八幡と、恋する乙女の恋物語集   作:ぶーちゃん☆

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【注】こちらはオリヒロとなっております。
そういうのが苦手な方はお戻りくださいませ><






さて!タイトルで丸分かりとは思いますが、ついに彼女の再登場となります!

前作は本編と繋げてしまいましたが、今作は短編集の他ヒロインと同じ扱い……つまり別世界線とさせて頂きますね。
なぜならあざとくない件最終回でのいろはすとの涙のやり取りを裏切る行為となってしまうからっ!

前作は切ない片想いストーリーにしちゃいましたが、今回は香織らしく、単なるお気楽で騒がしいデート回でお楽しみいただこうと思ってますので、ではではどうぞー






ラノベの香りは私を運命の航海へといざなう【前編】

 

 

 

私、家堀香織は、今まさに愛しの…………けぷこんけぷこん。

比企谷先輩と今まさに二人でディスティニーシーの門をくぐったのだ!

けぷこんてなんだよ。ヤバイよ。たった一回見ただけなのに、あの変な人の影響受けまくってるよ……

 

 

それにしてもおかしいな……私、もしも!比企谷先輩とデートが出来るとしたら、まずアキバ辺りだろうだなんて思ってたのに……

どうしてこうなった……♪

 

 

× × ×

 

 

「っ!……ひ、比企谷しぇん輩!?」

 

「お、おう家堀か。なんかまた会ったな」

 

突如の出会いでは壮絶に噛んでしまうまでがデフォとばかりに、今日も今日とて出会い頭のひとかみっ!

甘噛みしちゃうゾッ☆

 

 

私はその日、前々から目を付けていた作家さんの新作ラノベの第一巻を求めてららぽに来ていた。

オラわくわくすっぞ!と、意気揚々と本屋さんを目指して施設内を闊歩し、さぁ目の前が書店だよっ?って所でまた偶然会ってしまったのだ。

 

なんなの!?このご都合主義……もしかして私ってラノベの主人公かなんかなの!?

 

「そ、そうですね!……えっと、比企谷先輩はなぜこちらにっ?」

 

「いや……なぜもなにもただ本屋に来ただけなんだが」

 

「あははは……で、ですよねー!そこ本屋さんですもんねー!」

 

あっぶね!またの偶然の出会いに自分を見失ってしまい、居場所も見失ってました。

 

比企谷先輩と運命の遭遇に私の心がぴょんぴょんと浮き足立つ。

てかこれマジでもう運命なんじゃね?ディスティニーなんじゃね?

 

「お前もなんか買いたい本でもあんだな」

 

「え、ええまぁ!今日は前から目を付けてた好きな作者さんの新作が………………ってちょっと!?待ってくださいよ比企谷先輩!なんで一切止まらないで先に行っちゃうんですかぁっ!」

 

「え?いやだって別に一緒に来たわけじゃないし、挨拶済ませたら解散するもんなんじゃねぇの?」

 

こっ……この男っ……!

どんだけ人付き合いに手慣れてないのよっ……くっそう…………

 

好きだぁぁっ! たけを。

 

 

「ち、ちょっと待ってくださいってば!もう目の前なんだし、せっかくなんだから一緒に行けばいいじゃないですかぁっ……」

 

「めんどくせぇなぁ……」

 

どうも。ほんの数メートル先の本屋さんに一緒に入るのにもめんどくさがられる、めんどくさい女でお馴染みの家堀香織です。

いやん泣いちゃう!

 

とかなんとか脳内では嘆きながらも、嫌がる比企谷先輩の隣に無理やり並んでニヤつく私だったのです!えへへ〜。

 

 

× × ×

 

 

「お、家堀それ買うのか。俺はちょっと様子を見てから考えようかと思ってたんだけどな」

 

「マジですか!?いいですよね〜!この人の作品て。ま、まぁそもそも比企谷先輩にオススメして貰った作者さんではありますけどもっ……」

 

そして私はピコーンと閃いた!これなら七英雄にだって勝つる!

 

「じゃあじゃあ!コレ面白かったら貸してあげますよっ」

 

そーなのだ!あれだけ欲した繋がりを、今度は私の方から繋げるちゃんすっ!

 

「え?マジで?いいの?」

 

うひょっ!大物ゲットだぜ!

 

「もちろんですよー。比企谷先輩にはたくさんお借りしちゃいましたし、いくらでも貸しちゃいますでありますよ!」

 

なんか敬礼しちゃいました。

っべー。テンション上がりすぎてキャラまで見失い始めたよ私。

 

「……そういうのお腹いっぱいだから」

 

……どうもサーセン。

 

 

やー、二人でお買い物って超楽しい!

まぁ所詮は本屋さんだけでのお買い物だったから、ラノベコーナーや漫画コーナー、一般文芸コーナーを軽く見て回るだけのほんのちょっとしたひとときではあったけど、…………なんか、堪らなく楽しかった。

 

 

どうやら今日の比企谷先輩のお目当ては漫画だったらしく、新刊一冊だけを手に取り一緒にお会計へと向かう。

 

うー……これで比企谷先輩とのお買い物は終了かぁ……つまんないなぁ……

いやでも待てよ……?このあと早く新刊読みませんか?って理由でカフェデートとか誘えんじゃね?

 

そんな妄想で悶々としながらレジにて商品を差し出すと、レジのお姉さんから一言お声が掛かった。

 

「ありがとうございます。只今ららぽーと全館にて、千円以上お買い上げのお客様に、ららぽーと今季決算ラッキーチャンスの福引券を差し上げております」

 

へー。まぁデパートとかそういうのって、決算時期になるとそういうの良くやってるよね。

千円かぁ。私のラノベが税抜き\600くらいでしょ?じゃあ関係無いね。

 

ん?そういえば比企谷先輩は漫画……てことは\400くらいだよね?ピッタリじゃん。

 

「先輩先輩!千円で福引き一回出来るみたいですよっ?せっかくなんで二人分を合わせて買って、福引きしちゃいましょうよ」

 

「どうせポケットティッシュくらいしか当たんないだろ……」

 

こらこらっ!店員さんの前でそういう事をハッキリと言うんじゃありません!

「ま、どうせタダだしな」と、後ろに並んでいた比企谷先輩がレジに自分の漫画を出してくれた。

 

うっわぁぁ〜……なんかどうせ当たんない福引きとかどうでもいいけど、二人分のお買い物のお会計を一緒に済ますとか、なんなの?この微々たる幸せにニヤついちゃう私って!なんか可愛いくない?

しかもこれって……!

 

 

私が千円札で支払いを済ませて商品と福引券を受け取り、会計後に比企谷先輩が小銭を渡してくれる。手渡しで。そう手渡しで!

 

 

なにこれ手が触れちゃうチャンスじゃん!

いやん小銭の手渡しなんて、どうしたって手が触れちゃうぅ!

 

緊張しながら手を差し出すと…………若干高い位置から落とされました……

「しゃせー……」とか言うやる気のないコンビニ深夜店員のお会計時かよコノヤロー。

 

でも……渡してくれる前後で比企谷先輩の顔を覗き見たら、手が触れないように慎重かつ照れた……“照・れ・た!”様子だったので、なんだか胸がポカポカ、顔もポカポカしちゃいましたとさっ☆

なんだよー!比企谷先輩ってば、ちゃんと私を女として意識しちゃってんじゃーんっ!ふひっ。

 

 

× × ×

 

 

「嘘……だろ……?」

 

「マジ……かよ……」

 

福引き所にて、私達はお約束ネタを二人仲良く実行しながら固まっていた……

 

「おめでとうございまーす!二等賞、ディスティニーシーペアパスポートでーす!」

 

そんなバカな……これなんてディスティニー?なんか運命の片道キップが当たっちゃいましたよ?

これもう香織ラノベ主人公疑惑再燃でスレが祭状態だよ!

 

どどどどうしようっ!ひ、比企谷先輩と、まさかのシーデートだと!?

 

 

「いやー……こういう事ってマジであるんだな…………良かったな、家堀。今度の休みにでも行ってくれば?」

 

デスヨネー、ソーナリマスヨネー。

 

でもでも!こ、こんなチャンス滅多にないんだからねっ!?

か、考えろ香織!どうやったらこの難攻不落の捻くれぼっちさんを理詰めで落とせるのかを!

こんな一生に一度巡り合えるかどうかのチャンスを不意にしたら、お空のママンに叱られちゃう!今朝うちで会ったけど。

 

 

そして私は思いついたのだ。

この、捻くれてるけど、正当な理由の無い施しを嫌い、かつ年下に弱くて甘いお節介焼きの素敵な先輩を落とす悪魔の策略を!

 

 

それにはまず…………誘わなければ!

やっばい……熱で頭が沸騰してクラクラするし、ばっくんばっくんと心臓が破裂しちゃいそう!!

逃げちゃダメだ逃げちゃ……ってそれはもういいですね。

 

 

だんまりして俯いちゃってる私に訝しげな視線を向けてくる比企谷先輩……

私は深く深く息を吐き、強張った真っ赤な顔で先輩に縋るような視線を向ける。

 

「ひ、比企谷先輩……あ、あのっ、せっかくなんで今から行きません……?」

 

「……は?」

 

 

心底「なんで?」って顔を向けてくる。やだちょっと傷ついちゃう!

しかし私は負けない。負けてたまるもんですかっ……!

 

「だ、だって!コレ、どうやって分けます!?」

 

そう言いながら、震える手でペアパスポートをヒラヒラさせてやる。

 

「いや、分けるもなにも、お前が当てたもんなんだからお前のもんだろ」

 

甘っま〜い!アメリカンスウィーツ並みの甘さだよ!

なんでアメリカのお菓子って致死量レベルの甘さなのん?

 

「こ、このパスポートを当てた福引券は、二人のお買い物の合計金額で貰ったモノです!わ、私一人で貰うのは理屈に合いません!比企谷先輩だったらこのペアパスポートを素直に受け取れますか?」

 

「いや、だったらな……?」

 

「しかもその福引券代金は私六割、先輩四割の負担額です。なのでパスポート現物配布では割りに合いませんよね!?」

 

「……いやだからな?」

 

「なのでコレを分けるとしたら金銭が発生してしまいます。パスポート代金が現在\6800だから、一枚分換算で、先輩が受け取るには二割ほど不足してるので、不足額を私が先輩に請求することとなりますが宜しいですかっ!?」

 

「ま、まぁそれくらいなら……」

 

「で!でも私はそんな事でお金を貰うだなんて納得出来ませんし貰いませんけどね!?……し・か・も!パスポート一枚ずつ持ってたって、友達の居ない先輩は確実にゴミになりますし、こういった経緯で手に入ってしまったパスポートを他の子と行くのに使うのは私も正直気が引けるので、勿体ないけどゴミ箱行き確実なんです!どうですか実に勿体ないでしょう!」

 

「いやでも俺は小町と…」

 

「つ!つまりせっかく手に入ったパスポートを有効かつ有意義に生かすには、今から二人で行く以外の方法が存在しないんですよ!」

 

「いや人の話聞いてね?それになんで今からなんだよ……」

 

「だって……!」

 

そして私はいろは師匠の教えに従い(見て盗んだ!ドヤァ)、ウルウルと潤んだ目をとびっきりの上目遣いにして、比企谷先輩を攻めに攻めてやりましたよ、ええ。

 

 

「だって、比企谷先輩、こうやって外に出てる時にでも捕まえとかないと絶対逃げるじゃないですか……ねぇ比企谷先輩っ……パスポート勿体ないから行きましょうよぉ……」

 

理詰めどころか最終的にはこの泣き落としである。

 

 

× × ×

 

 

とまぁこんな感じで、私の完璧なる理論的な策略(泣き落とし)で無理矢理連れてきたのだよ!フハハハハ!

やっぱり比企谷先輩は年下に甘くて優しいなぁ。

 

好きだぁぁっ! たけを(二回目)

 

 

「わ、私実はシーに来るの初めてなんで、めっちゃ緊張してます!」

 

いや、緊張してんのは別の理由ですけども!

 

「お、おう、そうか。俺も初めてだからちょっと緊張してるわ……」

 

 

 

 

 

 

………………………いいいいいやっほーいっ!!

比企谷先輩の初めてゲットだぜ!

なんなら私の初めてを比企谷先輩がゲットだぜぇっ!

 

 

おっとイカンイカン。

テンションが危険水域にまで到達しちゃってるよ。

 

恥ずかしいけどっ!緊張しまくりだけどっ!テンションMAXでおかしくなりそうだけどっ!

でもこんなディスティニーは二度と有り得ないんだから、今日は目一杯楽しまなくっちゃ!

どうせ、週明けにはなぜかいろはにバレててす巻きにされちゃうんだから☆(白目)

 

 

エントランスを抜け、ヨーロッパの街並みを模したショッピング街をくぐり抜けた先に広がった光景はまさに異世界……

ヴェネチアみたいな街並みと海と火山が織り成すその世界はまさに夢の国。

私の隣に居る人も含めて、まるで夢の世界に迷い込んじゃったみたい……っ!

 

 

この異国情緒漂う夢の国を密かに片想いしている大好きな人と一緒に視界に入れた時、ぽーっとしていた私は知らず知らずぽしょりと独り言を呟いていた。

 

 

 

「やばい幸せっ……なんか……新婚旅行みたい……」

 

「……え?なんだって……?」

 

 

 

 

 

【悲報】俺氏、死亡のお知らせである。

 

 

 

続く

 






お久しぶりの香織を書いてしまいました☆最後までありがとうございました!


は?アキバデートじゃ無いのかよ?
と、お思いの読者さまもおられる事でしょう。

勿論そのつもりだったんですけど、とある読者さまから「香織のシーデートが見たい」とのお声を頂いて、「ハッ……そんなバカな」と思いながらも試しに冒頭を書いてみたらこっちの方が面白そうだったのでシフトチェンジしちゃいました☆

なぜなら、実は私そんなにアキバに詳しく無いからッ!
海老名さんの時くらいの情報しか分かんないんで、たぶん1話しか持たなそうなんですよね。
だったら2〜3話にはなりそうなコッチの方が面白そうかな〜?と。


ルミルミのシーデートと極力被らないように、前回はインパしてから左回りで探索したので、今回は右回りでシーを探索していきたいなぁと思っております!
それでは後編または中編でお会いいたしましょう!




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