ダンジョンに英雄王がいるのは間違っている   作:あるまーく

10 / 75
ついにベルに発動したスキル。
ヘスティアはそれに憤慨し、それをにやにや眺めるギル。



憧憬一途

「どうして貴方はギルドのソファーを一人で使っているの!」

 

「王たる我が公の物をどう使おうが、問題あるまい…しかしまぁ安物のソファーよのぉ」

 

「文句までつけるの!?」

 

僕達は換金した後、王様の方に歩んでいき、エイナさんは王様がソファーに座ってるのを咎めたが、等の本人はどこ吹く風というに受け流していた。

 

……うちにあるソファーよりは高いと思うけどなぁ…

 

あれからエイナさんと王様はひとしきり口論していたが、王様が「そんな些事どうでもよい!ベルよ終わったのなら戻るぞ!」と言い僕と王様はホームに帰っていった。

 

……エイナさんが小声で、二度と来るなと言っていたが大丈夫かなぁ…

 

ーーーーーー

 

「戻ったぞヘスティア!」

 

「ただいまです、神様!」

 

「う~ん?あぁお帰り二人とも!」

 

ホームに帰ったら、ソファーで寝そびりながら本を読んでいた神様はトトトと音をたて僕たちのほうまでやって来た。

 

王様は神様のことを堕伸と呼んでいたが、神様が反論し最終的に僕もお願いして、王様は神様のことをヘスティアと呼ぶようになった。

 

……敬いましょうよ王様…僕はそう言ったのだが王様は、「こやつを敬う…?どこを?」と言い、今の現状から神様はなにも言えず、せめて名前で呼んでくれと頼みそう呼ぶようになった。

 

「やぁやぁ今日は何時もより早かったね?」

 

「ちょっとダンジョンで死にかけちゃって…」

 

「なに、なかなか愉快なことがあってな」

 

神様は僕がダンジョンで死にかけたと聞き、怪我はないかい?と心配してくれた。

 

……王様、今日の出来事は全然笑い事じゃないですよ…

 

僕はニヤニヤしてそう言った王様に内心でそう思った。

 

「それじゃあ、今日の君の稼ぎはあまり見込めないのかな?」

 

「何時もよりは少ないですね。神様の方は?」

 

「ふっふーん、これを見るんだ!デデン!」

 

「そ、それは!?」

 

「露店の売り上げに貢献したということで、大量のジャガ丸君を頂戴したんだ!夕飯はパーティーだ!ふふっ、今夜は君達寝かさないぜ?」

 

「神様凄い!」

 

「相も変わらず、貴様はショボいなぁ…」

 

神様の報告に僕は驚いたが、王様はそう言いがっくししていた。

 

「な、なにー!?そう言うなら王様君には上げないもんね!」

 

「そうか、なら我が買ってきてやった食料はいらないのだな?」

 

「王よ!このショボイ神めにお慈悲を…!」

 

神様は反論したが、王様が持っていった袋の中身を聞き、態度を変え頭を下げた。

 

……神様さすがに僕も今の神様を敬えないです…

 

ーーーーーー

 

「じゃあ今日もベル君のステイタスを更新しようか!」

 

「はい!」

 

そう言い僕は上半身を裸にし、ベットにうつ伏せになった。その上に、ちょうど僕のお尻の辺りに神様は座り込んだ。

 

「そういえば死にかけたって言ってたけど、一体何があったんだい?」

 

「ちょっと長くなるんですけど…」

 

そうして神様がステイタスの更新をしている間、今日起こったことを話した。

 

「出会いを求めて下の階層って…君もほとほとダンジョンに夢を抱いてるなぁ。あれ?そうすると王様君もミノタウロスに追いかけられたのかい?」

 

「たわけ、そのようなことあるはずなかろう」

 

「王様が一睨みしただけでミノタウロスはビビっちゃいましたからね」

 

本当かい?神様はそう言いあまり信じていなかった。

 

終わったよ、と言い神様は僕の上からおりてステイタスが載っている紙を渡してくれた。

 

……う~んやっぱりそんないきなり強くならないよな…

 

僕は自身のステイタスを見ながらそう思った。王様も気になるようで、渡して上げたが、まぁこんなもんだろうと言い紙を投げ捨てた。

 

「まぁさっき言ってたヴァレン某とか言う女より、すぐ近くにいる女の子の方がいいよ!」

 

「…酷いよ神様」

 

ええい、諦めないぞ。少なくともまだなにもやってないんだから挫折はしない。僕とあの人の関係は、まだ始まってすらいないんだからっ。

 

僕は内心でそう思いながら服を着、王様が買ってきた食料を調理するためキッチンに向かった。

 

ーーーそんなことを思っていたから僕はスキルのスロットに消した跡があったのに気づかなかった。

 

ーーーーーー

 

ヘスティアはキッチンに入るベルを見送って、静かに溜め息をついた。

 

(…あー、やだやだ。他人の手で、彼が変わってしまったという事実が堪らなく嫌だ。認めたくないっ!)

 

ぐしゃぐしゃと両手で思いっきりその漆黒の髪をかきみだす。…そうしていたら不意に王様君が声をかけてきた。

 

「よいのか?」

 

「…何がだい?ヴァレン某のことかい?それだったら」

 

そうではないと王様君は僕の言葉を遮った。何を?そう聞いた僕は、その内容に目を見開いた。

 

「決まっておろう。『ベルに正確に伝えなかったことを』、だ」

 

その言葉に僕は王様君を見た。笑ってはいたが、その目は確かに本気だった。

 

「…読めるのかい君は神聖文字を?」

 

「どうやらそのようだな…」

 

王様君はどこか他人事のように呟いていた。

 

……なんだい読めるなら最初に言っておいておくれよ…

 

「…王様君は黙ってたことが間違いだと思うかい?」

 

「我とて、正否はわからぬが…」

 

王様君はそこで言葉をきり、ニヤニヤしながらそう言った。

 

「ーーーそっちの方が確かに面白いな」

 




ベル・クラネル

Lv.1

力:I77→I82

耐久:I13

器用:I93→I96

敏捷:H148→H172

魔力:I0

《スキル》
『憧憬一途』
・早熟する。
・懸想が続くかぎり効果持続。
・懸想の丈により効果向上。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。