Fate/in時雨&リニス   作:鎌鼬

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前話から十年後に飛びます。早く原作に入りたいんで…………時計塔の出来事は途中で番外編として出すつもりです。




帰郷

 

 

「はぁ~…………ここに来るのも久しぶりだな。なんも変わってない」

 

 

時計塔卒業してから色々と遊んでたけどこれからは冬木に住むつもりだ。そろそろ良い歳だし腰を落ち着けたい。

 

 

「…………ん?」

 

 

ふとその時、通りかかった公園で見知った奴がいた。その隣にいるのは…………禅城の嬢ちゃん?あ、今は遠坂か。

 

 

「うい~す」

「し、時雨君!?」

「よう時雨君じゃないか。元気してたかい?」

「元気元気。インフルエンザかかってる奴の隣でメシテロできるくらい元気」

「アハハッ、君も相変わらずだね」

 

 

元禅城の嬢ちゃんは俺が声をかけた時にビクッと大袈裟な反応をし、隣にいた黒髪の和服姿の女性は普通に話してきた。

 

 

「今日はあれか?桜ちゃん遊ばせる日だったか?」

「そうだよ、ついでに引き籠ってた慎二も連れてきた」

「鶴夜と雁夜は元気かい?」

「元気だよ。ただ…………」

「ただ?」

「鶴夜君が最近夜のお相手をしてくれないのが不満だよ」

「おい!!昼間の公園で何口走ってんの!?」

「あ~あ、結婚当初はぐっちょりとしたネトネトな新婚生活送れてたのに…………やべ、思い出したらムズムズしてきた」

「発情してるじゃねぇか!!…………家帰ったら媚薬くれてやるから鶴夜に飲ませれば?」

「効果の程は?」

「不能になった奴がフル立ちして襲いかかる程」

「good!!」

「…………」

 

 

元禅城の嬢ちゃんが俺のこと警戒しすぎている件について。何か熊に出会った時の対処法みたいにジリジリと後ろに下がってるし。

 

 

さて、みんな気になっただろう。この俺と親しげに話している女性の正体について。彼女は間桐馴染(まとうなじみ)…………これで気づいた方もいるだろうけど鶴夜の嫁さんだ。原作だと慎二産んで蟲蔵ポイだったけどこの世界では俺が色々とやったことで爺さんはマイルドな外道になったし、蟲蔵も無くなったし、つまり鶴夜の嫁さんが死ぬ原因が無くなったのだ。しかも彼女は衰退した魔術師の家系だったらしく、数は少ないが慎二にも魔術回路はある。後は鶴夜と馴染ちゃんが教育を間違えなければワカメ(笑)にはならないはずだ。

 

 

「んじゃ、俺は帰るわ。夕方になったら迎えに来ようか?」

「大丈夫、鶴夜君に迎え頼んであるから」

「そうかい、じゃあな」

「またね」

「…………」

 

 

馴染ちゃんはにこやかに手を振りながら、元禅城の嬢ちゃんは最後まで俺を警戒したまま、俺は間桐の家に向かった。ちょくちょく帰ることはあったが本格的な帰省はこれが初めてだ。

 

 

事前に送った手土産を喜んで貰えると良いんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間桐の家に着き、インターフォンを鳴らすこと無く家に入る。実家だから大丈夫だし、冬木に入ったときからアイツには見つかってるだろうし。

 

 

「たっだいま~!!」

 

 

誰も迎えの無い玄関で一応帰ったことを報せる。

 

 

「お帰り死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「見事な不意討ちだ、しかし無意味だ」

 

 

上からやって来たチェーンソーの刃をつかんで握り潰す。取っ手だけになったチェーンソーと俺の顔を交互に見て、冷や汗をダラダラ流しながらそいつはこう言った。

 

 

「お、お帰り兄貴!!」

「ただいま雁夜、そして死ね」

 

 

間桐の家に雁夜の悲鳴が響いた……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、鶴夜」

「お帰り時雨…………雁夜生きてるか?何かモザイクかかってもおかしくない状態になってるけど」

「大丈夫大丈夫、あいつ回復魔術使えるし死ぬようなことはしてないし」

「お前が言うなら間違いないだろうけど…………おい爺、雁夜つつくな」

「どんな気持ちじゃ雁夜よ、自信満々で斬りかかってあっさりと返り討ちにされた気分は?」

「グフッ…………スゴく…………悔しいです…………」

「もう喋れるのか…………もう少しキツくしてやろうか?」

「止めたげてよぉ!!!!」

 

 

書類仕事をしている鶴夜に『見せられないよ!!』状態の雁夜、その雁夜を杖でつついている爺さんに鶴夜の酒を見つけて勝手に飲んでる俺…………混沌だな!!

 

 

「ぷは~酒が美味い!!」

「昼から飲むなよ…………って!!それ俺が隠してたロマネ・コンティじゃねぇか!!なに勝手に飲んでるんだよ!!」

「あったから飲んだ!!」

「威張んな!!…………あ~せっかく馴染に内緒で買ったのに…………」

「飲んべえだから、馴染ちゃん」

「日本酒樽で買ってきたはずなのに一日で無くなったから…………」

「買いすぎだろ!!そして馴染ちゃん飲みすぎだろ!!何?肝臓のアルコール分解機能がマッハ越えてるの?」

「…………かもな」

「…………この話は止めよう、誰も傷しか負わない」

「そうしてくれ…………そう言えば時雨が送ってきた物全部時雨の指示通りに地下に置いてあるぞ」

「お、サンキュー。あそこは爺さんの工房だし魔術的な隠匿ならあそこしか無いからな」

「あと半年だっけか?聖杯戦争」

 

 

聖杯戦争、そう聖杯戦争だ。七人の魔術師と七騎の英雄たちによる殺し合い。爺さんが妖怪になってまで追い求めた第三法に至る手段。万能の願望器である聖杯を降霊させる為の儀式。それが半年後に迫っている。

 

 

「まさか雁夜に令呪が宿るなんてな、俺は時雨に宿ると思ってたぞ」

「聖杯から認められなかったんだろうよ。そもそも令呪が優先的に配られると決まってもうちには魔術師が三人も居るんだ。誰が受け取れるかなんで未来予知でもしないと分からねぇよ」

「それはそうか…………で、時雨は雁夜のサポートに回るんだよな?」

「そぉそぉ、俺の帰省の理由も半分はそれだしよ」

「…………何でだろうな、雁夜だけなら分からないけど時雨が入ると勝ち確に思えてきた」

「サーヴァント相手だとしても死なない自信はある」

「相手のマスターが気の毒に思えてきた」

「そうだ、手紙で伝えたとは思うけど聖杯戦争中の鶴夜、馴染、慎二の行動は?」

「一人にならない、極力家にいる、出るのなら昼の内、人気の多い場所を通る、だろ?手紙が来るたびに書いてあるから覚えたよ。」

「悪いな、心配性だとは分かってるけどこういうのはいくら警戒しても足りないことはないから」

「だろうな…………俺たちだって死にたくないから守らせてもらうよ」

「あぁそうだ、さっき公園で馴染ちゃんと会ったんだけどさ~…………夜の方がご無沙汰で不満だってさ」

「ブッ!?何言ってるんだよあいつ!!」

「いや、ね、疲れるのは分かるけどさ、それでも定期的にヤってあげないと爆発した時が怖いからヤってやれよ、マジで」

「いきなり真顔でマジトーンで話すの止めてくれないか!!すっげー怖いから!!」

 

 

いやこれ経験談なのよね。リニスの時もギルの時もエルの時も、どうしても手放せない用事で離れてたら押し倒されて……………………ガガガガガガガガ(白目)

 

 

「生きろよ、鶴夜。雁夜!!爺さん!!地下行くぞ!!」

「おい待ってくれ!!怖いこと言い残して逃げないで!!ねぇ!!ちょっと!!」

 

 

いずれ来る未来に怯える鶴夜を残して何やらご満悦な爺さんとゾンビみたいにフラフラになっている雁夜と一緒に地下に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、俺がお前を呼び出した理由が分かるか?雁夜」

「サーヴァントを召喚する為の聖遺物について、だろう?」

 

 

蟲蔵だった地下は密閉された空間の為魔術工房としての条件は上級、そして妖怪になって長年生きた爺さんが作った為に並の魔術工房と比べるのが烏滸がましい程に一流の工房となっている。サーヴァントを召喚する為の場所として相応しい場所はここしかない。

 

 

サーヴァントと言うのは言ってしまえば幽霊、それを聖杯の手を借りてこの世に呼び出す。ただ呼び出すだけでもサーヴァントは召喚することは出来る。しかし特定の英雄を召喚したければその英雄と何かしらの縁のあるものを用意すればその英雄を呼び出すことが出来る。

 

 

「そうそう、前以て送った手土産がそうだから」

「目を通したけど…………よくこんなの集まったな」

「凄いのぅ…………儂でも難しい物まで集めておるぞい」

「クハハッ、何の宛もなくただふらついてただけじゃないからな。色んな奴と交遊広げたり聖遺物の目星を着けてた」

「…………時雨が聖杯戦争に出るために、か?」

「いいや、違うよ?俺は出るとしても聖遺物無しで召喚するつもりだったし」

「はぁ!?どうして!!」

「確かに聖遺物を使えば目当ての英雄は喚べるかもしれない。でもだからと言ってそいつと相性が悪かったら意味ないだろ?聖杯戦争の途中で仲違いして殺されるなんて馬鹿らしいし」

「…………爺さん?」

「確かに…………有り得ん話ではないのぅ…………サーヴァントと人間では力の差が有りすぎる。気難しい英雄を喚んで機嫌を損ねて殺されるのを防ぐための令呪でもあるからのぅ」

「そう言うことだ」

「じゃあ何で聖遺物を集めてたんだ?」

「前にも話したと思うけど俺には今の俺になる前の記憶がある。その中で出会った奴等は全員英雄になれるような器の連中だった…………だからだろうな、聖遺物集めたのもあいつらとの繋がりを忘れたく無かったから…………」

「…………(やべ、地雷踏んだか?)」

「…………(雁夜め、地雷踏みおったの)」

 

 

あ~あ、ヤダヤダしんみりしちまった。後で鶴夜の部屋物色して酒を馴染ちゃんと飲もう。そうしよう。

 

 

「っと、辛気臭い話はここまでだ。さっさと選んでくれや」

 

 

並べられた聖遺物は

 

黄金の鍵

 

土の欠片

 

木の破片

 

色褪せて何が書いてあったのか分からない旗

 

 

どれもこれもが本物で、そいつらを必ず喚び出せる自信がある。まぁ一つだけギャンブル性のあるものが混じってるけど。

 

 

「まぁ別に今すぐにじゃなくても良いけど?その場合は鶴夜の隠している酒が犠牲になる」

「止めたげてよぉ!!!!」

「良し!!儂も行くぞ!!」

「そこまでにしろよ爺!!!!」

 

 

雁夜の悲痛な叫び(笑)を聞きながら爺さんと共に地下を飛び出して鶴夜の部屋に向かう。そして書類仕事をしている鶴夜の目の前で見つけた酒を爺さんと一緒に飲んでやった。

 

 

鶴夜の不幸で酒が美味い(確信)

 

 

 




原作との違い
・臓硯がまとも(マイルドな外道)
・蟲蔵が無い
・雁夜が当主で鶴夜と臓硯が補佐
・雁夜がまともに魔術を学んでいる(感性は原作のまま)
・鶴夜の嫁で慎二の母の生存
・桜ちゃんにウ=ス異本的な事がされていない

こんな感じですかね。

鶴夜の嫁さんの間桐馴染はドラマチックな出会い方をしてベタ惚れですが、書くと長いので割愛します。作者イメージは大人びた安心院さん、蟲風呂には入れられていません。

桜ちゃんは原作通りに間桐に養子に出されています。その時時雨と雁夜はぶちギレて、鶴夜を連れて優雅のアゴヒゲを毟りに行きました。そしてなんやかんや話し合いをして月一で葵さんとロ凜と会わせることを条件に承諾しました。ただし優雅のアゴヒゲは犠牲になった模様。

時雨の聖遺物集めは過去に過ごした彼らとの思い出を忘れられないから。でもそれが無くてもサーヴァントを喚び出せば彼らが来るだろうと信じている。


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