μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

13 / 36
希さん強いっすね


第13話 変幻自在なジムリーダー

「それでは、イースブージムリーダー・希VSチャレンジャー・穂乃果のバトルを始めます。ジムリーダーの使用ポケモンは四体。チャレンジャーに制限はありません。なお、チャレンジャーにのみポケモン交替が認められます」

バトルフィールドで対峙しながら、希は不敵に微笑む。

「穂乃果ちゃん、強いんだってなぁ? 楽しみや」

「強いかは分からないけど……頑張るよ!」

「頑張りーや。__行くで、ブルンゲル!」

「ブル……」

「わ、クラゲみたい……」

ポケモン図鑑を取り出した穂乃果は、ブルンゲルをチェックする。

「オスとメスで色が違うんだ……。希ちゃんのはピンクだから、メスだね」

「ほら、穂乃果ちゃんもポケモン出さんと」

「そうだった! __んーと……ロトム、ファイトだよっ!」

「ウィィィ!」

「ほう、珍しいポケモン持ってるなぁ。でも、強いかどうかは別の話や。__ブルンゲル、みずのはどう!」

「ブルー!」

「ロトム、かげぶんしん!」

ブルンゲルが放った水流は、ロトムの残像を蹴散らすだけに終わった。

「ロトム、10まんボルト!」

「ウィィィ!」

反対に、ロトムが放った電撃はブルンゲルへ直撃する。

「よし!」

「やるやん、穂乃果ちゃん。__でもな……」

希の笑みは消えない。穂乃果が相手を見ると、

「ブル」

「倒せてない⁉︎」

深刻なダメージではあるようだが、倒れるまでには至っていないブルンゲル。

「ナイトヘッド!」

「ブルゥ……」

ブルンゲルはゆらりと動くと、ロトムに近付く。

「ウィ……」

ロトムは、何故か苦しそうにもがく。

「ロトム! 頑張って! 10まんボルト!」

「ウィ……ウィィィィィィィッ!」

全力を振り絞ったロトムの攻撃は、

「ブルゥ……ッ!」

「振りほどいた……⁉︎」

ブルンゲルを強引に引き剥がした。

「アカン、ブルンゲル、もう一度ナイトヘッ__」

「させない! でんげきは!」

「ウィィィ!」

「ブルンゲル、戦闘不能! ロトムの勝ち!」

攻撃モーションに入ろうとしていたブルンゲルを不可避の電撃が襲った。

「よーし! 一体倒したよ! やったねロトム!」

「ウィィッ!」

二つ目のボールを掴みながら希は、

「あちゃー、やっぱり穂乃果ちゃん、強いなぁ。こうもあっさり倒されるなんて。__でも、本番はこれからやで? ムウマージ!」

「マージ」

登場したムウマージを、すかさず図鑑でチェック。

「やっぱりゴーストタイプか……」

「ムウマージ、シャドーボール!」

さてどうするか、と考えていた穂乃果の耳に、希の声が届く。

「え、ちょ__」

慌てる穂乃果の目の前で、影の塊がロトムを襲う。

「ロトム!」

「ロトム、戦闘不能! ムウマージの勝ち!」

無情に告げられた審判の声に、穂乃果は大きく肩を落とした。

「油断禁物や♪ 一体倒したからって、終わりやないんやで?」

「むう……そっか。__よし、ムクホーク、ファイトだよっ!」

「ホーク!」

「あれ? 話によるとムクバードだったはずやけど……」

「つい昨日進化したの!」

「とことん予想を裏切って来よるなぁ……」

希は感心したのか呆れたのか分からない笑みを浮かべると、

「ノーマルタイプにはゴーストタイプは効かない……考えたね、穂乃果ちゃん」

「……うん」

何となく穂乃果には分かっていた。相手はジムリーダーで、しかもあの希なのだ。ノーマルタイプを使うだけで勝てるなら、誰も苦労しない。

「ムウマージ、「ムクホーク、とんぼがえり!」でんげきは……」

「ホーク!」

希の声に被せて、穂乃果の指示が飛ぶ。ムクホークはムウマージに突っ込むと、そのままバウンドするようにボールへ戻る。

「ダグトリオ!」

「ダグ!」

すかさず穂乃果が投げたボールからは、ダグトリオが飛び出す。

直後、電撃がダグトリオを襲う。だが、

「……地面タイプやもんな」

ダグトリオはまったくダメージを受けない。

「よし、上手くいった!」

「穂乃果ちゃん、随分と巧妙な作戦考えるんやなぁ。見直したで」

「だ、だよね! __ただのカンだったなんて、希ちゃんには言えないよ……」

「? 何か言うた?」

「な、何でもない! __それより行くよ! ダグトリオ、じしん!」

自信満々に指示した穂乃果を見て、

「あー……」

何故か気の毒そうにする希。

それもそのはず。ダグトリオの攻撃は、ムウマージには届かない。

「な、何で⁉︎」

「ムウマージの特性は“ふゆう”や。地面タイプの技は当たらんのやで?」

「そ、そうなの⁉︎」

「……ごめん、さっきの褒め言葉、撤回するな?」

「そんなあ!」

悲痛な声を上げる穂乃果に、

「掴み所が無いトレーナーやんなぁ……」

希も苦笑する。

「地面技が当たらないなら、こっち! __ダグトリオ、ストーンエッジ!」

「ダグ!」

突如出現した尖った石片は、一直線にムウマージへ肉薄する。

「そんな技も持っとるんやね! ほんならムウマージ、パワージェム!」

こちらもガラスのような石片が出現。空中で二種の石片がぶつかり合う。

だが、ガラスのような見た目同様強度も弱いのか、相殺すらできずに砕けていく。

勢い衰える事なく飛来した石片は、ムウマージに襲いかかる。

「アカン……!」

「ムウマージ、戦闘不能! ダグトリオの勝ち!」

「ふー……やっぱり無理やったか。お疲れムウマージ」

希は数度頭を振ると、すぐに不敵な笑みを戻す。

「頼むで、ミカルゲ!」

「ミョーン……」

「また変なポケモンが……」

ポケモン図鑑を確認すると、

「魂を封じ込めた……⁉︎」

その内容と同時に、希に軽く畏怖を覚える穂乃果。

「おーい、もうええか? 始めるで?」

「あ、うん」

「行くでー? __ミカルゲ、あくのはどう!」

「ミョーン!」

放出された邪悪な光線を、

「あなをほる!」

ダグトリオは潜って回避。

ミカルゲが見失っていると、

「今だ!」

真下から体当たりをかます。

「よし、これならいける!」

かつて、ツバサとの初陣でハーデリアが使った戦法。

「ほほー。素早いポケモンやなぁ。__せやけど、同じ作戦は使わせへんで?」

希の笑みは、なおも崩れない。

「ミカルゲ、かなしばり!」

「ミョーン!」

「ダグ……ッ⁉︎」

ミカルゲの不気味な影が、ダグトリオを包む。

「ダグトリオ、大丈夫⁉︎」

「ダグ!」

ひとまずダメージが無い事に安堵した穂乃果は、ならばあの技の効果は何だろうと考えるが、

「おにび!」

希とミカルゲはそんな暇を与えてくれない。

「とにかく、もう一度あなをほる!」

穂乃果の指示はしかし、

「ダ、ダグ……⁉︎」

不自然に動きが止まったダグトリオには届かない。そして、青白い炎はダグトリオを包み火傷を負わせる。

「どうして……⁉︎」

不思議そうな穂乃果に、希の説明が入る。

「かなしばりは、相手が最後に使った技を封じ込めるんや。もう潜る作戦は使えへんで?」

「そ、そうだったんだ……。__でも、ミカルゲの特性はふゆうじゃない……。それなら! __ダグトリオ、じしん!」

ダグトリオの攻撃は、確かにミカルゲに届いたが、

「倒せない……!」

「おにびで火傷を負ったやろ? それで攻撃力が半分になってるんや」

「そっか……。__でも攻撃は効く! __ダグトリオ、じしん!」

「ダグ!」

穂乃果の超ポジティブシンキングに影響されたのか、ダグトリオも渾身の力で技を放つ。

その結果、

「ミカルゲ、戦闘不能! ダグトリオの勝ち!」

「あ、あれ?」

倒した本人が、驚いてしまう。

「このダメージ……急所に当てたんか……! 穂乃果ちゃん、持ってるね」

ミカルゲを戻しながら、希は感心したように呟く。

「これで、希ちゃんの手持ちは一体だけ……。いけるよダグトリオ!」

「ダグ!」

「んふふ……。中々強いダグトリオやけど、最後まで気ぃ抜いたらアカンで? __ゲンガー!」

「ガー!」

「ゲンガー……ってこのポケモンも特性ふゆうなの⁉︎」

ポケモン図鑑を確認した穂乃果は叫ぶ。

「そうや。__けど、技を使うヒマも無いで! __ゲンガー、たたりめ!」

「ガー!」

「ダグ……⁉︎」

ダグトリオの周りに出現した人魂のような光は、しばらく浮遊して消えた。だが、

「ダグトリオ、戦闘不能! ゲンガーの勝ち!」

「そんな⁉︎ どうして⁉︎」

ダグトリオはダウンしてしまう。

「んふふ〜、こればっかりは教えられんなぁ。自分で気付くしかないで?」

希は楽しそうな笑顔を浮かべる。

「お疲れダグトリオ。……ゲンガー、強い……! __でも勝つ! 絶対勝つ!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。