【クラナガン某所】
「う、うう、助けて誰か。」「ダン。」ここはクラナガンのある裏路地そこで殺人劇が行われていた。それを行っていたのは年端もいかない少年だった。
「ウアーーーーーー。」
【クラナガン地上本部 応接室】
ここは本来は地上本部に来た要人を応対する部屋であるが今ここにるのはまだ学校にも行っていなさそうな小柄な少女と、金色の髪と栗色の髪の20代前半程の女性二人だった。双方共真剣な面持で場に臨んでいた。
「では、まず初めまして、こんにちはと言っておきましょう。挨拶は大切ですからね。」
「そんなことはどうでもいいんです。あなたはなぜ私たちにいきなり会いたいなんて言い出したんですか。用件を済ませてからにしましょう、そういうのは。」金色の髪の女性がきつく言い放つと、栗色の髪の女性は意外なことは起きたかの様に顔を驚かさせた。
「フェイトちゃん、こんな子供相手にそんな言い方。」女性が慌てて言うと、それを遮るようにその少女がしゃべり始めた。
「いいえ、良いんです八神はやて提督、フェイト執務官は私のこと異常な存在だと的確に認識し、それを踏まえて話しているだけなんですから。あなただって分かっているんでしょう、わたしがそういう人間だって。」八神は何も言い返せなかった。まるで自分のことを見透かされた様な気分に陥るような恐怖を感じたからだ。
「まあ、確かにこちらとしても無駄話を延々と続けるつもりは無いんで話を進めましょう。お二人は今巷で起こっている連続殺人事件をご存じですか。」
「ええ、知ってるわよ。まさか、あなたが。」フェイトが目を見開いて詰め寄ると、少女は心外な事を言われた様な口調で冷ややかに応えた。
「早合点しないでください。今回の事件に私は一切関与していません。」
「ではなぜっ。」フェイトが熱く言い放ったところで隣から二人のやり取りに横槍が入った。
「フェイトちゃん、落ち着いて。なにをそんなに熱くなってるんや。」
「そうですよ、落ち着いてください。正義感に燃えるあなたが今回の無差別殺人事件を許せないのはよくわかります。しかし、まずは落ち着いてください。じゃないと分かるものものもわからなくなってしまいますよ。深呼吸でもしてみたどうですか。」少女に冷静に対応を見せられると、フェイトは目を閉じ、眉間に皺を寄せ、頭を苛立ちげに掻きむしった。普段の彼女であれば考えられないような行動であると、はやては心の中で疑問に思った。
「私がこの話を言い出したのは、今回の事件の犯人の殺し方に憶えがあり、貴女程ではないにしろ、反感を覚えたからです。」
「憶えとは一体何や。」はやてはお望みの品を出されたとばかりに少女の話に喰らいついた。
「くく、ストレートに聞いてきますね。まあ、当たり前ですかね。いま、管理局が今回の事件で頭を悩ませていることは、「なぜ、殺したか」でも、「誰が殺したか」でもなく、「どうやって殺したか」、詰まる所殺害方法ですからね。」
「そうや、今回の事件死んだ人間の殺され方が奇妙きまわりない。まるで体内から人体を破壊したかのような死体の山や。あんたはこれについて心当たりが有るんか。」はやて苛立ちを募らせていたかのように言葉をはき捨てた。
「心当たりは有るか、無いかと問われれば有ると答えざるをえませんね。本音を言えばそうと答えることが無ければ良かったんですけど。こうなってしまっては致し方有りませんね。お話しましょう。元々その為に来たんですから。しかし、その前どういう見解を管理局は示しているかをご説明いただけないでしょうか。」少女がそう問いかけると、はやては少しの間何か考えているような間を空け、慎重にに言葉を選びながら話し始めた
「まず、管理局は魔導師の犯行を疑った。せやけど、それだと魔法の原則の内の一つである、「人間の体内での魔法使用は不可」に反する。新しく開発された魔法体系というのも疑ったけど、そんな大層な代物をこんな対象を選ばない無差別殺人なんかに使用する理由がわからへん。ISやなんかを疑ってはみたけどはっきりゆうて、そういうものを使える人間を創るには莫大な金や時間がかかる。それはJ・S事件や、その後始末やなんかではっきりしとる。そんなもをこんなことに使うんは、やっぱり腑に落ちない所がいなめへん。結局のところ、皆目見当がつかへんというなが本音や。これでええか。」
「ええ、丁寧な説明ありがとうございました。では、説明に移らせていただく前に、予備知識として皆さんにお話ししておかなくてはならないことがあるので、そちらを先にしてよろしいでしょうか。」
「構いません。それが必要なら。」
「うちもや。」フェイトもはやてもなにか身構えるように了承した。
「これから話すことは貴方方の常識から逸脱しているので、感想や質問、疑問や意見の類は後でお聞きするので、黙ってお聞きください。まず人間の中にはエネルギーの流れがあります。これは体を動かすための微弱な電流や血液の流れ等で形作られるもので、一般的に気やオーラと呼称しているものと同意義ものです。これらを呪文、魔法陣、魔道書等でプログラム化させたものコードと言います。そして、そのコードを用いて現実世界の法則を書き換える技術をスキル、アーツと呼びます。ここまではよろしいでしょうか。」
「スキル、アーツと区別されている理由は。」
「区別ですかー。どっちかと言うと差別に近いですけど、まあいいでしょう。スキルは先天的に、アーツは後天的に身につけたものを指します。」
「現実世界ゆうんは?。」
「世界は大きく分けて二つあります。一つは物質等が存在する現実世界、もう一つは一般的に魔力やコード等が存在する異能世界です。二つは全く同じ座標にありますが、異能世界に現実世界に存在するものを持ってくることはできません。逆は可能ですが。また現実世界と異能世界は互いに干渉し合っています。それと、よく誤解されるんですが、スキルやアーツは使用者が生存している限り、理論上、無限に使えます。だから、魔法のように燃料切れで使えなくなる、という事はありえません。元々何かを消費して行う技術ではありませんから。」少女が淡々と口上を述べるとはやては目を見開いた。
「無限に使えるやて、そんなふざけた力本当に在るんか。」はやてが驚きを隠せない様子で問いかけると、少女は手を振って諦め加減に否定した。
「いえいえ、そんな都合の良いものはありませんよ。あくまで理論上の話です。実際にスキルやアーツを使うと、身体の中の本来は体を動かす為だけに使うをエネルギー無理やり力に換えるのだから、当然身体に負担がかかります。そのためスキル・アーツを無限に使い続けるということは人間の肉体の仕組み上医学的に不可能です。要するに卓上の理論ということです。」それを聞いて、はやてはほっとした表情をみせた。はやては管理局の要職者として、そんな力が在ってほしくないと考えたのだろう。
「法則を書き換えると言うと。」
「たとえば、質量保存の法則書き換えて、1の物を10にも100にもすることができますし。もっと身近なもので言うと、生物が死んだら蘇らないという法則を書き換えて死者を蘇生させたり等々、言い始めたらきりがないほど。」「ダンッ。」少女が話しているとフェイトはテーブルを叩き跳ね上がった。隣に居たはやても驚きを隠せない様子だった。しかし、それをみても少女は動じたりはしなかった。むしろ、またかという呆れた顔をしていた。
「死者の蘇生なんかが可能なの十分ふざけた力じゃない。」フェイトは驚愕の感情をありありと放ちなが叫んだ
「せやで。」はやてはそれに同意するような形で言い放った。しかし、それにも少女は冷ややかと答えた。
「貴方達は学習というものしらないんですか。あくまで可能と提唱されているだけで、成功した例はありません。あくまでも卓上の理論を抜けない話です。一々、まともに反応しないでください。それとも自分の母親が自分を捨て駒にしようとしてでも、手に入れようとした力だからこそ、ですか、フェイト執務官。」少女の話にフェイトは何も言い返せなかった。はやてはそんなフェイトを見て、何か思うところがあったようだった。それを見て少女はため息をつき、話し始めた。
「では、本題である殺害方法の説明に入らせていただきます。今話したスキルうちのひとつ原子崩壊(デモリション)当たりではないかと私は考えています。このスキルは物質の形態変化に関する法則を書き換えて、物質を原子レベルで分解し破壊するものです。現状ではこれが一番疑わしいかと。因みにこういう原子にかかわる現象を引き起こす力を総じて錬金術と呼んでいます。分子の動きを減速させたり加速させたりして、物質の温度を変化させる温度変化(サモンコントロール)も分類上、同じ類のものされます。要らないことを言ってしまいましたね。さて、貴方がたはどう考えますか。」
「それにはまず実際に貴方にも被害者の死体を見ていただかなくてはなりませんね。案内します。」
「フェイトちゃん、この子が普通の子供ではないことはよくわかったけど、さすがにそれは……。」
「だったら証拠を見せればいいでしょう。できますか。」
「ええまあ出来ますけど、これでどうですか。水素花火(ハイドロゲノン・ライター)」「ボオンッ」
「こんなの子供だましですけど、よろしいですか。」
「ええ……。」そして、ここで幕引きとなりました。
東場終了です