μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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第14話 ジムリーダーの予感

「ムクホーク、ファイトだよっ!」

「ホーク!」

「ゴースト技が効かないもんな……。当然やな」

早速希が指示を飛ばす。

「ゲンガー、おにび!」

青白い炎は、またも火傷を負わせる。

「うぐぐ……。あれやっかいだよ……」

「んー……でもたたりめは効かないし、あまり有利でもないなぁ。__ひとまず、ヘドロばくだん!」

「ガー!」

「躱してつばめがえし!」

ゲンガーの塊を紙一重で回避すると、ムクホークは素早く叩きつける。

「ガー?」

だがやはり、致命傷には至らない。

「やっぱり、このままじゃ勝てない……」

悔しそうに悩む穂乃果に、希は笑みをぶつける。

「時間が経てば、火傷のダメージもかさむで?」

見ると、ムクホークの羽ばたきが若干鈍っている気がする。

「火傷……火傷さえ無ければ……」

穂乃果が無いものねだりを始めたかと思われたその時、

「……火傷? __そうだ! そうだよ!」

何やら顔を輝かせる穂乃果。

「ムクホーク、戻って!」

「……何や?」

希が首を傾げる前で、

「ロゼリア!」

「リア!」

穂乃果はロゼリアを繰り出す。

「ロゼリア、フラッシュ!」

ロゼリアが放つまばゆい光を受けたゲンガーは、思わず顔を背ける。

「今の内に……! __ロゼリア、アロマセラピー!」

「! なるほど……」

穂乃果の意図を察した希は、感心したように呟く。

「ゲンガー、落ち着くんや! そんでヘドロばくだん!」

心地よい香りが広がる中、ゲンガーの攻撃はしっかりとロゼリアを捉えた。

「ほっ……。ちゃんと当ててくれたか。偉いで、ゲンガー」

「ロゼリア、戦闘不能! ゲンガーの勝ち!」

「ああ……。__でもありがとう、ロゼリア。ゆっくり休んでね」

ボールに戻したロゼリアに労いの言葉をかけると、穂乃果は最後のボールを掴む。

「頑張れムクホーク!」

「ホーク!」

飛び出したムクホークは、元気に羽ばたく。

「アロマセラピーは、味方の状態異常を治す……。よく思いついたやん」

「前に、花陽ちゃんが教えてくれたから!」

「花陽ちゃんって、スモーファウンのジムリーダーやろ……? 随分前の話やろうに、よう覚えてんなぁ……」

「今思い出したの!」

変な所でドヤ顔をする穂乃果に、

「……褒めたいのに、そうさせてくれへんなぁ……」

希は悩む。

「……まあええ。__火傷が治っても、ふりだしに戻っただけや。まだ勝ちが決まったわけやないで?」

「分かってる! もうおにびは食らわないようにしないと……」

穂乃果は一度深呼吸すると、

「行くよ、ムクホーク!」

そんな穂乃果を見ながら、

「気合い充分、って所やな。燃えるやん」

希も力が入る。

「まずはこっからやな。ゲンガー、おにび!」

青白い炎は揺らめきながらムクホークに飛来するが、

「当たらん……!」

誰もいない場所を通過した。

「ロゼリアのフラッシュが効いてるのかも……! チャンスだよムクホーク!」

穂乃果が意気込むと、

「ホーク!」

「え、ちょっと⁉︎」

ムクホークは指示を待たず突っ込んだ。

何やら凄まじい勢いで突っ込むムクホークを見て、

「! あれはアカン! __ブレイブバード……!」

希は慌てた様子。

「よく分かんないけど……行っけーっ!」

迫り来るムクホークとの距離を確認した希は、不可避を悟る。

「もう避けられんか……! ゲンガー、おにび!」

「が、ガー!」

苦し紛れに近い反撃は、目のくらみが治らないのか外れてしまう。

__そして直撃。衝撃と共に粉塵が舞い上がる。

「くっ……!」

何となく結果を悟った希だったが、粉塵の爆心地を見る。そこから飛び出すのは、当然ムクホーク。

「ふー……」

希が息を吐くのと、

「ゲンガー、戦闘不能! ムクホークの勝ち! よってこの勝負、チャレンジャー、穂乃果の勝ち!」

審判のジャッジは同時だった。

「勝った……。勝ったよ! やったよムクホーク!」

「ホーク。……ッ」

着地して穂乃果を首にぶら下げたムクホークは、一瞬よろける。

「だ、大丈夫?」

「攻撃の反動やな」

降ってきた声に顔を上げると、

「希ちゃん」

「さっきの技、ブレイブバードっていうんや。強力やけど、反動でダメージ受けるから使い所には注意やな」

「そっか……。新しい技。__頑張ったね、ムクホーク」

「ホーク」

穂乃果はムクホークをひと撫ですると、ボールに戻した。

「__さて、ウチに勝利した穂乃果ちゃんには、このタロットバッジを進呈するで」

「五個目のバッジ……。ありがとう!」

「それと、これも。わざマシン、〈たたりめ〉や。この技はな、相手が状態異常だと、ダメージが二倍になるんや」

「あ! それでさっきのダグトリオは……」

「せや。まあ、状態異常にしてから攻撃、って二段構えは大変やから、結構扱いは難しいんや。でも、穂乃果ちゃんなら使いこなせると思う。頑張ってね」

「……うん!」

後半標準語で話された穂乃果は、背筋を伸ばして頷いた。

 

 

「__この先にあるのは、ガジアスシティ。ウテックス山の中腹にある町で、道のりは結構山道になっとるんや」

ポケモンセンターで回復した後、到着した入り口とは反対側に穂乃果と希はやってきた。

「山道かー」

「苦手なん?」

「多分大丈夫! 普段階段登るし!」

「? むしろ階段が多いのは、ここからなんやけど……」

「あ、ううん、何でもない!」

ごまかした穂乃果が前方を見やると、緩やかな上り坂になっているのが確認できる。さらにその先には、チェリーバで見上げたウテックス山がそびえる。

「思ったより大変そう……」

思わず呟いた穂乃果に、

「大丈夫や。ここまで闘ってきた穂乃果ちゃんとそのポケモンは、実力と一緒に凄いパワーを持っとるんやと思う。どんな困難でも乗り越えられるような、とびきりのパワーを」

「希ちゃん……」

「これからも頑張るんやで」

「うん!」

五つ目のバッジを手に入れ、穂乃果は先を目指す。遥かそびえるウテックス山と、そこにあるという次の町を見据えて。

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