第四話
昔は昔、今は今
朝、そう朝だ。小鳥がさえずり爽やかな気分だ!
という展開はあり得ない。俺こと如月将平は朝に頗る弱い。何時もなら、一時間前に起きダラダラと過ごしながら頭と体を起こすのだが、昨日は師匠の怒鳴り声が一晩中続き、逆に寝れず現在に至る。
因みに今は食堂で我が幼馴染み二人と食事中。この状態の俺を見た事の在る二人は、 介護されている人よろしく甲斐甲斐しくお世話してくれてる。
SIDE 一夏
「箒、そっちはどうだ?」
「ああ、一応大丈夫なはずだ。しかしこの癖というか体質はなおってなかったか」
「本当だなあ、ほら将平食えるか?」
「・・・・・」
「重症だな」
「どうする一夏、この状態は中々にまずいぞ。このままでは私達三人とも、遅刻だぞ」
「って言ってもな、このまま放置なんてできないし、ていうかどうして今日はこんなにひどいんだ?」
「私にきくな!」
「織斑君、となり良いかな?」
見ると、朝食のトレーを持った女子が三名、おれの反応を待ちわびるかのごとく立っていた。
「ああ、別にいいけど」
「ねぇ、織斑君質問して良いかな?」
確か谷本さんだったけ?
「おう、なんだ」
「・・・いや如月君・・・大丈夫?」
そう全く反応の無い将平をみて、心配している。
「いや将平は昔から朝が苦手でさ、この状態になると中々戻ってこないんだよ」
「・・・ヘー」
「ほら、将平さっさと口をあけろ」
といい口の中にフルーツヨーグルトを流し込む箒。それを見て羨ましがる周りの女子達。
っん?
のほほんとした子が箒に代わってくれと頼み、箒も自分の食事もあるから器をわたした。
「はい、ヘイヘイヘーイ、アーン」
パクッとだされた物を自動で口の中に入れていく将平。いつもは頼りになるのだが、朝だけはこいつは本当に将平なのかというほど駄目駄目だ。
というかいつの間にか将平に食べさせようと列が出来ている。
「・・・何時の間に、こんな行列が・・・」
「いやー人気者だねー如月君。昨日セシリアの挑戦を受けた事がかなりの噂になっていてね。うちのクラスでも織斑君と如月君の話で持ちきりだよ」
流石女子の情報ネットワークは早いな。
「それにしても、女子って朝それだけしか食べないで平気なのか?」
「まぁね、それにしてもいつの間にかちょうだの列になってるね」
そう言われ見てみると、うお何時の間に!隣にいる箒が完全に引いてるぞ。とそこに
「なんだこの列は、さっさと散れそして効率よく食事を取れ!
遅刻したらグラウンド十周させるぞ!」
そこに我が最強の姉の一喝に周りの女子達が蜘蛛の子散らすように散っていった。
「お前たちも、如月を連れてさっさと登校しろ。一応そこの馬鹿者を連れて来れたなら多少は見逃してやる」
そういい、またどこかにいく千冬姉、そしてここにいる皆で将平を教室まで連れて
行った。
SIDE OUT
アー、何とか頭が動き出しました。あんまり記憶が無かったけど俺を運んでくれた友達に感謝。後でお礼いっとこ。
現在二時間目の途中ようだ。フムフムどうやらISの基礎知識、ISが肉体に及ぼす基本
事項か。
「山田先生。すみませんが、授業を一時中断を」
「え?」
「おい、やっと起きだしたか如月。昨日の騒ぎで貴様に非はないとは、遅すぎだ。目覚まし代わりに『拡張領域』について説明しろ」
「拡張領域(パススロット)ですか、・・・まずISには基本装備(プリセット)と後付装備(イコライザ)があります。そして拡張領域とは簡潔に言えばイコライザに必要な武器容量です。
本来、ISが組みあがった時点ではプリセットしかありません。しかしそれではパイッロトによっては性能を100%引き出せない場合があります。そこでイコライザを用い、足りない部分を補います。
しかしどんな装備も着け放題というわけにはいきません。なぜならISにはそれぞれ機種に搭載できる容量が限られているからです。
一応どんなISにも最低二つは着けれる用にはなっています。ですのでイコライザを選ぶ時には、拡張領域の上限を理解し武装の容量を把握した上でのセレクトが肝心です。自分の短所を補う武装しバランスをとるか、または長所を前面に押し出した装備で弱点衝かれる前に押し切るか、後は高性能な装備による武装性能での戦闘や、逆に性能や容量が低くても圧倒的な物量で制圧する等、しかし一番大切なのはどんな状態でも武装性能を考慮した戦略的視野そしてそれを使いこなす操縦技術を考慮した武装選びが必要です。それから・・・・・」
「もういい。十分だ、誰が貴様の余計な戦闘考察を述べよと言った。周りを見てみろ、貴様の考えについていけてないぞ」
あれ?本当だ皆のめが点になってる。熱が入りすぎたな。
「確かに、拡張領域の説明は完璧だが、その後の武装論は不要だ。そこからは大体貴様個人の考えだろ、もういい座れ」
ふう、中々お褒めの言葉が貰えません。俺褒められて伸びる子なのに。
「そうだ、織斑おまえのISだがしばらく時間がかかる」
「へ?」
「予備機が無い。だから、少し待て。学園で専用機を用意するそうだ」
「こんな時に専用機を貰えるなんて」
「いいなー織斑君」
「えっと、どういうことだ?」
「教科書六ページ音読しろ」
「え、えーと・・・『現在、幅広く国家・企業に技術提供がされているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切公開されていません。
現在世界中にあるIS467機、その全てのコアは篠ノ之博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外にはコアを作れない状況にあります。
しかし博士はコアを一定数以上作る事を拒否しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取引する事はアラスカ条約第七項に抵触し、すべての状況下で禁止されています』・・・」
「そういう事だ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間にしか与えられない。
が、お前の場合は状況が状況なので、データ収集目的で専用機が用意される事になった。理解できたか」
「な、なんとなく」
おいおい、音読までしておいてなんとなくって、どんだけお馬鹿なんだよ。
「あの、先生。篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なのでしょうか・・・?」
「そうだ、篠ノ之はあいつの妹だ」
篠ノ之束、ノノの姉にしてISを作り今の女尊男誹という世界を作り上げた稀代の天才またの名を天災と呼ぶ。何処の誰が洒落の聞いた名を考えたのか。
「あの人は関係ない!!」
突然の大声。今まで考えたいたことが一気に消え去った。ああ、ノノはあの人と比べられるのが嫌いだからな。
休み時間、イッチーの復習に付き合っていた時、甲高い声と共に彼女が現れた。
「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなっかたでしょうけど。まあ?貴方には如月将平にわたくしの実力を知らしめるために、頑張ってもらわないといけませんから」
「別に、オレはやるだけのことをやって、お前に勝って将平と戦うんだからな」
「ならば、せいぜい足掻きなさい。所で一つ確認です如月将平。貴方は専用機を持っていますね?」
そう聞かれ俺は懐から待機状態のISを取り出す。
「…懐中時計?変わった待機状態ですわね」
「爺さんの形見を無理言って使ったんでね」
「まあ、なんでも構いませんわ。当日にはそのISでたたかうの
ですわよね?」
まるでそれ以外の選択を許さない物言いだな
「ああ、勝者とな」
「では今のうちにその首でも磨いておきなさい。貴方には誇りを捨てた事を後悔させてあげますわ」
「俺は今の生き方を後悔なんてしてないよ。俺にはまるで理解できないよ。なぜ誇りや自信をそんなに後生大事にするのを」
「人はそれぞれ身分や職業、立場は違えど、少なからず誇りを胸に抱いているものです。それが在るからこそ、人は人足りえるのです」
「…ま、いいさ。ここでいっていても始まらない。ならば君の誇りとやらで、この俺を打倒できるか試してみるといい」
「もちろんですわ。ではごきげんよう」
そう言い優雅に去っていくオルコット嬢。
「なぁ将平、アイツどうしたんだろうな?昨日はあんなオレ達 のこと毛嫌いしていたのに」
「簡単だよ。俺達が単に擁護すべき民ではなく、完全なる敵と認識されたからだよ」
「そうなのかー、まいいや。それより飯にしようぜ」
「そうだな。イッチー、ノノを誘って来い」
「おう、ちょっといってくる」
さて、こっちも面子を集めますか。
「岸原さんもこれから昼食?織斑とか誘って学食に行くんだけど一緒にどう?」
そういいながら、一応この学園で初めてのお友達の岸原さんに
声をかけた。
「うん、いいよ。」
「あの、如月君。私もいいですか?」
「構わないよ。四十院さん」
「私の名前も覚えてくれたんですね」
「可愛い子の名前は何故か覚えるのが早くてね」
「あははは、口が上手いな如月君、如月君に言われたら本気しちゃうぞ?」
「そうですね。それに私より可愛い子なんて沢山いますよ」
「二人とも可愛いんだから、もっと自信をもとうよ」
「ハイ、ハイ、ハ-イ、わたしも行くよヘイヘイへ―イ」
「待て待て、なんだその黄色い眼鏡を掛けた落語家みたいな呼び方はなんだ!?」
「え?ヘイヘイへーイの名前ってそこからじゃないの?」
なわけあるか!
「家の父さんは歴史好きでな元は中華の昌平君からとったらしい。只そのままだとあれだから『昌』の文字を『将に』にして人の上に立つ人になれと、まぁこのご時勢にだとだいぶ名前負けだがな。
という事でそのへんちくりんなあだ名の改名を要求する」
というかこんなあだ名が定着して広まったらそこ等中でネタキャラにされてしまう。
「じゃあ、キサッチ」
「そこが妥当な線だな」
と、他愛の無い話をしながらイッチー達の所に行こうとした
時、ノノがイッチーを投げ飛ばしていた。それを見ていた周り
の子達は退散していった。はあ。
「ノノ!」
「な、なんだ」
「飯、行くぞ」
「断る!」
早、断るの早。だがしかし君に拒否権なんて無いのだよ。
「ノノ?」
「行かんと行っているだろ!」
「『命令』学食に行くよ」
「お、お前、ここでそれを使うなんて卑怯だぞ」
「なら最初から素直について来ればいいのに」
「分かった。行けばいいのだろう」
『命令』…俺にイッチーとノノには貸しがあるのでそれを
消す時にこの言葉を使う。まぁ回数の多いドラゴン●ールである。
「イッチー何まだこけてるの?さっさと行くよ」
「おう、ほら箒も行こうぜ」
「ああ、分かったから、引っ張るな」
さて皆で楽しいランチタイムです。イッチーとノノには席の確
保をお願いして4人で列に並び中
「ねぇ、如月君。あの二人とどういう関係?」
「ん?単なる幼馴染みだよ」
「どうりで仲が良かったんですね。結構長いんですか」
「そだねノノ、ああ篠ノ之ね。アイツは小4の終わり位に引っ
越して俺も小6で引っ越してね、だからあいつ等とは久しぶり
だね。あっ、日替わり二つとオムハヤシ」
「そうなんだー。クリームパスタで」
「煮魚定食でお願いします」
「鮭茶漬け~」
「それとさ、ノノの前でアイツの姉、篠ノ之博士の話をしない
でもらえるかな。姉にコンプレックスを抱いてね」
といい、3人とも了承してくれた。本当にいい子達だな
「へい、おまちー」
野太い声を出しながらお盆を置く
「「・・・・・・」」
「やめて、そんな目で俺を見ないで」
「なら、その馬鹿をさっさと直せ。すまないなこの馬鹿が迷惑をかけたな、布仏、岸原に四十院」
「堅苦しい理子でいいよ、そのかわり私も箒って呼ぶからさ」
「そうですよ。同い年なんですしそんなに畏まらないでください箒さん」
「それじゃもう一回私たちを名前で言ってみよ~」
「そ、そうだな、本音。理子。神楽。よろしく頼む」
「はは、まだまだかたいぞー箒」
「硬くないぞ、これが普通だ。そうだろ二人とも」
「「・・・うん、まあ・・・」」
「何だその間は」
「まぁまぁ、箒さん落ち着いてください」
とこんな感じで、楽しい昼食タイムは続いていく
「神楽はIS設計の道に進みたいのか、理子はどうなんだ?」
「私は、一応私はテストパイロット志望かな、その兼ね合いで来年は整備科に進もうかなって」
「二人とも中々に将来の事考えてるね。俺らも見習わないと」
「あれ?なんで私には聞かないの~」
「え?まさかのほほんお前、進路を決めているのか?」
「ぶー、キサッチは中々意地悪さんだ~」
いや、のほほんは中々に弄りがいのある奴だ。
「なぁ将平?俺たちの進路ってどうなるんだ?」
「それは聞くな。ただモルモット行きは全力で回避したい」
「だよなー」
「大変だね、二人とも」
「気を落とさず頑張りましょう、出来る範囲でお手伝いしますから」
「なら、来週の決定戦には必ず勝て一夏」
「ああ、勝つさ。所で箒、俺にISの事教えてくれないか?」
「ふん、そのやる気免じて特別に教えてやる」
おー。なんか良い感じじゃないか二人とも。
「ねぇ、如月君」
「何?そんな小声で」
「いやー、箒って織斑君のこと好きなのかなって」
「よく分かったね」
「いえ、箒さんかなり織斑君のことを意識していますし」
そんなこんなで楽しい昼食は終わり。放課後になったのだがイッチーがノノに当日までの練習に付き合ってもらうらしい。
俺はというとここ数週間まともなトレーニングが出来ていなかったのでグラウンドを走っている。現在三周目、一周5キロもあるなんてこの学校、いろんな意味でぶっ飛んでるな。あと二週は頑張りたい。
さて良い汗をかきた。サッパリとシャワーでもあびるか。多分あの二人のことだから、結構時間かかりそうだしあらかじめイッチーには部屋の鍵をかりていたのだ。し
かし部屋に入った瞬間、全ての思考が止まった。そこには何も着ておらずバスタオル一枚巻いただけのノノがいた。
「「・・・・」」
無言、俺達二人どうしようかと動こうにも動けないが、時は動き出す。ノノの巻いていたバスタオルが落ちてしまい、今度こそノノの生まれたままの姿をみてしまった。
「み、見るな!」
「ごめん、すまん、アイムソーリ、許してください箒さん」
いやーすごかった。子供の時のツルペタしか見ていなかったか
ら今の箒は成長していた。
「もういいぞ」
振り向くと浴衣を着た箒がこっちを睨んでる。
「どういうことだ?なぜお前が鍵を開けてこれた?」
「いや、どうせお前達、練習に熱が入って時間がかかると思い
先にイッチーから鍵を借りてきて、シャワーでもと」
「わかった。取りあえず今見た事は忘れろ。今すぐ全力で最速で」
「えー、あんな眼福をw・・・・・サーセン。たった今忘れました」
あぶねー木刀で殺される所だったよ。
「昨日も言ったが、なぜそんな軟弱な軟派な男になってしまったのだ、日本男児ならもっとシャキッとしろ!」
「・・・そんなに軽い?」
「当たり前だ!昔のお前はそんなんではなかった。・なぁ将平 お前に何があった?剣の腕では私たちに及ばなかった、しかしお前のあの強い生き方には、私や一夏は憧れていたんだ。それが・・・なんで昨日はあんな・・・昔の自分を否定するような
事を言ったのだ?」
「昨日も言ったよノノ。人は変わるんだ、何時までも昔のままでなんて要られない。ただ変わった・・・それだけだよ」
「なら!なんでお前の顔はそんなに辛そうなんだ。そんな顔で言ったて、私は信じない」
ノノの顔まで歪みそうになる。そんな顔を見たくないからノノの頭を撫でる。
「なら箒。お前が、お前たちがそんな俺を覚えていてくれればそれでいい。誇りを理想とし、それだけで何でも出来たと思っていた身の程を弁えぬ馬鹿な男の事を。・・・ごめん今日はもう帰る」
そう言って部屋から立ち去る。これ以上いたらあいつを傷つけてしまいそうになる。
部屋に戻り布団に倒れこむ、・・・らしくない、本当にらしくない自分をさらしたな。ああ、本当にあの二人の前だと駄目だな。・・・食堂も今から行っても間に合
わないか、もう寝よう。
そして、心にもやもやを抱えたまま戦いの朝をむかえた。
第4話 了