バトルシップイレブン ~艦娘とサッカー少年達の出会い~   作:ヒビキ7991

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Episode37/アイアン・ボトムサウンド突入作戦

~工廠~

 

 

次の日、赤城と加賀は工廠を訪れ、艤装の損傷について夕張から話を聞いていた。

 

 

夕張

「・・・うん、どういう力が働いたかは分からないけど、確かに変色した海を航行した艦娘は、みんな艤装に損傷を受けているわ。ただ・・・。」

 

加賀

「ただ?」

 

夕張

「変色した海を航行したハズなのに、損傷を全く受けて無い艦が二隻だけあったわーの。」

 

赤城

「艤装に損傷の無い艦ですか?」

 

夕張

「一つは天馬君の使ってる艤装、宇宙戦艦ヤマトなんだけど、これについては説明がつく。天馬君は戦闘以外にも、航行中は常に低出力の波動防壁を展開しているわ。恐らく波動防壁を展開しているおかげで、変色した海の影響を受けなかったのね。」

 

加賀

「なるほど。で、もう一つは?」

 

夕張

「もう一つは、特型駆逐艦の吹雪。あの子の艤装も何故か損傷を受けてないの。」

 

赤城

「吹雪?」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~甘味処 間宮~

 

 

その後、赤城と加賀は吹雪と天馬を間宮の店に呼び、話をする事にした。

 

 

天馬

「えっ?艤装が?」

 

赤城

「はい。吹雪さんと天馬君だけが、艤装に全く損傷を受けていなかったんです。天馬君に関しては理由が分かっているのですが、吹雪さんに関しては全く理由は分からないと。」

 

加賀

「それと聞いたわ。あなたは例の謎の声が聞こえた時、まるで宥めるかの様に話していたと。」

 

吹雪

「えっ?私がですか?」

 

 

吹雪は何が何だか分からない様だが、赤城は驚いた。

 

 

赤城

「覚えてないんですか?」

 

吹雪

「覚えてないと言うか、身に覚えがないって言うか・・・。」

 

 

困惑する吹雪。すると、加賀がある質問をした。

 

 

加賀

「吹雪、あなた確か他の鎮守府から来たのよね?」

 

吹雪

「えっ?そ、そうですけど・・・?」

 

加賀

「提督とはいつ会ったの?」

 

吹雪

「今の鎮守府に配属されて、それから直ぐです。」

 

加賀

「じゃあ、以前は何処の鎮守府に居たの?所属してた艦隊と、その艦隊の旗艦は?」

 

吹雪

「えーっと、それは・・・あれ?」

 

天馬

「どうしました?」

 

吹雪

「変なの。今の鎮守府での記憶はちゃんと覚えてるのに、その前の記憶が全く思い出せない。」

 

天馬

「思い出せない?」

 

赤城

「・・・。」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~炊事場~

 

 

一方、剣城はふと炊事場を訪れた。

 

 

剣城

「くそっ、どうも気分が悪い。顔でも洗うか。」

 

 

するとそこへ、睦月がやって来た。

 

 

睦月

「あ、剣城君。」

 

剣城

「睦月さん、どうかされました?」

 

睦月

「ううん、ちょっとね・・・。」

 

 

 

「いやああああああああああ!!」

 

 

突然、建物の中から悲鳴が聞こえた。

 

 

剣城

「な、何だ!?」

 

 

ガチャ

 

 

剣城と睦月は慌てて建物の扉を開ける。扉の向こうでは、如月が泣き崩れていた。

 

 

睦月

「如月ちゃん!」

 

如月

「っ!?」

 

 

如月は恐る恐る睦月に顔を向ける。右腕には左腕と同じ痣が現れ、額から四本の黒い角が生えていた。

 

 

睦月

「如月・・・ちゃん?!」

 

如月

「いや・・・いやああああああ!!」

 

 

如月はフードを被りその場から走り出す。だが剣城に右腕を掴まれ足を止めた。

 

 

剣城

「待ってくれ如月さん!」

 

如月

「剣城・・・君。」

 

剣城

「心配しないで下さい。何があっても、俺達はアンタの傍に居ますから。」

 

如月

「でも、私・・・私は・・・。」

 

 

泣き崩れる如月に、睦月は後ろから優しく抱きしめた。

 

 

睦月

「何も言わないで。如月ちゃんは何も心配する事なんて無い。ずっと一人で寂しい思いをして、やっと帰って来たんだもの。何も悪くないよ。」

 

如月

「睦月ちゃん・・・。」

 

睦月

「大丈夫。誰が何を言っても、どんな事が起きても、私はずっと如月ちゃんの味方だよ。」

 

如月

「睦月ちゃん・・・。」

 

剣城

「・・・。」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~指令所~

 

 

少し後、赤城と加賀は指令所にて長門に話をした。

 

 

長門

「吹雪が?」

 

赤城

「はい。変色海域を航行した艦の中で、天馬君のヤマトと吹雪さんだけが艤装に全く損傷を受けていなかった事が発覚しました。天馬君については航行中に波動防壁を使用していたため、損傷を防ぐことが出来たと思われます。ですが吹雪さんについては全く不明です。」

 

加賀

「しかも、鉄底海峡から発せられる声が初めて観測されたのは、吹雪がこのショートランド泊地に到着した日付と同一。単なる偶然と言ってしまえば、それまでですが・・・。」

 

赤城

「因果関係がある可能性も、否定は出来ません。」

 

加賀

「この変色海域、鉄底海峡において明らかになった様に、彼女には他の艦娘とは違う何かがあると考えるのが自然です。」

 

長門

「だが、それを根拠に仕掛けるのは無謀すぎる。せめて・・・。」

 

 

ガチャ

 

 

指令所のドアが開き、夕張が慌ててやって来た。

 

 

夕張

「長門秘書艦!」

 

長門

「夕張か、どうした?」

 

夕張

「つ、ついに完成しました!新型艤装、アンドロメダ級宇宙戦艦一番艦アンドロメダと、航宙戦闘母艦ノイ・バルグレイ、そしてノイ・デウスーラが!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ビーチ~

 

 

夜、吹雪と天馬はビーチで星を眺めていた。

 

 

吹雪・天馬

「・・・。」

 

 

キラーン

 

 

二人の上空を一筋の流れ星が流れた。

 

 

天馬

「流れ星・・・。」

 

吹雪

「何をお願いすれば良いんだろう・・・。」

 

 

ザッザッザッ・・・。

 

 

森の方から足音がする。目を向けると、そこには大和の姿があった。

 

 

天馬

「大和さん。」

 

大和

「二人とも、こんな時間にどうしました?」

 

吹雪

「大和さんこそ。補給と整備はもういいんですか?」

 

大和

「はい、もう大丈夫です。隣、よろしいでしょうか?」

 

天馬

「は、はい。」

 

 

大和は吹雪の隣に腰を下ろし、吹雪と天馬は上体を起こし、三人は海に目を向けた。

 

 

大和

「静かな海ね・・・。」

 

吹雪

「はい・・・。」

 

 

海は波も無く穏やかで、海面には綺麗な星空が写っていた。

 

 

天馬

「・・・大和さんは、最初から知ってたんですか?深海棲艦の秘密。」

 

大和

「そうですね・・・全く知らなかったと言えば、それは嘘になります。」

 

吹雪

「マーズさんの事があってから自分でも少し思ってたんですけど、まさか私達の戦ってきた深海棲艦が、みんな・・・そう考えると何だか・・・。」

 

大和

「この世に生まれて、艦娘として精を得て、此処に居るのは何の為か・・・私達は何の為に生まれたのか・・・大切な仲間を、大切な絆を守りたい。この想いを伝えたい。その為に、此処に居るんじゃないかって・・・。」

 

吹雪

「・・・。」

 

大和

「私達の戦いには意味がある。それはとても難しく困難な事ですけど、私達はきっと出切る。私達はそれを、”希望”と言うのかしら?」

 

天馬

「希望・・・。」

 

大和

「はい。みんなを守り、この戦いを終わらせる為に・・・。」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~指令所~

 

 

夜明け前、指令所には長門と陸奥がいた。

 

 

陸奥

「決めたのね?」

 

長門

「ああ・・・。」

 

 

ガチャ

 

 

裏口が開き、大淀がやって来た。

 

 

大淀

「作戦参加艦艇、全員揃いました!」

 

長門

「うむ・・・。」

 

 

ガチャ

 

 

長門は広場に通ずる扉を開け外に出る。広場には吹雪達三水戦、赤城達一航戦を始め、大勢の艦娘達が集まっていた。

 

 

長門

「これより、南方方面ソロモン方面への全力出撃による作戦を展開する!」

 

 

飛龍

「ヨシッ!!」

 

金剛

「ヤりますヨー!」

 

神童

「打って出ると言う事か。」

 

剣城

「面白い・・・!」

 

川内

「ヤッター!夜戦だ夜戦だー!!」

 

 

大規模な作戦と言う事もあってか、全員気合いが入る。

 

 

長門

「本作戦の最終目的は、ソロモン海域深部にて拡大・侵食を続けるアイアン・ボトムサウンド変色海域の発生源の発見及び破壊・殲滅だ。変色海域では敵深海棲艦以外の生命は死滅し、我ら艦娘の艤装も侵食され破壊される。この中で作戦を遂行する事は困難を極める。しかし放置すれば変色海域は拡大を続け、終いにはアイアン・ボトムサウンド中枢部へ攻撃を仕掛ける事は永久に不可能となる。よって、このショートランド泊地の水上部隊全力をもって、突入作戦を決行する!各艦は、各々全力で作戦に当たってほしい。それから、神童、雪菜、そしてマーズ、お前達に新しい艤装を預けたい。」

 

 

神童

「新しい艤装?」

 

雪菜

「それって・・・!?」

 

マーズ

「まさか・・・!?」

 

 

長門

「そうだ。神童、お前にはノイ・デウスーラを。マーズ、お前にはアンドロメダを。そして雪菜、お前にはノイ・バルクレイを託す。後に工廠にて艤装の受け取り及び調整を受けるように。」

 

 

神童・雪菜・マーズ

「はいっ!!」

 

 

長門

「艦隊の編成及び作戦の詳細については追って知らせる。各艦、出撃準備に掛かれ!」

 

 

「はいっ!!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~工廠~

 

 

その後、工廠では弾薬・物資の補給と最終調整が急ピッチで行われた。

 

 

明石

「これで全部かな?」

 

夕張

「もう一回確認しよっか?」

 

 

工廠の一角では、神童・雪菜・マーズが新しい艤装を装着・調整をしていた。

 

 

神童

「これがノイ・デウスーラか。」

 

 

神童は背中に多数の大型ミサイルを搭載した大型のバックパックを背負い、両肩には新型のデスラー砲と瞬間物質移送機を2基装備。

 

 

雪菜

「これがノイ・バルクレイ。で、マーズのがアンドロメダね。」

 

マーズ

「何だか、イケる気がしてきたわ!」

 

 

雪菜とマーズは脚と背中に天馬の宇宙戦艦ヤマトと似た形状の艤装を装着し、両腕には重力子スプレッド発射機4基と、二連装次元波動爆縮放射機、通称”拡散波動砲”を搭載した艦首型の大型の艤装を装備。さらに雪菜は背中に大型の艦載機格納庫を装備していた。

 

 

 

金剛

「三式弾と鉄鋼弾も、しっかり頼むデース!」

 

瑞鶴

「よーし、アウトレンジで決めてやるわ!」

 

加賀

「今回は最悪の事態も考えておくことね。」

 

 

加賀が瑞鶴の背後から静かに告げた。

 

 

瑞鶴

「何?私が沈むかもって事?・・・でも、もし沈んでもまた戻ってこれるんでしょ?」

 

加賀

「二度と口にしないで。それは言葉では言い表せない程、辛く苦しい事だから・・・。」

 

 

加賀は歩きだし、静かに工廠を離れた。

 

 

瑞鶴

「・・・。」

 

 

 

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