μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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穂乃果の旅も、終盤へ。
それとなく追加される設定


第34話 いざ、ポケモンリーグへ

「皆、大丈夫⁉︎」

ようやくシロナがウテックス山の頂上に姿を見せ、

「っこれが、伝説のポケモン……!」

パミュークスの姿を認めてボールを構えた。

「大丈夫ですシロナさん!」

それを穂乃果が慌てて止める。

「このポケモンはもう、怒ってませんから!」

「……どういう事?」

怪訝な顔をするシロナに、九人が口々に、そしてフォローし合って状況を説明する。

「…………」

話を聞き、それをまとめたシロナは、

「……つまり、歌を歌ったら解決できた……って事?」

「そうなります」

「……驚いたわ。そんな解決法があったなんてね」

シロナは一瞬言葉を失い、

「私も闘ったオリジン団から情報を聞き出したのだけど……、世界を新しくするって聞いて……穂乃果ちゃん達が、カイトゥーン地方を救ったのね」

「そ、そんな、私達はただ必死で……」

「それで世界を救ったんだもの。凄いじゃない。皆、頑張ったわね」

シロナに労われ、九人は笑顔を見せる。

「…………」

穂乃果は振り返ると、こちらを見つめるパミュークスを見つめ返す。

「ごめんね、いきなり酷い事して。でも、穂乃果は歌えて楽しかったよ! あなたはどうだった?」

「…………」

パミュークスは答えない。

「また一緒に歌おうね! 今度は、皆で仲良く!」

両手を広げ、満面の笑みを浮かべる穂乃果。その輝く笑顔を、パミュークスは静かに見下ろす。そして、

「キュオォォォォ……!」

遠吠えのように、空に向かって声を響かせた。その声は、耳を塞ぐような不協和音ではなかった。

「綺麗な声……」

その声に全員が聞き惚れていると、十人を不思議な光が包んだ。

「これは……!」

視界がホワイトアウトした次の瞬間、立っていたのはチェリーバタウンのヘリの前だった。

「今のはテレポート……。でも、自分以外をこんなにも移動させるなんて……。やっぱり、秘めていた力はとんでもないようね……」

シロナは目の前にそびえる、ウテックス山を見上げる。穂乃果達もつられて見上げ、

「キュオォォォォ…………」

僅かに聞こえてきた声が、唐突に途切れたのを感じた。

「……さようなら」

穂乃果は微笑みを浮かべて呟き、

「今が最高♪」

小さく口ずさんだ。

 

 

 

 

翌日、ガジアスシティ。夜明け。

穂乃果は朝日を浴びながら、大きく伸びをした。

「うーん……! いい天気になりそう!」

「随分早いですね」

呼びかけられ振り向くと、

「海未ちゃん!」

海未が立っていた。

「まだ朝早いですよ?」

「だっていよいよだもん! オリジン団の事件も解決して、いよいよ挑戦できるんだよ?」

穂乃果はある一点へと、視線を送る。そこにあったのは、大きな門扉。

「……ポケモンリーグ!」

 

 

前日、チェリーバタウンでシロナと別れた九人は、ヘリでガジアスシティへ戻った。ニュルドビレッジで簡単な復興作業を手伝い、翌日、穂乃果のポケモンリーグ挑戦を見送ろうとなった。

久しぶりの挑戦者という事で、ガジアスシティあげての見送りとなった。

豪華な食事や激励の言葉など、多くの人に背中を押された穂乃果は、μ'sの八人と共にポケモンリーグへと続く扉の前に立った。

扉のすぐ向こうは海岸であり、まるで異世界へ続いているかのような雰囲気を醸し出している。

「それじゃあ、開けるわね」

絵里は持っていた鍵を、扉の鍵穴に差し込む。

カチン、と小気味いい音がし、絵里が扉を押す。

身長の二倍を超える重厚な扉はしかし、驚くほど簡単に開ききった。

その先に見えるのは、暗闇へと消える下り階段。

「この先が、ポケモンリーグ。そしてそこに立ち塞がるのが、最後の難関チャンピオンロード」

絵里は穂乃果に向き直る。

「チャンピオンロードには、挑戦権を得ながらも腕を磨くトレーナーが数多くいるわ。全員、バッジを全て揃えた手強い相手よ」

「……うん。頑張る」

穂乃果は強く頷く。

「穂乃果なら、心配はいらないと思うけどね」

対照に、絵里は笑顔を作る。

「そうだよ! オリジン団をやっつけた穂乃果ちゃんだもん! 絶対大丈夫にゃ!」

凛は元気に飛び跳ね、全身で激励を表現する。

「穂乃果ちゃんは凄い人だから、きっと勝てる。ううん、絶対勝てる!」

花陽は両手を握りしめると、自分の事のように頷いた。

「このにこにーが認めたトレーナーなんだから、負けたら承知しないわよ!」

若干理不尽ながらも、にこは彼女なりの声援を送る。

「不思議な人よね。何でもやりそうって、そんな気がする。……あと、一緒に歌えて楽しかったわ」

後半の声小さく、少し頬を染めた真姫。

「きっと凄いトレーナーになるんだろうって、ウチは最初から分かっとったで? スピリチュアルパワー、分けてあげる」

穂乃果の両手を包み、穏やかに話しかける希。

「頑張ってきなさい。穂乃果の真っ直ぐな気持ちがあれば、どんな壁だって壊せるわ」

絵里は笑顔で、ウインクする。

「頑張ってね、穂乃果ちゃん。ずっと応援してるから!」

ことりは小さく手を振り、ニッコリ笑いかける。

「あなたの強さは、私達がよく知っています。さあ、その強さを見せつけてきて下さい」

海未は穂乃果を見つめ、その目に宿る激しい炎を焚きつける。

「みんな……ありがとう! 絶対、ポケモンリーグ制覇してくるね!」

穂乃果はそれぞれの想いを受け取り、拳を空に突き上げる。

「あ、そうそう。先のオリジン団事件で、パミュークスの影響が少なからず出ているみたいよ。世界のズレが生じてしまったみたいね」

「え……それ大丈夫なの?」

「世界が崩壊するような規模じゃないみたいだから、平気よ。ただ、今まで生息していなかったポケモンが現れたり、一部ポケモンのタイプにも影響が出ているようね。そこら辺、頭に入れておくといいわ」

「分かった。ありがとう絵里ちゃん!」

穂乃果は階段へとつま先を向けると、

「じゃあ、行ってきます!」

勢いよく駆け下りていった。

 

 

 

 

階段を駆け下りてすぐ、

「新たな挑戦者か? 早速だが、相手してもらおう!」

いきなりバトルを挑まれた。

「いけ、グランブル!」

「ブル!」

「あ、このポケモン知ってる! 確かノーマルタイプだ!」

穂乃果はゲームの記憶を引っ張り出し、

「ムーランド、ファイトだよっ!」

「ワフッ!」

「ばかぢから!」

いきなり攻撃を叩き込んだ。

だが、

「ブル!」

「え、ウソ……! 全然効いてない⁉︎」

「フッフッ……さてはお前、最近起こった変化を知らないな?」

「うっ……」

知らないどころか解決した張本人なのだが、それと知識はまた別問題。穂乃果はたじろぐ。

「そんな勉強不足でポケモンリーグに挑戦なんて、片腹痛い! 出直して来い!」

「すてみタックル!」

「ワウゥゥッ!」

「ブルゥッ……⁉︎」

トレーナーが言い放った直後、グランブルが後方に吹っ飛ばされた。

「……は?」

目が点になるトレーナー。

「よしっ! 何かよく分かんないけど、これなら勝てる!」

「よ、よし分かった! お前は見込みがある! 特別に変化について教えてやろう!」

「ホントに⁉︎ ありがとう!」

無邪気に喜ぶ穂乃果は、このトレーナーが実力不足で立往生していた事など知らない。

 

 

「……簡単に言うと、新たなタイプが発見されたんだ」

「タイプ?」

「ああ、フェアリータイプってヤツでな。今まで別のタイプだったポケモンがフェアリータイプになってたり、一つしかタイプが無かったのにフェアリータイプが追加されたポケモンもいる。俺のグランブルは前者だな」

「ほぇ〜」

「あと、今まで未発見だったポケモンも出現するようになったんだ。例えば、さっき捕まえた……」

「エリキ!」

「わ、可愛い!」

「コイツはエリキテル。カイトゥーン地方にはいなかったはずなんだが、昨日からいきなり現れたんだ。……不思議な事があるもんだな」

「絵里ちゃんが言ってたのって、この事だったんだ……」

「あとこれは聞いた話なんだが、どうやら鋼タイプに悪タイプとゴーストタイプの攻撃が、いまひとつじゃなくなったらしいんだ」

「え、そうなの?」

「ああ。自分で確かめたわけじゃないからよく知らないが、どうやらそうらしい」

「ふーん……。色々変わってるんだ……」

「変化が見られたのはその辺だ」

「分かった! ありがとう!」

「気にすんな。……お前、強いな。ムーランド見てすぐに分かったよ。お前ならもしかして、本当にポケモンリーグ制覇しちまうかもな」

「そうかな。でも頑張るよ!」

「おう、頑張れよ」

なんだかんだで親切だったトレーナーと別れ、穂乃果はチャンピオンロードを突き進む。

「ロズレイド、リーフストーム!」

挑まれたバトルは全て応え、

「ムクホーク、ブレイブバード!」

その研ぎ澄まされたバトルセンスを発揮し、

「ダグトリオ、じしん!」

スクールアイドルの練習で培った体力と直感を駆使し、

「ロトム、ハイドロポンプ!」

とどまる事を知らない連勝記録を叩き出し、

「ムーランド、すてみタックル!」

そして時には、

「メガシンカ!」

全力でぶつかり、

「リザードン、げきりん!」

気が付くと、チャンピオンロードで修行する全てのトレーナーを打ち破ってしまっていた。

それと同時に、

「……あの先、明るい? もしかして出口⁉︎」

最後の難関が、終わりを迎える。

階段を駆け上り、海底洞窟から飛び出す。

そこは小さな島。芝生に色とりどりの花が咲き誇り、そよ風に揺れている。

そして、目の前に建立されたポケモンリーグ。平和な自然風景とは真逆に、圧倒的なオーラを放つ。

「…………ここが、ポケモンリーグ……!」

顔を伝った汗を拭い、穂乃果は武者震いをした。最後の挑戦が、始まる。

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