μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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第4話 仲間だから

「──それでは、スモーファウンジムリーダー・花陽VSチャレンジャー・穂乃果のバトルを始めます。ジムリーダーの使用ポケモンは二体。チャレンジャーに制限はありません。なお、チャレンジャーにのみポケモン交替が認められます」

「よーし、頑張るよー!」

「私……負けません!」

 それぞれ一匹目のモンスターボールを手に取り、

「──バトルスタート!」

 と同時にポケモンを繰り出す。

「エイパム、頑張って!」

「ヨーテリー、ファイトだよ!」

 お互いのポケモンが対峙する。

「ヨーテリー、たいあた──」

「ねこだましです!」

 穂乃果の指示を遮って、花陽の声が飛ぶ。

「エパッ」

 エイパムが、今まさに動こうとしていたヨーテリーの頭を尻尾で叩く。

「テリッ!?」

 突然の事に、ヨーテリーは目を白黒させる。

「そのままひっかく!」

「エパッ!」

 たまらず倒れるヨーテリー。

「ヨーテリー! 大丈夫?」

「テリー!」

「よーし、かみつく!」

「テリッ!」

「エパ……ッ」

 反対にエイパムが吹っ飛ぶが、綺麗に着地。

「ヨーテリー、たいあたり!」

「エイパム、スピードスター!」

「エパエパエパッ!」

「テリ……ッ!」

 ブレーキ間に合わず、突貫を仕掛けていたヨーテリーは、飛んでくる星の渦に自ら突っ込んでしまう。

「ヨーテリー!」

「ヨーテリー、戦闘不能! エイパムの勝ち!」

「あぁ……」

「勝ちましたぁ」

 ふわんと喜ぶ花陽。

「まだまだ! 頑張れスボミー!」

 穂乃果はめげず、スボミーに指示を飛ばす。

「スボミー、すいとる!」

「ボミー!」

「エパ……!」

 体力を吸われ、エイパムは態勢が崩れる。

「今だ! はっぱカッター!」

「エイパム!」

 とっさに動けなかったエイパムに、草の刄は襲い掛かる。

「エイパム、戦闘不能! スボミーの勝ち!」

 審判の旗が上げられ、花陽は一瞬肩を落とす。

「エイパム、お疲れさまです。頑張ってくれました」

「よーしスボミー、このまま行くよー!」

「ボミー!」

 そのやり取りに花陽は微笑み、

「スボミー、強いですね」

「だよね! 花陽ちゃんのエイパムも強かったよ!」

「ありがとうございます。──でもまだ、終わってません!」

 花陽は次のボールを掴むと、

「お願いします、タブンネ!」

「ブンネ!」

 登場したその姿に穂乃果は、

「あ、可愛いね!」

「ありがとうございます。でも、可愛いだけじゃありません! ──さっそくいきます! トライアタック!」

「ブーンネッ!」

「な、何それ!?」

 タブンネが打ち出した三角形の光線に穂乃果は面食らい、

「ボミッ……!」

 その間にスボミーに直撃する。

「スボミー!」

「初めての事でも、驚いてはいけないんです。バトルですから」

「そっか……。花陽ちゃんも凄いなぁ……。──スボミー、大丈夫?」

「ボミ!」

 ひっくり返ったスボミーは起き上がった。が、

「ボ、ボミ……!?」

 思うように動けない。動こうとするのだが、要所要所で動きが止まる。

「まさか……まひ!?」

「そうです。トライアタックは、相手をまひ、やけど、こおり状態のどれかにする事があるんです」

「そ、そんな……。スボミー、大丈夫!?」

「ボ、ボミ!」

 意気込むスボミーだが、その動きは鈍い。

「タブンネ、もう一度トライアタック!」

「ブンネ!」

 再び三角形の光線が撃ち出され、

「スボミー、よけて!」

 穂乃果が指示を飛ばすが、逃げ切れずに食らってしまう。

「スボミー! ──そうだ。すいとるで回復だよ!」

「ボミー!」

 即座に動いたスボミーのすいとるが決まったが、

「ブンネ♪」

「うそ……全然効いてない……」

 タブンネの体力には影響が見られない。

「タブンネは体力が多いんです。そう簡単には倒れません」

 花陽は得意げに言う。

「どうしよう……。次攻撃されたら危ないし……ヒトカゲに交代──」

「ボミッ!」

 穂乃果の声を遮って、スボミーが声を上げる。

「スボミー……?」

 スボミーは必死に振り返り、穂乃果を見つめる。

「……闘いたいの?」

「ボミ!」

 スボミーの真剣な眼差しを受け止めた穂乃果は、ぐっと拳を握る。

「分かった! 頑張れスボミー!」

「ボミッ!」

 表情を明るくしたスボミーは、次に決意の表情でタブンネに向かって一歩踏み出した。

 ──その瞬間、

「え、な、何!?」

 スボミーが光に包まれた。

「ボミ……」

「スボミー、どうしちゃったの!?」

 慌てる穂乃果に、

「これは……!」

 花陽が呟く。

「進化です!」

「進化?」

 穂乃果が、すっかり原型が分からなくなったスボミーを見る。

「──リアー!」

「す、スボミーが……」

 穂乃果がポケモン図鑑を確認すると、

「ロゼリア……」

 スボミーの進化系、と説明される。

「凄い! 凄いよスボミー! ……じゃなかった。ロゼリア!」

 拳を振る穂乃果。

「よーし、頑張るよー!」

「リア! ──リ……」

 意気込んだロゼリアだが、すぐに動きが鈍る。

「う……進化してもまひは治らないのか……」

 穂乃果の途方に暮れた声に、無理矢理に体勢を整えたロゼリアは、

「リ……リアーッ!」

 一つ吠えて自身を緑色のベールで覆った。

「こ、今度は何!?」

 再度驚く穂乃果の前で、

「リアー!」

 ロゼリアは健康な姿で直立した。

「これは……アロマセラピー……!」

「アロマセラピー!? って……何?」

「味方の状態異常を全て回復する技です! どんなに有利にバトルを展開しても、たちまち元に戻してしまう……サポートとしては最高すぎる技なんです!」

「は、花陽ちゃん……?」

 熱く語る花陽に、理解しつつも若干引く穂乃果。

「でもそっか……。アロマセラピーを覚えたんだね!」

「でも、体力までは回復できません! 消耗した今なら、たとえ進化しても……。──トライアタック!」

「ブーンネ!」

 無慈悲にも三撃目が放たれる。

「ロゼリア、よけて!」

「リアッ!」

 ロゼリアは俊敏な動きで攻撃を躱す。

「早い……! スボミーの時より、素早さが上がっているんですか……!」

「よーし、少しでも回復するよ! すいとる!」

「リアッ!」

 ロゼリアがタブンネから体力を吸い取る。

「すいとるは大したダメージには──」

 口を開いた花陽の前で、

「ブンネ……」

 タブンネの足元がふらつく。

「うそ……」

「リアーッ!」

 対照に元気に腕を振るロゼリア。

「このダメージ……メガドレイン!? 技まで進化したの!?」

「凄すぎるよロゼリア! もう一回メガドレイン!」

「リア!」

「ブ、ブンネ……」

「た、タブンネ!」

「よーし、ロゼリアたいあたり!」

 すっかり回復したロゼリアは、タブンネ目がけて思い切りぶつかる。

 さすがに吹っ飛ばされはしなかったが、タブンネはヨロヨロと後退すると、

「ブンネ……」

 そのまま倒れた。

「タブンネ、戦闘不能! ロゼリアの勝ち! よってこの勝負、チャレンジャー・穂乃果の勝ち!」

 審判の旗が振られ、穂乃果の勝利が宣言される。

「やった! 勝ったよ! ありがとうロゼリア!」

「リアー!」

「負けちゃったぁ……。穂乃果さん、強いなぁ……」

 花陽は一瞬へたりこんだが、

「おめでとうございます」

 喜び続ける穂乃果に歩み寄る。

「あ、花陽ちゃん」

「穂乃果さんには、このフラワーバッジを差し上げます」

 花陽が差し出したバッジを、穂乃果は受け取る。

「ありがとう! 花陽ちゃんも強かったよ!」

「ありがとう……ございます」

 すると穂乃果は、ふと思案顔。

「ねぇ、花陽ちゃん、敬語はやめようよ! 先輩禁止、だよ!」

「え、でも……」

「凛ちゃんだって、そうだったよ?」

「そっか……。凛ちゃんなら……」

「花陽ちゃんのポケモンに対する想い、伝わってきた! だから──」

 穂乃果は、笑顔で手を差し出す。

「──うん! 穂乃果ちゃん!」

 花陽も、微笑みを湛えてその手を握る。

 激闘を繰り広げた二人は、固く握手を交わした。

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