この話を読んだとき、読者たちは「お前らのせいか!!」と突っ込むだろう。
だいたいこいつらのせい
「時雨」
「おう、リニスか」
縁側で茶を飲んでいると妻であるリニスがやって来た。闇の書の事件を終えてから俺たちは結婚した。そして曾孫が成人する程に歳を取った。それでもリニスの姿は綺麗なままだ、近所からの評価は綺麗なお婆ちゃんらしい。ちなみに俺はダンディーなおじ様、なんかおかしくない?
「また外を見てたんですか?」
「あぁ、見て飽きないからな」
「そうですか」
それだけ言うとリニスは俺の隣に座って寄り添ってきた。
「ふふっ…………私たちが結婚してから色々とありましたよね」
「そうだな…………こち亀の三倍くらいはいけるんじゃないか?」
「何言ってるんですか。五倍は堅いですよ」
「そっちかよ」
「そっちです」
軽い言い合いの後に、お互いに笑い合う。
嗚呼、こんな一時が愛おしい。リニスと、こんな時間を過ごせて幸せだった。
「良い天気だなぁ…………眠くなってきた」
「時雨もですか…………私もです」
「そうか…………なら寝るか」
「えぇ……………………御休みなさい、時雨」
「あぁ……………………お休み、リニス」
縁側で日に当たりながら、目を閉じる。
そうして、俺とリニスは文字通り眠るようにして逝った。
その、はずだったんだが、
「なんでお前らがいるんですかねぇ…………」
「そう険悪な態度を取るなよ、八神時雨」
「素晴らしき歌劇を見せてくれた役者を讃えるのは当然のことだよ」
死んだと理解して目を覚ましてみれば、そこは月の玉座だった。下手人は目の前で笑っている甘粕正彦とメルクリウスなのだろう。
「で、お前ら死人引っ張り出して何の用なの?」
「人の輝きがもっと見たい」
「実はマルグリットが君の歌劇を委託気に入ってね」
「おいおい、嫌な予感しかしねぇぞ」
「そういうわけだ」
「というわせだ」
「もう一度人生をやり直してこい!!」
「もう一度人生をやり直してきたまえ」
「ハッハッハ。ふぁっきゅー」
こうして俺は死んだはずなのに、また生き返ることになったとさ…………戻ってこれたらコロス。
ここは黄金の都ウルク。そこに立てられている黄金の城の中にある一室に一人の男と二人の女がいた。
男は骨と皮だけの状態で寝台に寝かされており、二人の女が寝台を挟むようにして男の側にいる。
「はぁ、お前ら暇か?こんな死にかけのところに来るなんて」
「暇ではない。が、我が友の一大事だ、如何なる物事よりも優先される」
「もうギルったら。さっきまでシグレのことで泣いてたのに」
「っ!!エ、エルっ!!貴様ぁ!!」
「クハハッ!!元気一杯だなぁおい!!」
ギルとエルと呼ばれた女のやり取りを、シグレと呼ばれた男が心底愉快そうに見ている。一通り言いたいことを言ってスッキリしたのか、ギルとエルは悲しそうな表情でシグレのことを見た。
「もう…………持たぬのか?」
「あぁ、流石は神様直々の呪いだな。ただの人間の俺がなんでまだ生きてられるのか不思議でしかねぇよ」
「ただの…………人間?」
「よしエル、今起きてお前のこと押し倒すから動くんじゃねぇぞ」
「止めておけ、こうして話しているだけでも辛いのだろう?」
「ふぅ…………流石は王様、人のことをよく見ておられる」
シグレの体は動かない。こうなった原因は神にある。
王様であるギルに言い寄ってきた神が居て、その神をシグレが虐殺した。その結果神々からの怒りに触れ、呪いを受けることになったのだ。
「…………すまなかった。我のせいで、お前は死ぬ」
「…………ごめん、土人形だった僕が居なくなればよかったのに」
「あぁ…………もう!!馬鹿共が!!」
「ぬぅ!?」
「キャッ!?」
動かないはずの腕を動かし、シグレは暗い顔をしているギルとエルを引き寄せた。
「いいか、俺はやりたいことをやったんだ。その結果がこれだとしても俺は後悔しない。だから笑え。辛気臭い別れじゃなくて、明るい別れで俺の生を終わらせてくれ。でないと死んでも死にきれねぇよ」
「フ、フハハハッ!!死の淵に立たされてもお前は変わらぬなぁ!!王であるこの我に笑えと言うか!!」
「フフッ、まぁ確かに、それがシグレらしいと言えばらしいんだけどね」
「だろう?だったらそうしてくれや。そろそろヤバイから」
二人はシグレの抱擁から解かれ、ギルはシグレの右手を、エルはシグレの左手を優しく握った。
「去らばだ、我が惚れた男よ。シグレの亡骸は、我が宝物庫に納めよう。であるから、安心して逝け」
「じゃあね、僕にいろんなことを教えてくれた優しい人。ギルのことは僕に任せて、安心して逝ってね」
「ハハッーーーーーーーーーーじゃあな、ギルガメッシュ、エルキドゥ。お前らといれて楽しかったぜ」
そうして神々からの呪いに身を焼かれながら、シグレはギルガメッシュとエルキドゥに看取られてこの世を去った。
シグレの遺体はシグレが持っていた奇妙な形の剣と共にギルガメッシュの宝物庫に納められ、ギルガメッシュとエルキドゥが死ぬまで神々ですらその宝物庫に害を与えることが出来なかったという。
「素晴らしい生であった!!」
「マルグリットも感激していたよ」
「「故にもう一度だ!!」」
「ふざけてんじゃねぇぞテメェラ!!」
また転生させられた。
「おーいてぇ」
「シグレ!!おい!!シグレ!!」
「止めなさいモードレッド!!」
「シグレ様…………」
ここはアーサー王が統治するブリテンの地。夜道に紛れて疾走する一台の馬車があった。
馬の手綱を握るのは黒い鎧に身を包んだ紫髪の男性。馬車の中には白い鎧を着た女性ときらびやかなドレスを着た女性、そして体のあちこちを剣で刺された男性がいた。
「おい見てみろよこれ、針ネズミみたいだな」
「何そんな呑気なこと言ってやがる!!クソッ!!早く手当てしないと!!」
「嫌々無理だって。内臓とかやられてるし、剣抜いたところで手当て出来ないだろ?お前ら」
「チクショウ!!!」
鎧を着た女性が悔しそうに床を叩く。
手綱を握る男性はランスロット、白い鎧を着た女性はモードレッド、きらびやかなドレスを着た女性はグネヴィア、そして死にかけている男性はシグレといった。
ランスロットはアーサー王の部下の騎士、グネヴィアはアーサー王の妻。しかし二人は深く愛し合っていた。不貞ではあるがこのことを知っていたシグレとモードレッドは二人のことを祝福し、そしてグネヴィアを連れてブリテンの地から去ることを決めた。
グネヴィアは迷いはしたものの余程ランスロットと添い遂げたかったのかこれを了承。夜に紛れて逃げ出すつもりだったがーーーーーーーーーー
「なんで…………なんでオレのことを庇ったんだ!?」
その逃避行がバレ、ランスロットとモードレッドとシグレはグネヴィアを拐う狼藉者として扱われた。そして切り合いの最中、油断から剣を落とし兵に囲まれたモードレッド。あわや剣に貫かれるというときに助けてくれたのがシグレだった。その代償にシグレが刺されることになったが。
「いやだってねぇ、俺ってば身内友人が死ぬなら命投げ出せるタイプの人間だし。だからモードを守っただけだよ」
「でも…………!!でも…………っ!!」
「あぁもう、しゃあねぇな」
「ぁ…………」
身体中を剣で刺されて動くことも辛いはずなのに、シグレはモードレッドを抱き寄せた。そしてお互いの肩にお互いの顎が乗るような形になり、耳元で囁く。
「モードは悪くない、かといってあの兵たちも悪くない、そして俺も悪くない。ただ間が悪かっただけだ。だからそんなに気にするなって」
「うぅ…………」
「そうだ、最後に一つだけ聞かせてくれ…………モードは俺のことをどう思ってたんだ?」
「…………ッ!?」
シグレの言葉にモードレッドは初恋に落ちた乙女のように顔を赤くした。
「お前が俺のことを特別な目で見てたことは気づいてた。でもモードの産まれた理由を考えると父親代わりじゃないかと思ってしまってな。気になって仕方なかったんだ。教えてくれないか?」
「…………お、オレは…………シグレのことが…………一人の男として好きだったんだ…………」
恥ずかしさからかシグレが死にかけているからか、モードレッドは顔をグチャグチャにしながら自分の想いをシグレに告げた。
「ーーーーーーーーーーあぁ、そうかい。チクショォ…………もっと早くに気付けてたらなぁ…………」
「…………シグレ?」
モードレッドを抱き締めていたシグレの腕が力無く落ちる。開かれたシグレの瞳には…………光が無かった。
シグレが逝ったことに気づいたモードレッドは泣き叫び、ランスロットは静かに泣き、グネヴィアは咽び泣いた。
そしてモードレッドは正史通りにアーサー王に対して叛逆する。しかしその理由が王位の簒奪の為でなく愛する男を殺されたことと、グネヴィアと一緒に逃げたはずのランスロットと共に叛逆してきたことは正史とは違う。
そしてカムランにてアーサー王がモードレッドとランスロットを倒したことでその叛逆も決着するが二人から受けた傷が原因で、アーサー王はこの世から去ることになる。
「もう一度だ!!」
「アンコールだ!!」
「「リテイクだ!!」」
「滅尽滅相ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「リトルボォォォォォォォォォイ!!!!」
「
負けた。三度目かよ。
「シグレ!!シグレ!!」
「シグレ!!しっかりなさい!!」
「あ~なんだこれ、めっちゃデジャヴるんだが?」
深い森の中で、粗末な服を着た女性と騎士のような格好をした男性が体から剣を生やした男性に声をかけていた。
粗末な服を着た女性はジャンヌ・ダルク、騎士のような格好をした男性はジル・ド・レェ、そして死にかけている男性はシグレ。
ジャンヌ・ダルクと言えばあまりにも有名、強いたげられていた民たちを率いて百年戦争に勝利したオルレアンの乙女。しかし戦争後に魔女として捕らわれ、火炙りの刑に処されるところだった。
それを救ったのがシグレである。刑が執行される直前にジャンヌを救い出し、親しかったジルの領地まで連れていく。ジルもこのことには賛成しており、上手くいくはずだった。
しかし、拘置所から出る際に兵に見つかり、投獄生活の為かジャンヌが足を縺れされて倒れてしまう。ジャンヌに斬りかかる兵。迫る剣を見て死を覚悟したジャンヌだったーーーーーーーーーーが、その死を回避させたのはシグレだった。自分の体を盾にするという手段で。
「あ~ジル、俺が死んだら首もって行け。んで、ジャンヌは崖から落ちたとか言って死んだことにしとけ。そうすりゃ上手く収まるだろ」
「ッ!!私に、友である貴方の死体を冒涜しろと言うのか!!」
「いや、流石に生きてる俺の首切れとは言わないよ?もうじき死ぬだろうからその後でって言ってるんだよ。そうしたら魔女を連れ去った悪魔を討ち取ったとか言われて恩賞出るだろう。んで、その恩賞でジャンヌ匿ってくれ。じゃないと俺が助けた意味がなくなるからな」
「どうして…………私を…………」
「助けてくれたのかって?そんなもん決まってんじゃん。お前が俺の恩人だからだよ。生き倒れてた俺にパン分けてくれただろ?あの恩を忘れるほど薄情じゃねぇよ」
「そんな…………ことで…………」
「ジャンヌからしたらそんなことでも俺からしたら大きな事だったんだよ。それに戦争で色々と思うところがあってさ。それで…………さ、お前……守って………死ねる…………なら、それでも…………良いかなぁって」
「シグレ…………!!」
「シグレェ…………!!」
「クハハッ…………生きてくれよ、ジャンヌ…………後は任せたぞ、ジル…………」
そうして、シグレはこの世から去った。ジルはシグレの残した言葉通りにシグレの首を提出、ジャンヌは崖から落ちて死んだと報告。二人は魔女と魔女を連れ去った悪魔として表舞台から姿を消した。
ジルはジャンヌとシグレに対する行いから神を冒涜する為に黒魔術に手を出した。
そしてジルの領地にジャンヌの死後金髪の少女がやって来て、家の裏に作られた粗末な墓に毎朝祈りを捧げている姿が目撃された。
ジルはその数年後に処刑され、金髪の少女はジルの死後数ヶ月で流行り病に倒れてたこの世から去った。
「虚構ぉぉぉぉ曼荼羅ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!無限大数ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!」
「
「
「
三対一って、卑怯だと思うんだ……………………
甘粕、メルクリウス、そして何故かいたラインハルトにボコられて四度目の転生…………ふざけて過ぎだろうが。誰か四四八と女神と蓮炭連れてこい。
そうして迎えた四度目の転生、俺の名前は
間桐時雨だそうです。
ファッ!?
ウルク
↓
ブリテン
↓
オルレアン
↓
間桐←今ここ
アマッカスと水銀のせいで転生しまくりです。時雨は泣いても許されると思うんだ…………
詳しい時期の説明は次回に回します。
それでは…………時雨がこうなった原因たちを罵倒しながら終わりましょう。
アマッカスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!メルクリウスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!テメェラのせいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
感想、評価をお待ちしています。