お待たせして大変申し訳ありません!
「それでは、ガジアスジムリーダー・絵里VSチャレンジャー・穂乃果のバトルを始めます。ジムリーダーの使用ポケモンは四体。チャレンジャーに制限はありません。なお、チャレンジャーにのみポケモン交代が認められます」
審判の声を聞きながら、絵里が口を開く。
「リンモンタワーでは世話になったわね。ありがとう」
「どういたしまして!」
「私からできる事は少ないけれど……代わりにこのバトル、全力で迎え撃つわ」
モンスターボールを掴む絵里は、隙の無い微笑みを浮かべる。
「__行きなさい、マンムー!」
「ムー!」
「氷タイプか……」
ポケモン図鑑を確認した穂乃果は、
「じゃあお願い、リザードン!」
「グオ!」
「炎タイプね」
最悪の相性にも関わらず、絵里の余裕は消えない。
「行くよ、絵里ちゃん! __リザードン、かえんほうしゃ!」
リザードンが吐き出した火炎は、一直線にマンムーへ飛来する。
「マンムー、ステルスロック」
だが絵里は慌てる事なく、マンムーに指示を飛ばす。
マンムーの飛ばした小さな岩石は、穂乃果側のフィールドに落下すると沈んで見えなくなった。同時に、リザードンの攻撃が直撃する。
「よしっ、これで大ダメージを__」
「ムー!」
「うそっ! 効いてない⁉︎」
「マンムーの特性は、あついしぼう。炎タイプの技は、半減にできるのよ」
「ムッ……!」
しかし、マンムーの足元がよろけた。
「火傷の追加効果……? やっぱり、あなたは何か持ってるのね」
「チャンス! 畳み掛けるよ! フレアドライブ!」
「グオォォォォッ!」
炎を纏ったリザードンは、マンムーへと突っ込む。
「炎タイプの対策が、防御だけだと思わない事ね。__マンムー、ストーンエッジ!」
「! その技……!」
穂乃果もよく見覚えのある、礫の大群がリザードンへ肉薄する。
「もう避けられない……! 頑張れリザードン! 突っ込めぇぇぇぇっ!」
穂乃果が拳を突き出し、リザードンは礫の中を爆進する。
「嘘……リザードンに岩タイプは抜群の抜群……。どうして倒れないの……?」
絵里が目を見開くその間に、
「グオォォォォッ!」
リザードンはマンムーと衝突した。
衝撃で巻き上がる熱風に顔を背けた絵里が見たのは、
「ムー……」
「マンムー、戦闘不能! リザードンの勝ち!」
倒れ伏すマンムー。
「特性あついしぼうを持つマンムーをこうもアッサリと……」
マンムーを戻した絵里は、
「グオォォォォッ!」
瀕死寸前ながらも、溢れんばかりの闘志を放つその姿を見て悟る。
「もうか、ね……。それにマンムーは火傷を負っていた。……ふふっ、私が必死に考えた対策を簡単に打ち破ってくるだなんて。やっぱり面白いトレーナーね、穂乃果」
絵里が浮かべる笑みは、不敵なものから楽しげなものへと変わっていく。
「穂乃果も、絵里ちゃんとバトルできて楽しいよ!」
「あら、嬉しい事言ってくれるわね。__でも、そう簡単には負けないわよ。ラプラス!」
「ラプ!」
「水タイプもあるんだ……。抜群じゃないけど、氷タイプなら__」
「それはこっちも同じよ。飛行タイプも持つリザードンには、ね。__こおりのつぶて!」
「ラプー!」
ラプラスは拳ほどの氷の塊を作り出すと、リザードン目掛けて放ってきた。
「グオッ⁉︎」
反応もできなかったリザードンは直撃を許してしまい、
「リザードン、戦闘不能! ラプラスの勝ち!」
体力の限界か、倒れてしまった。
「ああ……お疲れ、リザードン」
リザードンをボールに戻し、穂乃果は絵里を見やる。
「やっぱり絵里ちゃん強い……。こんなにアッサリ、リザードンが負けちゃうなんて……」
「私は、そう簡単には負けないわよ?」
「でも! 穂乃果だって負けないよ! __ロトム!」
「ウイィィィ!」
「電気に水タイプ……。ラプラスの攻撃が効かないわね」
「えっへん!」
「__とでも思ったかしら?」
「へっ?」
「ラプラス、10まんボルト!」
「ラプー!」
固まった穂乃果の前で、ラプラスは電撃を放つ。
「え、ウソ⁉︎ ロトム、でんげきは!」
「ウイィィィ!」
慌てて放たれたロトムの電撃は、辛うじて相殺される。
「あ、危なかった……。そんな技まで使うなんて……」
流れた冷や汗を拭うと、穂乃果は大きく深呼吸。
「__よしっ。行くよ、ロトム!」
「ウィ!」
「ほうでん!」
「ウィィィィーッ!」
「ラプラス、れいとうビームで迎え撃って!」
「ラプー!」
迫り来る電撃を相殺していくラプラスの攻撃だが、全てを止める事はできなかった。
「まだ行けるわね? ラプラス」
「ラプ。……⁉︎」
唐突に、ラプラスの動きが不自然に鈍った。
「これは……まひ⁉︎ 追加効果を引き当てるなんて……」
「チャンス! ロトム、でんげきは!」
「ウィィィィーッ!」
再度放たれる電撃。
「くっ……ラプラス、れいとうビーム!」
「ラ、プ……!」
だが身体が痺れるラプラスは、思うように動けない。そして、ラプラスを電撃が駆け抜けた。
「ラプラス、戦闘不能! ロトムの勝ち!」
「やった! やったねロトム!」
「ウィ!」
「ふう……お疲れ様、ラプラス。よく頑張ったわね」
絵里は小さく息を吐くと、
「いけないわね。ジムリーダーとしてチャレンジャーを導かないといけないのに……。バトルを楽しんでる私がいるわ」
「いい事だよ! 楽しいもん!」
「ふふっ、そうね。何よりも楽しむ事が大切よね」
絵里は明るく笑うと、三つ目のボールを掴む。
「行きなさい、フリージオ!」
「フリリリリ……」
奇抜なポケモンに睨まれた穂乃果は、グッと拳を握り締める。
「絶対負けない!」