μ'sバトルスタート!   作:『シュウヤ』

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第6話 ポケモンコンテスト開催!

『──さあー、ついにこの時が来ましたポケモンコンテスト! 最高のパフォーマンスで優勝を掴み取るのは、果たして誰だーっ!』

 マイク片手のハイテンションな司会により、出場選手が紹介されていく。

「最後に、なんと飛び入りの参加者! フォルリーフタウン出身、穂乃果選手とヒトカゲ!」

「ど、どうもー……」

 いかな穂乃果といえど、飛び入り、という観客の期待の目は痛い。

『さあまずは規定演目です!』

 その声を聞きながら、穂乃果はオトノキ地方のポケモンコンテストは、エントリーしたポケモンと一緒に、決められたお題で演じる規定演目、自由に演じる個性が試される自由演目からなる、というにこの言葉を思い出していた。

「やっぱり、にこちゃんはにこちゃんだ!」

 穂乃果はそう呟きながら、規定演目に臨んだ。

 

 

 ──決して物覚えがいいとはいえない穂乃果にとって、その場で伝えられるお題をこなす規定演目は、苦手と言えた。

 だがそれを持ち前の明るさで乗り切ると、続いて自由演目。

「自由演目、穂乃果どうするんだろ」

「さっきはちょっと怪しかったけど……」

「大丈夫かなぁ……」

 観客席で見守るヒフミは心配げな表情をし、

「……ふん。まあまあね」

 ムスッとしたにこは、それでもコンテストを楽しんでいた。

「それではエントリー№8、穂乃果さんの自由演目です!」

 ヒトカゲと共に元気よく飛び出した穂乃果は、

「実は私、コンテストとか初めてで……よく分かりません!」

 そんな事を言いだす。

「……はあ?」

 にこを含め観客は怪訝な表情を浮かべる。

『おおっと穂乃果さん、これはどうしたのでしょうか』

「だから……、──歌います!」

 そう言って穂乃果は目を閉じると、息を吸い込む。

「“だって、可能性感じたんだ。そうだ進め~。後悔したくない目の前に、僕らの道がある~”」

 突然響いた歌声に、観客のざわめきはピタリとやむ。そしてヒトカゲは、歌声に合わせて小さくステップを踏む。

「──“Let's Go!”」

 そう穂乃果が右腕を振り上げたその瞬間、

「カゲーッ!」

 ヒトカゲが光に包まれた。

「え、これって……」

 穂乃果、観客が注目する中、ヒトカゲは、

「──ザード!」

『な、ななななななんとぉ! 穂乃果さんの歌声に応えるかのように、ヒトカゲがリザードに進化したぁぁぁっ!』

「リザード……?」

「ザード!」

 進化したリザードは、穂乃果に向き直る。

「…………」

 しばらく黙った穂乃果は、みるみる笑顔になる。

「凄い! 凄いよリザード! ──よーし、このまま行っくよー!」

「ザード!」

 そのままススメ→トゥモロウを歌い切った穂乃果は、降り注ぐ拍手におじぎをした。

 ──穂乃果が優勝したのは、言うまでもない。

 

 

 優勝のリボンを片手にコンテスト会場から出た穂乃果を、

「優勝おめでと!」

「凄かったよー!」

「感動しちゃった!」

「……ふんっ」

 笑顔のヒフミと仏頂面のにこが出迎えた。

「ありがとう! でも、本当に優勝できるとは思わなかったな……」

 苦笑いを見せた穂乃果に、

「ヒトカゲが進化したのは、穂乃果との絆じゃない?」

「そうそう! ヒトカゲが穂乃果の気持ちに応えたんだよ!」

「仲良さそうだもんね!」

 ヒフミは称賛の雨を降らせる。

「そっか……。そう言われると、そんな気がしてきた!」

 ひとしきり喜んだ穂乃果は、

「…………」

 無言で腕を組むにこに向き直る。

「にこちゃん!」

「……何よ」

「優勝したよ! これでジム戦してくれるよねっ!」

 屈託ない穂乃果の言葉に、

「……はぁ。そうね」

 にこは複雑な気持ちで肯定する。

「よしっ! ──じゃあポケモンセンター行ったら、挑戦しに行くね!」

「……好きにしなさい。──ただし!」

 にこは穂乃果にビシッと指を突き付けると、

「コンテストで優勝できたからって、私に勝てるとは思わない事ね!」

「……うん。分かった!」

 真剣に頷いた穂乃果は、ポケモンセンターへ駆けていく。

「……何なのよ。あの穂乃果っての……」

 ペースを狂わされっぱなしのにこは、力なく指を下ろした。

 

 

 

 

「──それでは、アロリームジムリーダー・にこVSチャレンジャー・穂乃果のバトルを始めます。ジムリーダーの使用ポケモンは三体。チャレンジャーに制限はありません。なお、チャレンジャーにのみポケモン交替が認められます」

 あれから小一時間。穂乃果はようやくジム戦を叶えた。

「よろしくね、にこちゃん!」

「ジムリーダーに馴々しいわよ!」

「でも、にこちゃんジムリーダーっぽくないし」

「ジムリーダーじゃなきなゃなんなのよ!」

「んー、子供?」

「どういう扱いよ!」

 そんなやり取りが続いた後、

「えー……、両者、ポケモンを出して下さい」

 審判がツッコんだ。

「まったく調子狂うわね……。──行きなさい、バリヤード!」

「バリー!」

「あのポケモンは……」

 ポケモン図鑑を取り出した穂乃果。

「エスパータイプか……。それなら! ──ヨーテリー、ファイトだよっ!」

「テリー!」

 穂乃果が繰り出したポケモンを見て、ヒデコは首を傾げる。

「何でヨーテリー?」

「あ、確かヨーテリーって、かみつくを覚えるんじゃなかった?」

「そっか。悪タイプの技は、エスパータイプに効果抜群……」

 自信ありげにヨーテリーを選択した穂乃果を見て、

「「「成長したね……」」」

 感慨深く呟くヒフミ。

「よーしヨーテリー、すなかけ!」

 ヨーテリーの巻き上げた砂が、バリヤードにかかる。

「バリ……」

 バリヤードは慌てて顔を覆い、

「今だよ! かみつく!」

「甘いわね。──リフレクター!」

「バリー!」

「テリッ!?」

 確かに直撃したヨーテリーの攻撃は、その半分ほどが不可視の壁に阻まれた。

「な、何で!?」

「リフレクターはね、相手の物理攻撃を半減する効果があるのよ!」

「そんな……これじゃダメージが入らないよ……」

「トレーナーの迷いは致命的よ! バリヤード、ねんりき!」

「ヨーテリー!」

 直撃をもらってしまったヨーテリーは、かなりのダメージを受けて吹っ飛ばされた。

「大丈夫!?」

「テリー! ──……ッ」

 気丈に立ち上がるが、ダメージは深刻。

「交替した方が……でも、ヨーテリーはやる気だし……」

 穂乃果は一瞬ヨーテリーを見やると、

「……よし。──行くよヨーテリー!」

「テリー!」

「替えないの? そのヨーテリー、立っているだけで精一杯よ?」

 にこの得意げな笑顔に穂乃果は、

「大丈夫! 私はヨーテリーを信じてるから!」

 同じく笑顔をぶつける。

「テリーッ!」

 ヨーテリーが一際大きく鳴くと、

「え、ちょ、ちょっと! これって……!」

 ヨーテリーの体が、光に包まれた。

「進化だ!」

「はあ!? ちょっと穂乃果! アンタさっきヒトカゲを進化させたばかりじゃ……!」

「凄い! 凄いよヨーテリー!」

「人の話聞きなさいよ!」

 そんなやり取りの間に、

「ワウッ!」

「あれは……ハーデリア!」

 ポケモン図鑑を確認した穂乃果が、歓喜の声を上げる。

「…………」

 しばらく呆然としていたにこは、

「ふ、ふん。いくら進化したからって、ダメージは回復しないわ。穂乃果がピンチなのは同じよ!」

「うっ、そうだった……。ロゼリアみたいに回復技はないし……。どうしよう……」

「ワウ!」

 ハーデリアは、決意の眼差しで穂乃果を見る。

「ハーデリア……。うん、分かった。──行っけぇぇっ!」

「ワウゥッ!」

 ハーデリアは、バリヤードへ向かって突貫を仕掛ける。

 その尋常でない気迫と勢いに、

「バリ……!?」

 動けないバリヤードは食らうがままとなる。

「バリヤード、戦闘不能!」

「って何よ今の威力は!」

「今の技……すてみタックルだよ!」

「ノーマルタイプ最強クラスの技じゃん!」

「あ、でも待って……? すてみタックルって確か、自分にも反動ダメージが……」

 ヒフミの声に喜びかけた穂乃果は、慌ててハーデリアへ視線を向ける。

「ワウ……」

 それまでなんとか立っていたハーデリアは、こらえ切れずに倒れてしまった。

「ハーデリア、戦闘不能! よってこの勝負、引き分け!」

「最後の力を振り絞った攻撃だったんだ……。──お疲れさま、ハーデリア」

 ハーデリアをモンスターボールへ戻した穂乃果は、優しく労いの言葉をかける。

 一方、にこもバリヤードへ労いの言葉をかけると、

「やるじゃない。ヒトカゲの進化も、あながちまぐれじゃなさそうね」

「いやぁ、あはは……」

「照れてんじゃないわよ……」

 軽く肩を落としたにこは、

「行きなさい、ゴチミル!」

「チミル!」

「これもエスパータイプか……。じゃあ……」

 ポケモン図鑑の代わりに穂乃果が掴んだのは、

「リザード、ファイトだよっ!」

「ザード!」

「ゴチミル、サイコウェーブ!」

「チミー!」

「いきなり!? リザード、よけて!」

「ザード!」

 ギリギリで回避したリザードに、

「リザード、メタルクロー!」

「甘いわね。かげぶんしん!」

「えっ、ゴチミルがいっぱい……」

「ザ、ザード!」

 やみくもに攻撃するが、本物には当たらない。

「リザード落ち着いて! ……そうだ! ──リザード、回りながらひのこ!」

「ザード!」

 リザードはその場で回転しながら、火の粉を吐き出す。

 放射状に広がった火の玉は、全ての分身に当たる。

「チミーッ!」

 当然、本物にも。

「そこだ! メタルクロー!」

「ちょ、そんなのアリ!? ──ゴチミル、みらいよち!」

「チミルッ!」

 ゴチミルが攻撃モーションをとったのと、リザードの攻撃が届くのは同時だった。

「ゴチミル、戦闘不能! リザードの勝ち!」

「……リザード、平気? 攻撃、食らわなかった?」

「ザード!」

 リザードにこれと言ったダメージは目立たず、ひとまず穂乃果は安心する。

「──どう? にこちゃん!」

「まだバトルは終わってないわよ! ──行きなさい、サーナイト!」

「サナ!」

「サーナイト……。何か強そう……」

「ふふん、どう? にこに似て綺麗なポケモンでしょ」

 手でサラリとツインテールを流したにこに、穂乃果は、

「あー……うん。そうだねー……」

「ちょっとは心を込めなさいよ!」

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