バトルシップイレブン ~艦娘とサッカー少年達の出会い~   作:ヒビキ7991

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Episode29/放て!俺達の波動砲!!

~鎮守府東側 沖合3km~

 

 

戦艦棲姫「キタカ、松風天馬。」

 

天馬「あの忠告を聞けば、寝てる場合じゃ

   ないからね。」

 

 

鎮守府の沖では、戦艦棲姫と天馬が対立していた。

戦艦棲姫は白い肌に非常に長い黒髪とネグリジェの

ようなワンピースを身に着け、瞳は真紅で輝きが無く

額には鬼のように一対の角が生えている。

戦艦棲姫は背後の猛獣の三連装砲を鎮守府に

向け、天馬は己の身体と艤装が完治していない

状態で、鎮守府を背にして構えている。

空には厚い雲がかかり、海は波も無く静かである。

 

 

戦艦棲姫「我ノ忠告ヲ聞イテイルノナラ分カッテ

     イルデアロウ。

     ソノ身体ト装備デハマトモニ戦闘モ

     不可能。

     今スグ鎮守府カラノ退避ヲオススメ

     スルガ?」

 

天馬「俺は絶対に逃げない!

   ここは、吹雪さん達が暮らす大切な家なんだ!

   誰かの大切な物を壊させるわけにはいかない!

   命に替えてでも、俺は・・・。

 

 

 

 

 

 

   ・・・俺はこの鎮守府を守ってみせる!!」

 

戦艦棲姫「ソウカ、デハ目標変更ダ。

     鎮守府ヲ破壊スル前ニ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     マズハオ前ヲ破壊スル。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~甘味処 間宮~

 

 

一方そのころ・・・

 

 

吹雪「ど、どうしよう・・・。」

 

雪菜「私達の今の戦力じゃ、戦艦棲姫に対抗出来るか

   どうか分からないわ。

   長門秘書艦ならきっと、無理は戦闘は避けて

   一時的な退避をするはずよ。」

 

金剛「逃げるなんて戦艦の恥ネー!

   ここはオール・メンバーで正面対決ネー!」

 

赤城「無茶です!

   ただでさえ天馬君の空いた穴を埋めることも

   出来ていないというのに・・・。」

 

加賀「ですが、このままノコノコと引き下がるのも

   シャクですね。」

 

 

一同が”大人しく退避する”か”不利を承知で正面対決を

行うか”で抗議していると・・・。

 

 

長門「ハァ・・・ハァ・・・。」

 

 

長門が息を切らしながらやって来た。

 

 

大和「長門さん、どうしたんですか?」

 

長門「ハァ・・・ハァ・・・。

   みんな、今すぐ出撃してくれ!

   天馬が修理中の艤装を装備して海上へ

   出たらしいんだ!」

 

一同「えっ!?」

 

神童「なんですって!?」

 

長門「バトルシップイレブン全員は直ちに出撃!

   天馬の援護に向かう!」

 

一同「はいっ!」

 

 

一同は間宮の店からゾロゾロと外へ出た。

すると・・・

 

 

ドカーン

 

 

突然、鎮守府全域に爆発音が響いた。

 

 

長門「爆発音?

   戦闘が始まったか。」

 

 

すると・・・

 

 

夕立「ねえ、何か飛んできたッポイ?」

 

吹雪「えっ?」

 

 

上空から何かが吹雪達に向かって飛んできていた。

一同はその場から後退りすると、飛んできた何かは

物凄い砂煙をたてて地面に勢いよく落下した。

落下してきたのは、何処と無く見覚えのある

三連装砲だった。

 

 

吹雪「これは・・・天馬君の三連装砲です!!」

 

長門「まさか・・・。

   みんな、急げ!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~鎮守府東側 沖合3km~

 

 

天馬「ハァ・・・ハァ・・・。」

 

戦艦棲姫「フフッ、ヤハリマトモナ戦闘ハ

     無理ミタイダナ。」

 

 

天馬は戦艦棲姫の砲撃を食らい、右側の主砲を

破壊されていた。

戦艦棲姫は上空に向かい砲撃。

放たれた砲弾は勢いを失い、天馬に向かって

勢いよく落下し始めた。

 

 

天馬「マズイ!」

 

 

天馬は瞬時にその場を離れ砲弾を避けた。

砲弾は海に落ち爆発し、海上に高波を作り出した。

天馬と戦艦棲姫は高波から逃げるが、天馬は高波に

飲み込まれ大量の海水を浴びた。

 

 

天馬(くそっ!

   補助エンジンの出力だけじゃ、思い通りに

   動けない!)

 

 

艤装の損傷が激しいうえ、己の傷が完治していない

ため普段の攻撃が出来ないでいたが、彼は他にも

問題を抱えていた。

 

 

天馬(MI作戦の時と同じだ。

   やっぱり波動エンジンが全く動かない!

   MI作戦の時は波動エンジン内の残存

   エネルギーを補助エンジンに回して、

   バイパス経由でショックカノンを撃って

   何とかなったけど、昨日の波動砲でエネルギーを

   大量に消費したから、今の残存エネルギーじゃ

   補助エンジンも十分な出力を出せない。

   波動エンジンさえ動いてくれれば、奴に

   勝つ望みはあるのに・・・。)

 

 

戦艦棲姫「ソロソロ終ワリニシヨウ。

     安ラカニ眠ルガイイ。」

 

 

ズドーン!

 

 

戦艦棲姫は天馬の進行方向に砲撃。

天馬は砲撃に気付いたが時既に遅く、砲弾は天馬の

正面にあった。

 

 

天馬「っ!?」

 

 

 

 

ドカーン

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~鎮守府東側 沖合2km~

 

 

そのころ、バトルシップイレブン一同は天馬と

戦艦棲姫が交戦している海域へ向かっていた。

 

 

吹雪「天馬君、無事かな・・・。」

 

 

吹雪は首飾りのカプセルを見て呟いた。

 

 

長門「それは・・・!」

 

 

長門はカプセルを見て驚いた。

 

 

長門「吹雪、それ、何処で手に入れたんだ!?」

 

吹雪「MI作戦の前に天馬君が預けてくれたんです。

   ヤマトのエンジンから出てきた知らない

   部品だって。」

 

長門「まったく、あのバカが・・・。

 

 

   それは波動エンジンの核となる要の部品、

   波動コアだ。

   それが無いと、ヤマトの波動エンジンを

   動かすことが出来ない。」

 

吹雪「えっ!?

   じゃあ、天馬君は・・・。」

 

長門「恐らく、波動エンジン内の残存エネルギーを

   補助エンジンに送って推進力を得ていたのだろう。

   だが、戦艦棲姫相手に波動エンジン無しでは

   勝ち目は無い。」

 

吹雪「急ぎましょう!」

 

 

一同は天馬のもとへ急いで向かった。

すると、前方に天馬と戦艦棲姫の姿が見えた。

だが、天馬は海面に右膝をつきしゃがみ込んでいた。

 

 

吹雪「いた!」

 

 

一同は天馬の元へ大急ぎで向かった。

 

 

吹雪「天馬君!」

 

天馬「ハァ・・・ハァ・・・吹雪さん・・・。」

 

雪菜「無茶しないでよ・・・。

   艤装と怪我が治ってない状態で戦艦棲姫に

   怠慢張るなんて・・・。」

 

天馬「無茶でも、俺は奴と戦わないとならないんだ!」

 

 

天馬は痛みに耐えながらゆっくりと立ち上がった。

すると・・・。

 

 

ポタッ・・・ポタッ・・・

 

 

睦月「天馬君、血が出てるよ!」

 

吹雪「えっ!?」

 

 

天馬は額から血を流していた。

顔は流れ出た血で左半分が赤く染まっている。

 

 

長門「大変だ!

   直ちに止血しなければ!」

 

天馬「大丈夫です、このくらい・・・。」

 

 

戦艦棲姫「ナカナカシブトイ奴ダナ。

     松風天馬、オ前ハソコマデ傷付イテ

     何故戦ウ?」

 

 

天馬「南西海域戦の時に、吹雪さんに約束したんだ。

   吹雪さん達は、俺が絶対守ってみせるって。

   だから俺は、どんなに自分が傷付いても、

   どんなに不利な状況でも戦い続ける!

   約束を守るために!!」

 

吹雪「天馬君・・・。」

 

 

ビカーン!

 

 

突然、吹雪の波動コアが強く光りだした。

 

 

吹雪「これは・・・!」

 

 

天馬「俺は最後まで、絶対に諦めない!」

 

 

天馬は残りのエネルギーを補助エンジンに送り、

全速力で戦艦棲姫に向かって突き進む。

戦艦棲姫は主砲の照準を再び天馬に合わせた。

 

 

戦艦棲姫「今度コソ最後ダ。

     永遠ニ眠ルガイイ!」

 

 

ズドーン!

 

 

戦艦棲姫は天馬に向けて砲撃。

 

 

神童「マズイ!」

 

剣城「避けろ!」

 

吹雪「こうなったら一か八か!」

 

 

吹雪は波動コアを自身の長10cm砲に装填し

照準を天馬に合わせた。

 

 

吹雪「天馬君!受け取って!!」

 

 

ズドーン!

 

 

天馬「っ!!」

 

 

吹雪は天馬に向け波動コアを発射。

天馬は吹雪の呼び声に気付き、体を回転させ

波動コアを掴んだ。

 

 

キイィィィィィィンッ!

 

 

その直後、波動コアは強力な輝きを放ち天馬の

身体と艤装を包み込む。

 

 

ドカーン!

 

 

だがその途端、戦艦棲姫の放った砲弾が天馬に命中。

天馬は爆発と共に炎と黒煙の中に消えた。

 

 

 

戦艦棲姫「今度コソ、終ワリダ。」

 

吹雪「そんな・・・。」

 

 

 

 

 

 

バーン!

 

 

一同「っ!?」

 

 

突然、物凄い衝撃波が発生し炎と黒煙を消し去った。

黒煙が消えると、吹雪達の目の前には新たに

メタリックグレーに輝く宇宙戦艦ヤマトの艤装を

装備した天馬の姿があった。

 

 

 

戦艦棲姫「ナニッ!?」

 

吹雪「あの姿は!」

 

神童「ついに天馬も、自分のスキルを見つけ出し

   宇宙戦艦ヤマト改へ進化したんだ。」

 

剣城「アイツのスキル、決して止まらないエンジンは

   何度傷付き倒れてもまた走り出す、アイツの

   ”諦めない心”だったんです。」

 

長門「諦めない、心・・・。」

 

 

戦艦棲姫「クッ!!」

 

 

 

ズドーン! ズドーン! ズドーン!

 

 

戦艦棲姫は天馬に向けて砲弾を数発放った。

天馬は静かに右手を前に出し、正面に波動防壁を

展開した。

波動防壁は戦艦棲姫の砲撃を防ぎ、打ち消した。

 

 

夕立「あれだけ受けてびくともしないッポイ!?」

 

長門「恐らく波動コアを取り込んだだけでなく、

   改へと進化したことで性能が大幅に

   向上したのだろう。」

 

吹雪「凄いです。」

 

 

 

戦艦棲姫「コウナレバ、我ノ最終兵器デオ前モロトモ、

    鎮守府ニ生キル艦娘ヲ全テ破壊シテクレル!」

 

猛獣「グガアアアアアア!」

 

 

戦艦棲姫の猛獣は大口を開け、口内にエネルギーを

充填し始めた。

 

 

長門「マズイ!

   全員退避!」

 

 

長門はその場から全員を避難させた。

だが、天馬だけはその場から逃げようとはしなかった。

 

 

長門「天馬!」

 

天馬「ここは俺が引き受けます。

   皆さんは逃げて。」

 

長門「しかし!」

 

 

天馬は波動砲の発射準備に入り、照準を猛獣の

口へと向けた。

砲門に徐々にエネルギーが溜まり、金色に輝く

エネルギー体へと変化していった。

 

 

天馬「あの攻撃を受け止められるのは、俺のヤマトの

   波動砲しかない。

   だから、俺がこの場を離れる訳には

   いかないんです!」

 

睦月「天馬君・・・。」

 

 

 

すると突然、天馬の右後ろから吹雪が、左後ろから

雪菜が支えに入った。

 

 

天馬「吹雪さん!

   ユキッペ!」

 

吹雪「私も、天馬君と一緒に戦う!」

 

雪菜「天馬だけに、いい格好はさせないわよ!」

 

 

すると今度は、後方から長門達が一列に並び天馬の

後押しに入った。

 

 

長門「吹雪と雪菜が共に戦うと言うのなら、私達も

   手を貸そう!」

 

睦月「水雷魂で、絶対に勝とう!」

 

夕立「ッポイ!」

 

赤城「一航戦は、誰も見捨てません!」

 

加賀「私達は絶対に負けません!」

 

瑞鶴「私の幸運の女神の力を分けてあげるわ!」

 

翔鶴「行きましょう!

   一緒に!」

 

金剛「タマにはフォローするのも悪くないネー!」

 

霧島「後ろですが、右に同じです!」

 

大和「全力で、天馬君を押して参ります!」

 

神童「お前は俺たちサッカー部のキャプテンであり、

   バトルシップイレブンのキャプテンなんだ!」

 

剣城「キャプテンであるお前が、こんな所で

   命を落とされちゃ困るんだよ!」

 

天馬「みんな・・・ありがとう!!!」

 

 

 

 

戦艦棲姫「食ラエ!!

     《ブラッディ・インパクト》!!」

 

 

バッシュウウウウウウゥゥゥ!!

 

 

天馬「これが正真正銘の・・・

   波動砲フルパワーだああ!!!!」

 

 

バッシュウウウウウウゥゥゥ!!

 

 

天馬の波動砲と戦艦棲姫のブラッディ・インパクトは

ほぼ同時に放たれ、中間地点で衝突し辺り一帯

広範囲に強い衝撃波を発生させた。

海上は荒波をたて、一同は強い衝撃波と荒波に

耐え続けた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~鎮守府 第三水雷戦隊寝室B~

 

 

ガラガラガラ!!

 

 

ガシャーン!

 

 

バーン!

 

 

強い衝撃波は鎮守府にも届き、鎮守府にある屋根の

瓦・トタン板を全て吹き飛ばし、窓ガラス全てを

粉々に砕いた。

鎮守府に残された艦娘達は机・テーブルの下や

布団の中、窓の無い壁に身を隠していた。

 

 

川内「吹雪・・・天馬・・・。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~鎮守府東側 沖合3km~

 

 

戦艦棲姫「ウオオオオオオオオ!!

     負ケルモノカー!!」

 

 

天馬「諦めない!

   俺達が!!」

 

 

 

吹雪・雪菜「私達が!!」

 

 

 

神童・剣城「青い海を!!」

 

 

 

睦月・夕立・大和・赤城「取り戻す!!」

 

 

 

長門・加賀・金剛・霧島・瑞鶴・翔鶴

「その時まで!!」

 

 

 

天馬達と戦艦棲姫は、互いにその場から動かず

踏ん張り続けた。

だが・・・。

 

 

バーン!

 

 

戦艦棲姫「ナニッ!?」

 

 

ついに戦艦棲姫のブラッディ・インパクトは、天馬達の

波動砲フルパワーに打ち消された。

 

 

一同「いっけえええええええ!!!」

 

 

波動砲は猛獣の口内に到達し、後頭部へと貫通し

猛獣の頭部を破壊した。

猛獣は全身からバチバチと電気が流れるような

音を放ち大爆発を起こした。

 

 

ドカアアアアアアン!!

 

 

巨大な爆音を辺りに響かせ、爆風は鎮守府の木々や

電柱を薙ぎ倒し、海上は荒波をたてる。

天馬達は爆風と荒波に耐え、爆風が止むと、

戦艦棲姫がいた場所は火の海と化していた。

 

 

天馬「・・・。」

 

 

すると、炎と黒煙の中から戦艦棲姫がうつ伏せの

状態で姿を現した。

白い肌は煤で黒く汚れ、傷ついている。

一同は静かに戦艦棲姫へ歩み寄った。

 

 

戦艦棲姫「うう……」

 

天馬「大丈夫?」

 

 

天馬は戦艦棲姫と目を合わせた。

先程まで輝きが無かった真紅の瞳には輝きが

宿っている。

 

 

戦艦棲姫「何故、敵である私を?」

 

 

戦艦棲姫は膝をつき立ち上がった。

話し方も先程より少し変わったように聞こえた。

 

 

天馬「敵だからといって、傷を負ってたら

   放っておく訳にはいかないでしょ?

   もっとも、君に傷を負わせたのは

   俺だけど・・・。」

 

 

大和「あのー・・・。」

 

 

突然、大和が割り込んだ。

 

 

大和「単なる見間違いかも知れませんが、あなた

   もしかして”山城”さんではないですか?」

 

 

戦艦棲姫「・・・えっ?」

 

 

 

 

 

 

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