八幡と、恋する乙女の恋物語集   作:ぶーちゃん☆

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サキサキだと思った!?残念っ!ゆきのんとガハマさんでしたっ!


スミマセン……深夜のおかしなテンションになってしまいました。


今回はちょっと短めなお話でブレイクタイムです☆

集計結果を発表したかったので、思いついたものを速攻で書き上げました!


後書きは結果発表になりますので、前書きにてこちらのSSの説明をば……


もともと正ヒロインの二人のSSは書くつもりはなかったのです。どうしてもどちらかが切ないので……

でもこういう内容であればいいかな?と思い立ち書いてみました!

急きょ書いたモノですが、楽しんでもらえたら幸いです☆




チョコレートと紅茶 〜宝物のシュシュで着飾ったわんことにゃんこの恋模様〜

 

 

 

二月某日。

今日は朝から由比ヶ浜さんが私の家に遊びに来ている。

 

いえ、遊びに来ていると言うのは語弊があるのかしら。

今日は数日後に迫ったバレンタインデーの為に、由比ヶ浜さんにチョコ作りの特訓をお願いをされている。

 

正直由比ヶ浜さんに料理を教える……いえ、料理をさせるというのは余りにも非現実的であり非論理的であり甚だ遺憾なのだけれど、あのような潤んだ眼差しで見つめられてしまっては……断れないじゃない。

やっぱりあなたは卑怯だわ……

 

「よーしっ!がんばるぞー!ゆきのーん!まずはなにから始めればいいのー?」

 

「由比ヶ浜さん。あなたは決して頑張らなくてもいいのよ?ただ、言われたことを言われたまま遂行すればいいだけのこと。むしろ頑張らないで頂戴」

 

「ひどいっ!?ゆきのーん!あたし頑張るからーっ!」

 

由比ヶ浜さんは愕然とした表情のあと、泣きそうな顔ながらも力強くガッツポーズを決めて、その強い意志を私に見せ付ける。

 

私はこめかみに手をあてる。あなたが頑張ると、味見をする私の死期が早まってしまうのよ……

 

「由比ヶ浜さん。せめて私の意識が保たれているあいだに、なんとか人が口に出来るものを完成させて頂戴」

 

私は最高の笑顔で、その由比ヶ浜さんの強き意志に応えた。

 

「ひどいっ!?」

 

 

……………なぜかしら?

私が死の覚悟さえも決めて、こんなにも素敵な笑顔を向けたというのに。

甚だ心外だわ……

 

 

× × ×

 

 

「で?まずなにから始めればいーかなぁ?なにから始めればいーかなぁ?」

 

「落ち着きなさい。正直な話、あなたにも可能な手作りチョコレートは、溶かして型に入れることくらいだと思っているわ。だからまずはお湯を沸かしなさい?」

 

はっきり言って、そんなものは手作りなどとは呼べない代物。

そう。偽物ね……

 

ただしこれに関しては致し方のないこと。尊い人の命が掛かっているのだから。

ふふっ……もっともあの腐り目の男の命が尊いかどうかは別の問題だけれども。

 

でも……甚だ遺憾ではあるのだけれど、もしもあの男の存在がこの世界から消えてしまうのだとしたら、ほんの……ほんの微々たるものではあるけれど、私にも悲しい気持ちが生じる可能性も……なきにしもあらず……ね……

 

そういった意味では、あの男の命が尊いものであるという認識は、正しくないとは言いきれないとも言えるのかもしれないわね……まことに遺憾ではあるのだけれど……

 

「ゆきのん!それってただ市販のチョコを溶かして固めただけのやつじゃん!それって手作りって言っちゃいけないやつなんじゃないの!?」

 

「黙りなさい!まずは己の力量に合った、己の可能な範囲での挑戦をしなさい。初めから己の力量にまったく合わない夢見がちな事をするのは挑戦とは言わないわ。ただの無謀な愚策、自殺行為でしかないの」

 

「あたしはチョコを溶かすのも挑戦なんだっ!?」

 

「ええ、ギリギリのラインでね。本来であれば、キッチンにさえ立って欲しくはないのよ?」

 

そう。私はあなたが心配なの。

初めて出来たとも言える心ゆるせる友人に、みすみす危険を冒させたくはないのよ……

 

「ひどいっ!?」

 

私がこんなにもあなたの事を思ってあなたの身を心配して、こんなにも優しげな笑顔を向けているというのに……甚だ心外だわ……

 

 

× × ×

 

 

「お湯が沸いたようね。それではまずはチョコレートを溶かしましょう。いい?由比ヶ浜さん。流石に解っているとは思うのだけれど、このお湯はあくまでも湯煎用であって、決して直せ…つ……」

 

「ん?なーに?ゆきのん。もうお湯にチョコは入れたよー?このあとはグチョグチョ混ぜてお湯とチョコを混ぜ合わせればいいのかなぁ?」

 

これは明らかに私の責任ね。由比ヶ浜さんを甘く見すぎていたわ。

まさかこんなお約束的な展開をこの目で見られるとは思わなかったわ……

 

「ごめんなさい由比ヶ浜さん。まだあなたには難しかったわね……」

 

「チョコ溶かすのも諦められたっ!?」

 

 

はぁ……これは長丁場になりそうね。まぁ予想していたことではあるのだけれど。

 

 

それから私は試行錯誤し、何度目かの死線を乗り越えながら、なんとか由比ヶ浜さんに食べ物としての体をなすものを教え込んだ。

その横で自分用のチョコレートを作りながら。

 

「いいなぁ……あたしもゆきのんみたいなの作れたら喜んでもらえるのになー……」

 

「大丈夫よ。あの男が自分で言っていたんじゃない。男は単純なのだと。美味しく出来た物だから嬉しいのではなく、心を込めて作ってくれたからこそ嬉しい生き物なのだと。だから、あなたのそのたくさん込めた心は伝わるわ」

 

………そして、私の作ったチョコレートに込めた心ははたしてあの男に伝わるのかしら……?

ほんの少し、ほんの少しだけれどこの私が心を込めてあげたのだから、伝わるとよいのだけれど。

 

「……へへーっ!そうだよね!伝わるよねっ!あたし達の気持ちっ」

 

 

とても嬉しそうな、とても照れくさそうな幸せな笑顔で完成したチョコレートを眺める由比ヶ浜さん。

その手は、自然と髪を留めているブルーのシュシュを撫でている。

 

ふと気付くと、私も自然と髪を纏めているピンクのシュシュを撫でていたことに気が付いた。

 

私は今、どんな顔をしているのだろうか……

自分では分からないけれど、きっと、目の前で頬を染めている可愛らしい少女と同じような顔をしているのだろう……

 

 

 

 

彼女は彼に溢れるほどの好意を寄せている。

その件について直接話したことはないのだけれど、わざわざ言葉を交わさなくても理解できるくらいの溢れる想い。

 

 

そして、私も……

 

 

もし……もし彼に土下座でもされて交際して欲しいと涙ながらに懇願されるようなことでもあれば、哀れで惨めなあの男を可哀相だと思い、交際の願いを考えてあげることもやぶさかではないくらいには……彼に……好意を……寄せているのだろう……

 

 

 

もしも彼が由比ヶ浜さんと交際するようなことになったとしたら、私たちのこの関係はどうなるのだろうか……

 

もしも……もしも彼が……その……わ、私と……その……交際するようなことに……なったとしたら、私たちのこの関係は……一体どうなってしまうのだろうか……

 

 

正直それはまだあまり考えたくはない。

なぜなら私は……今のこの関係性が、嫌いではないから。多少なりとも心地好く感じてしまっているから……

 

 

だから私は、この想いが思考の迷宮に囚われてしまわないように、まだこの気持ちは封印しておこう。

 

それは彼が嫌う欺瞞なのかもしれない。

それは彼が求める本物とは真逆にあるのかもしれない。

 

でも、今はまだ……この考えから目を背けていようと思う。

まったく……なんて私らしくないのかしら。

 

自嘲気味ではあるけれど、それでも不快ではない感情が込み上げそうになるのを誤魔化していたところを由比ヶ浜さんに見つかってしまう。

 

 

「あーっ!ゆきのん笑ってるー!へへーっ!届くといいよねっ」

 

「な!なにを言っているのかしら!わ、私は笑ってなんかいないわ!まったく…………んん!ん!そ、そんなことよりも……紅茶でも淹れましょうか。せっかく作ったチョコレートの味見をしなければね」

 

「うんっ!しよーしよー!」

 

 

× × ×

 

 

リビングは先ほどまでのチョコレートの香りと淹れたての紅茶の香りが交ざりあい広がっている。

 

由比ヶ浜さんと私。チョコレートと紅茶。

 

とても暖かで優しい空気と香りで、常であれば寒々としたこの空間が、とても幸せな空間へと変化していく……

 

 

ついつい頬が緩んでしまう。

もしこの空間に彼も居たのならば、いつものように気だるそうに……でもいつものように優しい微笑みで、私達を見てくれているのだろうか。

 

 

「よーしっ!じゃあ食べてみよー!」

 

「そうね。いただきましょう」

 

私と由比ヶ浜さんは、彼女が作り上げたチョコレートに口をつけた。

 

 

 

「………!?」

 

 

私は余りの衝撃に目を見開いた……

なぜ……?私がほんの少しだけ席を外したあの一瞬に、この子はなにをしたというの!?

 

「おー!結構いけるー!もしかしてあたしって才能あるかもっ」

 

そんな馬鹿な……

この子は一体なにを言っているの……?

 

「ゆ、由比ヶ浜さん……あなた、一体なにを入れたの……?」

 

「えへへ〜!さっすがゆきのん!気付いちゃったぁ?じーつーはーっ!隠し味に七味唐辛子を入れてみましたー!」

 

か!隠しっ……!?

由比ヶ浜さん……隠し味というのは、もっと隠すものよ……?

 

「……な、なぜそんなものを……」

 

「えー、だってなんか海外の“ぱてしえ?”とかいう人達が作る超高いチョコレートで、わさびとか胡椒とかを隠し味にしてるヤツとかあるっていうじゃん?だからあたしも和風テイストを取り入れてみましたー!」

 

お願いだから取り入れないで頂戴……

 

「由比ヶ浜さん……そういうアレンジを取り入れるパティシエは、きちんと基本が出来ているからこそそういう革新的な挑戦が出来るのよ……基本もなにも出来てはいないあなたがこんなことをするのは、革新ではなくて革命よ……一分で失敗して全滅するような、ね……」

 

「みんな死んじゃうんだっ!?」

 

 

はぁ……まったく。

なぜこの子はすぐにアレンジを加えたがるのかしら……

私は頭痛を押さえるようにこめかみに手をあてながら思うのだった。

 

 

今夜は長くなりそうね……

 

 

 

おしまい

 





たくさんのご投票、まことにありがとうございました!
投票総数48票になりました!(アンケートはやった事も参加した事も無いので、これが多いのか少ないのかは知りませんがっ汗)
いつも感想をくださる読者さま♪アンケではじめてご意見頂いた読者さま♪そして中にはこのアンケに投票する為にハーメルンに登録して下さったという読者さままで!しかも香織1択という徹底ぶりっ!
本当にありがとうございます☆


それでは結果発表です!ドンドンドン!パフッパフッ!!


一位⑦家堀香織35票←衝撃的!!

二位③折本かおり17票←まぁ順当?

三位①あーし12票←順当?もっと上かと思ってた

同率四位②腐れ姫⑥独神10票←姫菜ちゃんはまぁ順当。先生はびっくり!心しか乙女じゃないのにっ

五位④さがみん8票←思ったよりも入ってびっくり

六位⑤遥&ゆっこ4票←www


以上の結果になりました!
かおりワンツーフィニッシュです(^ω^)v


いやぁ、マジでびっくりしました……だって投票者さん48人中35人がオリキャラを選択するって……

てっきりあーしさんと折本あたりが一位二位に入って、三位くらいに海老名さん。で、もしかしたらマニアックな読者さんが四位……上手くいけば三位くらいにウケ狙いで香織を押してくれるかな〜?なんて予想をしていたので、あまりにも衝撃的でしたΣ( ̄□ ̄;)

いやぁ、ホントに嬉しくて涙でちゃいますよっ……
まさかあの香織ちゃんが、こんなにも皆さんに受け入れてもらえるなんて……(感涙)
香織も作者も幸せものです☆

あとさがみんにも8票も入ってびっくりです!
皆さん相模SSで、少しはさがみんを好きになってもらえたのかなぁ……と、こっちも感涙ものです!


そして遥ゆっこに票が入るとはっ!
さすが私の好みを分かってらっしゃいますね(ニヤリ



今後の計画ですけど、上位二名を書こうかと思ってたんですが、あまりにも香織に票が集まりすぎたので、上位三名にしようかと思いました。
票の少ない順に、あーしさん→折本→香織の順番で行きたいと思いますがいかがでしょうか!?

でもちょっぴり腐海の姫も書いてみたくなっちゃった☆


それでは、本当に本当にありがとうございましたっ!!!!!
今後ともよろしくお願いします!

ぶーちゃん☆でしたつ

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