「中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」
そう言いながら、フッと小さな微笑と共にこちらを見る三人目の幼馴染み。はてあいつはこんな性格だったっけ?
「鈴?何かっこつけてんだ全然似合ってないぞ?」
そうなのか?イッチー。
「う、うるさいなんてこというのよアンタは」
おお、良かった良かった。どうやらアレの性格は変わっていなかったらしい。
「おい鈴。こっちに来いよ、将平がいるんだぜ」
「え?」
女子に囲まれていて気づいていなかったのか驚いた顔をしているところに
「よぉ」
と軽く挨拶。と行き成り近くにまできて俺の顔やら体をペタペタ触る始末。
「ホントに将平?」
「じゃなかったら俺は一体誰なんだよ?」
「そっか、元気にしてたんだ・・・」
といいながら俯いてしまった。よく見ると軽く震えている。急にイッチーやコイツの 前から消えちまったからな心配させちまったな。と思った瞬間、ガシッと腕を掴まれ
「あ~ん~た~ね~、元気にしているならしているでメールの一つでも寄越しなさいよね~!この馬鹿チンがーーーー!!」
不味いと思った瞬間にはもう遅い。俺の溝にゼロ距離からの寸頸がぶちこまれた。
「あ・相変わらずいいパンチです鈴さん」
蹲りながら右手をグーにして突き出し、その意図を理解したのか彼女もグーにして
打ち合う
「フン、心配させた報いよ。ま、元気そうで安心したわこの件は今の一発で勘弁してあげるわよ」
「お前も相変わらずで何よりだよスズネ。とりあえず昔のよしみで言うが、ご愁傷様」
と言い終わった瞬間にブンと呻る出席簿という名の妖刀がスズネのトレードマークのツインテールにヒットする瞬間
「フッ!」
と腕を交差し上に突き上げ妖刀を防ぐ
「ホウ、私の一撃を防ぐとは多少は腕を上げたというところだが甘い」
そこから繰り出されたのは、幻の左による追撃であった、もう一度言うがスズネよ語愁傷様
「~~~!!って行き成り何するんですか千冬さん」
「馬鹿者、ここでは織斑先生だ。それにもうSHRの時間だサッサと自分のクラスに戻れ」
「分かりました。一夏、将平、昼休みに食堂で待っているわ。逃げんじゃないわよ」
「サッサト行け」
「は、はい」
と一睨みで退散するスズネ。とそこに
「おい、一夏。今の女子は一体誰なんだ」
「き、如月さん今のお方はだれですの?どういうご関係で?」
「はぁ」
バシバシバシバシ!!!!!
「サッサと席に着かんか馬鹿者共が!!」
と鬼のもといい鶴の一言で鎮圧された
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
篠ノ之箒の場合
(何なのだあの女子は・・・一夏とはずいぶん親しそうだが、しかしあの反応はなんのだ。まるで幼馴染みの反応では無いか?いや待てそれは私であろう。だがしかしアドバンテージはまだ私にある。そう簡単にこの牙城は崩せまい)
「篠ノ之、答えは」
「私の圧倒的な有利です!・・・あ」
「ほう?ではこれから起こる事もわかるな?」
スパーーーン
セシリア・オルコットの場合
(何なんですの?さっきの方はやたら如月さんと仲がよろしい感じでしたが、しかも如月さんが名前とは違う呼び方をしていた?不味い、不味いですわ箒さんの話では如月さんを好きになる人は殆ど居ないといっていましたが、あの様子だとわかったものではありませんわ。しかも代表候補生で専用機持ち、インチキですわ卑怯ですわ。・・・先ずは今の模擬戦や戦術考察だけでは安心できなくなりましたわね。さらにもう一歩、いえ二歩も三歩もりーどしなくては)
「おい、オルコット」
「いえ、・・・・しかし・・でも・・」
「ハア」
スパーーーーン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お前のせいだ」
「貴方のせいですわ」
「「なんでだよ」」
全く自分たちの世界に没頭しすぎて制裁を喰らったくせに俺達のせいにするとは
全く・・ギロ・・世知辛い。
「それよりも食事に行かないか?速く行かないと席がなくなってしまう」
「仕方ないな」
「そこまで言うなら、おともしますわ」
「そうだな行こうぜ」
そうこうしているうちに学食に到着。今日の昼飯はチャーハンランチだ!因みにノノはきつねうどん、オルコット嬢は洋食ランチ、イッチーは日替わり定食だ。なんか代わり映えのしない奴らめ。
「待ってわよ。一夏、それに将平」
ドーンと待ち構えているのは三人目の幼馴染みスズネ事、凰鈴音その人である。俺はついでですか。
「鈴お前相変わらずラーメンかよ」
「いいじゃない、好きなんだから」
「まいいか。席探そうぜ」
とイッチーの言葉に従い皆であいている席を探す。速めに来た会もあるのか、サックリト見つかり着席する。
「鈴、何時日本に帰ってきたんだ?おばさん元気にしているか?っていうか何時代表候補生になったんだよ」
「一気に質問しないでよね、っていうかアンタこそなにIS使ってんのよ。ニュース見た時は驚いたじゃない。それに将平!あんたは人を心配させすぎ、クラスの子達に聞いたけどアンタ結構やるんだってね、っていうかそれは当然か、背中を預ける者としてはそれ位こなして貰わないとね」
「全く相変わらずだなスズネは。だが少しは成長したようだね」
「当たり前よ。アンタの背中はあたしが守りあたしの背中をアンタが守るそういう約束でしょ。ならやる事は一つでしょ?」
「一夏、そろそろどういう関係か説明して欲しいものだな?まさか、つ・・付き合っているのか?」
「べ、べべ、別に付き合ってる訳じゃ・・・・」
スズネよ、ドモリすぎだぞ。
「そうだぞ。なんでそんな話になるんだ?只の幼馴染みだ」
「・・・・・・・」
「?何睨んでるんだ?」
「なんでもないわよ」
「幼馴染み?」
「あー、えっとだな、箒小4の終わりごろ転校しただろ。で、いれちがいで小5の時に鈴が転校してきたんだよ。そこから中2の終わりに国に帰ったから会うのは一年位かな、で鈴。こっちが箒。前にも話しただろ前に通っていた剣術道場の娘さんで鈴が来るちょっと前に転校しちっまたんだよ」
「篠ノ之箒だ、よろしく頼む凰」
「鈴でいいわよ、あたしも箒って呼ばせてもらうしあんたの事は一夏や将平から聞いてるわ」
なんだろ?二人の間に見えるはすの無い火花がぶつかり合っているのがわかる。ほんと恋する乙女は怖いね。
「んんっ!わたくしを忘れてもらっては困りますわ。中国代表候補生、凰鈴音さん」
「アンタ誰?」
うわ~流石スズネ俺達にゆえないことをさらっと言ってのける。
「なっ!?わたくしはイギリス代表候補生、セシリア・オルコットですわ!!」
そう、がなるなよオルコット嬢。
「セシリア・オルコット?・・・ああ!アンタがあの」
「そすですわ。w」
「この間、将平にボコボコニされたって子でしょ?」
おい、その言い方はやめろ。ってやっぱりオルコット嬢がスンゲー睨んでくるし。
「でもごめんね。あたし他の国には興味ないんだ」
「言ってくれますわね」
ここでも違う意味での火花が散っている。
「まぁ、落ち着きなよオルコット嬢」
「これが落ち着いていられますか。そもそも原因は如月さんのせいですわ。責任を取ってくださいな」
「んな無茶な、っていうかそこ頬を赤らめて言わないでください」
「へ~」
「何だよスズネ」
「べっつに~」
「如月さん、ちゃんと聞いていますの!」
しつこいよオルコット嬢。
チョンチョン
「何だ?鈴」
「いやさ箒、セシリアって完全に将平に」
「ああ、惚れている」
「珍しい事もあるのね」
「まぁな」
「ま、そこはおいといて一夏、アンタクラス代表なんでしょ?なんだったらあたしが見てあげるけど」
「おいスズネ、それはチョイ待ち」
「何でよ!!」
睨むな怒鳴るな。
「お前も代表戦にでるんだろ?ならそれが終わるまでまて。試合前に互いの手の内がばればれな試合ほどつまらんものはないし何よりイッチーのためにならない」
これは本当のこと。今の訓練は基礎だけに終始しているが、模擬戦も加われば癖などの対応する力を養う事もできるが、今イッチーに必要なのは初見の相手に何処まで肉薄できるかその一点スズネとどの状態出た戦うかは解らんがまず完全にスズネはイッチーより格上だろうな。ならこの状況を使わない手は無い。
「エ~~~」
「お前の懸念も解るが、後で時間をやるからそこで我慢しろ」
「分かったわよ」
そろそろ昼も終わるしお開きの時間かな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はい、チェックメイト×2」
「う~、参りましたわ」
完・全・勝・利。今日もオルコット嬢とチェス打ちに興じています。今行っているのはそれぞれ30秒内に打ち込む二面打ち。
彼女の操縦技術はレベルが高い、そこに俺からいうことなんて殆ど無い、しかし今の彼女の課題はビットと自機との同時制御。それは口に出すほど簡単なモンじゃない。しかしこのビット、もう一段階上のスキルがあるそれは偏向射撃。簡潔に言えばびーむが自由自在に曲がるらしい、でわ何故チェスとビットが関係あるのか?
それはビットが思考兵器だからである。自身のイメージで動かすビット、そこには並外れた集中力が必要であり並みの操縦者では動かすのでさえ大変だろう。それを器用に動かす事の出来るオルコット嬢の才能は本物だろう。
そんな彼女でも同時制御には至っていないなぜか?多分彼女はハイパーセンサから来る膨大な情報を処理し切れていないのだろう。それは彼女のレベルが低いのではなく機体が操縦者に対する要求が高すぎるのである。だからこそのこのチェス打ちなのである。
盤を二枚にすることによって思考の仕方を並列に馴れさせ今学期中には同時運用が出来るはず、これは幼馴染み二人の練習に付き合ってくれている彼女に対する御礼でもある。
しかしこんな操縦者を選ぶ機体を欧州のイグニッションプランに提出するなんてイギリスは余程ぶっとんだ国だ。量産機の前提はコストパフォーマンスの削減、マルチに対応できる凡庸性そしてルーキーからベテランまでどの状態の者でも乗りこなせる操縦性が無くてはならない。
この機体がぶっ飛んでいると言ったのは、方向性がまるで逆だからだ。それこそワンオフ機でも作るかのような作りBT兵器の実験、試作機だからと言ってもあきらかにおかしいのである、まるでこの機体を元に何かを生み出すそのような意図が感じられる。そうそれは俺の凰呀ににているのだ。
「・・さん・・・・如月さん!」
「えっ?」
「『えっ?』ではありませんわ。何度呼びかけてもボーとしていてどうかしたのですか?」
「ああ、ごめんちょっと考え事、そうだお茶にしない今日いい茶葉がとd」
「将平!!居る!!」
そこに行き成り現れたのは三人目の幼馴染みスズネである。
「人の部屋にいきなり入ってきてそのせりふは無いだろ」
というかご立腹モード?
「ア~~もうムカつく、一夏の奴一夏の奴」
「イッチーが何かやらかしたのはわかったから、何があったか言ってみ、ほれお茶」
渡した瞬間にスズネはお茶を一気しやがった。こりゃ相当にご立腹だな。その様子を見てオルコット嬢はチョイ引き気味だ。
「それで聞きなさいよ将平、後ついでにセシリアも」
「わたくしをついで扱いとはどういうことですか!」
「ああ、悪かったわよ。それにしても一夏の奴なんであたしとの
約束を間違えてんのよ」
「「約束って??」」
「息ぴったりねあんた達、何?付き合ってんの?」
っておい。なんだそのきたんの無いかんそうてきなのは、それからオルコット嬢、きみはまた赤くならない。
「茶化すなら愚痴を聞いてやらんぞ?」
「何よ、ちょっとからかっただけで目くじら立てないでよ、それで約束って言うのは『料理の腕が上がったら毎日酢豚を食べてくれる?』って言ったのにそれなのにあの馬鹿はよりにもよって毎日奢ってくれる、なんて勘違いした覚え方をしているのよ。信じられないわ!!」
「鈴さんそれってプロポーズではないですか」
そう、オルコット嬢の言ったとうりスズネのこの言葉は昔で言う毎日味噌汁を~の中国版といったところだ。
「しかし、そんな女の子の告白をまさかそんなアホな感じに改変してしまうとは」
「一夏サンはあるいみでは女のてきですわね」
と、あきれるオルコット嬢。
「でこれからどうするんだ?」
「とりあえず、一夏が謝るまでは話したくない」
「ま、間違えたのはあのアホだし落としどころとしては無難だな」
「とりあえず今日はもう部屋に戻るわ。二人とも愚痴を聞いてくれて有り難う」
「構いませんわ。誰にだって話を聞いて欲しい時だってありますし、如月さんわたくしも今日はおいとまさせていただきますわ」
「ああ、二人ともお休み」
そう言い二人を部屋の中から見送る。さてアホのフォローをするにのは好きじゃないがこのままではスズネが哀れでならんな。携帯をポケットから取り出しアホに電話をかける。
『あれ?将平どうしたんだこんな時間に?」
「おまえがアホしたおかげでおれがスズネの愚痴を聞く羽目になったのだがな」
『うぐ、鈴やっぱりお前のところに行ったのか所で鈴の奴が言っていた約束の意味って聞いたか?』
「聞いたけど、女を泣かせるようなアホには教えてやらない」
『デスヨネー』
「ま、ちゃんとスズネには謝っとけよ、こっちではないてなかったけど、少しめが赤かったぞ。じゃなアホ」
と携帯の通話を切りベットに倒れこんだ。全くあのアホのラブコメに付き合っていたら体が持たん。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アレから数週間がたったがスズネの機嫌は一向に直らないばかりか悪化する一方の日々、そうすると確実に俺にも被害がこうむる一方なのである。まったく本当に体が持たん。そこに更にスズネの機嫌を悪化させる事が起きた。
対抗戦の始まる一週間前にさすがに痺れを切らしたのであろうスズネがイッチー謝罪を求めたのだが、アーノ朴念仁自分が悪くないとかほざきやがり、口喧嘩がヒートアップし遂に馬鹿が禁断の言葉を口にしやがった。
『貧乳』
この言葉を発した瞬間に鬼神の降臨が相成った。いやマジ怖かったよ。気づいたら壁が凹んでんだもん、そして運がいいのか悪いのか一回戦からあの二人が戦う事になってるし。ま、確実にイッチーはしんだな。
そして今師匠のご好意により、俺、ノノ、オルコット嬢は管制室から試合を見学させてもらっている。
「そう言えば織斑女史、俺が居なくなってからもスズネに稽古をつけていたんすか?」
「まあな」
うわ、これはイッチーの敗戦濃厚コースまっしぐら。
「稽古?どういうことだ?将平。何故鈴が織斑先生から稽古をつけて貰っているんだ?」
「それ以前に、如月さんとリンさんとのご関係はいったいなんなのですか?」
だから睨まないでよ。
「俺とスズネは織斑先生に師事していたんだよ。ノノの家族が引っ越した直後は剣道場に誰もこなかったし駄目元でお願いしたんだよ。それから半年ほどしてスズネも俺と一緒に習ったんだよ」
「何が駄目元だ。毎日毎日電話やメールで教えてくれと言われる身にもなってみろたまったもんじゃない、しかも気づいたら一人増えている始末だ」
そこ溜め息つきながらいわんといて下さいよ。
「凰が国に帰るまで付き合っていたからな、それでもそこそこやるようにはなったさ、さてそろそろ始まる時間か」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「一夏、今謝るなら多少は加減してあげるけど?」
「雀の涙ほどだろ?それにおれは加減なんかされたくは無い馬鹿にしてんのか?」
「馬鹿になんてしてないわ。只ISの絶対防御だって完璧じゃないやりようによっては操縦者だけを傷つける事だって可能なのよ」
そんな会話の中始まりを告げるブザーが鳴り響く。
その刹那に動き出す二機のIS、一夏の白式とそして鈴の搭乗機、中国第三世代型『甲龍』である。二機は近接武装たる雪片と双天牙月展開し切り結ぶ。
「へぇ~初撃を防いで、そのまま切り結ぶなんてやるじゃない」
「なめるなよ鈴。俺だって今日まで何もしてこなかったわけじゃない」
「そのようね、それじゃ第二ラウンド行くわよ!!」
その言葉と共に一夏に突撃する鈴。そして先程と同じ展開が繰り替えされるかと思いきや、何合か切り結んでいくたびに一夏が押され始めてきた。将平にこの一月散々しごかれた一夏は経験則から一端鈴から離れるため後方に急速加速した刹那。
「甘い!!」
甲龍の肩のスライドアーマーが開き中心が揺らいだ瞬間一夏は何かに殴られたように吹き飛ばされた。
「今のはジャブだからね」
更に、追撃の手の緩める事をやめない鈴。気づけば白式のシールドエネルギーは百以上削られていた。
「へえ、やるじゃない衝撃砲『龍砲』をくらってここまで耐えているなんて」
「衝撃砲?」
「そう、空間に圧力をかけて弾を形成し、余剰で生じる衝撃をそのまま打ち出す、第三世代兵器の一つよ」
そう言い終わるや否や又次々に打ち出される衝撃砲。
(くそこのままじゃ、ジリ貧だ。この状況を何とかするにはこの前千冬姉が教えてくれたアレを使うしかない。その前にも先ずは)
そして、一夏は鈴の衝撃砲をかわしながら機会をうかがう。将平から教わった事。それは耐える事。白式はその機体特性上射撃兵器を一つも持っていない。またパススロットも雪片に全てとられているためイコライザも不可能な状態である。故に将平が教えたのは一撃必殺のヒットアンドアウェイ。
そこに千冬から教わったとある技術を組み合わせる事によって一夏は一縷の望みを繋いでいた。そして鈴が一瞬一夏を追いきれなくなった瞬間。
「いまだ!」
「!」
一瞬にトップスピードの加速をたたき出し、鈴に肉薄する。
「喰らえ!!迅速一刀!!!」
光速の一閃が抜き放たれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「織斑君、何かを狙っているようですが」
確かに山田先生の言うとおり明らかに何か機をうかがっている。多分、零落白夜による一撃必殺だけど、まだそこに行くまでのプロセスはおれは教えていない。
「おそらく『瞬間加速』イグニッション・ブーストからの一の太刀だろう」
「『瞬間加速』?」
「一の太刀?」
とののとオルコット嬢がそれぞれ疑問を口にするが、その言葉で合点がいった。因みに瞬間加速、イグニッションブーストとは平たくいえば最初からトップスピード出す事の出来るスキル。
一の太刀とは師匠が元々修めていた篠ノ之流剣術の、まっぶっちゃければ、一撃必殺の奥義レベルの技なわけであるが。
「一気に二つのスキルをイッチーに授けるなんて今回はかなり過保護ですね?」
「ふん、過保護だと?しばらく見ない内にずいぶんと貴様の目も衰えたな如月」
「衰えるも何も、今日までスズネの情報は仕入れていませんからね、目算の立てようがありませんよ。まぁ一個位は何か教えているとは思いましたがね?」
「二つでも足りない位だ。それほどまでに織斑と凰の剣の力量さは歴然だ」
へぇそこまで言うなんてね。
「織斑先生は一夏が負けるとでも思っているんですか」
「ああそうだ篠ノ之。凰の剣士として力量は高い。この間まで剣をサボっていた織斑がどう足掻いても勝てるわけが無い」
ですよね~。おっとそうこうしているうちにイッチーの奴め一の剣、迅速一刀を出してきたか、けど出すのが速すぎる。スズネのけんはまだ一振り、もう一つの牙を出させる前に決められる程あいつは甘くないぞ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タイミング、位置取り虎の子の瞬間加速と一の太刀、迅速一刀のあわせも完璧に合わさり完全に勝利を確信した一夏。しかしガキィンと鉄と打ち合ったような音が鳴り気づいた時には鈴の左手に握られていなかったもう一振りの双天牙月が握られていた。
「な!!」
「流石ね一夏、まさかもう一振りの双天牙月まで出させるなんて」
「二刀流?」
「そうよ、双天牙月は二対一刀の刀剣。本当はアンタに合わせた戦いがしたかったけど、見誤ってたのはあたしのミスね」
その言葉にピクリと反応する一夏。
「手を抜いていたってのかよ鈴?」
「まさか、あたしは誰とでも全力で戦うわ、只それと駆け引きは別問題よ。それに誰もがアンタの戦い方に合わせてくれるとでも思ってんの?」
その言葉に一夏は歯噛みした
(そうだ。俺は何甘ったれた事を言っているんだ。前回のセシリアの時は、まるっきり今とは違う状況だった。接近戦で不意を衝かれた位で何動揺してんだ俺)
「ふん、まっいいわ。でもこの一撃はちょっとびっくりね瞬間加速からの迅速一刀みごとね、でもこれで終わりよ」
そして振るわれるもう一振りの双天牙月しかし
ズドォォォォォン!!!!!!!!!
突然の衝撃がアリーナ全体をつつむ
「な、何が起きたんだ?」
「試合は中止よ一夏、急いでピットに戻って!!」
二人のISに警告音が響く
==未確認のISにロックされています。敵勢力3==
「お前はどうするんだよ?」
「あたしはここに残って皆が避難するまで時間を稼ぐわ」
「女を置いて俺に逃げろって言うのかよ?」
「ええそうよ。アンタのISのシードルエネルギーだってそんなに残っていないでしょ?・・あたしだって最後までやりあうつもりは無いわ。時間を稼ぐだけよ、私の甲龍は燃費がいいのが売りだし先生たちが来るまでなら何とかもたせてみせるわよ」
「時間をかせぐなら、一人より二人の方が良いに決まってんだろ?オレも付き合うぜ」
そう言いながら鈴の横に並び立つ一夏。
「はぁ、しょうがないわね。それじゃ覚悟を決めなさい」
「望むところ、いくぜぇ!!」
第九話
了