μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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少しずつ、物語の核心へ。


第20話 歴史のお時間

ミカンと別れた穂乃果は、ようやくウテックス山の麓、サウシティに到着した。

入り口にある展望台から街を見下ろし、街の全体を眺める。

「おー! 何か広々してるね~! あれは空港かな? 飛行機飛んでる!」

かなり開けた雰囲気を出すサウシティへ、穂乃果は一気に駆け出した。

「到着!」

まずはポケモンセンターを探し、ポケモンを回復してもらう。

「んーと、ジムは……」

穂乃果が辺りをキョロキョロと眺めていると、

「あれー? 穂乃果じゃん!」

「もうここまで来たんだ」

「やるぅ!」

聞き覚えのある懐かしい声が背中から響いた。

「ヒデコ! フミコ! ミカ!」

「順番にジムを巡ってるなら、バッジは……」

「六個だよ!」

「へー。じゃああと二つなんだ」

「いいペースじゃん!」

「えっへん!」

胸を張った穂乃果。

「次はサウジム?」

「うん!」

勢いよく頷いた穂乃果に、ヒデコは無慈悲な一言を告げる。

「今は、やってないよ」

「……え?」

 

 

「もう、ビックリしたよ!」

「ごめんごめん、説明が足りなかったね」

プンスカ歩く穂乃果と、その後ろからなだめつつ歩くヒフミ。四人が向かっているのは、

「__さ、ここだよ」

「ここがトレーナーズスクールかぁ……」

大小様々な建物が並ぶ、トレーナーの為の専門学校だった。

「サウシティのジムリーダーはここの教師も兼任してるから、ジムにいない事も多いんだよ」

「へ~。先生なんだ~」

穂乃果が感心していると、

「どうせ穂乃果は勢いだけで乗り切って来たんだろうし、少しくらい勉強した方がいいんじゃないの?」

「うっ……それは確かに……」

フミコの“勉強”という単語に拒否反応を示した穂乃果だったが、発言を否定もできない。

「とりあえず、見学だけしてみるよ……」

「まったく……」

ひとまず目の前のメインの校舎に入ると、授業を行っているという教室に案内してもらった。

「__このように、ポケモンのタイプによってはダメージが変わってくるのです」

そこから聞こえてきたのは、懐かしい、聞き慣れた柔らかい声。

「ことりちゃん!」

穂乃果はようやく思い出した。フォルリーフタウンで理事長、もとい博士からヒトカゲを貰った時、ことりはサウシティにいると言っていた事を。

「へ?」

「ことりちゃん! 穂乃果だよ!」

目を丸くしていることりに、穂乃果は構わず抱きつく。

「会いたかったぁ!」

「へ? え? ほのか……ちゃん?」

「うん! 穂乃果の事分かる?」

「ううん、よく知らない」

「そ、そんなぁ……!」

「でも、面白いし私、好きになっちゃう!」

「ホントに? さっすがことりちゃん!」

一応初対面で独自の世界を作り出す二人に、案内したヒフミは勿論、教室内の生徒もポカンと口を開けていた。

 

 

せっかくなので授業を受けていく事にした穂乃果。

「勉強は苦手だけど、ことりちゃんが教えてくれるならできるよ!」

かつてその相手が、赤点回避のために四苦八苦してくれた事など忘却の彼方。穂乃果は、一番前の席でそんな事を言った。余談だが、他の生徒はみな十歳前後の子供。明らかに浮いていたが、そんな事を気にする穂乃果ではない。

「それじゃあ今回は、古〜い歴史の話をします」

ことりは黒板に幾つかの絵と文字を書く。

 

 

『昔、このカイトゥーン地方には大地以外何もありませんでした。しかし、一匹のポケモンがいました』

『そのポケモンは、不思議な力を持っていました。その力を使って、ポケモンはこの地を一瞬で自然溢れる恵みの大地に変えました』

『それと一緒に、人や他のポケモンも、どこからかやってきて色々な場所で暮らし始めました』

『そのポケモンはそれに満足して、この地の中心で深い眠りにつき暮らしを見守りました』

『人々は感謝し、そのポケモンを祀って建物を造りました。そして日々の祈りをこめて歌を作り、歌いました』

『しかし時が経つにつれて、みんなそのポケモンの事を忘れていきました。そんなポケモンはいないと言う人まで出てきて、感謝を忘れ好き勝手に生きていました。ついには、権力を巡って争いも起きました』

『それに気付いたポケモンは、怒り目を醒ましました。そして、人間へ攻撃を始めました』

『その強大な力になす術がなく、人々は二度と争いをしないと誓いました。ようやく許したポケモンは、悲しみの涙を流しました』

『それは結晶となり、ポケモンと同じように不思議な力を秘めていました』

『人々はその不思議な水晶を大事に保存し、戒めとしました。再びポケモンが目覚める時、心正しい選ばれた人物が歌を奏でる事で、この地は繁栄していくだろう、と伝えられています』

 

 

ことりがそこまで説明すると、

「ねえことりちゃん、そのポケモンの名前は何ていうの?」

という質問が穂乃果から飛ぶ。

それにことりは首を横に振った。

「ごめんね、それはよく分かってないの。書物に残されるずっと前の事だから、歴史なのかただの伝説なのかも分かってないくらいだから」

「ふーんそっか! でも、穂乃果はいると思うよ!」

高らかに言い切った穂乃果に、ことりはどうしてか訊ねる。

「その方がワクワクするから!」

案の定中身の無い返答に、ことりはクスクス笑う。

「でもそうかも。私も会ってみたい。みんなはどうですか〜?」

ことりが教室に問うと、あちこちからいると思う、見てみたい、という声が飛んだ。

「よーし、伝説のポケモンに会えるように、みんなで歌おう!」

唐突に、穂乃果が立ち上がった。

「ほ、穂乃果ちゃん?」

「え、だって昔の人は歌ってそのポケモンに感謝したんでしょ? 穂乃果達は感謝じゃないけど、困ったら歌おうよ!」

という無茶苦茶な自論に、教室の誰もが呆気に取られる。だが、穂乃果の勢いに押されるように一人、また一人と立ち上がり、最終的に全員が立ち上がり臨時の音楽教室が開催されたのだった。

 

 

 

 

時を同じくして、ニュルドビレッジ・リンモンタワー。

かつて穂乃果が死守した九つ水晶が、僅かに輝きを強めた。

 

 

 

 

「……オル…………」

「……ブンネ…………」

「どうかしたかにゃ?」

「どうかしたの?」

互いのパートナーで特訓をしていた凛と花陽は、パートナーが一点を見つめた事に、首を傾げた。

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