バトルシップイレブン ~艦娘とサッカー少年達の出会い~ 作:ヒビキ7991
~トラック島 工廠~
カーンッ! カーンッ!
ある日、天馬は工廠でハンマーの音を響かせ、
何やら作業をしていた。
天馬「ふぅ、あと少しだ。」
と、そこへ・・・。
吹雪「天馬くーん。」
大和「何をやられているのですか?」
天馬「吹雪さん、大和さん。
ちょっとロケットアンカーを改造している
ところなんです。」
吹雪「ロケットアンカーを?」
天馬「はい。
本来は岩壁とかに打ち込んで船体を固定する
為に使用される装備ですけど、上手く
改造すれば、近距離での戦闘に使える
武器になるんじゃないかって思ったんです。」
大和「どのように改造するんですか?」
天馬「アンカーの先端部分を伸縮する仕組みにして、
剣として使えるようにしようと思っています。
で、アンカー内部に99式波動コイルを
組み込んで、アンカーに波動防壁を展開
させれるようにします。
そうすれば、錨として、剣としての効果が
格段に上がるハズなんです。」
大和「なるほど、防御システムを攻撃に使うとは
考えましたね。」
吹雪「ねえ、よかったら私に手伝わせて。」
大和「私もお手伝いいたします。」
天馬「ありがとうございます、助かります。」
天馬は吹雪と大和の手を借りて、ロケットアンカーの
改造作業を進めた。
そして数分後・・・。
天馬「よし、完成です!」
大和「それじゃ、早速テストといきましょうか?」
天馬「はい!」
天馬は改造したロケットアンカーを手袋の甲に
セットすると、アンカーの先を伸ばし、剣に
変化させた。
シャキーン!
天馬「ロケットアンカー、波動防壁展開!」
ピカーン!
アンカー全体に青白いシールドがコーティングされた。
天馬「お願いします!」
吹雪「いくよー!」
大和「いきます!」
吹雪はハンドボールサイズのポーキサイトの塊を
大和は同サイズの鉄球を天馬に向けて勢いよく投げた。
天馬はタイミングを計り、鉄球とポーキサイトの塊を
切断した。
スパーン! スパーン!
ドンッ! ドコン! ゴトン! ドーンッ!
鉄球もポーキサイトの塊も、綺麗に真っ二つに
切断された。
天馬「うわぁ…」
吹雪「なんて鋭い切れ味…」
大和「これは・・・今後の所持と使用には細心の注意が
必要ですね…」
天馬は剣を収納し、元の錨に戻した。
すると突然・・・
ガンッガラガラガラ・・・
工廠の奥の方で何かが崩れ落ちる様な音がした。
天馬「なんだ?!」
天馬達は音がしたところへと向かった。
そこでは、大量の傾向缶が棚から落っこちて
転がっていた。
吹雪「傾向缶が転がってる。」
天馬「どうやら、上の棚から落ちたみたいですね。」
大和「変ですね、地震とかが起きない限りは
落ちることないはずなのですが・・・。」
すると・・・
ガタンッ!
3人「!?」
後方で又しても何かが落ちる音がした。
直ぐさま振り向くと、そこには傾向缶を持って
急いで工廠を出ていく人影が見えた。
天馬「今の、人ですか?」
吹雪「でも、私達が工廠に来たときは天馬君しか
居なかったと思うけど。」
大和「もしかすると、噂の幽霊ではないでしょうか?」
天馬・吹雪「幽霊?」
ギィィィ・・・ドタン!
バタンッ! バタンッ! バタンッ!
突然、工廠にある全ての扉・窓・雨戸が閉じ、
工廠内は一気に真っ暗になった。
天馬「なんだ?!」
吹雪「今度はなんですか!?」
すると・・・。
ボウッ
大和が何処から持ってきたのかローソクに火を付け、
灯りをとった。
大和はローソクを地面の上に立てると、ローソクを
見るように正面で正座をして座った。
天馬と吹雪も正座をして座った。
大和「実は最近、このトラック島には正体不明の
幽霊がいるという噂があるんです。」
吹雪「正体不明の幽霊?」
大和「はい。
しかも既に、3人も目撃者がいます。」
天馬「3人も?」
大和「ええ。
最初に幽霊を目撃したのは赤城さんです。
ある日の深夜、お腹が空いたので厨房で
食べ物を探していた時に遭遇したそうです。」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
~某日深夜 厨房~
ガサガサ・・・ゴソゴソ・・・
赤城「缶詰めとかレトルトカレーとか
無いものでしょうか?」
赤城は厨房で食べ物を探していた。
赤城「あ、サバ缶み~っけ♪」
食べ物が見つかり、喜ぶ赤城。
すると・・・。
ゴトンッ
赤城「ん?」
すぐ右隣で物音がした。
赤城は恐る恐る右を向くと、そこには青い瞳の
少女が棚の中を漁っていた。
赤城「えっと、どなたですか?」
赤城は少女に質問をする。
すると、少女の体はどんどん半透明になり
最終的に消えてしまった。
赤城「あ・・・あ・・・」
赤城は腰が抜け、その場から動けなく
なってしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~某日深夜 通路~
ー次に幽霊を目撃したのは、金剛さんと
榛名さんでした。
ある日の深夜、榛名さんが金剛さんの付き添いで
トイレに行ったとき見たそうです。
榛名「お姉様、大丈夫ですか?」
金剛「大丈夫デース!
この金剛に任せておけばノー・プロブレム!
泥舟に乗ったつもりでいるですネー!」
榛名「それを言うなら大舟です…」
金剛は懐中電灯で暗い通路を照らし、榛名は金剛の
右腕にしがみつきながらゆっくりと進む。
すると・・・。
榛名「・・・!?」
突然、榛名が咄嗟に後ろを向いた。
金剛「どうしたんデース?」
榛名「今、誰かが後ろを通りすぎた様な……」
金剛「きっと気のせい・・・うっ!?」
今度は金剛が声をあげた。
榛名「どうしました?」
金剛「あ、あれを見るデース………」
金剛の示す先には、赤く光る玉が2つ
ユラユラと揺れていた。
金剛「あれって……」
榛名「火の玉……ですか……」
そして、火の玉の向こうから怪しい人影が
歩いてくるのが見えた。
金剛・榛名「きゃああああああ!!」
二人はその場から猛スピードで逃げ出した。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
大和「・・・と、いうことです。」
吹雪「そんなことがあったんだ……」
天馬「じゃあ、さっき俺達が見た人影も
その噂の幽霊だと……?」
大和「絶対とは言えませんけど、もしかしたら……」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~ビーチA~
ジュー
その日の夜、艦娘達はビーチでバーベキューを
していた。
羽黒「はい、電ちゃん。」
電「ありがとうなのです!」
暁「ちょっと!
お肉もう無くなってるじゃない!」
足柄「グルルルルル!」
足柄がほとんど食べていた。
金剛「流石は足柄、英国で飢えたウルフと
呼ばれてただけありマース………」
夕張「大丈夫よ、まだお肉は沢山あるから
どんどん食べてちょうだい!」
一方その隣では、天馬・吹雪・大和・睦月・夕立
長門・神童・剣城・赤城・加賀・翔鶴・瑞鶴の
計12人がカレー作りをしていた。
天馬・吹雪・睦月・夕立は、ニンジンとジャガイモの
皮剥きを担当。
睦月「ピーラーってあんまり使ったことないから
難しいね……」
夕立「ッポイ……」
手間取る二人を尻目に、天馬はジャガイモの皮を
ピーラーでスイスイと剥いていく。
吹雪「天馬君、お料理ほんと上手だね!」
天馬「よく秋姉の手伝いをしてましたから。」
加賀・翔鶴・瑞鶴はタマネギを担当。
翔鶴「ひっく、目にしみます……」
瑞鶴「何でタマネギを切ると涙が出てくるのよ!?」
瑞鶴「・・・。」
涙目になっている翔鶴と瑞鶴と違い、黙々と
タマネギを切る加賀。
が、流石に目がうるうるになっている。
そして神童・剣城・大和・長門は、皮を剥いた
ニンジンとジャガイモを切る担当。
剣城「ニンジンって、銀杏切りですよね?」
神童「いや、家では半月切りだ。」
大和「長門さん、ジャガイモは角を落とさないと。
でないと煮崩れを起こしますよ。」
長門「別にいいではないか、これくらい。」
大和「ダメです!
いくら相手が秘書艦でも、これだけは
絶対に譲れません!」
神童「ところで、さっきから切った野菜が
次々と消えていくのだが、誰か食べてるのか?」
確かに、かごには随分切ったはずの野菜が全く無い。
一同は一人の艦娘に目を向けた。
それは・・・。
神童「赤城さん。」
赤城「神童君、どうされました?
モグモグ・・・」
剣城「もしかして、さっきから俺たちの切った
野菜、食べてます?」
赤城「っ!?
そそ、そんなことは・・・。」
長門「口元に野菜のクズが付いてるぞ……」
赤城「あ……」
すると・・・
ヒュウッ…
突然、建物の灯りが一斉に消えた。
天馬「あれ?
停電かな?」
大和「変ですね。
ここは地下に発電機を設けていますから
故障とか起きない限り停電するはず無いと
思うのですが・・・。」
剣城「となると、原因は地下の発電機ですね。」
長門「なるほど。
夕張、すまないが剣城と共に発電機の様子を
見てきてくれないか?」
夕張「わかりました。
じゃあ剣城君、一緒に・・・。」
すると・・・。
「出たああああああ!!」
一同「!?」
建物の方から比叡の叫び声がした。
声のした方向を見ると、比叡が猛スピードで
こちらへ走ってきた。
比叡「出た出た出た出た出た出た出た出た出た出た
出たあああ~!!」
暁「出たって何が・・・。」
ドーンッ!
一同「うわあ!?」
比叡は天馬達に気づかず砂煙を上げて猛スピードで
目の前を通過。
そして金剛の後ろに屈み込んだ。
比叡「ででで出たんですよ幽霊が!
ししし指令室の近くに!」
長門「指令室の近くに幽霊だと?
そんなバカな・・・。」
と、そこへ霧島が息を切らせながら遅れてやって来た。
霧島「ゼェ・・・ゼェ・・・。
ですが、確かに誰かいたんですよ!
女の人の影が!」
天馬「女の人?
大淀さんか陸奥さんと見間違えたんじゃ
ないんですか?」
長門「いや、二人は今ドックで入渠しているはずだ。」
剣城「となると、深海棲艦がトラック島内に
いるかも知れないな。」
一同「っ!?」
剣城の発言に、その場にいた一同は凄く驚いた。
天馬「深海棲艦がトラック島に!?」
剣城「実は長門秘書艦と陸奥さんには既に話して
あるんだが、今までの作戦で深海棲艦は
まるでこちらの作戦を知っているかの様な
行動を取っている。
提督の予想では、敵が俺達と同じ暗号を
使用している為の情報流出と見ているが、
俺は深海棲艦のスパイが潜り込んでいるんじゃ
ないかと思っているんだ。」
加賀「では、近頃トラック島で目撃されている
幽霊の正体は深海棲艦だと?」
剣城「あくまで、俺の勘ですがね。
ですが、本当に深海棲艦のスパイがいたとしたら
そいつは皆が寝静まった夜のうちに情報を盗み
外部へ流出させていると考えていいでしょう。
もし幽霊の正体が深海棲艦なら、説明がつく。」
長門「確かに、可能性は充分に考えられるな。」
天馬「神童先輩・剣城・吹雪さん・睦月さん
夕立さん・大和さん・長門秘書艦・赤城さん
加賀さん・金剛さん・夕張さん、俺と一緒に
幽霊探索に来てください!
残りの皆さんは、ここで火の番と周辺の監視を
お願いします!」
一同「はい!」
天馬「よし、それじゃ幽霊探索に出撃だー!」
一同「おー!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~前進基地 厨房~
天馬達は最初に、赤城が幽霊を目撃した厨房へと
やって来た。
天馬「赤城さん、どの辺で幽霊を見たんですか?」
赤城「そこにある食料品棚の辺りです。
食べ物を探していたら、すぐ隣に女の人が
いて、呼び掛けてみたら煙のように
その場から消えたんです。」
加賀「見たところ、特に変わったところは
見当たりませんね。」
天馬「よし、ではここからはチームを3つに分けて
別々に行動しましょう。
剣城・睦月さん・金剛さん・夕張さんは
地下の発電施設の様子を見てきてください。」
剣城「了解した。」
天馬「神童先輩・長門秘書艦・加賀さん・夕立さんは
指令室の様子を見てきてください。」
神童「わかった。」
天馬「吹雪さん・大和さん・赤城さんは俺と一緒に
本館内部の散策をお願いします。」
吹雪「わかった。」
大和「了解です。」
赤城「わかりました。」
こうして、剣城達は地下の発電施設へ
神童は指令室へ、天馬達は本館内部の散策へ向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~地下 発電施設~
発電施設へとやって来た剣城達。
が、発電機は故障も無く正常に動いている。
金剛「発電機は特に問題は無さそうですネー。」
剣城「となると、配電盤のヒューズが切れて
電源が落ちたのか?」
剣城は配電盤の方に目を向けた。
が、配電盤のスイッチは全てONになっており
ヒューズが切れた様子もない。
夕張「この基地全体の電気を管理する配電盤よ。
この発電機が発電する高電圧の電気でも
耐えられる構造になってるけど。」
睦月「剣城君、これ見て。」
睦月は剣城に1本の太めのコードを見せた。
コードの先端は引きちぎれた様になっており、
配電盤の近くの壁にはコードが入りそうな程の
小さな穴が見える。
剣城「どうやら、発電機から配電盤へ電気を送る
コードが切られたようだ。
先端の様子からして、誰かが無理矢理
コードを引っ張って引きちぎったんだろう。」
夕張「となると、やはり深海棲艦のスパイが?」
剣城「かもしれないですね。
こんな太いコードを引きちぎるってのは
俺達のような人間じゃまず無理です。」
すると・・・
ギイィィィ・・・・ガチャン!
突然、入り口の扉がひとりでに閉まった。
剣城「なにっ!?」
剣城は咄嗟に扉を開けようとしたが、鍵がかかったのか
扉はびくともしない。
剣城「くそっ!
完全に閉じ込められた!」
睦月「そんな!?」
金剛「どうするデース!?」
夕張「お、落ち着いて。
取りあえず、この部屋にあるもので
扉を開けれないかやってみましょう。」
剣城「くそっ!
誰か、誰かいないか!?」
このとき、剣城達は扉の外に一人の少女がいたことに
全く気づいていなかった。
少女はその場を後にし、通路の暗闇へと消えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~指令室~
一方、神童達は指令室へとやって来た。
着いた直後、一同は早速中の書類棚やデスクの
書類を確認し始める。
加賀「重要な書類が盗まれていないと
いいですけど……」
神童「反抗作戦の重要書類が外部に流出していたら
大変なことになりますよ。」
長門「それなら心配はいらない。
作戦に必要な重要書類は書類保管庫で厳重に
保管してある。
鍵は私と陸奥と大淀しか開けることは
不可能だ。」
夕立「それなら安心ッポイ?」
すると・・・
バタンッ! ガチャ!
突然、指令室の扉がひとりでに閉まった。
神童「扉が勝手に!?」
神童は扉を開けようとしたが、扉はびくともしない。
長門も加わるが、やはり空かない。
カギを開けてみても。
長門「ダメだ、びくともしない。」
夕立「もしかして、閉じ込められたッポイ!?」
加賀「そう考えるのが自然ね。」
だがこのとき、神童達も外に少女がいたことに
気づかなかった。
「フフフ・・・。」
少女はその場を離れ、暗闇へと消えた。