バトルシップイレブン ~艦娘とサッカー少年達の出会い~ 作:ヒビキ7991
Episode32/もう一人の山城!マーズの決意!
~鎮守府 演習場~
MI作戦から数日が経ったある日、演習場では天馬と改二となった吹雪が完成した雪菜とマーズの新たな艤装を見ていた。雪菜とマーズは恥ずかしながらも新たな艤装を装備し、剣城は満足そうな笑みを浮かべている。
剣城
「どうだ?新しい艤装は?」
雪菜
「もう最高!艦載機を出すだけじゃなくて、砲撃やミサイル攻撃まで出来るんだもん!これ以上の何を望むと言うの?」
雪菜の艤装は、宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟に登場したゲルバデス級航宙戦闘母艦《ミランガル》。空母でありながら、高い砲撃性能を持つガミラス軍の航宙戦闘母艦である。パット見の作りは赤城の艤装と似ているが、足に大型の推進機を装備し、さらに右肩には艦載機の格納庫と艦橋がある少々厚めの飛行甲板、腰には280mm三連装陽電子カノン砲塔を2基装備。全体カラーは赤で、 白と黒の迷彩柄が入っている。
マーズ
「私のドメラーズも凄い!攻撃力・防御力共に言うこと無しだわ!ただ小回りがちょっときかないかしら・・・。」
マーズの艤装は、宇宙戦艦ヤマト2199に登場したゼルグート級一等航宙戦闘艦《ドメラーズ3世》。最大口径490mm陽電子ビーム砲塔を7基28門も搭載し、同時に装甲も随一の厚さと固さを誇り、ヤマトに撃ち合いで十分に対抗しうるガミラス軍の超弩級宇宙戦艦。だがその反面、重装甲が祟って機動性が劣っているのが弱点である。形状は金剛改二のものと似ているが、全体カラーが
白1色で統一され、金剛改二では二連装砲があった部分には490mm陽電子ビーム砲塔を4基16門、サイドにも2基8門搭載。煙突と電探があった部分には艦橋部分。さらに脚部には6門と7門の空間魚雷発射装置を2基ずつ計26門、足には大型の推進機を装備。腕部にも330ミリ三連装陽電子ビーム砲を4基と鋼鉄製の盾を装備している。
天馬
「二人とも強そうだなぁ。」
雪菜
「でも、実戦でこの性能を発揮出来なきゃ意味無いわよね・・・。」
マーズ
「ええ・・・。次の戦闘までに、もう少し上手く扱える様になりたいわ。」
すると・・・。
「あの~・・・。」
一人の艦娘が演習場に訪れた。儚げな雰囲気を感じさせる白い肌にボブカットの黒髪。艦橋を意識した髪飾りと緋色の瞳。肩が露出した紅白の巫女風の着物に赤いミニスカート。天馬達には見覚えのない姿だが、マーズは驚いた様に目を見開いていた。
山城
「私、扶桑型戦艦の《山城》と申します。あの、提督室はどちらに?」
一同は名前を聞いて驚き、そして思った。
天馬
「(扶桑型戦艦の山城・・・?てことはもしかして・・・。)提督室なら、この先にある本館の最上階にあります。」
山城
「そうですか、ありがとうございます。え~っと・・・。」
天馬
「俺、松風天馬って言います。」
山城
「天馬さん、ありがとうございます。それにしても、噂は本当だったのね?」
天馬
「噂?」
山城
「いえ、何でもありません!では私はこれで!」
山城はその場を去っていった。その左手には、キラキラと輝く指輪が見えた。
天馬
「マーズ、あの人ってもしかして・・・。」
マーズ
「間違いない。提督と婚約したもう一人の私だわ!」
吹雪
「でも、何で山城さんがこの鎮守府に?」
剣城
「何かあったのか?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~提督室~
提督室に到着した山城は、提督と長門に話をした。
提督
「深海棲艦を見たい?」
山城
「はい。私達の提督があなた方の鎮守府に居られる深海棲艦の空母ヲ級と戦艦棲姫を1回お目にかかりたいらしく、許可を頂けないかと思いお伺いしました。」
提督
「別に構わないが、1つ忠告しておく。彼女達は我々の仲間であって見せ物ではないということだけは覚えておいてくれ。」
山城
「わかりました。それから、先程演習場を通り掛かった際に深海棲艦のお二人に会いました。まさか、本当に深海棲艦を仲間にされているなんて正直驚きです。」
長門
「全くだ・・・。それもこれも、天馬が来てくれなければ仲間にすることなど考えなかったな。」
山城
「天馬って、もしかして松風天馬君ですか?黄色いユニフォーム姿でパーマをしてる。」
長門
「・・・お前、天馬に会ったのか?」
山城
「はい。ここの場所を教えていただきました。」
長門
「・・・そうか。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~第八特殊艦隊 寝室~
その日の夜、天馬達はMI作戦後編成された特別艦隊、第八特殊艦隊(メンバーは現在、旗艦吹雪天馬・雪菜・大和・マーズの5人。)の寝室にいた。だが、全員表情が暗い。
大和
「そうですか、昼間にそんなことが・・・。」
雪菜
「しかも明日、その提督が視察にくるらしいしわ・・・。」
マーズは一人、窓の外を眺めていた。
天馬
「マーズ、大丈夫?」
マーズ
「大丈夫。ただ会うとなると気が重くなるって言うか、心配って言うか・・・。」
吹雪
「見捨てられたからですか?」
マーズ
「それもあるわ・・・。」
天馬
「・・・。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~鎮守府 港~
次の日、第八特殊艦隊は例の提督を出迎えるため港にいた。
天馬
「・・・遅いな。もう30分近く過ぎてるのに・・・。」
吹雪
「何かあったのかな?」
『ゥゥゥウウウウウウゥゥゥ~……』
突然、鎮守府全体にサイレンが鳴り響いた。
大淀
『緊急事態発生!鎮守府へ向け提督を護送中の戦艦扶桑より緊急連絡!我、南西海域にて敵艦隊に遭遇!応援を求む!』
長門
『第八特殊艦隊、直ちに出撃せよ!』
天馬
「扶桑と山城、きっと提督の護衛艦として来てたんだ!」
吹雪
「急ぎましょう!」
一同はドックへ向かった。
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~地下ドック~
地下ドックに到着すると、一同は直ちに艤装を装着した。
天馬
「松風天馬!宇宙戦艦ヤマト改!」
吹雪
「特型駆逐艦 吹雪改二!」
大和
「戦艦大和!」
雪菜
「鈴音雪菜!ミランガル !」
マーズ
「マーズ・アレース!ドメラーズ3世!」
天馬
「第八特殊艦隊、出撃!!」
一同はドックから勢いよく放たれ、扶桑と山城がいる海域へと急いだ。
マーズ
「提督、扶桑姉様、待ってて!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
~南西海域~
南西海域では、扶桑と山城が小型の台船に乗った提督の護衛を行っていた。二人の前には、鎮守府に恐怖を振り撒く純白の堕天使、深海棲艦の戦艦タ級と随伴艦として戦艦ル級1隻と雷巡リ級1隻がいた。
扶桑
「強すぎます。」
山城
「これじゃ焼け石に水です・・・。」
提督
「くそっ、戦艦二人で大丈夫だと思い込んだ自分が間違いだった!」
タ級達は目標を定め、静かに接近してくる。すると・・・。
キイイイイイィィン!!
一同の上空を緑色の戦闘機が通過した。
ドカーン!
戦闘機は通過した際にミサイルを放ち、雷巡リ級を破壊した。タ級達は戦闘機が飛んで来た方向を見る。目線の先には天馬達 第八特殊艦隊がいた。
天馬
「マーズと大和さんは、扶桑さん達と提督の保護を!ユキッペと吹雪さんは俺と奴らを攻撃だ!」
吹雪
「はいっ!」
雪菜
「了解!」
マーズと大和は提督達の護衛、天馬・吹雪・雪菜はタ級撃退へ向かった。
タ級
「・・・っ!!」
ズドーン!
ズドーン!
タ級は天馬達に向けて、ル級は提督達に向けて砲撃。
マーズ
「やらせない!」
マーズは自ら前に出て、盾を正面に構えた。相手の砲弾はマーズの盾に当たり爆発。だが、マーズの盾には傷1つ無かった。
マーズ
「凄いわねこの盾!」
天馬は波動防壁を展開して攻撃を防いだ。
雪菜
「バトルモードへ切り替える!」
雪菜は甲板の先をタ級に向け構えた。さらに甲板を回転し遮蔽式砲戦甲板を出現させた。砲戦甲板には三連装ビーム砲台が6基搭載されている。
天馬
「照準合わせ!」
天馬の指示で、その場にいた全員がタ級とル級に照準を合わせた。二人は流石に分が悪いと判断したのか、その場を去っていった。
吹雪
「敵艦、撤退して行きました。」
天馬
「ル級と一緒にいた深海棲艦って、戦艦?」
雪菜
「戦艦タ級。今まで会ってきたノーマルクラスの深海棲艦の中じゃ最強よ。」
天馬
「厄介だな・・・。」
天馬・吹雪・雪菜は大和とマーズの元へ向かった。
提督
「助かりました。ありがとうございます、皆さん。」
天馬
「敵が少数だったのが、不幸中の幸いでした。」
吹雪
「ここから鎮守府までは、私達が護衛を手伝います。天馬君と雪菜さんは私と一緒に曳航及び前方の警備、大和さん、マーズさん、扶桑さん、山城さんは後方の警備をお願いします。」
山城
「了解です。」
扶桑
「わかりました。」
天馬・吹雪・雪菜は台船と自身をロープで繋ぎ曳航し、大和・マーズ・扶桑・山城は後方で護衛艦を行うことになった。一同は鎮守府へ向かって動き始めた。だが・・・。
マーズ
「あの・・・。」
扶桑
「はい?」
マーズと山城は、途中で足を止めた。
マーズ
「姉・・・いや扶桑さん、私の顔に見覚え無いですか?」
扶桑
「はて、初対面のハズですが、何処かでお会いしましたか?」
マーズ
「あ、いえ、何でもありません。」
扶桑
「そうですか。では、また後程。」
扶桑は天馬達を急いで追いかけた。
マーズ
「やっぱり、分かるハズ無いわよね・・・。」
マーズも扶桑の後を追いかけた。
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~鎮守府 港~
扶桑達と第八特殊艦隊は無事に鎮守府に到着した。港では、提督・長門・陸奥・大淀が出迎えてくれた。(以降は吹雪達側の提督を"提督A"、扶桑・山城側の提督を"提督B"と称します。)
提督A
「ようこそ、お待ちしておりました。」
提督B
「突然の訪問で申し訳ない。空母ヲ級と戦艦棲姫の噂を耳にしてから、どうしてもこの目で見たいと思いまして。・・・それにしても、本当に空母ヲ級と戦艦棲姫が仲間になっていたとはな。どうやって仲間にしたんだ?」
提督A
「それについては詳しくは言えない。だが全ては彼、松風天馬君のおかげなんだ。」
提督B
「なるほど。」
陸奥
「どうでしょう?立ち話もあれですし、間宮さんのお店でお茶でもしながらお話しされては?」
提督A
「・・・そうだな、そうしよう。」
長門
「では私は、提督の寝室の準備をしてくる。天馬、すまないが扶桑達をお前達の寝室に泊めてやってくれ。それと、誰か二人に鎮守府を案内してやってほしい。」
天馬
「わかりました。」
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~第八特殊艦隊寝室~
天馬達は扶桑と山城を連れて寝室へとやって来た。部屋の角には1人分の布団が畳んだ状態で用意されている。
天馬
「ここが俺達の寝室です。ベッドが1つ空いてますから、どちらか一人はベッドを使ってください。」
扶桑
「山城、あなたが使っていいわよ。」
山城
「ホント?ありがとう、姉様!」
扶桑は山城にベッドを譲り、山城は笑顔で喜んだ。二人の様子を、マーズは静かに見ていた。
マーズ
(もし、あそこにいる山城が私だったら・・・。)
扶桑
「マーズさん。」
マーズ
「は、はいっ!」
扶桑の呼び掛けに、マーズは慌てて答えた。
扶桑
「あの、私達にこの鎮守府を案内して頂けないでしょうか?」
マーズ
「わ、わかりました姉、いや扶桑さん!」
扶桑・山城・マーズは部屋を後にした。
天馬
「マーズ、大丈夫かな・・・。」
吹雪
「完璧に動揺してたね・・・。」
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~鎮守府 食堂~
その日の夜、扶桑・山城と第八特殊艦隊は同じテーブルで夕食を摂った。ちなみに、天馬は醤油ラーメン、吹雪はきつねうどん、雪菜は親子丼、大和はカツ丼大盛り、マーズは唐揚げ定食、扶桑と山城は天丼だった。
扶桑
「山城、私の海老あげるわ。」
山城
「ありがとう!」
扶桑は自分の海老天を山城にあげた。二人の正面にはマーズが座っており、マーズは暗い表情をしていた。
山城
「ねえ、大丈夫?」
マーズ
「えっ?」
扶桑
「なんか、昼間から元気無いみたいですけど、何かあったのですか?」
マーズ
「な、何でもない。大丈夫よ。」
マーズは席を立ち、一人その場を後にした。
天馬
「マーズ・・・。」
大和
「ボソッ・・・やっぱり、扶桑さんと山城さんの事を気にしているのでしょうか?」
雪菜
「ボソッ・・・そうとしか、考えられませんね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~鎮守府 港~
その日の深夜、マーズは一人眠れず港の桟橋に腰掛け海を眺めていた。
マーズ
「・・・。」
すると・・・。
扶桑
「マーズさん。」
マーズ
「扶桑さん。」
扶桑はマーズの隣に腰掛けた。
扶桑
「眠れないのですか?」
マーズ
「ええ。扶桑さんは?」
扶桑
「私も、同じです。」
・・・。
数秒間、無言が続いた。
扶桑
「マーズさんは、大切な人を失ったことってありますか?」
マーズ
「えっ?いや、ありません。扶桑さんは?」
扶桑
「1度だけ、ありました。何ヵ月か前に、私の姉妹艦の山城が被弾して、轟沈した事がありました。」
マーズ
「・・・。」
扶桑
「でもその数日後に、山城は帰って来ました。傷だらけになって、私と提督の前に。」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
~某日 某鎮守府 提督室~
提督B
「山城・・・。俺のせいだ。俺があの海域へ出撃するよう命令したから、山城は沈んだ・・・。俺が命令しなければ、山城は!!」
扶桑
「提督・・・。」
ーーあの時の提督は、とても悲しんでいました。自分のせいで、最愛の人であった山城を失ってしまったと、毎日毎日繰り返し言っていました。ですが・・・。
ガチャッ
提督B
「誰だ!!ノックも無く無断で・・・っ!?」
ーー山城は、突然私達の元へと帰って来ました。
扶桑
「山城!?」
山城
「せ、戦艦山城、ただいま戻りました・・・。」
提督B
「山城・・・山城おおおおお!!」
提督は突然、山城を抱きしめた。山城と扶桑は提督の突然の行動に驚いている。
提督B
「山城!お前なんだな!本当にお前なんだな!?」
山城
「提督・・・。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
提督B
「いいんだ!お前が帰ってきてくれただけで、俺は凄く嬉しい!」
山城
「提督・・・。」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
扶桑
「あの時の提督、泣いていたけど同時に凄く喜んでいたわ。自分にとって、最愛の人が帰ってきたのですもの。」
マーズ
「そ、そうですね・・・。」
扶桑
「それから少し後に、提督は山城に婚約指輪を渡して、その後結婚しました。あの結婚式の時の山城の花嫁姿は、実に魅力的でした。」
マーズ
「・・・。」
扶桑
「マーズさん?」
マーズは静かに立ち上がり、その場を後にした。
扶桑
「・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~工廠~
その後、マーズは工廠の裏で一人泣いていた。
マーズ
「提督は、私の事を捨ててなんていなかった。私の事を愛し続けてくれていた。なのに、私は・・・私は・・・!うう、ううううううぅぅ・・・!」
彼女は、明け方まで泣き続けた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~鎮守府 港~
次の日、艦娘一同は提督の見送るため港に集結した。
提督B
「皆さん、短い期間でしたがありがとうございました。」
長門
「向こうの艦娘達にも、よろしくお願いします。またいつでも来てください。」
マーズは一人、寂しい顔をしていた。
天馬
「マーズ、大丈夫?」
マーズ
「ねえ、私このままお別れしていいのかな?もしかしたら、提督とも扶桑姉様とも2度と会えなくなるかもしれない。ここで私の正体を打ち明けるべきか、心の中に仕舞っておいて、このまま見送った方が良いのか、どうすれば・・・。」
雪菜
「マーズ・・・。」
すると・・・。
「キャッ!!」
突然、扶桑の悲鳴が聞こえた。一同が駆け寄ると、そこには目を疑う光景が見えた。
提督B
「ぐっ・・・くっ・・・!」
山城が扶桑を押し倒し、提督の首を右手で掴み持ち上げていた。提督はもがき苦しみ、抵抗しようと暴れている。
マーズ
「ッ!?提督! 姉様!」
マーズは咄嗟に走り出し・・・。
マーズ
「提督を放しなさい!!」
ドンッ!!
ザパーン!
そして山城に向かって勢いよくタックルした。山城はタックルされた拍子に手を放し、バランスを崩し海に転落した。
マーズ
「大丈夫ですか!?」
提督B
「私は平気だ。だが山城は・・・。」
ザバーン!
ロ級
「ギャアアアアア!」
突然、深海棲艦の駆逐ロ級が鎮守府に現れた。
ガコンッ!
ロ級は提督と扶桑を堤防ごと飲み込み、そのまま鎮守府を去っていった。
マーズ
「待ちなさい!」
マーズはロ級を追いかけるためドックへ向かった。
天馬
「マーズ待って!」
天馬・吹雪・雪菜・大和の四人も艤装を装備し、急いでマーズの後を追いかけた。
睦月
「長門秘書艦、私達も!」
長門
「いや、ここは天馬達に任せよう。我々は周辺の警備に当たる。ひょっとすれば先程のロ級以外にも居るかもしれないからな。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~洞窟~
提督
「う、う~ん・・・。」
扶桑
「ここは・・・。」
ロ級に丸飲みにされた提督と扶桑。気が付くと、二人は暗い洞窟の中で十字架に掛けられていた。洞窟の中は暗く、周囲には数本の松明の灯りしかない。
「目ガ覚メタ?」
突然、誰かの声がした。声がした方向を見ると、そこには戦艦タ級がいた。
提督B
「戦艦タ級!?」
タ級
「スマナイワネ。ウチノ駆逐艦ガ手荒ナ真似ヲシテ。」
扶桑
「私達を捕まえてどうしようと言うの?」
タ級
「我ラノ裏切リ者、戦艦棲姫まーずヲ誘キ寄セ破壊スル。ソレガ、私ノ使命。」
提督B
「では、なぜ私達なんだ?彼女を誘き寄せるのならば、第八特殊艦隊の誰かでもよかったはず。」
タ級
「奴ガ一番愛シテイタ人物ガアナタタチダッタカラヨ。モットモ、今ハ恨ンデイルカモ知レナイ。」
提督B
「私達は深海棲艦に恨まれる様な覚えはあるが愛していた覚えは無い!私が愛していたのは戦艦山城ただ1人だ!」
扶桑
「そういえば、山城は何処なの?あなた、山城が何処にいるのかご存知ない?」
タ級
「エエ、モチロン知ッテイルワヨ・・・。
・・・姉様。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~鎮守府南東 55km沖合~
一方、第八特殊艦隊は提督と扶桑、二人を誘拐した駆逐ロ級を探していた。天馬と雪菜は偵察機を飛ばし捜索するが・・・。
天馬
「ヤマト航空隊より、入電。周辺海域に敵影認められず。」
雪菜
「こっちも同じです。」
吹雪
「二人とも、何処行っちゃったのかなぁ…。」
すると・・・。
ピロン
加藤
『100加藤よりヤマトへ。深海棲艦の偵察機とおぼしき機体が島の洞窟へ入るところを発見した。座標を送るので、確認されたし。』
天馬
「座標確認。引き続き偵察を続けてください。」
加藤
『了解。引き続き、偵察を続ける。』
ピー
天馬
「加藤さんが怪しい洞窟を発見したそうです。敵偵察機とおぼしき機体の出入りを確認しているらしいですから、深海棲艦の秘密基地である可能性があります。」
吹雪
「行ってみましょう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~某島 洞窟入り口~
第八特殊艦隊は加藤の送った座標を頼りに洞窟の入り口へとやって来た。長年波に削られて出来た海触洞で、入り口の高さは5m程ある。
天馬
「ここです。」
雪菜
「なんか、恐ろしい雰囲気ね・・・。」
マーズ
「感じる・・・この奥から提督と扶桑姉様を。」
マーズは真っ先に洞窟へと進入。天馬・吹雪・雪菜・大和も後に続いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~洞窟 最深部~
第八特殊艦隊は洞窟の最深部にある巨大な空間へとたどり着いた。そこには十字架に掛けられた提督と扶桑、さらに艤装を装備した山城の姿があった。
マーズ
「提督!扶桑さん!」
マーズは提督達のところへ駆け寄る。だが・・・。
ズドーン!
ザバーン!
山城がマーズの足元に向けて発砲。さらに提督と扶桑に砲身を向けた。マーズはその場で動きを止めた。
山城
「少しでも動いたら、あなたの大切な提督と扶桑を粉々にするわよ?」
第八
「っ!?」
山城の予期せぬ発言に、第八特殊艦隊は驚いた。
提督B
「みんな騙されるな!コイツは深海棲艦の戦艦タ級だ!」
天馬
「なんだって!?」
山城
「・・・。」
山城は静かに目を閉じる。すると、彼女の身体を黒いオーラが包み込み、彼女は戦艦タ級へと姿を変えた。
天馬
「山城さんが、戦艦タ級!?」
タ級
「ソウ。私ハトアル戦闘デ轟沈シタ山城ノ姿ト記憶ヲ自分ニこぴーシ、鎮守府ヘト侵入シタ。」
提督B
「タ級、山城は・・・山城はその後どうなったんだ!」
タ級
「山城ハソノ後、深海棲艦ノ戦艦棲姫トナッタ。デモ奴ハ我々ヲ裏切リ、敵ノ艦隊ニ加ワッタ。」
扶桑
「・・・ちょっと待って。じゃあまさか、本当の山城は・・・。」
扶桑はマーズに目を向け、マーズは扶桑と目を合わせた。
提督B
「まさか・・・。」
マーズ
「・・・そう、本当の扶桑型二番艦山城は、この私です。」
扶桑
「やはり、そうだったのですね・・・。始めて声をかけられた時から、何とも言えない違和感がありました。初対面のハズなのに、どこか身に覚えのある様な感覚で・・・。」
タ級
「サアまーず、オ前ノタメニ用意シタすてーじダ。思ウガママニヤルガイイ。」
マーズ
「私のためのステージ?どういうこと?」
タ級
「オ前ハ心ノ中デ思ッテイルハズ。自分ヲ捨テタ提督ト扶桑ニ復讐シタイ、殺シテヤリタイト。ココハソレヲ叶エルタメニ用意シタすてーじナノダ。サア、今コソ自分ヲ捨テタ者達ニ復讐ヲ果タセ!」
マーズ
「・・・。」
マーズは艤装に搭載された陽電子ビーム砲塔4基を提督と扶桑に向けた。
吹雪
「マーズさん!」
吹雪はマーズを止めに向かおうとするが、天馬に止められた。
天馬
「大丈夫、俺はマーズを信じてます。」
マーズ
「・・・確かに、以前の戦艦棲姫であった私なら復讐したいと今でも思っていたかもしれない。でも、今は違う!」
マーズは照準を合わせ提督と扶桑に向け発砲。
バシューン!
ドカーン!
タ級
「ナッ!?」
だが、放った陽電子ビームは全てタ級に命中した。タ級は提督達の後方へ吹き飛ばされた。
マーズ
「私はもう、戦艦棲姫のマーズじゃない!今の私は第八特殊艦隊のマーズ、又の名をゼルグート級一等航宙戦闘艦ドメラーズ3世!私は私が信じた者のために最後まで戦うと決めた!」
バシューン!
ガシャーン!
マーズは陽電子ビームを提督と扶桑に向けて放ち、二人の拘束具を破壊した。二人は地面に下り立ち、天馬達が救護に向かった。
タ級
「・・・ちっ。」
ズドーン!
ドカーン!
戦艦タ級は洞窟の壁の一部を破壊し大穴を作り出した。穴の向こうには海が広がっている。
タ級
「イツカマタ会オウ。マーズ。」
タ級は穴から海へと逃げ、そのまま水中へと姿を消した。
天馬
「戦艦タ級・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~某鎮守府~
その後、第八特殊艦隊は提督と扶桑を鎮守府へと送り届けた。だが着いた頃には既に夕方だった。
扶桑
「ありがとう。皆さんのおかげで無事に帰る事が出来ました。」
吹雪
「またいつでも鎮守府に来てください。それでは・・・。」
第八特殊艦隊はその場で転身し、鎮守府を後にした。だが・・・。
提督B
「あ、待ってくれ!」
突然、提督に呼び止められた。
提督B
「マーズ・・・いや山城、ちょっといいか?」
マーズ
「・・・みんなは先に帰っててちょうだい。大丈夫、後で追い付くから。」
天馬
「わかった。」
マーズは提督と扶桑の所へ戻り、天馬達はその場を後にした。
提督B
「山城・・・私達の鎮守府で共に暮らさないか?今の君は深海棲艦だが、そんなことは私にとって関係ない。私は最愛の人である君と、共に同じ人生を歩みたい。」
マーズ
「・・・。」
マーズは目を閉じ数秒ほど黙り混む。そして・・・。
マーズ
「提督、申し訳ありません。今の私はもう、以前の扶桑型二番艦山城ではありません。私は、第八特殊艦隊所属マーズ・アレース。又の名をゼルグート級一等航宙戦闘艦ドメラーズ3世。今の私には、共に戦ってくれる大切な仲間がいる。守るべき場所がある。叶えてあげたい少年の理想がある。今は第八特殊艦隊が・・・いえ、あの鎮守府が、私の居るべき居場所なんです。」
提督B
「そうか・・・。それならば、仕方あるまい・・・。今までありがとう、山城。」
提督は山城に指示を出し、共にその場を後にした。
扶桑
「さようなら、山城。元気でね・・・。」
扶桑はマーズに手を振り、マーズも扶桑に手を振った。そして提督と扶桑は鎮守府の中へ、マーズは夕日と共に水平線の彼方へと姿を消した。
マーズ
「・・・さあ、私も帰りますか。みんながいる鎮守府へ。」