の苦しみを味わうとこだったじゃない』
『え?』
訳が分からず驚く美鈴。
クスクス笑う咲夜。
呆れるパチュリー。
『パチュリー様?あれって、ただの麻痺薬じゃないんですか?』
『・・あの薬はね?半分死者蘇生、つまりゾンビ化させるような薬なのよ?あなたの痛みを麻痺させていたのは薬が細胞を殺していたから、だから当然少なくなった細胞に負担かければ麻痺より痛みがくる、そして細胞を全て薬により殺された時、つまりは薬の効果が切れたという時は・・・死。』
『・・ではなく薬の効果で殺された細胞だけで生きる生きる屍・・・つまり、ゾンビになるの。そしてそのゾンビになった者は意識と死んだ時の痛みだけが残る、死なない体なのに永遠に死ぬ痛みを伴い続けるのよ。』
・・・ッ!!?
『え?・・えええぇ・・・!?』
私は聞いてない!といわんばかりに美鈴は咲夜を睨み付けた。
咲夜はそれに気付かないふりをして相変わらず顔は、にやついていた。
パチュリーも蔑んだ眼差しを咲夜に送りながら
『あの薬・・・だいぶ前に十六夜様が薬の開発自体を中止し、薬どころか資料すら抹消されてたはずなのに、貴女は・・・』
『・・・あら?そんな危ない薬だったの?』
惚ける咲夜。美鈴は相変わらず睨み付けてる。
『それに、美鈴だって私に確証もないのにお嬢様は生きている!なんていってたし、薬のおかげで生きてるんだし、おあいこよ!』
睨む美鈴を見ながらクスっと笑う咲夜。睨んでいた美鈴の表情が驚きに変わる。
『・・・え?なんでわかったんですか?』
『貴女、お嬢様に本人かどうか確認したでしょ?忘れたの?』
頭を掻きながら申し訳なさそうにする美鈴。
『もういいかしら?』
一連の流れを黙ってみていたレミリアが遮る
『結果、美鈴は助かったんだし、次は私の質問に答えてくれるかしら、咲夜?』
『はい、なんなりと』
『貴女に私の知らない力があるとパチェがいってたのだけど、どんな力なのかしら?』
『これのことですね?』
おもむろに咲夜が懐中時計を取り出した。
(懐中時計??)
カチ
・・・ッ!?
(・・消えた!?)
懐中時計を見せていたはずの咲夜が一瞬のうちにレミリアの目の前から消えた。
レミリアは困惑した。
『お嬢様』
『ワッ!』
突然後ろから耳元で囁く咲夜に驚き、レミリアは思わず声がでた。
そして慌てて後ろを見た。
カチ
!!?
後ろには咲夜の姿はなく、前を向き直すと、今度はいつの間にか、正面。
・・元居た場所に咲夜は居た。そして、机の上にあったなにも入ってなかったはずのティーカップの上にお茶が・・・・。
(・・これは・・・)
『貴女・・・まさか時間を止めれるの?』
半信半疑・・・だが、それ以外に考えられなかった。
・・咲夜は驚きながらも嬉しそうな表情になり
『流石は、お嬢様。あれだけで見抜くとは、どこぞのダメ妖怪とは違いますね?』
美鈴がムッとしながら咲夜を見ていた。
『・・でも、確かにそれは凄いわね?それがあればお父様を倒すのも容易なんじゃ?時間を止めてるうちに刺し殺せばいいのだから。』
(こんなチートな力・・・私も含め、お父様だけではなくこの世の誰も勝てないだろう・・。)
『お言葉ですが、お嬢様。・・実はこの力には制限、というか欠点がございまして・・』
(・・欠点?この完全無比な力に?)
『まず、時間を止めている時、生物に対してはその生物に変化が起こることは出来ません。・・例えば止めた隙に刺す殴る等、髪を切ることすら。なのでギリギリまで攻撃を寄せることは出来ますが・・』
カチ
瞬間、美鈴の顔の約1センチ前にナイフが!
カチ
・・・なくなった。
『このように、影響を及ばさない状態までなのです。ですから、仮に主様やレミリア様のような強者に先程のようなことをしても、常人離れした反射神経でコウモリになる等で回避されるでしょう。』
・・・美鈴が涙目でレミリアを見ていた。
『・・なるほど。よく分かったわ。・・でも、それでも充分な力だわ。』
『恐れ入ります』
『もう1ついいかしら?』
『はい。いくらでも。』
『・・貴女・・・何歳?』
『はい?』
『だってお母様の妹でしょ?しかも人間。』
『・・それは・・・私は姉の7つ下でお嬢様が19の時の子だから、お嬢様より12歳ほど上になります』
『え?あなた人間でしょ?だったらもう・・』
『・・・・。』
咲夜は少し哀しそうな表情をしながら上唇を掴み、それを上に上げた。
・・ッ!?
(・・・牙。)
『そうです。私は半分吸血鬼、半分人間。お嬢様と同じです。といっても私の場合は主様の眷属という形ですが・・。』
(・・・眷属。そうか、それで・・)
(え?・・)
『それって、あなたの行動はお父様に筒抜けってことじゃない!?』
レミリアの一言で全員が驚愕し、咲夜を見る。
『・・ご安心を。私は姉さんに主様の血をもらい、それを飲み、管理からは解放されてます。それにこの時間を止める力も姉さんに・・・』
『咲夜?貴女。その力について、まだ隠してることあるわよね?』
(なんとなくだが、そんな気がした。)
『・・お嬢様には、適いませんね。』
咲夜が微笑む。しかし、その笑顔には哀愁が漂っていた。
『実は、この時間を止める力・・・使えて後数回。・・恐らくそれで私は・・。』
・・ッ!?
『咲夜?それは、どういうこと?』
『・・姉さんにこの力を貰った時に聞いたのです、この力を使い、心臓が痛みだす様になってきたら、もう使うなと。使い続けると長く生きられないと。その痛みが先程・・。』
『貴方!馬鹿なの!?なんで、そんなデメリットがありながら、あんなところで使うのよ!?』
『・・・。』
『私が、やっとお嬢様に必要とされた気がして。嬉しくて・・・・。申し訳ございません!』
泣きながら頭を下げる咲夜にレミリア怒るのをやめた。
(そもそも、この話題を振ったのは私だ。・・私は未だに咲夜の事を理解してあげれてない。・・・情けない。)
『いい?咲夜?その気持ちは嬉しいわ?だけど、貴女はもっと自分を大切にしなさい?・・・心配しなくても、私が初めて命令したのも咲夜、私が初めて名前をつけたのも咲夜。・・・咲夜は私にとってこれからも必要な人よ。・・・だから、大事なの。失いたくないの。これからは私の為に能力使うのを控えてちょうだい?・・・貴女への二度目の命令よ。』
『・・・かしこまりました』
咲夜は涙をポタポタ落としながら、顔を上げれずに了解した。その涙の意味は咲夜本人にしかわからなかった。