バトルシップイレブン ~艦娘とサッカー少年達の出会い~ 作:ヒビキ7991
~鎮守府 グラウンド~
一同は天馬のアイデアに乗り、島風を誘き出す
作戦を実行していた。
が、一同は何故かグラウンドの端で巨大な机を広げ
何やら調理をしていた。
ザクッ ザクッ ザクッ
天馬と吹雪は、ナス・トマト・キュウリなどの
夏野菜をザクザクと切り・・・
グツグツ・・・
比叡は何やら鍋で赤いものを煮込み・・・
ガチャン! ピッ
金剛は何かをオーブンで焼き始め・・・
ストン……ストン……ストン……
榛名と霧島は、ジャガイモ・ニンジン・タマネギを
切っていた。
吹雪「ねえ天馬君、そろそろ教えてよ。
なんで島風ちゃんを探すのにこんなところで
料理をする必要があるの?」
天馬「いいですか?
例えば、部屋に閉じ籠って出てこない人が
いるとします。
でも、時間が経過すれば当然お腹が
空いてきますね?
そんな状態の人が突然、美味しそうな料理の
匂いを嗅ぐと、食欲を抑えきれなくなり
自然と部屋から出てくる。
つまり、美味しそうな香りで食欲を刺激し、
誘い出すという作戦です!」
吹雪「なるほど。」
霧島「見つけるのが難しいのなら、
いっそ島風さんの方から出てきてもらう。」
榛名「さすが天馬君!
見事な発想の転換です!」
金剛「ホントはワタシも同じこと
言おうとしたネー………」
吹雪「でもそんな上手くいくのかなぁ?」
天馬「吹雪さん、切った野菜を鍋に入れてください。」
吹雪「あ、はい・・・」
ゴロゴロゴロ・・・
吹雪は天馬の指示通り、切った野菜を肉と一緒に
鍋に入れる。
入れると今度は、天馬が鍋に水とコンソメを加え
火にかける。
天馬「あとは少し待つだけ。」
徐々に熱が伝わり温まってくると、野菜のエキスが
水に熔け出し、スープが出来た。
金剛「ンー、野菜とコンソメのいい香りデース!」
天馬「まだ完成じゃないですよ?
ここに、秋姉直伝の特製カレー粉を
加えます。」
霧島「ちなみにスパイスの比率は?」
天馬「それは秘密です。」
カレー粉を加えたことで、さらに美味しそうな
匂いが漂ってくる。
その匂いは風に乗り、一気に鎮守府中に広がった。
すると・・・
赤城「何だか美味しそうな香りがしますね。
カレーでしょうか?」
匂いにつられたのか、赤城がやって来た。
吹雪「赤城先輩!
えっと、これはその・・・」
天馬「島風さんを誘い出す作戦です。
俺達の料理はもうすぐですから、
もう少々待ってください。」
すると・・・
チーン
どうやら金剛の料理が出来たようだ。
金剛「やっと焼き上がったネー!」
金剛はオーブンから、何やら大きな肉のような
物体を取り出す。
表面は香ばしく焼けており、そして切ってみると
中は鮮やかな紅色。
金剛はその肉を薄く切り、皿に盛り付け、
そしてソースをかけて完成した。
金剛「完成ネー!
金剛特製"ローストビーフ"ネー!」
赤城「美味しそう・・・(ジュルリ)」
一方こちらも・・・
比叡「完成しました!
比叡特製"激熱チリビーンズ"です!」
一同は名前を聞くと、とっさに比叡の鍋の
中を除き込んだ。
鍋の中では赤い何かがグラグラと煮たっている。
天馬「激熱って"辛い"からかな?」
吹雪「それとも"煮たってる"から?」
比叡「取り合えず味見を・・・」
比叡はスプーンでチリビーンズのスープを少しすくい、
そして口に運ぶ。
すると、口に入れた直後、比叡の顔は赤くなり
口から火を吹いてその場から勢いよく走り出した。
比叡「ひえええええええええ!!」
ボオオオオオオオオオオオ!!
金剛「両方かもネー……」
一方こちらも・・・
榛名「出来ました!」
霧島「榛名と霧島特製の"肉じゃが"です!」
そしてこちらも完成した。
天馬「よし、後は盛り付けだ!」
天馬は深めの皿に炊きたてのご飯を盛り、
そこに夏野菜がタップリ入ったカレーをかける。
そして・・・
天馬「完成です!
松風天馬特製、"夏野菜ゴロゴロカレー"!」
金剛「オー!
これは中々美味しそうデース!」
赤城「美味しそう!(ジュルル)」
と、いつの間にか赤城の後ろには鎮守府の
艦娘達が集まっていた。
中には島風の姿も。
天馬「うわっ!
皆さんいつの間に!?」
島風「なんだかいい匂い。
私も食べるー!」
長門「その、秘書艦の私が言うことではないが、
私も食べてみたい・・・」
愛宕「どれも美味しそう。」
高雄「お腹と背中がくっつくどころか、
背中にめり込んでくるわ・・・」
那珂「那珂ちゃんも食べたーい!」
天馬「よし、じゃあみんなでお昼にしましょう!」
艦娘達が大勢集まり、グラウンドで楽しい
ランチタイムとなった。
赤城「天馬君のカレー、とっても美味しいです!」
長門「不思議だ、辛口のはずなのに辛いものが
全くダメな私でもスイスイ食べられる。
どんな比率で配合したスパイスを
使ったんだ?」
島風「どれも美味しい♪」
天馬「島風さんを誘い出すはずが、なんか
イベント事になっちゃいましたね……」
吹雪「だね……」
金剛「さあ、ランチの後は深海棲艦と
パーティーネー!」
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~波止場~
その頃、波止場では睦月が一人ぽつりと如月の
帰りを待っていた。
如月が轟沈したとも知らず・・・
睦月「如月ちゃん………」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
~W島沖合い56km~
同じ頃、剣城と夕張は未だ如月の捜索をしていた。
だがここ数日、剣城が海に潜って海底を捜索
しているが、如月の艤装の残骸すら発見
できていない。
夕張「今日も見つからなかったね・・・」
剣城「ええ・・・」
夕張「どうする?
捜索まだ続ける?」
剣城「いや、もう止めましょう・・・
如月さんの件は、俺が自分から睦月さんに
話しておきます。
今頃、如月さんが轟沈したとも知らず
一人波止場で、帰りを待ってるんじゃ
ないでしょうか?」
夕張「・・・わかった。
じゃあ、帰ろっか・・・」
剣城と夕張はその場を離れ、鎮守府に向かった。
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~南西海域~
その頃、天馬達南西方面艦隊は昼食を済ませ
南西海域にいた。
海域では雨が降り、風が吹き、海は荒れていた。
吹雪「凄い雨・・・」
霧島「確かに、これでは航空戦力と投入は無意味。
速度に優れた艦隊が編成される訳です・・・」
天馬「俺のコスモファルコンを展開しますか?
ファルコンなら、雨の中でも敵を攻撃
することが出来ます。」
霧島「いえ、ファルコンはいざというときの
切り札として置いておきましょう。」
島風「みんなおっそ~い!」
島風はスイスイと吹雪達を追い抜いていく。
榛名「島風ちゃん潜航し過ぎです!」
比叡「そうだ!
旗艦は金剛お姉様よ!」
島風「かけっこしたいの?
負けないよー!」
島風はそのままドンドン前へ出ていった。
比叡「人の話を聞けー!!」
天馬「ダメだこりゃ………」
吹雪「フフフッ」
金剛「やっとスマイルを見せたね、ブッキー!」
吹雪「えっ?」
金剛「雨も滴る良い艦娘デース!」
すると・・・
天馬「レーダーに艦あり!
前方約3km!」
島風が潜航する先に、黒いオーラが見える。
オーラの中から、戦艦ル級が2隻と駆逐ロ級とハ級が
2隻ずつ、計6隻の深海棲艦が出現した。
金剛「比叡!
斬り込み役は任せたネー!」
比叡「任せてください!
でええええええええい!!」
ズドーン!
比叡の放った砲弾は敵艦隊の正面で爆発し
水飛沫を上げる。
敵艦隊は駆逐艦と戦艦に別れ、互いに距離を
取り始めた。
金剛「ル級の相手は私達ネー!
ブッキーとマッツーとゼカマシーは
駆逐艦の足止めよろしくネー!」
吹雪「わかりました!」
天馬「了解!」
島風「ゼカマシじゃないし・・・」
金剛「撃ちます!
ファイヤー!!」
ズドーン!
金剛は戦艦ル級2隻に向けて砲弾を撃つ。
だが、惜しくも外れた。
金剛「もう一回、ファイヤー!!」
ズドーン!
2発目は直撃コースとなったが、ル級は障壁を
展開し攻撃を防いだ。
だが金剛達は攻撃を止めず、ひたすら撃ち続ける。
吹雪「凄い……」
天馬「俺達も負けていられませんよ!
撃ち方始め!!」
ズドーン!
天馬は駆逐ロ級に向けて三式弾を放つ。
三式弾は見事ハ級に命中し、ロ級は轟沈した。
島風「五連装酸素魚雷、行っちゃってー!」
ドドドドドン!!
島風は背中の艤装から5発の魚雷を駆逐ハ級に
向けて放つ。
魚雷は全弾命中し、ハ級は怯んだ。
吹雪「大丈夫、この前は上手く出来たもん!
いっけえええええ!!」
ズドドン!!
吹雪はハ級に向けて魚雷を放つ。
魚雷は1発も外れることなく、全て命中した。
吹雪「やった!
これならもっと!」
吹雪はもっと近くで攻撃できると思い、
思いきって前に出た。
だが・・・
比叡「吹雪ちゃん!前出過ぎ!」
吹雪「えっ?」
ドカーン!
吹雪「うわああ!!」
吹雪は突然、何者かの砲撃を受けた。
吹雪「な、何?」
体は中破し、体は徐々に海に沈んでいく。
そして、前方には不気味な笑みを見せる
戦艦ル級の姿があった。
ル級は中破した吹雪に向けて容赦ない攻撃をしてくる。
そんな中、吹雪の脳裏には睦月の姿が映っていた。
吹雪「そんな・・・嫌だよ・・・」
吹雪は恐怖し、怯え、恐れていた。
このままでは自分も如月の様に轟沈し、二度と
大好きな仲間に会えなくなる。
そう思っていた最中、ル級は吹雪に向けて
砲弾を放つ。
もはや直撃かと思われたその時・・・
ガンッ! ゴーンッ!
誰かがル級の砲弾を殴り飛ばした。
砲弾は上空で爆発した。
殴り飛ばしたのは、天馬だった。
天馬「吹雪さん、大丈夫ですか?」
吹雪「天馬君・・・」
天馬は優しい笑みを浮かべ、吹雪を見ていた。
吹雪「その、私・・・」
天馬「分かります、怖かったんですよね?
もう仲間に会えなくなると思い・・・」
吹雪「うん・・・」
天馬は吹雪の手を取り、吹雪は立ち上がった。
天馬「安心してください。
吹雪さん達は、俺が絶対守ってみせます!」
天馬は体を反転させると、全速力で金剛達の
所へと向かった。
かと思いきや、素通りしていった。
金剛「マッツー何するデース!?」
天馬「奴は俺が倒します!
大丈夫!」
潜航する天馬を見て、ル級2隻は砲撃を行う。
ズドーン!
ズドーン!
天馬「バリアが使えるのはお前達だけじゃない!
波動防壁、展開!」
ピカーン!
天馬は自分の周りに波動防壁を展開し
ル級の攻撃を防いだ。
攻撃を防いだ直後、天馬はショックカノンを
ル級2隻に向けて放つ。
ル級2隻は互いに攻撃を避けたが、避けた拍子に
お互いの身体が接触してしまった。
天馬「今だ!
三式弾、撃ち方始め!」
ズドーン!
天馬は、ル級同氏が接触した瞬間を逃さず
三式弾を放った。
ドカーン!
三式弾はル級に全弾命中し、ル級は爆発し
海の藻屑となった。
ドカーン!
島風「こっちも完了だよー!」
どうやら駆逐艦の方も片付いた様だ。
金剛「凄いネー、マッツー!」
榛名「流石、宇宙戦艦ヤマトの使い手ですね!」
天馬「吹雪さん!
俺、やりましたよ!」
吹雪「うん!」
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~鎮守府 波止場~
夕方、天馬と吹雪は鎮守府に帰る次いでに
睦月がいるであろう波止場によった。
だが、睦月の姿はなかった。
吹雪「あれ?
睦月ちゃん、もう帰っちゃったのかな?。」
天馬「いつもなら、この時間帯でも波止場に
いるはずなのに・・・」
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~第三水雷戦隊 寝室A~
二人は寝室にやって来た。
すると、そこには窓から海を眺めている
睦月の姿があった。
吹雪「睦月ちゃん、ただいま。」
睦月「吹雪・・・ちゃん・・・」
睦月は吹雪の声に気づき、ゆっくりと振り向く。
その目からは、大粒の涙が溢れ出ていた。
睦月「吹雪ちゃん、吹雪ちゃんは如月ちゃんが
轟沈したこと知ってたの?」
吹雪「・・・ゴメン。」
睦月「・・・どうして教えてくれなかったの?
どうして如月ちゃんが轟沈したって
教えてくれなかったの?!」
吹雪「如月ちゃんのことを知ったら、睦月ちゃん
とっても悲しむと思ったから
言えなかったんだよ!」
睦月「吹雪ちゃん・・・」
天馬「如月さんのこと、誰から聞いたんですか?」
睦月「剣城君だよ・・・
彼が自分から話してくれたの・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
数時間前、吹雪達が南西海域にいるときのこと・・・
睦月「如月ちゃん、遅いなぁ・・・」
睦月は、ひたすら如月の帰りを待っていた。
するとそこへ・・・
剣城「ここにいたんですか、睦月さん。」
睦月「あ、剣城君。」
剣城は睦月の隣に腰掛ける。
剣城「・・・如月さんの帰りを待ってるんですか?」
睦月「うん!
帰ってきた時に誰もいなかったら
寂しいでしょ?」
剣城「・・・そうですね。」
剣城は顔を下にして、小声で呟く。
睦月「剣城君?」
剣城「・・・・・・!!」
剣城は顔を上げ睦月の方を向く。
そして睦月の肩を掴み、話し始めた。
だがそのときの剣城の顔には、今まで見せなかった
涙が流れていた。
剣城「睦月さん、頼む!
聞いてくれ!」
睦月「ど、どうしたの?」
剣城「如月さんは、もう二度と帰ってこない・・・!」
睦月「えっ?!」
剣城「W島攻略作戦で、深海棲艦が撤退した後、
如月さんは敵の艦載機の生き残りの最後の
爆撃で、轟沈してしまったんです・・・
俺は四水戦の人達と一緒に、
如月さんを探し続けました・・・
でも・・・」
剣城はポケットからある物を取り出す。
それは、如月が着けていた髪飾り。
睦月「そんな・・・」
剣城「俺は、あのとき直ぐ隣にいたのに
何も出来なかった自分が憎い・・・!
もし俺が敵の艦載機の存在に気づいていれば
俺が艦載機を撃ち落とせたかもしれませんし
最悪俺が身代わりになれたかもしれないのに、
仲間が狙われていると知らず・・・
俺は・・・! 俺は・・・!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
睦月「その時の剣城君、凄く悔しがってた・・・
近くにいたのに何も出来なかった自分が
とっても憎いって・・・」
天馬「剣城・・・」
睦月「でもね、睦月も薄々思ってたんだ。
もしかして如月ちゃん、敵に
やられちゃったんじゃないかって・・・」
吹雪「睦月ちゃん・・・」
天馬「大丈夫ですよ。」
睦月「えっ?」
天馬「如月さんのことは、俺達も残念です。
でも、睦月さんは一人じゃありません。
吹雪さんや夕立さんのような仲間や友達が
沢山いるじゃないですか。」
睦月「仲間や友達が・・・」
天馬「大切な人を失ったことは、確かに
悲しいし悔しいです。
でも、だからこそ、俺たちは戦わなきゃ
いけないと思うんです。
過去を変えることは出来なくても、
これから先の未来を変えることは出来る。
だから俺、心に誓ったんです。
もう二度と、仲間を失わないために
戦い抜くって。」
睦月「天馬君・・・」
天馬「安心してください。
睦月さんの大切な人達は、俺達が守ります!」
睦月「・・・うん!」