μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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核心へ迫って行きます


第29話 オリジン団の陰謀

真っ先にニュルドビレッジへ辿り着いた穂乃果。その目に飛び込んできたのは、

「何これ……⁉︎」

飛び散る石片。倒壊する家屋。そして、瓦礫の山と化したリンモンタワー。

「何があったの……⁉︎」

穂乃果が状況を飲み込めずにいると、

「穂乃果!」「穂乃果ちゃん!」

他のメンバーも追いつく。そして、目の前の惨劇に息を飲む。

「これは、一体……⁉︎」「村が、メチャクチャに……」「誰がこんな事を……?」

「…………」

「穂乃果!」

穂乃果は散らばる瓦礫を避けながら、倒壊したリンモンタワーへ近づく。

その瞬間、

「っ……⁉︎」

爆発音がして、リンモンタワーの瓦礫が吹き飛んだ。そのいくつかが、穂乃果目掛けて降ってくる。

「穂乃果ちゃん!」

ことりの悲痛な叫び声が響き、

「ガブリアス、ストーンエッジ!」

それに冷静な声が被さった。

咄嗟に動けなかった穂乃果の頭上で、飛来した礫により瓦礫が爆散した。

穂乃果が振り返ると、

「シロナさん!」

いつの間にかガブリアスを繰り出していたシロナが、安堵した表情でこちらを見ていた。

「ありがとうございます!」

「気を付けてね、穂乃果ちゃん。……さて」

優しい声から一転。厳しい表情で先ほどの爆心地を睨む。

「……それをどうするつもりかしら? ーーオリジン団」

「えっ⁉︎」

慌てて穂乃果が視線を戻すと、

「まさか、シンオウ地方のチャンピオンに出会えるとはね。その態度からして、全く嬉しくないが」

相も変わらずヘンテコな格好をした男が二人。そして、

「それは九つ水晶……! それを持ち出しては駄目よ!」

絵里が叫んだ通り、その手には数多の輝きを放つ九つ水晶。

「そんな事知るもんか! これは我々の野望の為に必要不可欠な物なのだ!」

「まさか、それを強奪する為にこんな事を……?」

海未は、その役割を果たせなくなった民家を見やる。

「ああそうだ。どの道、計画が遂行されれば、全てが用済みになるらしいからな!」

「ふざけてんじゃないわよ……!」

「そんな勝手な理由で、村を壊すなんて……」

にこと花陽が一歩進み出たが、希がそれを制した。

「んで? その計画とやらについて話してもらえるん?」

「話すと思うか?」

「話してもらうわよ」

真姫が口を開く。

「ここにいるのは、カイトゥーン地方の全ジムリーダーとその全員に勝ったトレーナー、そしてシンオウ地方のチャンピオンよ?」

その言葉に、シロナ以外の九人がボールを構える。

「……確かに、俺達に勝ち目は無いな」

男は冷静にそう返す。

「じゃあーー」

「あいにくだが、俺達も計画の全貌は知らないんでね。命令通りに動いてるだけさ」

肩をすくめた男は、ニヤッと笑う。

「ーードリュウズ!」

「ドリュ!」

掛け声に応えるように、地下からポケモンが飛び出した。

「! そうか! 彼ら、地下から!」

シロナが指示を飛ばそうとした直前、

「ドリュウズ、きんぞくおん!」

不協和音が響き渡った。

「ぐぅ……っ!」

思わず全員が耳を塞ぎ、動きを止めた。

「お邪魔トレーナー! お前に伝言だ!」

「!」

形成された穴に飛び込む瞬間、男が声を上げた。

「俺達を止めたくばチェリーバへ来い、だとさ! 確かに伝えたぞ!」

そして穴に飛び込むと、

「いわなだれ!」

出現した岩が穴を塞いだ。

『『『…………』』』

巻き上がった粉塵が収まった頃、静寂が訪れたニュルドビレッジで、十人はひとまず塞がれた穴に集まった。

「……駄目ね。完全に塞がってるわ。ここから追跡は無理みたい」

確認したシロナが、首を横に振った。

「そんな……」

「どうするのよ。九つ水晶、持って行かれちゃったわよ?」

「絵里、アレがどんな役割を担ってるか知らないの?」

「私も、詳しい事は知らないのよ……。分かるのは、水晶に選ばれた人物が正しく扱わないとこの地に災いが起きる、という言い伝えくらいで……」

真姫とにこの問いに、絵里は目を閉じる。

「どうしよう……」

ことりの声に、

「とにかく今は、オリジン団を止めましょう。彼らを野放しにはしておけません」

海未が鋭い視線を向ける。

「……そうだよね。さっきの人、確かチェリーバタウンに来いって言ってたよね?」

穂乃果も強く頷くと、グッ、と拳を握った。

「罠かもしれないわよ?」

「それでも、行かなくちゃ。立ち止まってなんて、いられないよ!」

その強い瞳に、一同は押し黙る。

「……ま、いいんじゃないの?」

「にこ……!」

「今の所、情報はそれしかないんだし。あいつらがこんな強行手段に出たって事は、一刻を争う状況なんじゃない? 穂乃果の言う通り、迷ってる時間は無いわ」

「じゃあ急いでチェリーバタウンに行くにゃ!」

凛が駆け出そうとしたのを、絵里が止める。

「待ちなさい。ここからチェリーバまでは近くないわ。歩いていくのは骨が折れる」

「じゃあどうするの⁉︎」

振り返った凛に、絵里が指で示す。

「そこに、ちょうどいい乗り物があるわ。あれで移動しましょう」

絵里が指差した先には、穂乃果達が乗ってきたヘリコプターが。

「でも、全員は乗れないよ? 頑張って詰めても五人が限界だよ……」

ことりの声に、

「なら二回に分けましょう」

絵里が皆を見やる。

「先に行くのは?」

「行く!」

真っ先に手を上げたのは、穂乃果。

「そうね。穂乃果は確定ね」

「私も行くわ」

進み出たのはシロナ。チャンピオンという戦力に、反対する者はいない。

「私も行きます」

「私も! 穂乃果ちゃんの力になりたいの!」

それとほぼ同時に、海未とことりも手を上げる。

「それなら、私が最後ね。九つ水晶を守ってきた身として、放ってはおけないわ」

五人目は、絵里。

第一陣がヘリに乗り込む際、

「希、街の人の安全確認、お願いしてもいいかしら?」

「絵里ちは真面目やんなぁ。大丈夫、言われなくてもやっておくで」

絵里の申し出に、希はウインクで答える。

「……ありがとう」

「一足先に、お仕置きしといてや?」

「ええ、勿論」

先方五人を乗せたヘリは、壊滅したニュルドビレッジの空を飛び立つ。目指すは、麓のチェリーバタウン。

「…………」

窓からウテックス山を見ていた穂乃果は、

「っ……⁉︎」

その山の頂上から、摩訶不思議な光が放たれるのを見た。

「何ですか、あれは……⁉︎」

遅れて、他の四人も気付く。

「私、あの光知ってる……!」

突然、穂乃果が言った。

「本当ですか⁉︎ 一体どこで⁉︎」

「海未ちゃんも見たハズだよ。ジム戦で、ギャラドスと闘ってたリザードンが最後にあの光に包まれたのを」

「ああ……! そういえば、似てますね……」

海未も記憶を引っ張り出したのか、神妙に頷く。

「! 穂乃果ちゃん! カバンが!」

「え? 何⁉︎」

ことりの声で、穂乃果は自分の背負うカバンが同様の光を発している事に気付いた。

「これは……」

シロナは、何かに思い当たるように呟く。

「ーー穂乃果ちゃん、もしかしたらあなたは……」

シロナは穂乃果を真っ直ぐ見やると、

「よく聞いてね。あなたの可能性について、話すべき事があるわ」

真剣な眼差しで口を開いた。

チェリーバタウンは、すぐ真下に迫っていた。

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