μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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ずっと書きたかったシーンを書けました!
これからも更新ペース上げて頑張ります!


第32話 対決! オリジン団リーダー!

「エンペルト、ハイドロポンプ!」

「ムーランド、あなをほる!」

エンペルトの高圧水流は、誰もいない空間を通過した。

「その戦法は、以前封じたはずよ。エンペルト、穴に向かってハイドロポンプ!」

「飛び出して!」

「ワフッ!」

エンペルトが攻撃を繰り出した瞬間、ムーランドは地面を突き破って飛び出した。当然、エンペルトには当たらない。

「被弾するよりは回避、って事ね」

「まだまだ! ワイルドボルト!」

「電気タイプの……! エンペルト、ラスターカノン!」

「ペルトー!」

「ワウゥゥッ!」

電撃をまとったムーランドの突貫は、銀色の光線に勢いを削がれた。

「すてみタックル!」

穂乃果は息つく暇なく、次の指示を飛ばす。

「受け止めて!」

「ペルト……ッ!」

相性悪い攻撃は、エンペルトを数センチ後退させて止められた。

「あなをほる!」

「ワフッ!」

唐突に地面に潜ったムーランドに、押さえていた相手が消えてエンペルトはよろめく。

「今だ!」

「ペルトー!」

今度は決まった攻撃に、エンペルトは上空へ突き飛ばされる。

「一発当たったくらいで、私のエンペルトは倒れないわ。ハイドロポンプ!」

「すてみタックル!」

再び相殺される攻撃。だが穂乃果は、そこで終わらなかった。

「ワイルドボルト!」

「ワウゥゥッ!」

攻撃直後で反応できなかったエンペルトは、ムーランドの直撃を許してしまう。

「まだまだ! ムーランド、ばかぢから!」

「ウウウワウッ!」

ムーランドは前脚を振りかぶり、渾身の力で振り下ろす。

「ペルトッ……!」

エンペルトは地面に叩きつけられ、そのまま起き上がりはしなかった。

「よし……っ! 倒した!」

「…………」

エンペルトをボールに戻したツバサは、

「以前闘った時とは、まるで別人ね。……いえ、強さだけじゃない。私の計画を絶対に阻止しようという、確固たる意志が成せる事なのね」

「ツバサさん……」

「でも、私だって後には退けない。これが、私の選択した道だから」

ツバサの瞳も、揺るがない。

「行きなさい、マフォクシー!」

「マフォ!」

「ムーランド、一旦戻って!」

穂乃果は、ムーランドをボールに戻す。

「何度もぶつかって、反動ダメージも蓄積してるもんね……。今は休んでて。ーーお願い、ロトム!」

「ウィィッ!」

洗濯機の姿をした青いロトムを見て、

「炎タイプには水タイプ……。堅実ね」

ツバサは変わらず余裕の表情を崩さない。

「水タイプへの対策くらい、用意してあるのよ? マフォクシー、ソーラービーム!」

「マフォ……」

マフォクシーは両手を空に掲げると、天から光を吸収する。

「放ちなさい!」

「ロトム、10まんボルト!」

ロトムの電撃は、マフォクシーのレーザーと交錯し、一瞬せめぎ合った後四散してしまう。

「その程度の威力じゃあ、撃ち消す事は……」

「ハイドロポンプ!」

「!」

続けて撃ち出されたロトムの高圧水流は、先ほどで幾分か威力を相殺されたソーラービームを中心から貫いた。

「くっ……! マフォクシー、かえんほうしゃ!」

「マフォ……!」

攻撃態勢に入ったマフォクシーだったが、その炎が撃ち出される前に、直撃を許してしまう。

「マフォオ……」

相性の関係か、一撃で沈むマフォクシー。

「……攻撃は二段構えって事なのね。狙って……はないわよね。あの一瞬で判断した、素晴らしいバトルセンスね」

ツバサの表情に、少し焦りが浮かぶ。

「戻って、ロトム」

穂乃果はまたしても、ポケモンを戻す。

「ロトムはまだダメージを受けてないわよ? 休ませる必要はないんじゃないかしら」

「私のポケモンを見て欲しいんです。ツバサさんに、私がこの旅で出会った、もう一つの奇跡のような存在を」

「“もう一つ”の奇跡……?」

元の記憶が無いツバサには、一つめが何なのかは分からない。

「……そう。なら私を倒して、その奇跡を証明してみせて。あなたが出した結論を、私に示して。ーーバクフーン!」

「ムクホーク!」

お互い三体目は、同時に繰り出す。

「ムクホーク、ブレイブバード!」

「バクフーン、ふんか!」

ムクホークは低空飛行でバクフーンに迫る。バクフーンは爆熱を噴き出し、それを迎撃する。

「ムクホーク、つばめがえし!」

ムクホークは低空飛行から、一気に急上昇する。バクフーンの攻撃範囲から退避すると、そこから急角度で突撃を仕掛けた。

「甘いわね。ふんえん!」

「バク!」

全方位に放たれる炎。突っ込んでいたムクホークは避けられず、炎を浴びてしまう。何とかバクフーンまで攻撃は届いたが、大したダメージにはならず。

「あら、やけどの追加効果ね」

ムクホークの状態異常を見て、ツバサは勝敗を察する。

だが、

「やけどなら大丈夫!」

「ホーク!」

全く怯まない穂乃果とムクホークに、怪訝な顔をする。

「ムクホーク、からげんき!」

「なっ……!」

勢いよく突っ込んでくるムクホーク。そんな不意打ちに反応できなかったツバサ。そしてバクフーンは直撃を受けて吹っ飛ばされた。

「バクフーン!」

「バク……」

「…………」

立て続けに三体を倒されたツバサは、穂乃果を見やる。

「私が、こうも簡単に追い込まれるなんてね。……穂乃果さん、あなたの原動力は何? あなたのどんな信念が、そこまでの強さを生み出すの?」

改めて訊かれた穂乃果は、少し黙る。

「……私は、この世界が好きです。ポケモンも、ここの人も。旅をして、助けてくれて、闘ってくれて。……でもきっと、続かない。今の毎日は、きっと終わってしまう。だから私は、今を楽しみたい! この限られた時間の中で、精一杯輝きたい! “今が最高!”って、思えるように!」

飾らない、等身大の言葉。穂乃果の想いは、スクールアイドルを始めたあの頃から、何も変わっていない。

「……分かった気がするわ、あなたという存在が。あなたがどう生きるのか、私を倒して見せてちょうだい」

ツバサは、四つ目のボールを掴む。

「私の最後のポケモンよ。あなたの道が正しかったと、その想いを私にぶつけて。ーーフシギバナ!」

「バナ!」

「戻って、ムクホーク。ーーリザードン、ファイトだよっ!」

「グオォォ!」

「さあ、行くわよ!」

ツバサは左手を掲げ、その人差し指にはまる指輪に右手を添える。そこにある、不思議な光を持つ石へと。

「ーーメガシンカ!」

ツバサのメガリングと、フシギバナのフシギバナイトが反応した。

指輪とフシギバナから、光の帯が溢れ出す。それはお互いの帯と結び付き、フシギバナを光が包む。そしてその光が四散した時、

「バナアァァァァァッ!」

フシギバナはメガフシギバナへとメガシンカしていた。

「どうかしら? これがメガシンカ。進化を超えた、ポケモンの新たな力よ」

誇ったような声のツバサ。

「……知ってます」

「……?」

だが穂乃果の反応の薄さに、少し表情を曇らせる。

「あれが、メガシンカなんだね。凄いね、リザードン」

「グオ」

「……私達も、見せてあげよっか!」

「グオ!」

「まさか……!」

穂乃果は、お守りのように身に付けていたいつものリストバンドを掲げる。ヘリの中で、シロナに作ってもらった、キーストーンの付いたそれを。

「メガシンカッ!」

穂乃果のメガリストバンドと、リザードンのリザードナイトXが反応した。不思議な光が四散した時、

「グオォォォォォォッ!」

リザードンはメガリザードンXへとメガシンカしていた。

「さあ、行くよ!」

「……まさか、あなたまでメガシンカを使えるようになっていたなんてね。キーストーンを渡した時は、無理だろうと思っていたのに」

「リザードン、かえんほうしゃ!」

「フシギバナ、ヘドロばくだん!」

威力の上がったお互いの攻撃が、空中で相殺される。

「つるのムチ!」

フシギバナから伸びた蔓が、リザードンの腕を絡め取る。

「そのまま持ち上げなさい!」

「バナァ!」

上に引っ張られたリザードンは、

「叩きつけて!」

「フレアドライブ!」

その力に逆らうように、炎を纏って抵抗する。その炎が燃え移り、蔓が導火線のように燃えていく。

「今だ! かえんほうしゃ!」

焼けて脆くなった蔓を引きちぎり、リザードンは熱線をフシギバナに浴びせた。

「よしっ!」

だがフシギバナは倒れない。

「フシギバナはメガシンカすると、特性が《あついしぼう》に変わるのよ。炎タイプと氷タイプのダメージは半減よ」

「じゃあ、効果は抜群でもダメージは普通と同じって事なんだ……」

「フシギバナ、もう一度ヘドロばくだん!」

飛来する塊を、リザードンは食らってしまう。さらに、

「グオ……ッ⁉︎」

動きが少しよろめく。

「どくになった……⁉︎」

「ヘドロばくだんの追加効果ね。長引けば不利になるわね」

「くっ……!」

「……でも、長引かせるつもりはないわ。勝因が状態異常なんて、私が認めない。フシギバナ、つるのムチで捕まえて!」

力強い眼光。勝利のみを見据えた、曇りの無い目。

「……それは、私だって同じです! リザードン、フレアドライブ!」

「グオォォッ!」

リザードンが纏った炎に、草の蔓は焼け焦げてしまう。

「ヘドロばくだんで撃ち落としなさい!」

「バナ!」

「させない……! これで決める!」

穂乃果はグッ、と拳を握ると、勢いよく突き出す。

「リザードン、げきりん!」

「グオォォォォォォ!」

やたらめったら繰り出される攻撃が、フシギバナの放った塊を爆散させる。

「行っけぇぇぇぇぇぇぇっ!」

「グオォォォォォォォォッ!」

フシギバナへと衝突するリザードン。爆風が巻き起こり、交錯点が見えなくなる。

煙が晴れたそこには、

「バナ……」

倒れ伏し、メガシンカが解除されたフシギバナの姿が。

「…………負けた、か」

ツバサは結果を認め、長く息を吐くと空を仰いだ。

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