μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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中途半端に区切ってごめんなさい。ちょっと短め。


第26話 バトルは楽しむ

海未は三つ目のボールを掴む。

「さあ、まだまだ行きますよ。ーーお願いします、ミロカロス!」

「ミロ!」

「また、凄く強そうなのが……!」

トリトドンを撃破した喜び一転、穂乃果はグッ、と気持ちを引き締める。

「でも、動きは速くなさそう……。それなら! ムクホーク、からげんき!」

再び攻撃を続けるムクホーク。

「くっ……ミロカロス、あなたの耐久力なら、この程度では倒れないはずです!」

「ミロ!」

「ゴッドバード!」

「ホーク……!」

力を溜めるムクホーク。

「今です! こごえるかぜ!」

「!」

ミロカロスから、広範囲に向けて霜のような冷気が放たれた。

それは攻撃態勢に入った瞬間の、ムクホークにも届く。

「ホーク⁉︎」

「何……⁉︎ でも、とにかく突っ込めー!」

一瞬遅れたムクホークだが、先ほどと同じように猛スピードで突進を開始する。

「やはり、まだ速いですね……!」

衝突。爆風。

「効いたはず……!」

穂乃果は爆心地を確認する。

「ミロ!」

「くぅ……! 耐えられた……!」

「ミロカロス、もう一度こごえるかぜ!」

再度襲い掛かる冷気。

「ムクホーク、躱して!」

「ホー……クッ⁉︎」

ムクホークが急降下しようとした瞬間、羽ばたきが鈍る。

「やはり、やけどのダメージは誤魔化し切れないようですね」

海未の声と共に、ムクホークは白く包まれた。

「ムクホーク!」

「さあ、これでムクホーク自慢のスピードも消えました! ミロカロス、なみのり!」

「ミロー!」

ミロカロスに呼ばれるように、巨大な波が出現。

「ムクホーク、避け……!」

スピードが奪われた上に、逃げ場のない広範囲攻撃。ムクホークはなす術なく大波に飲まれた。

「ムクホーク、戦闘不能! ミロカロスの勝ち!」

「あぅ……お疲れムクホーク。ゆっくり休んでね」

ムクホークをボールに戻し、穂乃果はミロカロスを見据える。

「あのミロカロス、強い……。耐久力もそうだけど、海未ちゃんの指示が的確なんだ……。長引くと海未ちゃんのペースに持ってかれそう……。ーーだったら、そうなる前に倒す!」

穂乃果は気持ちを表すように、ボールを強く放る。

「ロトム、ファイトだよっ!」

「ウィィ!」

「やはりロトムですか。ですが!ミロカロスの耐久力を甘く見ない方がいいですよ?」

「分かってる。だからこそ、ロトムで倒す!」

「やってみなさい。こごえるかぜ!」

「ハイドロポンプ!」

白い冷気は高圧水流に纏わりつくと、その表面を凍らせる。相殺こそできなかったが、その勢いはかなり落ちる。

「それで充分です! りゅうのはどう!」

「ミロー!」

勢いが鈍り表面が凍結した水流に、ミロカロスの光線がぶつかる。それは水流をアッサリ砕き散らすと、ロトムへ肉薄する。

「ほうでん!」

直撃する瞬間に電撃を放ったロトムだったが、僅かに威力を散らす程度だった。

「ロトム、大丈夫⁉︎」

大部分のダメージを受けたロトム。

「ウィィ……!」

健気に構えるが、最早その動きの鈍りは隠せない。

「やっぱり、今までのダメージが残ってる……。多少強引でも、思い切って攻めた方が良さそう……!」

「何を考えてるかは知りませんが、その消耗したロトムでどこまで闘えますか?」

「最後までだよ!」

「ウィッ!」

「……そう答えると思いました!」

劣勢ながらも、キラキラした笑顔の穂乃果。釣られて海未も、口元に笑みを浮かべる。

「ロトム、おにび!」

「ウィィ!」

青白い炎が、ミロカロスに飛来する。

「状態異常でジワジワ削る作戦ですか? そうは行きません! ミロカロス、なみのり!」

「ミロー!」

ミロカロスが起こした大波は、炎を飲み込み消火してしまう。

「あなたの思い通りにはーー」

海未の声は、波が崩れ切った所で途絶えた。

「ロトムがいない……⁉︎」

つい先ほどまでそこにいたはずのロトムの姿が、消えていた。

「どこに…………っ⁉︎」

その時、海未は見た。ミロカロスの背後。ちょうど自分とミロカロスの間に滑り込んできた影を。

「ミロカロス、後ろで……」

「ほうでん!」

「ウィィィィーッ!」

指示間に合わず。超至近距離で放たれた電撃は、ミロカロスを襲う。

「み、ミロ……ッ!」

「そのまま押し切れーーーーっ!」

「ウィィィィーッ!」

さらに強くなる電撃。

「諦めてはなりません! ミロカロス!」

海未は知らず知らずの内に、両手を握り締めていた。

「ミラーコート!」

「ミロ……! ミローッ!」

凄まじい衝撃。爆風と砂塵が舞い上がり、状況が見えなくなる。

「ロトム!」

穂乃果がその名を呼ぶが、

「ウィィィ……」

見えたのは、フィールドに倒れるロトムの姿だった。

「そ、そんな……」

穂乃果が肩を落とすと、

「ミロ……」

ミロカロスが首を持ち上げる。が、

「ミ、ロ…………」

一瞬不安定に揺れたかと思うと、地面に横たわった。

「ミロカロス、ロトム、共に戦闘不能! よって両者相打ち!」

審判の旗が、両方振られる。

「……やはり、ダメージが深刻すぎましたか……。よく頑張りました。ゆっくり休んで下さい」

海未は長く息を吐き出すと、ミロカロスをボールに戻した。

「ーーおにびは囮だったわけですか。なみのりを目くらましに利用されるなんて、思いませんでしたよ。一杯食わされました」

「海未ちゃんこそ。まさかあそこから反撃してくるなんて思わなかったよ」

「ええ。ミロカロスが頑張ってくれました」

「お互いのポケモンを信じた結果だね!」

「ええ、そうですね」

誰もいないフィールドの端と端で、二人は笑い合う。

「……さて、私の最後のポケモンです。だからと言って、負けるつもりは毛頭ありません。少しでも気を抜いたら、全力で畳み掛けますよ?」

「穂乃果はいつだって全力だよ! どんな相手でも、絶対に負けない!」

「では、その心意気を見せて下さい! 行きます、ギャラドス!」

「ギャオ!」

「ダグトリオ、お願い!」

「ダグ!」

穂乃果の繰り出したポケモンを見て、海未は少し意外な顔をする。

「ほう、ダグトリオですか。ギャラドスには飛行タイプがあります。地面技は効きませんよ?」

「うん、今確認した」

ポケモン図鑑をしまい、いけしゃあしゃあと言い放った穂乃果に海未は呆れて肩を落とす。

「どうして今知ったんです……。ここまで素晴らしいバトルをしてきたのに、台無しじゃないですか……」

「い、いや〜……、ポケモンって難しいねぇ……」

穂乃果もバツが悪そうに頭をかく。

「……まあいいでしょう。その程度で負けに繋がるあなたではないと思いますし」

フゥ、と息を吐く海未。下を向き目を閉じ、そしてゆっくり開ける。

「ーーさあ行きます!」

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