μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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物語は佳境へ向かって


第28話 勢揃い

「それでは穂乃果、これを」

海未が差し出したバッジを、穂乃果は受け取る。

「それが、ガーデリージム認定の証、アローバッジです」

「これが………」

「それとこれも」

海未はもう一つ、技マシンを手渡してきた。

「技マシンの中身は、〈アクアテール〉。特殊な効果はありませんが、その分威力には期待できますよ」

「ありがとう、海未ちゃん」

穂乃果は技マシンをしまうと、改めてバッジケースを眺める。

「八つのバッジを集めたのですね」

「……うん」

「ならば、ポケモンリーグへの挑戦権を得たという事です。どうしますか?」

訊ねる海未。しかし、その顔には笑みが浮かんでいる。

「もちろん、挑戦するよ!」

「そう言うと思いました。分かってましたよ」

「えー⁉︎ だったら訊かなくてもいいじゃん!」

頬を膨らませる穂乃果に、

「覚悟を見ておきたかったんです。許して下さい」

海未はその頬を指でつつく。

プスー、と空気を吐き出した穂乃果は、

「むー」

不満顔で再度頬を膨らませた。

 

 

穂乃果と海未がジムから出ると、

「穂乃果ちゃん! 海未ちゃん!」

フワフワした声が響いた。

「ことりちゃん!」

ことりの姿を確認した穂乃果は、勢いよくハグする。

「何故私まで⁉︎」

横にいた海未も巻き添え。

ひとしきりハグを終えた後、

「穂乃果ちゃんと海未ちゃんのバトルが気になって、急いで来ちゃった」

ことりは笑顔で後ろに視線を送る。

そこには、小型のヘリが鎮座していた。

「ヘリで来たんですか⁉︎」

「うん♪」

「…………」

言葉を失う海未。一方穂乃果は、

「へーこれがヘリコプターかぁ〜。こんなに近くで見るのは初めてだなぁ〜。カッコいいね!」

マイペースに感動していた。

「まったく……いくら空港があるからといって……」

「でも、穂乃果ちゃんを送るのにもちょうどいいかな、って思って」

「へ? 穂乃果?」

唐突に話を振られて、穂乃果は自分を指差す。

「バッジ、全部集まったんでしょ?」

「何で分かったの? 穂乃果も海未ちゃんも、まだ言ってないよね?」

驚く二人に、ことりは笑顔で答える。

「だって海未ちゃんが凄く嬉しそうなんだもん。それって多分、穂乃果ちゃんが勝ったからじゃないかな」

「わ、私、そんなにだらしない顔してましたか⁉︎」

「だらしなくなんかないよ。可愛い顔してるなぁ、って思ってただけだから♪」

「かわっ……⁉︎」

顔を押さえて明後日の方向を向く海未に、ことりはひたすらニコニコ笑顔をぶつける。

「それでことりちゃん、穂乃果がバッジ揃えたのと、ことりちゃんのヘリがどう関係するの?」

「あなたは話を聞いていたのですか⁉︎」

先に応えたのは海未。

「怒らないでよぉ〜!」

「ま、まあまあ」

海未をなだめたことりは、

「分かってるとは思うけど、バッジを八個集めた穂乃果ちゃんは、ポケモンリーグへの挑戦権を得たの。それで、ポケモンリーグへ行くにはガジアスシティまで行かないといけないから」

「あっ! 絵里ちゃんが言ってたヤツだ!」

「うん♪ 歩くと結構大変だから、これで送ってあげる」

「ホントに⁉︎ ありがとうことりちゃん! 大好き!」

再び抱きつく穂乃果。

「海未ちゃんも、来るでしょ?」

「行きます。我々に勝った穂乃果が、ポケモンリーグへ挑戦する。その門出はぜひとも見送りたいですね」

「じゃあ出発! 行こうガジアスシティへ!」

 

 

 

 

ガジアスシティ上空へやってきた穂乃果達は、眼下で手を振る金髪の人影を見つけた。

「ぅ絵里ちゃんだ!」

「私から連絡しておきました。絵里も待ち望んでいたようですよ」

よく見ると、絵里以外の人影も多数見える。

「久しぶりね、穂乃果」

ヘリから降りると、絵里が口を開いた。

「まさか本当に、バッジ八個集めるなんてね」

「信じてなかったの〜⁉︎」

「こんなに早く、って意味よ」

絵里は微笑むと、穂乃果の頭を撫でる。

「穂乃果ちゃん! ついにポケモンリーグに挑戦するんだね!」

「やっぱり凄いなぁ……」

凛と花陽が、ピョンピョン跳ねながら穂乃果の手を取る。

「ま、穂乃果ならやると思ってたけど」

「そんな事言って〜。ずっとソワソワしてたのは誰かしら〜?」

「にこちゃんよ」

「にこぉ⁉︎」

真姫とにこは、誰と会話しているのか分からないが賞賛してくれたのは伝わった。

「いや〜穂乃果ちゃんもポケモンリーグかー。何だか立派になったやんなぁ」

希はマイペースに、のほほんと眺める。

「みんな……ありがとう!」

そして、

「ジム制覇おめでとう、穂乃果ちゃん」

「シロナさん」

シロナはニッコリ笑うと、モンスターボールを一つ取り出した。

「はい、約束よ」

「え、あ!」

穂乃果は一瞬首を捻ると、すぐに思い出した。

「ありがとうございます!」

ボールを受け取り、空高く放る。

「出てきて!」

「ーーワフッ!」

「……あれ?」

ボールから現れたその姿に、穂乃果は目を丸くする。

「ハーデリ……ア?」

「うふふ、違うのよ、穂乃果ちゃん。それはムーランド。ハーデリアの進化系よ」

「進化系⁉︎ 進化したって事ですか⁉︎」

「ええそうよ。言ったでしょう? 驚く準備が必要だ、って」

「そうなんだ……。びっくりしちゃった。ーーそれじゃあよろしくね、ムーランド!」

「ワフッ!」

穂乃果はムーランドの頭を撫でる。

「実はそのムーランドには、もう一つびっくりする事があるけど……」

「えっ、まだあるんですか⁉︎」

「ええ。私も知らなかった事なんだけど、それは実際に自分で確かめた方がいいかもね」

答えを期待しつつお預けを食らった穂乃果は、少なからず肩を落とした。が、すぐに立ち直る。

「よぉし! 何かは分からないけど、ポケモンリーグへの弾みになったよ! やるったらやる!」

穂乃果は拳を突き上げ、空を仰いだ。

「それじゃあ、いいかしら? ポケモンリーグへ、そしてその挑戦者を待ち受けるチャンピオンロードへ案内するわ」

絵里が一歩進みでると、穂乃果は大きく頷いた。

そんな時だった。爆発音が鳴り響いたのは。

 

 

「っ⁉︎ 何⁉︎」

大地を揺るがす衝撃に、その場にいた全員がよろめいた。

「じ、地震⁉︎」

「いえ、この辺りで地震が起きたとは聞いた事がないです!」

「じゃあ何なのよ!」

「今の音……ニュルドビレッジの方からだよ!」

「まさか、何かあったんじゃ……」

「…………っ!」

脚が動くようになった瞬間に、穂乃果は駆け出していた。

「穂乃果!」

何か猛烈に、嫌な予感がしていた。

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