大地を駆ける~疾走する地竜~   作:アンゴラチャーハン

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エレオノールさん登場。

口調が自信ない……違和感バリバリになっちゃうかも。


地竜発見~捕獲作戦開始~

「ダンナ?大丈夫かにゃ?」

 

(………ああ、大丈夫だ。)

 

「顔色が悪いにゃ。もう少しここで休むかにゃ?」

 

オーク鬼を倒し、ニャーを守ったダンナ。

しかし、その心の中はどんよりとした空気で包まれていた。

 

(そうしよう………お前は大丈夫か、ニャーよ?)

 

「んにゃ、ニャーは大丈夫ですにゃ。ピンピンしてますにゃ。」

 

彼らは先ほど休んでいた川のほとりにもう一度腰を下ろす。

 

命のやりとりがあったのに、存外ケロッとしているな。

 

ダンナはニャーが妙に落ち着いているのが気になった。

冷静というよりか慣れ。慣れている気がする。先程の命のやりとり、その雰囲気に。

ダンナは足に残った肉を叩く感覚が相当堪えている。

 

(お前は平気なのか?殺されかけたというのに。)

 

「にゃ?あー……んーと、なんていうかもといた場所でも定期的にこういう事はあったというか……」

 

定期的にあった闘い。

それは

 

(モンスターバトルか?)

 

「にゃ!?モンスターバトルも思い出したのかにゃ!?」

 

(名前だけな。何をしていたかは思い出せん。そして私はそこで不敗であった。)

 

「………違うにゃよ、ダンナ。」

 

ニャーはダンナを力強い眼差しで見つめる。

その眼差しは羨望の色を帯びている。

 

「ダンナはモンスターバトルにおいて、‘不敗且つ歴代最強の絶対王者’なのにゃ。」

 

ニャーは空を見上げた後、すっと目を閉じる。

在りし日の事を思い出そうと。

 

「ダンナはモンスターバトルのトップクラス、その中でも栄誉ある四つの大会の優勝者、そして大会を一人で何度も優勝した当時間違いなく最強のモンスターだったのにゃ。」

 

(私がか………)

 

彼は大きなスタジアムで金色の装飾がなされたベルトを首にかけ、自分が観客に応えて雄叫びをあげている姿を想像した。

 

(…………にわかには信じがたいな。)

 

「にゃにゃ。ダンナの強さは群を抜いてたにゃ。どんな評判を持つモンスターもダンナにはちっともかなわなかったにゃ。」

 

ずいずいっとニャーが近づいてきて興奮気味に目をキラキラさせている。

 

「ダンナの武勇伝聞くかにゃ?ベニヒメソウを倒した時なんかすごかったのにゃよ?」

 

(い、いや構わん、それより離れてくれ。今はなかなか疲れている。)

 

「うにゃーん。つれないのにゃ。ダンナの人気は鰻登りの天井知らずだったのにゃ。ファンからしたらとても落ち着いてられないのにゃん。」

 

ニャーはすっかり興奮してしまい、聞いてもいないダンナの武勇伝を語り始めた。

 

(……ニャーよ。)

 

「うにゃ?何かにゃ?」

 

まくし立てるニャーをダンナは止める。

一つだけ、これだけは聞いておきたい。

 

(私はどんなモンスターだったのだ?)

 

「にゃにゃ、だからそれはそれは強くて……」

 

(そうではない。)

 

彼は一息つき、意を決して聞いた。

 

(私はモンスターバトルでこの力を躊躇いなく相手にぶつけていたのか?)

 

そういって彼はオーク鬼だった物のある方向を見た。

 

(私はモンスターバトルにかこつけて、今日の様なことを……何度も……)

 

自分は何体もの相手をあんな風に………彼は自分の覚えていない自分を恐れていた。

もし記憶が完璧に戻れば、自分はそんなキリングマシーンに………。

 

「にゃ……ダンナ、それは……」

 

ニャーが説明をしようと……話し始めたその時である。

 

 

 

「見つけたわよ、地竜!!」

 

茂みの中から女性、人間の女性が飛び出してきた。

 

(む!?)

 

「んにゃ!?なんにゃ!?」

 

「あら?何か奇妙なオマケ付きね?関係無いわ!!今よ!!捕獲ネットを放ちなさい!!」

 

彼女が合図すると巨大な金網が何匹もの飛竜によって空中輸送されてきた。

そしてそれはダンナ達の周囲に投下され、ダンナ達は金網に取り囲まれてしまった。

 

「さあ、観念なさい。このまま大人しくアカデミーまできてもらうわよ。」

 

そういうと茂みから飛び出してきた女性、エレオノールは杖を取り出し、じりじりとにじりよってきた。

 

 

 

 

 

 

エレオノール。彼女はこの国トリステインの貴族ラ・ヴァリエール家の長女であり、トリステインの王都のトリスタニアにある王立魔法研究所(以下アカデミー)で土魔法を研究していた。

 

そんな彼女の下に二日前ある報告が届いた。

新種の竜、発見の報であった。

 

それだけならば彼女は動かなかったろう。

新種発見の報とは実際調べてみたら既存の種類であることがままある。

 

しかしながら今回は違う。

固定化をかけられ発見場所から持ち出された足跡、そして鱗、何より報告されたときのその竜の仮名称である。

 

地竜。

 

この名は彼女の心を強く動かした。

 

足跡、これに関しては適当に魔法でも使えば真贋見極められなくなるだろう。実際固定化がかけられてしまって、ディテクトマジックの調査も意味を成さなかった。

 

だが鱗、これは違う。

なんと現場で発見した二人が固定化をかけず細心の注意をはらって持ち込んでくれたのだ。

そうでありながら彼らは二日という短期間で運んでくれたのだ。

感謝感激である。

 

この鱗は間違いなく生物の物だ。

それも既存の種とは全く異なる竜の物だ。

そして彼らがつけた地竜という名前。

 

地竜。

空を舞うことに長ける風竜、名の如く烈火を吐き出す火竜、そして竜種最強最大といわれる海に住まう水竜。

 

私達人間は穏やかな気候を好み、一生の内の相当数を飛行して過ごす彼らとは違い地に足をつけて生活する。(まあフライなどを使える貴族はともかく)

 

それなのにこのタイミングで地竜?

もしいるとすれば一番に見かけるべきであろう竜だ。

 

しかしながら地竜は今まで発見されていない。

名前ですら、いると仮定したならば今回のように地竜にすべきか、土竜にすべきか、まあいないのだろうという前提で軽く話される程度の物だ。

 

しかし今回は明確な証拠がある。

そして名前、地竜、地竜………土魔法の研究家たる彼女の好奇心と想像を掻き立てる。

 

火竜は名の如きブレス、風竜は名の如き飛行速度、水竜も名が表すように海で暮らしている。

 

地竜はなんだ?土魔法か?はたまた大地を掘り進むのか?はたまたそれ以外………

 

エレオノールの地竜捕獲作戦の立案は報告を受けて二時間半後の事だった。

 

直ぐさま発見現場にメイジが送られ、森を取り囲んだ。

そして地を強く蹴り駆けた跡があることから、その素早さを封じるための巨大且つ強固、更にそこへ固定化を幾重にもかけた金網が用意された。

 

このような大掛かりな仕掛けを用意できたのは、アカデミー所長、更に軍上層部も今回の新種の竜発見報告を重要視したからである。

 

アカデミー所長は純粋に新種故だろう。

文献にある人語を解す韻竜などとは違い、その存在が今まで全く知られていなかった地竜。

ともすれば世紀の大発見となる。

 

軍上層部、まあ新しい竜に軍事的価値を期待しているのだろう。

これまでにも飛竜、グリフォン、マンティコアなど様々な生物がハルケギニアでは軍事利用されている。

 

そういう背景があり、異例のスピードと費用によってエレオノールの捕獲作戦は実行段階に移された。

 

また、地竜と呼ばれているダンナが森ではしゃいでいた事もあり、発見現場からそう遠くない場所にいたのも幸いした。

 

そうして話はダンナ達と遭遇した場面に移る。

 

 

 

 

「鞍と………マジックアイテム?でいいのかしらね。」

 

杖をダンナ達の方へ向け、一歩、また一歩と近づいていくエレオノール。

 

ニャーは素早くダンナの鞍に跨がり、ダンナもまた立ち上がりエレオノールの接近にあわせて後ずさる。

 

「にゃにゃにゃ!あんた何もんにゃ!」

 

「人語を解するマジックアイテム……面白い…。私は王都のアカデミーの者よ。新種の地竜、なるほどこのような姿をしているのね。」

 

エレオノールがニヤリと笑う。

想像よりダンナの体躯が大きく、そして逞しかったからだ。

彼女を惚れ込ませた地竜は期待通りの力強さを持っている。それが視覚から既に伝わってくる。

 

「まずいにゃ……。」

 

対してニャーの顔は青ざめていた。

 

(どうまずいんだ?)

 

ダンナも不穏な空気は感じていた。

目の前の相手に殺意は無い、但し害意は少し感じる。

 

「アカデミーといえば国立の研究機関にゃ。なかなか過激な実験をするときいてるにゃ……。」

 

(……あまり内容は想像したくないな。)

 

その言葉を聞いたダンナが二、三歩更に後ずさる。

 

「その竜、人語を理解するの………!?」

 

「うにゃぁ……しまったにゃ……。」

 

竜の方の言葉は分からない。

低い声でグルルと唸っているようにしか聞こえない。

だがその竜は人語を理解しているようだ。

 

この竜、地竜だけは……

 

「絶対に捕まえる。」

 

彼女はメラメラと研究家として燃え上がっていた。

 

「スリープクラウド!!」

 

彼女が素早く魔法を唱えると、ダンナを小さな雲が取り囲んだ。

 

「これは……いけないダンナ!!早く離れて!!」

 

(ぐぅ!?力が…抜ける…)

 

ダンナは間一髪で魔法から抜け出す事に成功した。

どうやらあの雲は相手の眠りを誘うらしい。

 

「ほう、スリープクラウドを耐えるのね。尚更捕まえたくなったわ。」

 

「ダンナ大丈夫かにゃ?」

 

(うむ………大丈夫だ。)

 

ダンナは足に力を入れ、しっかりと体制を立て直した。

 

「スリープクラウド!!」

 

エレオノールがもう一度魔法をダンナに向けて放つ。

しかし……

 

(二度もくらうような物ではないな。)

 

一度目と違い今度は雲を完全に避けきる。

 

「流石にゃダンナ!!」

 

先ほどと違い闘志で満たされたやる気満々のダンナの前にはスローな技のようだ。

 

「なかなかやるわね。」

 

「にゃにゃ、ダンナはそう簡単に捕まらないにゃよ。」

 

「そう、それなら……」

 

エレオノールは指をパチンと鳴らす。

すると周りにはいつ忍び寄ってきたのか、どこに隠れていたのか複数名のメイジが現れ、杖をダンナに向けていた。

 

「軍の皆さんにもご助力していただこうかしら。」

 

ニャーとダンナはすっかり囲まれていたのだ。




ダンナはハルケギニアの中でも凄く強いけど、無敵というほどでは無いぐらいの強さです。

工夫次第でピンチだったり、一騎当千だったり。

もう全部ダンナだけでいいんじゃないかな。とはあまりしたくないので………あまり。
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