八幡と、恋する乙女の恋物語集   作:ぶーちゃん☆

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どうも。少女マンガみたいで、読んでると恥ずかしいと言われてしまうことでお馴染みの、書記ちゃんSS後編となります。


てか長い!だから2話に分けなさいよ!


と、いうわけでごゆっくりどうぞ☆




冴えない沙和子の育てかた【後編】

 

 

 

4月も半ばに近づこうかというとある日曜日。私は比企谷先輩とのデートの為、待ち合わせ場所である千葉駅前に到着した。

現在時刻は、えっと…………あ……まだ10時だ……

 

 

まさか比企谷先輩と二人でお出掛けすることになるなんて、ほんの数日前までは想像もしたことなかった事態だから、ついにデート当日たる今日この日は、張り切りすぎて家を早く出すぎちゃったみたいっ……。

頑張って慣れないヒール付きの春色パンプスなんて履いてきちゃったものだから、待ち合わせに遅れちゃわないように慎重だったって事もあるけど。

……まだ待ち合わせ時間まで一時間もあるよぉ……

 

どうしたものかと思った私は、おもむろにバッグから読みかけのミステリー小説を取り出して近くのベンチに腰掛けた。

比企谷先輩がいつごろ到着なさるか分からないし、下手にこの場を離れるわけにはいかないもんね。

フィクションの世界に入り込んでおけば、まだ待ち合わせ一時間前だというのに緊張で激しくドキドキしちゃってる事を忘れられそうだし、思いがけず早く着き過ぎちゃったのも逆にちょうどよかったのかも。

よしっ!じゃあ激しい鼓動を落ち着かせる為に、少しだけ物語の世界の中へと旅立とうかな。

 

 

× × ×

 

 

「……っふぅ〜」

 

まさかまさかの結末!まさかあの人が犯人だったなんて……

でも、あの生い立ちを聞いちゃうと、あれは仕方の無い悲しい事件だったのかな……なんて、少しだけ思ってしまう。

 

「……あ」

 

と、ついうっかり物語の世界に没頭しすぎていたことを思い出した私は、慌ててバッグから携帯を取り出して時間を確認する。

 

「っ!!」

 

や、やっちゃった……現在時刻は11時23分。待ち合わせ時間を23分も過ぎちゃってる!

私はあわあわし始める。はぁぁ!やってしまったぁ!

 

……って、あ、あれ?でも私は待ち合わせ場所のすぐそばのベンチに腰掛けてるわけで、比企谷先輩が到着すればすぐに見つけられるはずだよね……?

ということは、比企谷先輩はまだ来てないってことかぁ。よ、良かったぁ……

 

でも、安心したのと同時に、一気に不安に押し潰されそうになっている自分にも気が付いた。

もしかして私、ドタキャンされちゃったのかな……

……まぁあんなに無理なお願いだったわけだし、ドタキャンされちゃったとしても仕方ないよね……と、ほんの少しだけ目頭が熱くなっちゃった私だけど、ふと待ち合わせ場所だった所に立ちすくんでいる一人の男の人の姿に目が止まった。

 

「あっ!?」

 

い、居た!比企谷先輩が待ち合わせ場所に立っている。手にはスマホを持ち、どんよりとした目で時間を確認してるみたいだ。

 

──なんで?こんなに近くに居るのに、なんで声を掛けてくれなかったんだろう?

 

って今はそんなことどうだっていい!早く行かなくちゃ!

私は慌ててバッグを手に取ると、必死に先輩へと駆け寄った。

 

「ス、スミマセンっ!!遅くなってしまいました……」

 

先輩の前に立って、深々と頭を下げる。いくら近くに居たからって、先輩が気付かなかったんだから意味はない。初デートで20分以上の遅刻なんて看過出来るはずがない。最悪だよね、私。

怒って帰っちゃってたって当然なのに、比企谷先輩は待っててくれたんだ。

 

あぅぅ……情けないやら申し訳ないやらでもう泣きそうっ……

罵倒される覚悟で恐る恐る顔を上げた私は、そこでとても予想外のものを目の当たりにする。

 

「……は?」

 

そこには、大遅刻をやらかしてしまった後輩に対して怒る比企谷先輩の顔ではなく、心底意味が分からんという、呆然とした比企谷先輩の顔が待っていた。

 

 

× × ×

 

 

「あ、あのっ……」

 

「あ、人違いですけど」

 

ひ、人違い?

……これはアレかな。お前なんかもう知んねーよってことかな……

 

「あの、比企谷先輩……本当にスミマセンでした……」

 

そうだよね……それは怒るよね……ぅぅ……涙出ちゃいそう……

でも次の瞬間、比企谷先輩から出てきた言葉は私の想像とは全然違っていた。

 

「ん?あれ?……ああなんだ、お前藤沢か」

 

「……へ?」

 

その言葉の意味が分からず、首をかしげる私。

私の顔、忘れちゃってたのかな……?そりゃ私の地味な顔なんて、いつも美人さんに囲まれてる比企谷先輩にとってはその他大勢と変わらないだろうけど……

 

「…………あ」

 

その時私はある重大な事を思い出した。

わ、私、今日おさげじゃないし眼鏡も外してるんだった……!

 

「わわわ私です藤沢ですっ」

 

「お、おう悪い。なんかいつもと違いすぎて気が付かなかったわ……。じゃあアレか。俺が来る前からずっとそこで本読んでたの藤沢だったのか。罰ゲームかなんかでからかわれただけなのかと思って危うく泣いちゃうとこだったわ」

 

……さ、最悪だよ……。少しでも良い自分を見せようと、無理して背伸びしてみた結果がこれだなんて……

元々印象薄いのに、トレードマークでもあるおさげと眼鏡姿じゃなかったら、比企谷先輩が私に気付くわけないじゃない……

 

「……っ!……本当にスミマセンでした……私、本に集中しちゃって、時間を忘れちゃってました……」

 

せっかく来てくださった比企谷先輩には申し訳ないけど、今日のデートは止めておいた方がいいんだろうな……

 

「おお、気にすんな。目の前に居たのに気が付かなかった俺も悪いし」

 

「……でも」

 

「それにあれだ。俺も20分前くらいには到着してたんだが、その時点でもう藤沢は本に夢中になってたってことは、それよりもかなり前からここで待ってたってことだろ?」

 

「……あ、はい……」

 

「じゃあ遅刻どころかずっと居たわけだし、それにあれだ。俺も読書家だからいいとこで時間を忘れちまう気持ちも分かる。まぁお互い間が抜けてたってことで、この件はこれでお開きだな」

 

うぅ……やっぱり比企谷先輩は優しい……お互い様って事にすることで、私の罪悪感を少しでも軽くしようとしてくれてるんだ。

だったら、本当に申し訳ないからこそ、ここはお言葉に甘えさせてもらうことにしよう……本当にすみませんでした……!

 

 

「にしてもあれだな。今日は随分と印象が違うなお前。それも変わりたいっつぅ例のアレの一環か」

 

「あっ!ひゃいっ!……や、やっぱり変でしょうか……」

 

まだ申し訳なさに凹んでいるところに来た突然の質問に、私はびっくりして声が裏返ってしまう。は、恥ずかしいっ……

 

「あー、いや……べ、別に悪く無いんじゃねぇか……?」

 

「〜〜〜っ!……そ、そうですかっ……あ、ありがとうございます」

 

少しだけ照れくさそうに褒めてくれた?比企谷先輩に、ちょっと嬉しくて顔が熱くなる。

良かったぁ……少しは可愛いって思ってくれたりしたのかな。

そしてちょっと一言悪く無いって言われたくらいで、つい一瞬前まで申し訳なさと情けなさで凹んでたことも忘れて、軽く舞い上がってしまってる自分にも驚かされる。……なんだろ?これ。

 

「で、今日はこれからどうすんだ?」

 

「あ!はいっ」

 

むぅ……悪くはないって言ってくれたはしたけど、やっぱり反応は薄いのかぁ。まぁいつも周りは美人さんばかりだし仕方ないよね。

今は変だって思われなかっただけでも良しとしなくっちゃ。これからこれから!ここから格好良いところを見せてけばいいんだからっ。

 

「えと……ですね。とりあえずお洒落なお洋服屋さんとかに行ってみようかな、と……」

 

そう。事前に打ち合わせした時に比企谷先輩に言われてたんだよね。

 

『あー、悪りぃ。先に言っとくが、俺は……なんつーんだ?エスコート?みたいなのは出来ないからな。全然そういうの分からんし。……地味を脱却したいって相談してきた藤沢を卓球とかラーメン屋に連れてくわけにもいかんし』

 

と。

比企谷先輩ってよく卓球とかラーメン屋さんに行くのかな?って思ったのと同時に、デートコースは私が選ばなくちゃいけないって事が決まった瞬間だった。

 

たぶん普通なら男の人がデートコースとか決めてくれるものなんだろうけど、今回の擬似デートはあくまでも私の我が儘による私改造計画なわけなんだし、であるならば私が行き先を決めて、私がどれだけ格好良いところを先輩に見せられるか?一緒に街を歩いてて肩身の狭い思いをさせちゃわずに済むのか?ってとこをリサーチ出来るのは、むしろ好都合かもしれない。

 

だから私は、普段の自分が絶対に行かないような敷居の高いお店とかをスマートに回って、比企谷先輩に感心してもらおう!って計画を立てていた。

なんだか当初の計画から大幅にズレてるような気もしないでもないけど……

 

 

そして私が最初に選んだのが、クラスの派手目な女の子達がよく話してるような、お洒落なセレクトショップ?ってところの路面店。

やっぱりイケてる女の子と言ったらショッピングだよね。

 

ただでさえ普段はしまむらくらいでしか服を買わない私が、お洒落なファッションブランド、しかも商業施設内にある店舗じゃなくて、路面店に入るなんて余りにも恐れ多いことなんだけど、そういうお店に何気なくスッと入っていける女の子って、やっぱり格好良いよね。

そこでなんでもないような顔してお買い物できたら、比企谷先輩に「こいつやるじゃん」って思ってもらえるかも。

よし!尊敬する先輩が傍で見ててくれることだし、頑張ってみよう!

 

 

そして私はドキドキワクワクで比企谷先輩を引き連れて、前々から羨望の眼差しで眺めることしか出来なかったお店へと歩を進めるのだった。

……このあと巻き起こる、格好悪くて情けない自分の惨めな姿を想像することも出来ないまま……

 

 

× × ×

 

 

お店に到着した私は、扉の前で一瞬たじろいでしまう。

……やっぱり入りづらいっ……!

こういうお店は基本扉が開けっ放しだから、慣れてる人なら入りやすいんだろうけど、しまむらな私にはまるで秘境。場違いすぎる。

 

「……ここなのか……。あー……これってやっぱ俺も入った方がいいのか……?」

 

「ぜ、是非ともお願いしますっ……!」

 

ていうか私一人じゃ無理です!

そもそも冴えない私を育てて欲しいから来てもらったのに、お店に一人で入店じゃなんの意味もないんですっ……

 

比企谷先輩と初めてのお買い物。そして敷居が高すぎるブランドファッションショップ。

あまりの緊張で足がカタカタと震えてるけど、先輩に格好悪いところを見られたくない私は、なんとか平静を装って店内へと足を踏み入れてみた。

 

「いらっしゃいませぇ♪」

 

ショップ店員さん達の明るく元気な挨拶に、私は恥ずかしながらビクゥッとしてしまった。

……え!?洋服屋さんの店員さんって、こんなに笑顔で迎え入れてくれるものなの!?

 

私は恥ずかしさをなんとか押さえ込んで、店員さんに若干卑屈な笑顔でペコリとお辞儀をしながらお店の奥へと逃げ込むように入っていく。

だ、だって……店員さんってすごく着こなしとかがお洒落で綺麗で、頑張ってお洒落してきたつもりになってた自分の姿がみすぼらしく思えちゃったんだもん……

 

──これは無理だ……やっぱり私には場違いすぎた……

でもこのまま何も見ないで逃げ出したんじゃ比企谷先輩に格好悪いって思われちゃうし、早く適当にショッピングを済ませて早く出よう……

 

と、とりあえずはそろそろ新しいのが欲しいなって思ってたワンピースとかでも見てみようと、マネキンに飾られたワンピースを頼りに、そういうのが置いてありそうなコーナーに行ってみた。

 

……あ!これ可愛いかも!

そう思って手に取った花柄のワンピース。

うん。これなら普段使いにもお出掛けにもたくさん使えそう。

ふぅ……どうなることかと思ったお洒落ショップのお買い物も、ようやく楽しくなってきたかもっ……と、少しだけ弛緩した気持ちで何気なく値札を見た私は一気に血の気が引いてしまう。

 

「いっ……!いちっ……!?」

 

 

嘘でしょ!?ワンピース一枚でこの値段なの!?

こ、これ……同じようなデザインの洋服、しまむらだったらワンピースどころか全身コーデ買えちゃうよっ!

しかもその帰りに本屋さん寄って、余ったお金でハードカバーの小説だって我慢しないで買えちゃう……

 

無理無理無理!こんなの買えない!

 

「あ!こちら先週入ったばっかりの新作なんですよぉ!可愛いですよね〜!」

 

「……っへ!?」

 

その恐ろしいワンピースをそっと元の場所に置こうとした時、いつの間にか背後に居たらしき店員さんが笑顔で話し掛けてきた。

 

「こちらそのままでもとっても可愛いですしぃ、カーディガンとかジャケットにもとても合わせやすいんでヘビロテ確実ですっごいオススメなんですよ〜? ちなみに私も今着てるんですけどぉ、ホラっ、こうやって下にパンツを合わせても凄く合うんですよ〜?」

 

「は、はい……」

 

矢継ぎ早にお洒落店員さんの口から語られるお勧めセールストーク。

なん、で……?こういうお店って、洋服自由に見させて貰えないの……?

 

「あ、こういったアイテムなんかも凄く合うんで、これからの季節だけじゃなくって、秋くらいまではガンガン使えちゃいますよー?」

 

その後も次から次へとそのワンピースに合うのであろうアウター?とかボトムス?を手に持って合わせてくれる店員さん。

 

「……あ、あの……じゃ、じゃあこちらをっ……お、お願いします……」

 

「ありがとうございますぅ♪」

 

私には無理です……これはもう断れません……

 

「他にも店内ご覧になりますかぁ?」

 

「あ、いえ……もう大丈夫です……」

 

「かしこまりましたっ!それではあちらがレジになりますのでっ」

 

……ああっ……これでしばらくは節約しないと……もう来月まで本も買えない……

 

半分ほど魂が抜けてしまった状態で店員さんにレジへと連行されていく私に、比企谷先輩が心配そうにこそっと声を掛けてきてくれた。

 

「おい藤沢……あんな高けぇの買っちゃって大丈夫なのかよ……さっきお前、値段見て驚いてなかったか?」

 

「そ、そんなこと無いですよ!?……ワ、ワンピース欲しかったんで、いいお買い物できちゃいましたっ……えへへ……」

 

 

……格好悪い……どうやら先輩には全部バレバレみたい。

でもバレバレなのに、今の私に出来ることといったら引きつった笑顔を浮かべて強がりを言うことだけ……

 

「ありがとうございましたぁ」

 

お店の出口まで着いてきてくれた店員さんに商品を手渡され、私は初めてのお洒落ショップでの苦いショッピングを力なく終えたのでした。

 

 

× × ×

 

 

軽く泣きそうになりながらも、私はなんとか気持ちを立て直して、次なる目的地へと足を向ける。

 

「ちょ、ちょっと疲れちゃいましたし、時間もいい時間なので、お茶……というかランチにしませんか?」

 

「お、おう」

 

まだ待ち合わせてから一軒のお店に入っただけなのに「疲れちゃいましたし」って発言はいかがなものなんでしょうかね、私……

で、でもここから立て直さなきゃ!次こそは比企谷先輩に感心してもらいたい!

 

そして到着したのが、一色さんに教えてもらって本牧先輩と行ったカフェとはまた違うお洒落なカフェ。

そちらも前々から羨望の眼差しで眺めていただけの、私には敷居が高すぎるお店。

 

一軒目で予想外のとんでもない散財をしちゃった私ではあるけれど、それでも今日の擬似デート中だけはあんまりお金のことは気にしたくない。なにせ今日を全力で楽しむ為に全財産持ってきたんだもん!

先ほどの格好悪い失態も、お洒落なカフェでお洒落なカフェランチを楽しめれば名誉挽回できるはず!

 

 

 

……うわぁ、ここもまたとにかくお洒落……。また場違い感にお腹が痛くなってきそう……

でもあんまりキョロキョロと店内を見回してると慣れてない感が丸出しになっちゃうから、比企谷先輩にバレないようにチラッチラッと盗み見る。

 

「ご注文お決まりでしょうか?」

 

入店して席に通されてから、しばらくのあいだメニューとにらめっこしていた私たちに、ホールの女の子が声を掛けてきた。

あぅぅ……チラチラと周りを見渡すばかりだったから、まだ決まってないよぉ……

 

「あー、じゃあオムライスプレートとブレンドで」

 

あっ!先輩はもう注文が決まっていたみたい!

どどどどうしよう!?私も早く決めないと……!

 

しかし、メニューを見てもいまいちよく分からない。

私も先輩と同じく、分かりやすいオムライスとコーヒーにしようかな?

でも今日からイケてる女の子へとステップアップする私は、なんかこう、もっとお洒落で格好良いものを頼んでみたい。

 

あ!これちょっとお洒落っぽいし、なんとなく分かるかも!

 

「えと……じゃ、じゃあ私はチキンとラタトゥイユのベーグルサンドと……あとは」

 

なんかベーグルサンドってちょっと格好良いし、ラタトゥイユって確か野菜を煮たやつだよね?野菜を煮ただけなのに、なんか名前がお洒落で良いかも!

あとは飲み物……どれが格好良いかな……

 

カフェラテとかでも良いんだけど……なんかもっとこう……。

あ!これなんか聞いたことある!

どんなのかいまいち分からないけど、たぶんお洒落なコーヒーの種類だよね。

 

「……エ、エスプレッソで」

 

ドリンクは食後で……と、注文を聞き終えたホールの女の子が厨房へと戻って行く中、比企谷先輩が訝しげな表情で私を見ている。

 

「藤沢お前エスプレッソなんか飲むのな」

 

あ、やっぱりちょっと格好良かったのかなっ。

 

「はい!好きなんですよ、エスプレッソ」

 

「ほーん。俺らの歳くらいの女子にしちゃ珍しいな」

 

そ、そうなんだ……

 

私はその言葉に一抹の不安を覚えながらも、初めて比企谷先輩と二人でするランチが嬉しくって、お料理が届くまでのあいだ、先輩と色んなお喋りを一生懸命に楽しんだ。

主に私が話し掛けてばかりだったけど。

 

しばらくして届いたランチはとても美味しくて大成功!

やっとこれで素敵な女の子のデートらしくなってきた!と思ってたところに、すっかり忘れていた食後のドリンクが到着した。

 

「お待たせいたしました。こちらが本日のブレンド、こちらがエスプレッソになります。ごゆっくりどうぞ」

 

 

………………え?なにこれ。

私はコーヒーを頼んだはずなのに、なんでこんなにカップが小さいの……?

……そこには、とても小さいカップの中に、ほんの少量の黒々とした液体が注がれていた。

 

こ、これがエスプレッソ……?想像してたのと全然違う……

なんかこう、カフェオレの上位互換みたいな、葉っぱとか猫とかのラテアートが施されてるみたいな姿を想像してたのに……

 

「お、美味しそう〜……いただきま〜す……」

 

でもここで固まってしまったら、またもや比企谷先輩に格好悪いところがバレてしまう。

だから私は何でもないような顔でエスプレッソを口へと運ぶ。

 

「っ!?」

 

思わず吹き出しそうになってしまった。

……にっがい!!濃すぎる!!……え?なにこれ……原液かなにか……?カルピスみたいに薄めて飲むものなの……?

でもこの小さな小さなカップでは、この濃すぎる液体を薄めるほどの容量は見込めない。足すための水もミルクも無いし。

 

『俺らの歳くらいの女子にしちゃ珍しい』

 

だからたぶん、これはこういうモノなんだろう……

こんなの……普通の女子高生が好んで飲むわけないもん……

 

「……藤沢、どうした。大丈夫か?」

 

「あ、はい!すっごく美味しいです!」

 

格好悪いところを見られたくない私は、またも強がりの嘘を吐く。

でも比企谷先輩が私を見る目で嫌でも分かってしまう。また無理してるのがバレバレなんだって。

 

それでも私は嘘を吐く。美味しい美味しいって、苦い液体を無理やり喉の奥に流しこんで。

 

 

 

沈んだ気持ちでカフェを出たあとのデートも、それはそれは酷いものだった。

 

普段行き慣れないカラオケで、この日の為に自室やお風呂で練習してきた普段は絶対に歌わないような流行りの歌を歌ってみても、そもそも歌なんてちっとも上手くもない私の歌声では素敵に歌い上げられるわけなんてなく、声はひっくり返るし高音は出ないしで、あまりにも情けないオンステージとなってしまった。

 

今度こそ!と張り切った次のボーリングでは、普段履き慣れないヒールで擦り剥いてしまっていた足ではロクなプレーも出来ず、仕舞には痛い足を庇ってボールを投げた際に転んじゃって、普段付け慣れないコンタクトを落としてしまう始末。

……もう情けなさで今にも泣き出しそうな私を横に、比企谷先輩が一生懸命に探して見つけてくれました。

 

──そして、ようやく今日のデートが終わる。

 

 

× × ×

 

 

本当に最悪だ。なにが最悪って、せっかく比企谷先輩が親切心で来てくださった私の為の擬似デートなのに、その終わりを“ようやく”だなんて思ってしまったこと……

 

 

今私たちは、本日の集合場所でもあり解散場所でもある千葉駅前でお別れの挨拶をしている。

思えば、その集合からしてやらかしちゃったっけな。

今日は、そもそもからして駄目だったんだね。

 

「……あのっ!今日はお付き合いくださって、本当にありがとうございました……」

 

「おう。役に立てたとは思えんが」

 

「そ、そんなこと無いです!とても助かりました……」

 

お別れの時まで嘘吐いちゃうんだね、私。

助かっただなんて大嘘もいいところ。本当は情けなくて恥ずかしくて悔しくて、わざわざ私の為なんかに時間を割いて来てくださった比企谷先輩には、本当に申し訳ない気持ちしかないっていうのに……

 

「……きょ、今日の経験を生かしてっ……こ、今後も頑ば……頑張っていきたいなって思……お、思いますっ……」

 

ずっと堪えていた涙。今は先輩とお別れする前だから、まだ流したくない。流すわけにはいかない。

……今にも零れてしまいそうな涙をさらに堪えようと力を込めるから上手く喋れない。本当に情けなすぎる。最後の最後まで格好悪い……

とてもじゃないけど、今日はどうでしたか?……なんて、口が裂けても聞けるわけがない。

 

「そうか、まぁ頑張れよ」

 

そう言って先輩は改札に向かう為に背中を向けた。

やっと……やっと涙を我慢しないで済むんだ。比企谷先輩の背中が視界に映った瞬間、その視界が酷くぼやけてきた。

 

「なぁ、藤沢」

 

ビクッと全身が震える。

だって、もう我慢を放棄しちゃったから、今先輩に顔を見られたくないっ……

私はとめどなく流れてしまっている涙を隠そうと慌てたんだけど、有り難い事に比企谷先輩は私の方には振り向かず、背中を向けたままでお話を続けてくれた。

 

「あー、なんだ。今日のデー……外出は藤沢からの依頼みたいなもんだから、悪いとは思うがちゃんと感想は言っとくな。……今日の擬似デートなんだが…………正直つまらなかったわ」

 

「っ!」

 

「……お前は、どうだった」

 

「……」

 

口を開くとしゃくりあげちゃいそうだから何にも言えないけど、本当に本当に楽しくなかったです……

物凄く緊張はしてたけど、それでもあんなに楽しみにしてた今日この日を、ひとつも楽しくなかったと感じてしまっている自分が悔しくてしょうがない。

 

「……だよな。とても楽しんでるようには見えなかったもんな」

 

無言を肯定と受け取ってくれたのだろう比企谷先輩が、さらに言葉を紡ぐ。

 

「……はぁ……こんなこと誰にも話したこと無かったんだが、まぁ仕方ねぇな。……実を言うと俺はちょっと前まで“変わる”ってことを心の中で小馬鹿にしてた事があってな。そんなに簡単に変われたら、そんなの自分じゃねーよ、なんで無理に自分を変えて過去の駄目な自分を否定しなきゃなんねぇんだよ、なんでそのままの自分でいていいと自分に言ってやれないんだよ……とかな。……まぁそんな捻くれたこと考えちゃってる俺格好良いとか思っちゃってたわけだ」

 

「……?」

 

 

「けどな、ちょっと前に平塚先生に言われたんだわ。君はもともとよく分からん奴だったが、昔よりは多少わかるようになったってな。人の印象は日々更新され続けるし、一緒に成長し続けていけばわかっていく……だとよ。ま、要は俺もどうやら知らず知らずに変わってたらしい」

 

「……」

 

「笑えるよな。あんだけ変わるって事を見下してたくせに、先生にそう言われた時、心のどっかで思いのほかそういうのも悪くねぇなって思っちまったんだよ。……だからまぁ、少なくとも今の俺は“変わる”ってことも“変わりたい”って願うことも、そんなに悪くない事だと思っている。今の自分ってものを鑑みて、これじゃいけないと真剣に悩んでる奴のその思いを馬鹿にして否定する方が、よっぽど馬鹿で見下していい独り善がりな価値観なのかもなって思うようになってきたまである。……ま、そんなわけで今回の藤沢からの真剣な依頼を受けちまったってわけなんだが……」

 

比企谷先輩はそこまで言うと、呆れたような溜め息を吐く。

 

「……今日の藤沢のは、正直な話、ちょっと前まで俺がふざけんなと否定してた方の成長欲求だった。なんつーか、本当に変わりたいのか?成長したいのか?って感じたわ」

 

……本当に変わりたいようには思えなかった……?

ううん……?そんなこと無いっ……!私は変わりたいって思いましたよ……!?

 

「悪いな。本来なら、こないだ相談を受けた時に言っとくべきだったかもしれん。お前言ってたよな? 自分みたいな地味で冴えない女と一緒に歩いてる男はどう感じてるんだろう、隣に居るのがなんだか申し訳ない……ってな」

 

「……はい」

 

「あとはこうも言っていた。いつもそばで見てる一色みたいな格好良い女の子に憧れるし、自分もああいう風に素敵な女の子になれたらな……と。だから変わりたい、成長したい、と」

 

「……は、い」

 

「正直な、後者の理由をキラキラした目で話してたから今回の相談を受けたんだ。自分がなりたいと目標を持って努力するのは悪いことじゃないと思う。まぁ一色みたいになっちゃった藤沢を見たいとは思わねぇけど」

 

ちょっと苦笑い気味に話す比企谷先輩だけど、その次に放った言葉は、とてもとても辛辣だった。

 

「だがな、前者の理由は酷いわ。なんの熱意も信念も一切感じない、酷く後ろ向きで酷くみっともない、くだらない理由だ」

 

「……っ!」

 

「……変わりたいから、成長したいからって真剣な想いじゃなくて、ただ周りからどう見られてるのかだけにしか意識が向いてない薄っぺらな変身願望。そんなもんに中身なんかあるわけねぇよな。……だから今日の藤沢は本当に空っぽだった。……お洒落に見せよう、格好良いとこ見せようって無理ばっかしてっから、買いたくもない高いもん買っちゃうわ、苦くて飲めないコーヒーを我慢して涙目で飲むわ、慣れないカラオケで慣れない流行りの歌うたって外しまくるわ、傷めた足庇ってすっ転ぶわ。ひでぇもんだったろ」

 

……返す言葉もない。本当に全部その通り。

格好悪い行為をしながら格好悪い姿を晒してたってことか……

 

「変わりたいってのは、そういうんじゃ無いんじゃねーの?って俺は思う」

 

「……ひぐっ……はっ、い……」

 

もう会話どころか「はい」の一言だけでさえしゃくりあげてしまう。

そんな私の様子を感じたのか、比企谷先輩は困ったように頭をがしがしと掻いて、とても優しく語り掛けてきてくれた。

 

「あー……なんだ。だからそんなに無理してまで、一気に変わろうとしなくてもいいんじゃねーの……?薄っぺらな方じゃなくて、憧れとか目標とかの信念がある方なら、そう想い続けてりゃそのうち勝手に変わってくだろ。別に無理しないでも、普段の藤沢にもいいとこあるってみんな分かってるだろうし、俺も、その、なんだ……前にも言ったが、地味だろうがなんだろうが、普段の真面目で一生懸命な藤沢にはマジで感謝してるしな……」

 

「……ひゃい……」

 

「……それにあれだ。副会長だって、普段の一生懸命な藤沢を見て気に入ってるからデー……外出に誘ったわけだろ?……だったらいくらお前が自分に自信がなかろうが、副会長が地味なお前と一緒に歩いてることを恥ずかしいとか思うわけねぇだろ。むしろ今日みたいに無理してちぐはぐな振る舞いばっかしてるお前とまたどっか行ったって、俺と同じようにつまんなかったって思っちまうんじゃねぇか?……知らんけど」

 

「……ひゃ、いっ……」

 

「だからまぁ、あれだ……あんま無理しない程度に頑張れよ」

 

そこまで言うと、比企谷先輩は手をひらひらさせて、改札の方へと歩いていく。

後ろ姿しか見えないけれど、後ろ髪から覗く耳が真っ赤になってるから、たぶん顔まで真っ赤にさせながら、私の為に恥ずかしさを堪えてここまで言ってくれたんだろう。

 

「……あ、ありがとう……ひぐっ……ございまちたっ……」

 

だから私は、しゃくりあげちゃうのも噛んじゃうのももう一切気にせずに、心からの謝意を述べて、その優しい背中に深々と頭を下げるのだった。

 

 

× × ×

 

 

「あ……比企谷先輩!おはようございます!」

 

「うおっ! び、びっくりした」

 

惨めで格好悪い運命の擬似デートの翌朝、私は尊敬する先輩に朝一でどうしても決意表明したくて、駐輪場にてずっと待ち構えていたのだ。

 

「……あっ……す、すみません……! いきなりで驚かせてしまいましてっ……」

 

「あ、いや……それは別に構わないんだが。…………そうか、元に戻したのか」

 

「はいっ」

 

そう。あの酷いデートの翌日、私はおさげと眼鏡姿の、いつもと同じ地味で冴えない私に戻っていた。

すると比企谷先輩は、とても気まずそうにこんな事を言ってきた。

 

「その……昨夜はなんか悪かったな。すげぇ偉そうなこと語っちまってたよな。……アレを気にして元に戻したんならホントすまん」

 

「違います違います!そんなんじゃ無いんです!……私は、自分で選んで元に戻しました」

 

そう、これは自分の意思。

比企谷先輩にはっきりと言ってもらえて、やっと気が付いたから。

 

「昨日はホント格好悪いところをたくさん見せてしまいましたが、それでも昨日の出来事があって本当に良かったって思ってます。……というか、やっぱり相談したのが比企谷先輩で本当に良かったです……!」

 

「いや、俺は別に……」

 

「いえ、本当に比企谷先輩だから良かったって心から思ってるんです。すっかり忘れてたこと、思い出せましたから」

 

──私は、ここ最近で今まで関わった事が無かったような、学年の中心人物たる、一色さんのようなキラキラ輝く素敵な女の子と関わることになったり、デート……と呼ぶのはおこがましいのかもしれないけど、それでも本牧先輩にお出掛けに誘って貰えたりして、分不相応過ぎて舞い上がっちゃって忘れてたんだ。

そもそも私が自分自身に抱いていた感情を。

 

「えへへ、すっかり忘れてたんですけど、私、地味で冴えない普通の自分が、実は結構好きなんです!」

 

そう言い切った私は、自分でも気付かないくらいにとても自然な笑顔を先輩に向けていた。

 

今まで比企谷先輩のことは、最初は恐い人だって思ったり、途中からは一番の尊敬する先輩になったりで、常にどこかで緊張していた。

だから、昨日のデートも含めて実は初めてかもしれない。比企谷先輩とちゃんと正面から向かい合って、本当の笑顔を見せられたのは。

 

 

──あっ……そっか……。これが“変わる”って、“成長する”ってことなのかも──

 

 

そんな私の本当の笑顔を見た比企谷先輩は、またもや照れくさそうに頭をがしがしと掻きながら一言。

 

「そうか。ま、それでいいんならいいんじゃねーの」

 

「はいっ!」

 

 

……結局のところ、私は私なんだよね。

普通で地味な現在(いま)こそが、とても掛け替えがなくて身の丈に合っている藤沢沙和子の人生そのもの。

身の丈に合わない無理ばっかりしたって、それはもう藤沢沙和子では無くなっちゃうのだ。

 

だからもう無理はやめよう。私は私らしい人生を送っていけばいいじゃない!

 

 

──でもっ……

 

 

「でもやっぱり、キラキラと輝く素敵な女の子になりたいっていう憧れは、今後もずっと持ってるって思うんですっ……。もちろんもう昨日みたいに無理はしませんけど。…………だ、だからっ」

 

 

顔が……身体が燃え上がるように熱を帯びる。

比企谷先輩に向けていた自然な笑顔が、一瞬で不安で弱々しい表情へと変化していく。

さっきまでのが今後の私の決意表明なら、これは私の単なる願望。

でも聞いてください!私の単なる願望を!

 

 

「……また、近い内に擬似デートにお付き合いいただけますか……!? ゆっくりとマイペースに変わっていく私を、また見ていてもらえますか……!?」

 

 

震える手でスカートをギュッと握り、震える足をしっかりと大地に打ち建てる。

また擬似デートをして昨日の失態を挽回したいんじゃない。お洒落な自分、格好良い自分を見せ付けたいわけでもない。ただ単純に、比企谷先輩に見ていて欲しい。ゆっくりと育っていく私を。

 

「……まぁ、役に立つっていうんなら、前向きに善処することを検討しとくわ」

 

恥ずかしそうにそっぽを向いて、そんな実現しなさそうなつれないことを言う比企谷先輩。

ふふっ……でもその表情を見ちゃったら分かりますよ?それでも年下にどうしようもなく甘い比企谷先輩は、私のその願望を聞いてくれるって。

 

 

──おかしいな……。ただ、尊敬する先輩との次の擬似デートの約束が取り付けられたってだけの事なのに、なんで私の心臓は、こんなにも嬉しそうに楽しそうにドキドキと躍ってるんだろう……?

なんで目尻も口元も、こんなにも自然と緩んじゃうんだろう……?

 

 

……それが一体なんなのか。それはホントはもう分かっちゃってるような、でもまだ分かりたくないような、そんな私の人生初の複雑な乙女心。

 

でも今はまだいいよね。

だってそんなのは、また次の擬似デートを楽しみながら、冴えない私をゆっくりと育てながら考えればいいことなんだから!

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

お、ま、け☆

 

 

「あれ?なんか今日の沙和ちゃんなんかちょっと綺麗!」

 

「あ、ホントだ!なんか今日の沙和子ちゃん綺麗〜!」

 

「え!?そそそそんなことないよ!? 私別になんにも変わってないよ!?」

 

「またまた〜」

 

「土日か今朝にでも、なんかあったんじゃないの〜?」

 

「ほ、ホントに何も無いってば!」

 

「あのー、藤沢さん……?」

 

「え?は、はい?」

 

「お、お客さん来てるよ〜……? ほら、あそこ……C組の一色さん……」

 

「……え?……い、一色さん!?」

 

 

 

 

「あ!書記ちゃんおはよー」

 

「ど、どうしたの?一色さんっ……この間の議事録なら、今日の放課後に提出する予定だけど……」

 

「あー、違くてー……ちょぉっ〜と書記ちゃんに聞きたい事あってさぁ、もし良かったらなんだけどー、今日のランチ、二人で生徒会室でどーかなぁ?なんてっ」

 

「い、一色さん? 凄い笑顔なのになんかちょっと怖いよ!?」

 

「えー?全然怖くないよぉ?……じゃあまたお昼に生徒会室でねー」

 

「ちょっ……?わ、私まだ行くって言ってなっ…」

 

「またお昼に生徒会室でねー」

 

 

「………………」

 

 

 

 

お終い♪

 







書記ちゃん逃げてー!というオマケ付きの書記ちゃん編でした(^ー^)
ありがとうございまちたっ!


やっぱり書記ちゃんは変わらないのが良い!おさげと眼鏡じゃなければ書記ちゃんにあらず!
そんな思いから始めた初の書記ちゃんSSでしたがお楽しみ頂けましたでしょうか!?
そして危うく中編→後編がひと月ほど開いちゃうトコでした(白目)

やっぱ物語の〆は難しいや(・ω・;)



最大級な斜め下の変化球の書記ちゃんもようやく書き終えた事で次回は完全に未定ではありますが、またいつの日かお会い出来ますように(^人^)



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