ーー俺が教えられることは全部教えた。あとは、お前の信じた道を進めよーー
かつて七剣と互角に戦うことができ、世界を救った少年ーークロウは言った。
「ありがとう、父さん」
「別にお礼を言わなくても良いんだけどよ・・ああ、それと」
「これは餞別だ」
クロウがこちらに向かって投げてきたのは、
「久遠彼方…?こんな大切なものをもらっても良いの!?」
久遠彼方とは、代々剣聖が引き継いできたものであり、かつては聖剣と呼ばれていたものだ。
「まぁ、たしかに大事なもんだが、剣神の一撃に耐えられる剣はあんましないからな」
「剣神ってなんなの?」
「それは、今は知る必要はねぇよ」
「はぁ…わかりました。じゃあ、頑張って来ます」
「おう。久遠彼方渡したんだから、一流の剣士になってこいよ?ヤイバ」
「いや、剣士じゃなくて武偵なんだけど」
目の前にいる少年ーー葛城刃は勘違いをしている父親にツッコミをいれた
「あぁ、それと」
「他にも何かあるの?」
「可愛い女の子がいたら、胸揉んだり、尻触ったりしてこいよ?」
「俺は、父さんほどセクハラに染まった覚えはないよ!?」
「まぁ、冗談はともかく」
「いや、冗談に聞こえなかったんだけど」
「冗談って言ったろ、まったく…。もしあいつらに会ったらよろしく言っといてくれ」
「あいつらって…あぁ、あの人たちですね?もし会えたら伝えておくよ…お父さんがまたセクハラしたいって」
「それ言ったら俺が半殺しされるだけじゃ済まないからやめてくれ」
何とも情けない父親だろうか。本当にこの人は世界を救ったのか、少なくとも俺にはただのセクハラ親父にしか見えない。
「まぁ、冗談はともかく」
「絶対冗談じゃないだろ!?」
「冗談だからそう怒んなくても良いのに…じゃあ行って来ます。あとセフィお母さんにも頑張って来るって言っといて」
「あぁ、頑張って来いよヤイバ。お父さんたちはいつでも応援してるからな」
「ありがとう.…たまにはこっちに戻ってくるから」
「楽しみにしてるよ。あと、エロ本お土産に買ってきてくr」
「行って来ます」
何か、戯れ言が聞こえた気がしたヤイバはそのまま船に乗り込み、目を閉じたーー
「ふあ…良く寝た~」
葛城刃ーーヤイバは、男子寮の一室で目を覚ました。
「それにしても、あれからもう2年も経つのか」
ヤイバが武偵になるために親元を離れてから2年という月日が経っていた。
「ちょっと、早く起きすぎたな~」
現在時刻は、5時半。普段より1時間早く起きてしまったようだった。
「二度寝するのもあれだし…今日は早めに学校行くか」
そう言って、ベッドから起き上がったヤイバは身支度をすませ、顔を洗い、朝食を済ませた。
そして、自分のルームメートの様子を伺いに行く。
「それにしても、良く寝てるな~キンジ」
ルームメートーーキンジこと遠山キンジは気持ちよさそうに眠っていた。
「今起こしても二度寝するかもしれねぇしな.‥それにあとで白雪さんが弁当持って来るだろうし」
考え抜いた末、ヤイバはーー
「このまま放っておくか」
ルームメートを放置することにした
「おし、せっかく早起きしたんだから自主練でもするか」
ヤイバは、強襲科の体育館に来ていた
「今日は剣じゃなくて、銃の特訓でもするか」
そして、ヤイバは愛銃ーーCZ75SP-01をホルダーから抜き出した
「剣だったら、誰にでも勝てる自信はあるけど、銃は他の奴らと比べると全然劣ってるからな」
ヤイバは、剣の扱いについては長けてはいるが、銃の扱いについては武偵校に入ってからで、一年間撃ち込みなどをしてきたが、全然上達しなかった。
「始業式まであと1時間半以上余裕あるし…それまでここで練習するか」
こうして、ヤイバの特訓は始まったのであった
「それにしても結果は…100発中42発かぁ…前と全然変わってねぇ…もうやだ」
そう言い、肩を落とすヤイバであったが
「でも銃の携帯が義務づけられてるしなぁ…おっとそろそろ急がねぇと始業式に遅れちまう!」
時刻は8時を指していたので急いでヤイバは体育館を出て目的地まで走り出すが、
「ん…何だありゃ?」
体育館倉庫にUZIを取り付けたセグウェイが5台ほど入っていくのが見えた。
「何か嫌な予感がするしな…ちょっと寄ってくか」
そう言いながら、ヤイバは体育館倉庫に行って見るとーー
「あんたいったい!何する!つもりだったのよ!せ、せ、責任取んなさいよ!」
「よしアリア、冷静に考えよう。俺は高校生。中学生を脱がしたりするわけがないだろう?」
キンジと少女が言い争いをしていた。
「それにしても女子に手を出したがらないあのキンジがあんな小さな女の子にセクハラをしたってことはキンジは、ロリコンなのか?」
キンジがロリコンだと言うことを考えている間にセグウェイはキンジたちに銃口を向け始めていることに気づくが、キンジたちはまだ言い争いをしていた。
「しゃあねぇ‥.あとでキンジに助けたお礼に飯奢ってもらうか」
そしてヤイバは、一振りの名剣ーー久遠彼方を鞘から抜いて、キンジたちを撃ち抜こうとするセグウェイたちにゆらり、と身体をふらつかせるように接近しーー
「はぁ!」
かけ声と同時にセグウェイを真っ二つに斬っていった
「ふう‥おーい何してんだよキンジ早くしねぇと始業式に遅れちまうぞ!」
久遠彼方を鞘に納め、キンジに声をかけるが、さっきまでキンジとケンカしていた少女はまるで、「何が起きたの?」というような顔をしてこちらを見ていた。
「ああ、わかったよ、ヤイバ。またあとでね、子猫ちゃん」
「あ、ちょっと待ちなさ…みきゃっ!」
ハッと、我にかえった少女がいきなり転んだので足元を見てみるとーー
「何で弾が転がってんだ?」
「ちょっとばらまかせてもらったよ、ヤイバ早く校舎に行こう」
「ああ、でも.‥」
「こ、この‥.みゃおきゃっ!」
立ち上がろうとした少女はまたしても弾を踏んでコケていた
「放っておいて良いのか?あの女の子」
「始業式に遅れたくはないだろう?」
「そうだな」
「それにしても、いつみても不思議な剣だな。いつ振ったのか俺にもわからなかったよ」
「それが、わかったら意味がねぇだろ?」
ヤイバとキンジは、校舎に向かいながらキンジと軽い雑談をしながら背中で、少女の捨てゼリフを聞き流す。
「この卑怯者!でっかい風穴ーーーーあけてやるだからぁ!」
それが後に「剣神」の名を引き継ぐこととなる葛城刃、「不可能を可能に変える男」遠山キンジと、「緋弾のアリア」と呼ばれるようになる神崎・H・アリアのーー
硝煙のニオイにまみれた、最低、最悪の、出会いだった。
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