μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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廃人用語を使っては消して、の繰り返しって、あると思います


第27話 最後のバッジの為に

「ギャラドス、アクアテール!」

「ギャオ!」

ギャラドスの立派な尾が、ダグトリオに迫る。

「あなをほるで避けて!」

「ダグ!」

間一髪。ダグトリオが地面に潜った直後にその場所が叩かれた。

「逃げられましたか……。しかし、その攻撃は当たりませんよ?」

「ふふ、それはどうかな?」

「……?」

意味深な穂乃果の顔に、海未は怪訝な顔をする。

「ダグトリオ、ストーンエッジ!」

ギャラドスの真下。そこから礫の大群が地面を突き破って飛び出した。

「ギャオ⁉︎」

「よしっ、決まった!」

かつてことりとのバトルで活用した戦法。通用する事に穂乃果は手応えを感じた。

「……なるほど。地面に潜ったのはあくまで攻撃を躱すため、というわけですか」

納得した、という程度の表情をする海未。

「ギャオォ!」

「うそっ⁉︎ あまり効いてない⁉︎ 弱点だよ⁉︎」

元気に吠えるギャラドスに、穂乃果は驚愕する。

「ミロカロスほどではありませんが、ギャラドスも耐久力のあるポケモン。それに、ギャラドスの特性は《いかく》。攻撃の下がったダグトリオでは、いくら弱点を突かれたと言えど簡単には倒れません」

「くっ……、ムクホークと同じ特性か……。でも、ダメージは絶対に入ってる。素早さが勝ってるなら、押し切れる!」

穂乃果は再度、指示を飛ばす。

「ダグトリオ、あなをほる!」

勢いよく地面に潜ったダグトリオは、見えなくなる。

「ふっ……いつまでもギャラドスに素早さで勝てると、思わない事ですね」

「……? ギャラドスも、ミロカロスみたいに素早さを下げてくる技があるのかな……? でも、攻撃は当たらないし……」

警戒はするが、具体的な内容までは判断ができない。

「ギャラドス、りゅうのまい!」

「ギャオォォォォォ……!」

「っ⁉︎」

ギャラドスはその場で、激しく巨躯を踊らせる。

「あれは良くない気がする……! ダグトリオ、今の内に攻めるよ! ストーンエッジ!」

「ダグ!」

地面から強襲した礫はギャラドスを捉えるが、

「ギャオォ!」

「耐えられた……! やっぱり威力が下がってる……!」

「速いですね、そのダグトリオ……」

「攻撃される前に畳み掛けるよ! ストーンエッジ!」

「そう何度も食らいませんよ! ギャラドス、とびはねる!」

「えっ⁉︎」

ギャラドスは俊敏な動きで跳び上がり、誰もいない場所を三度目の礫が通過した。

「さあ、今です!」

海未の指示に沿って、ギャラドスが頭上から降ってくる。

「ダグトリオ、大丈夫⁉︎」

「ダグ!」

気丈に前を睨むダグトリオだが、

「凄い威力……。さっきので攻撃力が上がってるんだ……」

そのダメージは深刻に見える。さらに、

「ダ……ダグ……⁉︎」

ダグトリオの動きが不自然に鈍る。

「え……これって、麻痺⁉︎」

「とびはねるには、相手を麻痺させる事があります。勿論、確定ではないですが」

「ぐぐぐ……麻痺って確か、素早さが下がっちゃうんじゃないっけ……」

「さあ今です! ギャラドス、アクアテール!」

「ギャオォォォッ!」

「ダグトリオ、避けーー」

穂乃果の掛け声終わらぬ内に、ギャラドスは尾から強烈な一撃を叩き込んでいた。

「ダグ……」

「ダグトリオ、戦闘不能! ギャラドスの勝ち!」

「うぅ……お疲れダグトリオ。よく頑張ったね」

ダグトリオをボールに戻し、穂乃果は佇む相手を見据える。

「海未ちゃんの最後のポケモンだけある……。やっぱり、簡単には行かないなぁ……。流石海未ちゃん」

穂乃果は次のボールを掴む。五個目の、即ち、

「最後の、ポケモン……!」

無意識に入った力を、深呼吸と共に抜く。

「……行くよ。リザードン!」

「グオォ!」

「炎タイプ、ですか。不利な相性ですね」

「かもしれない……。でも、それだけで決まるポケモンバトルじゃないでしょ? 海未ちゃんだって」

「……そうでしたね」

海未はクスリと笑うと、

「決して油断も手加減もしません! 最後まで全力で相手します!」

「穂乃果もだよ!」

二人は同時に、指示を飛ばす。

「アクアテール!」

「フレアドライブ!」

飛び出したお互いのポケモンは、フィールドの中央で激しく交錯する。

「ギャオォ……!」

「グオォォ……!」

衝撃で後退するギャラドスとリザードン。だが、リザードンの方が距離が長い。

「……やっぱり、相性が不利なんだ……。それに、ギャラドス自体の攻撃力が上がってるから……」

「上がったのは攻撃力だけじゃありませんよ! ギャラドス、アクアテール!」

「ギャオ!」

ギャラドスは俊敏な動きでリザードンに肉薄すると、強烈な一撃を見舞う。

「グォッ⁉︎」

「リザードン、大丈夫⁉︎」

果敢に立ち上がるリザードンだが、その動きは鈍り始める。

「さっきの技、素早さも上げるのか……! リザードン、かえんほうしゃ!」

「はかいこうせん!」

ぶつかり合う攻撃。ギャラドスが一拍遅れたにも関わらず、相殺されてしまう。

「はがねのつばさ!」

一瞬の隙を突いてリザードンが仕掛けるも、

「ギャオ!」

ギャラドスは倒れない。

「強い……! これが海未ちゃんの本気なんだ……!」

「感心している暇はありませんよ! もう一度アクアテール!」

「フレアドライブで迎え撃って!」

炎を纏ったリザードン。

「ギャオ……ギャオォ!」

「グォッ……!」

しかし、押し返されてしまう。

「ぐぅ……っ!」

ギッ、と歯を噛み締める穂乃果。

「リザードンの動き、大分鈍ってきましたね。……どうやらここまでですか。不利な相性ながら、善戦したと思いますよ」

海未は軽く息を吐く。

「ーーまだだよ! まだ負けてない!」

そんな言葉を振り払うように、穂乃果は声を上げる。

「絶対に諦めない! いつだって最後まで全力! ずっとそうやって……頑張ってきたんだから!」

穂乃果は力強く拳を握り締める。“あの頃”から、一度も揺るがなかった想い。

「絶対に勝つ!」

穂乃果の声に呼応するように、

「グオォォォォォーーーーッ!」

リザードンが猛々しく咆哮を上げた。

「っ! これは……もうか⁉︎」

「突っ込め! フレアドライブ!」

「グオォォォォォッ!」

激しい炎をその身に纏い、リザードンはギャラドスへ突貫する。

「その心意気、あっぱれです。ならば、私もそれに応えましょう。ーーアクアテール!」

「ギャオォ!」

再び、中央でせめぎ合う二体。

先ほどは押し負けたリザードンだったが、今度は拮抗し、その場でぶつけ続ける。

「確かに威力が上がってますね……! ですが、相殺するのが精一杯のようですね」

「……まだまだ! まだまだだよ! 私達の全力の全力! それをぶつけるんだ!」

穂乃果がそう叫んだ瞬間、穂乃果の背負ったバッグがまばゆい光を放った。そしてその光は、リザードンからも。

「なっ……⁉︎ 何ですか……⁉︎」

海未は目を見開いたが、穂乃果はそれすら気にせず、

「行っけぇぇぇぇぇぇぇっ! ーーげきりんっ!」

全力で叫んだ。

「グオォォォォォーーッ!」

炎と光に包まれたリザードンは、凄まじい打撃の応酬を眼前のギャラドスに放った。

爆音。衝撃。爆風。砂塵が巻き上げられ、全てがスモークに包まれた。

「はぁ……はぁ……はぁ……!」

全てを出し切った穂乃果は、砂埃が収まるのを見守る。

「…………」

同じように、海未も静かに結果を見届ける。

そこには、

「ギャラドス、戦闘不能! リザードンの勝ち! よって勝者、チャレンジャー、穂乃果!」

地面にのびるギャラドスと、それを見下ろすリザードンの姿。

「か、勝った……」

緊張が解けたのか、穂乃果はペタンと座り込んでしまう。

「ふー…………。負けてしまいましたか。……逆境を跳ね返そうとする強い心。私に足りない物、バトルの敗因かもしれませんね」

どこか晴れ晴れした表情の海未は、穂乃果に歩み寄る。

「おめでとうございます。……大丈夫ですか?」

「ふえぇ……疲れたよぉ……」

「……まったく。勝ったのですからシャキッとして下さい」

海未は呆れて、手を指し伸ばす。

「……うん。ありがとう」

穂乃果はその手を掴んで、立ち上がった。

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