「へぇ~、この娘がサーヴァントってやつなのかい?可愛い女の子じゃないか」
「え、いや…………ちょっと」
「うっわ、お肌スベスベじゃん。なにかケアとかしてるの?」
「い、いや特に何も…………」
「それでこれなの!?羨ましいな~」
「だ、だから…………シ、シグレ~!!」
「いやいや、仲睦ましそうで何より何より」
「あれでか?馴染さんが一方的にバーサーカーのこと弄ってるようにしか見えないぞ」
「モード怒ってないからな。キレたら俺がアーサー王からパクってモードにあげた聖剣ブッパするから」
「何やってたのさ…………」
モードを喚び出してから一夜明けて、馴染ちゃんとモードの顔合わせ。ここが一番心配だったりしたのだが馴染ちゃんはモードのことを気に入ったようでペタペタと端から見ればユリィな光景になっている。モードもモードで馴染ちゃんから悪意を感じない事からか手荒な事が出来ないでなすがままにされている。あんなモード始めて見るな…………いや、ベットの上ではモードは受け身だったが…………
「さて、それでは昨夜の続きと行こうか…………とは言うものの、後はどういった方針を取るかだけなのじゃがな」
「ちょいまち、その前に一つだけ言うことがある」
「何かあったのか?」
「あぁ…………俺に、令呪が宿った」
「「何ぃ!?」」
爺さんと雁夜が信じられないという顔で見てくるが本当なのだから仕方がない。服を脱いで左腕を露出させてやるとそれが事実なのだと分かってくれた。
「本当…………みたいだな…………」
「ほほぅ…………これは中々興味深い…………」
「間桐での枠は既に雁夜で埋まってる。それなのに俺に令呪が宿るなんてあり得るのか?」
「何分初めてのことなので分からんが…………他のマスターの枠を獲たのではないか?」
「それか…………聖杯が特別に兄貴にマスターにさせるために令呪を用意したか……………………どうしたんだ兄貴、顔色が悪いぞ?」
「…………何でもない。少し、思い出した事があってさ」
なんかこの一件…………メルクリウス辺りが仕込んでいそうな気がしてしょうがない。こうした方が女神が喜ぶだろうと言って好き勝手やってくれるメルクリウス…………すっごく簡単に想像できたんだが。
「とにかく、俺にも令呪が宿った。それはこの聖杯戦争に参加できるって事だよな」
「…………そういうことになるのぅ」
「あかん、勝てる気がしない」
「まぁ雁夜とは対立するつもりはねぇよ。可愛い弟とモードを殺したくないし」
「ということは同盟って事で良いのか?」
「そうなるな、どういう方針を取るのかは俺がサーヴァントを呼んでからになるけど。多分幾つかは喚び出されてると思うからそこを調べることから始めないとな」
「どうやって調べるつもりだ?」
「ちょっと待ってろ」
尋ねてくる雁夜に一言だけ返して懐から携帯電話を取り出す。魔術師という人種はこうした科学の産物を嫌う素振りがあるのだが間桐では特に忌憚すること無く皆使っている。と言うよりもわざわざ魔術的な方法で連絡取るよりもこうした方が早いから何だよな…………爺さんも携帯のことを知って『こんな便利な物があったのか…………!!』って驚いてたから。
相手の電話番号を思い出しながら呼び出し、数回のコール音の後でようやく出てくる。
『私だ』
「もしもし?俺俺!!俺だって!!」
『その声…………時雨か、何の用だ?』
「いやね、今喚び出されてるサーヴァントについて知りたくて。クラスだけでも良いから教えてくれない?」
『はぁ…………教会は中立の立場にある。例え令呪を宿していない時雨だとしても間桐と繋がりのある貴様に機密情報を教えることは出来ーーーーーーーーー』
「泰山の麻婆食い放題でどうだ?」
『ーーーーーーーーー折り返し連絡をする。しばらく待て』
相手はそれだけ言って、一方的に連絡を切ってきた。冗談半分で言ってみたけどここまで上手くいくとは思わなかったよ。
ピリリリッ、ピリリリッ
「はやっ…………はいはい」
『待たせたな。現在喚び出されているサーヴァントはランサー、ライダー、アサシン、キャスター、バーサーカーのクラスだ』
「もうほとんど喚び出されてるじゃねぇかよ…………まだ半年は空いてるはずだぞ」
『だとしてもこちらから確認が取れているのは事実だ。既にバーサーカーのマスターを除く全員が教会に参戦の意を表している』
「へぇ…………そうか。ありがとよ」
『泰山の麻婆、忘れるなよ?』
「分かってるよ、またこっちから連絡するから都合の良い時間に連れていってやるよ」
それだけ伝えて俺は電話を切った。多少無作法に思えるかもしれないが俺とあいつとの間柄はこんなものなので気にしない。向こうも気にしてないだろうし。
「おい、喚び出されて無いのはセイバーとアーチャーだけだってよ」
「…………なぁ、兄貴?今誰に電話をしてたんだ?」
「ん?教会の知り合い」
「き、教会じゃと!?」
爺さんはなんでこんなに驚いて…………あぁ、教会と魔術師との関係を考えれば分かることだったな。教会は異端である魔術師を嫌う、魔術師は襲ってくる教会を嫌う…………他にも色々とした事情はあるが聖堂教会と魔術師協会の間柄はこんなものだろう。
「前に執行者の任務をしてたことがあってな、その時にそいつとかち合わせて色々とあって知り合いになったんだ。心配はいらねぇよ」
「いや、別に時雨の心配はしとらんぞ」
「兄貴を心配することは杞憂だと思ってる」
「よーしてめぇらそこに直れ」
俺が座っていたソファーを片手で持ち上げて、肩に担ぎ上げる。それを見た二人はヤバイと思ったのか顔を青くして後ずさっている。
「し、時雨!!ジョーク!!ジョークだから!!」
「御慈悲を!!どうか御慈悲を!!」
「この世に慈悲はない。故に滅相する…………滅尽ーーーーーーーーー」
「シグレェェェェェェェエ!!!!!!」
「グボォ!!!」
後ろが壁で逃げ場の無くなった二人を滅相しようとしたところで横からモードがぶつかってきた。突然のそれに反応できなかった俺はその突進を受けてしまうことになる。持っていたソファーが二人のところに飛んでいった気がするが…………気のせいだろう。
「いつつ…………どうしたんだモードーーーーーーーーーお前ホントに何があった!?」
俺に抱き付いているモードはいつの間にか白を主体にした全体的にフワッとした洋服…………いわゆるゴスロリ物の服を着ていた。
「こら、逃げちゃダメだろ?折角素材は良いんだからもっと着飾らないと」
「止めてくれよナジミ!!オレにこんな服は似合わないって!!」
「そんなことは無いさ。君は可愛いんだからどんな格好しても似合うと思うぜ?時雨君もそう思うだろ?」
「…………正直言って悪くないなと思っている自分がいる」
「シグレ!?」
裏切られた!?みたいな顔をモードはしているけど本当の事だから仕方がない。ってかゴスロリとか反則だろ。モードと分かっていたけどここまで似合ってるなんて思いもしなかったぞ。
「さぁ、他にも色々服があるから着てみようか?」
「助けて!!」
「ごめんモード、他の服着てるもの見てみたいから犠牲になってくれ」
ドナドナを思い出させるようにモードは馴染ちゃんに連行されていった…………馴染ちゃん、鶴夜を満足させようと色々とやってるからな…………コスプレも手を出しているのだろう…………やるならメイド服してくれないかな?
このやりとりの間、雁夜と爺さんはカエルのようにソファーに押し潰されていた…………何があったんだろうねぇ?(ゲス顔)
「…………それで、本当に喚び出すつもりか?」
「あぁ、出れるんなら出ときたいじゃん」
「そんな軽い気持ちで聖杯戦争って参加出来る物だっけ…………?」
時刻は午前2時、昨日雁夜がバーサーカーとしてのモードを喚び出した時と同じ時間。昨日と同じ様に俺と雁夜と爺さんは地下にいた。モードは馴染ちゃんの着せ替え人形にされて疲れたのか眠っている…………サーヴァントには睡眠は要らない筈なんだけどな…………
「んじゃ、やりますか」
地面に描かれた魔法陣の前に立つ。雁夜の時とは違い聖遺物は使用しない、俺自身を触媒に、俺と縁のある者を喚ぶ。正気とは思えない?良く言うだろ?
こう言うのは、狂気の沙汰ほど面白いんだ。
「ふぅ……………………
素に銀と鉄。
礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、
王国に至る三叉路は循環せよ」
「
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
「ーーーーーーーーー告げる」
「 汝の身は我が下に、
我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、
この意、この理に従うならば応え よ」
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、
天秤の守り手よ!!」
魔法陣から魔力の暴風と閃光が放たれる。昨日とは違い、爺さんはグラサンを着けているので五月蝿くなる事はない。
そして発生したそれらを掻き分けるようにして、サーヴァントは現れた。
体格、身長から成人した女性。
立つ姿勢には少しも歪みが見られない。
もっとも特徴的なのは…………頭と腰にある、人の物ではない、猫の耳と尻尾。
「…………クハハッ、そうかい、お前が喚び出されたか」
彼女はやはりというか、何というか…………俺の知っている人物だった。
彼女は、ある男の従者だった。
とは言っても良くある様な主に頭を垂れて従う様な物ではない。
彼女に取っての忠義とは彼と共にある事だった。
彼女は人間とは違う、造られた生命。
ある事情から捨てられ死ぬところを彼に救われた。
そして彼とその娘と過ごしている内にどうしようもなく彼に惹かれたのだ。
理由なんて要らない。
そんなもので濁すのが烏滸がましいと思えるほどに、彼女は彼を愛した。
彼の強さを、
彼の弱さを、
彼の生き方を、
彼の信念を、
彼の誓いを、
彼の狂気を、
すべてが彼女にとって愛おしいと感じられる物だった。
そして彼女は彼と添い遂げ、その生涯に幕を閉じた。
未練も後悔も、彼女の中には欠片たりとも存在しない。
だが、
しかし、
もし、
次がなるのなら、
自分はどんな存在だろうと構わない。
だから、彼の側にいたい。
だから、彼を愛させてほしい。
それが、彼女の願いだった。
『良い、その一途なまでの愛は実に胸を震わせる。故に行くが良い。そこに君を待つ、君が待っている者がいるから』
何処かで聞いたことのある声を聞き、彼女は現世にへと喚び出された。
「やっぱりお前か…………」
「あら、やっぱりってことは私のことを期待していたという事で良いんですか?」
「可能性の一つって事で考えてた。それに…………なんやかんや一番密度のある時間を送ってきたのはお前だと思っていたからな」
「ふふっ…………嬉しいこと言ってくれますね」
「お久し振りです、時雨」
「ホント久し振りだな、リニス」
馴染×モードレッド
馴染は始めて見るサーヴァントに興味津々、モードレッドのことを気に入ったらしい。そんなモードレッドはぐいぐい押してくる馴染にたじたじ、悪意があるわけではないから対応に困っている。
時雨の令呪
左腕の手首から肩にかけてまで鎖のような紋様の令呪が刻まれている。大体のマスターの令呪が手の甲に刻まれる程度の大きさと考えるとかなりデカイ。
ちらつくメルクリウスの影
大体こいつのせい。
召喚されているサーヴァント
セイバー、アーチャーを除いたサーヴァントが召喚されている。最悪、聖杯戦争の開始が前倒しにされるかも。
時雨の教会にいる知り合い
どこの麻婆神父なんだ…………わかった人は愉悦ッ!!とコメントください。
白いゴスロリのモードレッド
馴染の持っていたゴスロリを着せられたモードレッド。馴染はそういう系の服を沢山持っているらしい。それにしても白いゴスロリを着たモードレッド……………………ふぅ。
軽い気持ちで聖杯戦争
ちょっとコンビニ行ってくるわ~くらいの感覚でちょっと聖杯戦争に参加してくるわ~っと時雨は参加する。
何処かで聞いたことのある声
いったいなにクリウスなんだ…………
リニス
前作のヒロインの一人で、今作は彼女のエンドからスタートしている。今回時雨のサーヴァントとして召喚されてた。ステータス、クラスについては次回に。
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