μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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第10話 足元注意!

穂乃果が真姫とにこを連れてジムを出ると、

「ん……? __お前は!」

相変わらずヘンテコな格好をした男が通りかかった。

「オリジン団!」

穂乃果にとっては、もう見慣れた格好だ。

「スタスカでの雪辱を晴らす時だ! 勝負しやがれ!」

記憶に残っていないが、そう言ってボールを持つ下っ端に、穂乃果もボールを掴む。

「__あ」

そして気付いた。ジム戦直後で、闘えるのはロゼリアだけ。真姫も同様に気付いたのか、苦い表情を見せる。

「お? 何だ何だ。怖気づいたのか?」

「ち、違うもん!」

と言いつつ、バトルすべきか悩む穂乃果。すると、

「まったくしょうがないわねぇ。にこがいなかったらどうするつもりだったのよ」

「にこちゃん?」

にこが二人の前に出た。

「私が相手になるわ。掛かって来なさい!」

 

 

__五分後。

「ふん、口ほどにもないわね」

「サナ!」

「く、くそ……っ」

下っ端のポケモンは瞬殺され、悔しそうににこを睨んだ。

「ジムリーダーである、このにこにーに勝てるわけないでしょ〜?」

ドヤ顔で見下したにこに、

「ま、穂乃果には負けたんだけどね」

「うっさいわよそこの真姫!」

「ふん、まあいいさ。我々の野望は少しずつ近づいてきている。お前らがどう足掻こうと、未来は決まっているのだ!」

にこまきのやり取りの最中に、下っ端はそんな言葉を残して逃げて行った。

「……何よあれ」

「さあ……」

穂乃果とにこは首を傾げ、

「意味分かんない」

真姫はそう呟いた。

 

 

町の外れ、真姫とにこに見送られて、穂乃果は出発した。

「次のジムがあるのはイースブータウンよ。でも、その前に小さな町があるわ」

「チェリーバタウンっていって、ウテックス山の目の前にある伝承を伝える町なの。穂乃果、あまり詳しくないみたいだし、カイトゥーン地方について何か分かるかもしれないわよ」

「うん、ありがとう! にこちゃんも、さっきは助けてくれてありがとう!」

にこは腕組みをするとあさっての方向を向き、

「さっさと行って、次のジム戦も勝ってきなさいよ。負けたら承知しないわよ!」

「うん!」

 

 

ウェスリードシティとチェリーバタウンを繋ぐ道は、軽い山道だった。

鍛えるトレーナーも多いのか、しょっちゅうバトルを挑まれる。

だが、

「ムクバード、つばめがえし!」

「ああ……ゴーリキー!」

その度に連勝記録を伸ばしていく。

「ふぅ……海未ちゃんのメニューよりは楽だけど、やっぱり大変だなぁ……」

うっすらと額に浮かんだ汗を拭いながら、穂乃果は空を見上げる。

そのせいか、足元への注意が欠けて何かに躓いた。

「てっ⁉︎ __うわわわわわわっ⁉︎」

バランスを崩した穂乃果の体は前に傾き、

「__はっ!」

寸前で手をつき、地面への激突を免れた。

「いった〜い!」

痺れた手を振ると、何に躓いたのか振り返る。

「……あれ?」

一瞬、何もいないのかと思った。だが、よく見ると地面が凸凹と盛り上がり盛り下がっている。

「何だろうこれ……」

穂乃果が屈んで覗き込むと、

「__ダグ!」

その顔面目掛けて何かが飛び出してきた。

「うひゃっ⁉︎」

慌てて避けた反動で、そのまま尻餅をついてしまう。

「痛たたたた……」

お尻を押さえつつ前を見ると、仏頂面でこちらを睨む顔。顔。顔。三つ。

「あれ……ポケモン?」

ポケモン図鑑を取り出し、目の前に掲げる。

『ダグトリオ。もぐらポケモン。ディグダの進化系』

図鑑から、若干無機質な説明が流れる。

「ダグトリオ……。ゲットしよう! __ロゼリア!」

「リアー!」

ウェスリードジムでは出番の無かったロゼリア、元気に登場。

「まずは弱らせて……メガドレイ__って……あれ?」

指示を飛ばした穂乃果は、ダグトリオの姿が無い事に気付く。

「どこに……」

キョロキョロと辺りを見渡していると、ロゼリアが一点を見つめている姿が目に留まった。

それは、地面に空いた、一つの穴。

「下⁉︎」

穂乃果が反応した頃には、

「ダグ!」

「ロゼリア!」

ロゼリアは空高く吹き飛ばされていた。

「ま、まだまだ! __メガドレイン!」

「リア!」

「ダグ……ッ!」

今度は命中し、ダグトリオの勢いは一気に衰えた。

「このまま行くよー! ロゼリア、ねむりごな!」

「リアー!」

ロゼリアが噴霧した緑色の粉は、ダグトリオを覆う。

「ダグ……」

視界が晴れた時、ダグトリオは深い眠りに落ちていた。

「よしっ、今だ! モンスターボール!」

穂乃果が放ったボールは寸分違わずダグトリオに命中すると、そのまま吸い込む。ほとんど抵抗も無いまま、カチッと小気味いい音が響いた。

「よーし、ダグトリオ、ゲットだぜー!」

新たな仲間が入ったボールを掲げ、穂乃果は満足げに微笑んだ。

「よろしくね、ダグトリオ! __でてきて!」

「ZZZ……」

「って寝てるし!」

 

 

持っていた道具でダグトリオを回復し、その後のトレーナーバトルでも止まらない快進撃を続けた穂乃果は、チェリーバタウンに到着した。

木造の小さな民家が立ち並ぶ町並みを眺めながら、

「何か落ち着くなぁ……」

探索を開始する。

「__ん? ウテックス遺跡?」

と、矢印と共に書かれたそんな看板を見つけた。

「あの、すみません」

ちょうど近くを通りかかった女性に声をかけ、

「質問なんですけど、このウテックス遺跡って何なんですか?」

「あら? あなたも遺跡に興味があるの?」

「“も”?」

「実は私も、ここの遺跡が気になって別の地方から旅行に来ちゃったの」

「あ、そうだったんですか……。__町の人じゃなかった……」

そう穂乃果が呟くと、女性は穂乃果の顔をじっと覗き込む。

「あ、あの……何か……」

「あらごめんなさい。何となく、可能性を感じる目だなって思って」

「は、はあ……」

何が何だか分からない穂乃果だが、女性は構わずマイペースに続ける。

「ね、あなた、名前は?」

「あっ、穂乃果です」

「そう、穂乃果ちゃん。__もしよかったら、一緒に遺跡に行かない? 少しなら、案内もできるから」

「お願いします!」

「ふふっ、いい返事ね」

そう小さく笑うと、黒のドレスコートを着た金髪のその女性は、

「__私はシロナ。よろしくね、穂乃果ちゃん」

そう名乗った。

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